教育法
- 大学生
- 専門
- 著者名
- 中川 律 著
- 判型
- A5
- ページ数
- 264頁
- ISBN
- 978-4-385-32309-1
気鋭の学者による教育法のテキスト。初学者が基本的な知識や考え方を体系的に理解できるよう構成。基礎知識の解説はもちろん、2006年教育基本法改正や朝鮮学校就学支援金除外裁判などの事例ついても解説。気鋭の学者による教育法のテキスト。初学者が基本的な知識や考え方を体系的に理解できるよう構成。基礎知識の解説はもちろん、2006年教育基本法改正や朝鮮学校就学支援金除外裁判などの事例ついても解説。
目次
PartⅠ 教育法学の基礎知識
第1章 教育法学の特徴
1. 教育法の存在次元の区別
2. 教育法学の方法
3. 教育法の機能的三種別
第2章 大日本帝国憲法と国家主義的教育法制
1. 国家主義的な公教育の目的
2. 教育の勅令主義と中央集権的教育行政制度
3. 中央集権的な教育内容の統制
4. 教育財政法制
5. 複線型学校体系
第3章 日本国憲法と戦後教育改革法制
1. 教育を受ける権利と「人格の完成」
2. 教育権の独立と「不当な支配」の禁止
3. 戦後教育改革法制の基本原則
4. 単線型学校体系
第4章 教育法学の成立と展開
1. 逆コース以降の教育政策の動向
2. 教育裁判の登場と教育法学の成立
3. 教育法学批判の登場
第5章 教育基本法の改正
1. (旧)教育基本法の全面的な改正
2. 保守主義的な政策の促進
3. 新自由主義的な政策の促進
4. 現行の教育基本法の性格と解釈
PartⅡ 教育法学の基礎理論
第6章 教育を受ける権利
1. 公教育のジレンマと内外事項区分論
2. 学習権の概念
3. 教育条件整備の原理
4. 市民教育の位置付け
第7章 義務教育
1. 義務教育の意義
2. 義務教育の無償
3. 憲法解釈論と憲法政策論の区別
第8章 教育条件整備の制度論
1. 教育条件整備をめぐる問題の状況
2. ナショナル・ミニマム・スタンダードとは?
3. 国と地方公共団体の役割分担に関する制度構想
4. 制度改革の展開状況
第9章 教育財政の制度論
1. 教育財政をめぐる問題の状況
2. 公教育費の公費負担化の原則
3. 法定の教育条件整備基準による財政措置の統制
4. 財政移転法制の仕組み
5. 教育財政法制の展開
第10章 教育の自由(1)――教育権の所在論と教師の教育の自由
1. 国民の教育権説と国家の教育権説
2. 旭川学力テスト事件最高裁判決
3. 教師の教育の自由
第11章 教育の自由(2)――親の教育の自由
1. 親の教育の自由の特徴と根拠
2. 学校教育と親の拒否権
3. 親の学校選択の自由
4. 親の教育要求権と学校教育参加
5. 公教育の役割と教育の自由
第12章 「不当な支配」の禁止(1)――国の権限の限界
1. 「不当な支配」の禁止条項の意味と意義
2. 国による「不当な支配」の該当性の判断基準――学習指導要領の法的性質
3. 国の法令上の権限と学校制度的基準説
第13章 「不当な支配」の禁止(2)――教育委員会の権限の限界
1. 学校制度的基準説と教育委員会の権限
2. 「日の丸・君が代」裁判の下級審裁判例
3. 最高裁判例から見る下級審裁判例の問題点
4. 最高裁判例から考える教育委員会の権限
第14章 「不当な支配」の禁止(3)――学校内部における権限配分
1. 学校内部の組織改革
2. 学校制度的基準説と学校の内部関係
3. 「日の丸・君が代」裁判の下級審裁判例
4. 最高裁判例から見る学校内部における権限配分
PartⅢ 教育法学の視点から教育問題を考える
第15章 どのような場合に「不当な支配」の禁止条項が持ち出されるべきなのか?――朝鮮高校就学支援金不指定事件を考える
考察の対象
1. 「不当な支配」の禁止とは
2. 「不当な支配」の主体と客体
3. 行政の裁量?
4. 私立学校の自主性
5. 親の教育の自由
今後の課題
第16章 道徳教育の限界はどこなのか?――教育勅語問題を考える
考察の対象
1. 教育勅語の内容
2. 教育勅語体制
3. 顕教と密教
4. 国家の中立性
今後の課題
第17章 教科書は政府見解を伝達する道具なのか?――教科書検定制度改革を考える
考察の対象
1. 教科書検定制度の基本的な仕組み
2. 政府見解を反映させる仕組み
3. 国による教育内容への介入の限界
4. 教科書検定制度を通じた教育内容への介入の限界
5. 政府見解反映の仕組みの問題点
今後の課題
第18章 教育委員会制度にはどのような意義があるのか?――教育委員会制度改革を考える
考察の対象
1. 地方教育行政法の改正内容
2. 教育委員会制度の意義
3. 新しい教育委員会制度の運用のあり方
今後の課題
第19章 政治教育の仕組みはどうあるべきか?――18歳選挙権を考える(1)
考察の対象
1. 政治教育の意義
2. 教育の「政治的中立性」
3. 教師の教育の自由
今後の課題
第20章 高校生の政治活動はどの程度自由であるべきか?――18歳選挙権を考える(2)
考察の対象
1. 旧通知の見直し
2. 新通知の意味
3. 「政治的活動」
4. 学校による制約の根拠
5. 校長の包括的権能
今後の課題
第21章 子どもの憲法上の権利は、教師による教育評価をどのように限界付けるのか?――教師の教育の自由の限界を考える
考察の対象
1. 憲法上の権利への制約
2. 思想・良心・信仰の内容を基準にした教育評価の禁止
3. 思想・良心・信仰の内容を推知させる事実記載の禁止
4. 思想・良心・信仰に基づくとみなすべき外部的行為に対する評価の禁止
5. 教育的裁量と憲法上保護される行為を対象にした評価の限界
今後の課題
第22章 新型コロナ危機は、学校教育の仕組みにどのような問題を提起するものであったのか?――一斉休校後の学校再開を題材に考える
考察の対象
1. 学校再開後の課題
2. 文科省の指針の問題点
3. AEWGの提言
今後の課題
第23章 大学の自治とは、どのような考え方なのか?――改正学校教育法・国立大学法人法を考える
考察の対象
1. 改正内容と問題点
2. 学問の自由
3. 大学内部における自治
4. 大学の外部に対する自治
今後の課題
第24章 憲法を改正すれば教育は良くなるのか?――憲法改正による高等教育無償化論を考える
考察の対象
1. なぜ、憲法改正は不必要なのか?
2. 何のための無償化なのか?
3. 授業料の無償化だけで十分か?
4. 高等教育はエリートのためのものか?
5. 受験競争は当然か?
今後の課題
第1章 教育法学の特徴
1. 教育法の存在次元の区別
2. 教育法学の方法
3. 教育法の機能的三種別
第2章 大日本帝国憲法と国家主義的教育法制
1. 国家主義的な公教育の目的
2. 教育の勅令主義と中央集権的教育行政制度
3. 中央集権的な教育内容の統制
4. 教育財政法制
5. 複線型学校体系
第3章 日本国憲法と戦後教育改革法制
1. 教育を受ける権利と「人格の完成」
2. 教育権の独立と「不当な支配」の禁止
3. 戦後教育改革法制の基本原則
4. 単線型学校体系
第4章 教育法学の成立と展開
1. 逆コース以降の教育政策の動向
2. 教育裁判の登場と教育法学の成立
3. 教育法学批判の登場
第5章 教育基本法の改正
1. (旧)教育基本法の全面的な改正
2. 保守主義的な政策の促進
3. 新自由主義的な政策の促進
4. 現行の教育基本法の性格と解釈
PartⅡ 教育法学の基礎理論
第6章 教育を受ける権利
1. 公教育のジレンマと内外事項区分論
2. 学習権の概念
3. 教育条件整備の原理
4. 市民教育の位置付け
第7章 義務教育
1. 義務教育の意義
2. 義務教育の無償
3. 憲法解釈論と憲法政策論の区別
第8章 教育条件整備の制度論
1. 教育条件整備をめぐる問題の状況
2. ナショナル・ミニマム・スタンダードとは?
3. 国と地方公共団体の役割分担に関する制度構想
4. 制度改革の展開状況
第9章 教育財政の制度論
1. 教育財政をめぐる問題の状況
2. 公教育費の公費負担化の原則
3. 法定の教育条件整備基準による財政措置の統制
4. 財政移転法制の仕組み
5. 教育財政法制の展開
第10章 教育の自由(1)――教育権の所在論と教師の教育の自由
1. 国民の教育権説と国家の教育権説
2. 旭川学力テスト事件最高裁判決
3. 教師の教育の自由
第11章 教育の自由(2)――親の教育の自由
1. 親の教育の自由の特徴と根拠
2. 学校教育と親の拒否権
3. 親の学校選択の自由
4. 親の教育要求権と学校教育参加
5. 公教育の役割と教育の自由
第12章 「不当な支配」の禁止(1)――国の権限の限界
1. 「不当な支配」の禁止条項の意味と意義
2. 国による「不当な支配」の該当性の判断基準――学習指導要領の法的性質
3. 国の法令上の権限と学校制度的基準説
第13章 「不当な支配」の禁止(2)――教育委員会の権限の限界
1. 学校制度的基準説と教育委員会の権限
2. 「日の丸・君が代」裁判の下級審裁判例
3. 最高裁判例から見る下級審裁判例の問題点
4. 最高裁判例から考える教育委員会の権限
第14章 「不当な支配」の禁止(3)――学校内部における権限配分
1. 学校内部の組織改革
2. 学校制度的基準説と学校の内部関係
3. 「日の丸・君が代」裁判の下級審裁判例
4. 最高裁判例から見る学校内部における権限配分
PartⅢ 教育法学の視点から教育問題を考える
第15章 どのような場合に「不当な支配」の禁止条項が持ち出されるべきなのか?――朝鮮高校就学支援金不指定事件を考える
考察の対象
1. 「不当な支配」の禁止とは
2. 「不当な支配」の主体と客体
3. 行政の裁量?
4. 私立学校の自主性
5. 親の教育の自由
今後の課題
第16章 道徳教育の限界はどこなのか?――教育勅語問題を考える
考察の対象
1. 教育勅語の内容
2. 教育勅語体制
3. 顕教と密教
4. 国家の中立性
今後の課題
第17章 教科書は政府見解を伝達する道具なのか?――教科書検定制度改革を考える
考察の対象
1. 教科書検定制度の基本的な仕組み
2. 政府見解を反映させる仕組み
3. 国による教育内容への介入の限界
4. 教科書検定制度を通じた教育内容への介入の限界
5. 政府見解反映の仕組みの問題点
今後の課題
第18章 教育委員会制度にはどのような意義があるのか?――教育委員会制度改革を考える
考察の対象
1. 地方教育行政法の改正内容
2. 教育委員会制度の意義
3. 新しい教育委員会制度の運用のあり方
今後の課題
第19章 政治教育の仕組みはどうあるべきか?――18歳選挙権を考える(1)
考察の対象
1. 政治教育の意義
2. 教育の「政治的中立性」
3. 教師の教育の自由
今後の課題
第20章 高校生の政治活動はどの程度自由であるべきか?――18歳選挙権を考える(2)
考察の対象
1. 旧通知の見直し
2. 新通知の意味
3. 「政治的活動」
4. 学校による制約の根拠
5. 校長の包括的権能
今後の課題
第21章 子どもの憲法上の権利は、教師による教育評価をどのように限界付けるのか?――教師の教育の自由の限界を考える
考察の対象
1. 憲法上の権利への制約
2. 思想・良心・信仰の内容を基準にした教育評価の禁止
3. 思想・良心・信仰の内容を推知させる事実記載の禁止
4. 思想・良心・信仰に基づくとみなすべき外部的行為に対する評価の禁止
5. 教育的裁量と憲法上保護される行為を対象にした評価の限界
今後の課題
第22章 新型コロナ危機は、学校教育の仕組みにどのような問題を提起するものであったのか?――一斉休校後の学校再開を題材に考える
考察の対象
1. 学校再開後の課題
2. 文科省の指針の問題点
3. AEWGの提言
今後の課題
第23章 大学の自治とは、どのような考え方なのか?――改正学校教育法・国立大学法人法を考える
考察の対象
1. 改正内容と問題点
2. 学問の自由
3. 大学内部における自治
4. 大学の外部に対する自治
今後の課題
第24章 憲法を改正すれば教育は良くなるのか?――憲法改正による高等教育無償化論を考える
考察の対象
1. なぜ、憲法改正は不必要なのか?
2. 何のための無償化なのか?
3. 授業料の無償化だけで十分か?
4. 高等教育はエリートのためのものか?
5. 受験競争は当然か?
今後の課題
著者紹介
中川 律(なかがわ りつ)
1980年生まれ。埼玉大学教育学部准教授。
[主要著作]
中川律「教育法学における「原理の問題」」日本教育法学会年報50号(2020年)、中川律「国家の中立性概念の意味と意義 : 教育を題材に」『憲法問題』29号(2018年)、中川律「教育の無償化は憲法改正によって実現されるべきものなのか?」阪口正二郎・愛敬浩二・青井未帆『憲法改正をよく考える:Taking Constitution Seriously』(日本評論社 、2018年)、中川律「教師の教育の自由の射程:旭川学力テスト事件最高裁判決再読」阪口正二郎・江島晶子・只野雅人・今野健一編『憲法の思想と発展:浦田一郎先生古稀記念』(信山社、2017年)、中川律「教科書検定制度に関する考察」日本教育法学会年報44号(2015年)、中川律「教育制度の憲法論:2006年教育基本法の下での教育制度改革に関する考察」佐々木弘通・宍戸常寿編『現代社会と憲法学』(弘文堂、2015年)、中川律「教師の教育の自由」法学セミナー712号(2014年)など。