『世界文学アンソロジー
     ── いまからはじめる』
  【発問例】
 以下に、各作品を整理して理解し、あるいは深く読んで味わうための「問い」を、散文作品を中心にしめしてみました。もちろん、それぞれの問いは必ずしも一義的に答えが定まるものとはかぎりません。読書会や、授業でつかう場合など、参考にしてください。
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		李良枝(韓国/日本)
		「由煕」
		
			- 『由熙』の背景にあると考えられる、日本と韓国の間の「言葉」をめぐる歴史的な事象は何か。調べてまとめてみよう。
 
			- この小説は、なぜ「私」の視点をとって由熙について語るという形式をとるのだろうか。考えてみよう。
 
			- 「岩山の光景」(29.12)は作中でどのような機能を持つのか。まとめてみよう。
 
			- 由熙にとって、「日本語」とはどのようなものだと考えられるか。具体例を引きつつまとめてみよう。
 
			- 「ことばの杖」(36.16)とは結局何だろうか。まとめてみよう。
 
			- 「私」と叔母にとって由熙とはどのような存在だと考えられるか。まとめてみよう。
 
		
     
   
  
    
		サイイド・カシューア(イスラエル/アラブ)
		「ヘルツル真夜中に消える」
		
			- 作品の背景である、イスラエル/パレスチナをめぐる歴史的経緯を調べてみよう。
 
			- 作中でのアラブ人とユダヤ人は、どのような関係にあると考えられるか。まとめてみよう。
 
			- 作中での主人公の名前の呼ばれ方に着目し、その効果を考えてみよう。
 
			- 最初と最後の場面を比較し、そこに表れている感情がどのようなものか考えてみよう。
 
			- ヘルツルとノガのカップルは、その後どうなるか考えてみよう。
 
		
     
   
  
    
		ハンス・クリスチャン・アンデルセン(デンマーク)
		「影法師」
		
			- この作品中で起こる、不思議なこと、超常的なことをまとめてみよう。
 
			- 影法師と学者は、それぞれどんな特性を持っているだろうか。まとめてみよう。
 
			- 影法師と学者との関係はどのように変わっていくだろうか。順を追ってまとめてみよう。
 
		
     
   
  
    
		チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ(アメリカ)
		「なにかが首のまわりに」
		
			- 作中で出てくる人種的ステレオタイプをまとめてみよう。
 
			- 「彼が全然わかっていない」(94.14)とは何を意味しているだろうか。考えてみよう。
 
			- 主人公の「きみ」は他のマイノリティの人たちとどう違っているだろうか。
 
			- 「自分が泣いているのがわからなかった」(98.1)とあるが、泣いたのはなぜだろうか。考えてみよう。
 
			- 「きみ」にとっての「首に巻きついていたもの」とは何だったのだろうか。考えてみよう。
 
		
     
   
  
    
		ジェイムズ・ジョイス(アイルランド)
		「土くれ」
		
			- この物語の登場人物、およびその関係性を整理、推測してみよう。
 
			- この物語で、謎として残っている部分はどこだろうか。考えてみよう。
 
			- その「謎」の答えとして、可能性がありそうな説明を考えてみよう。
 
			- マライアの心情や視点と、その周囲の人々の心情や視点に、違う点はないだろうか。考えてみよう。
 
			- p. 119で、マライアはなぜゲームをやり直しさせられたのだろうか。考えてみよう。
 
		
      
      
     
   
  
    
		魯迅(中国)
		「狂人日記」
		
			- 「子を食べる」とは中国の伝統のなかで何を指しているのだろうか。考えてみよう。
 
			- 小説のまえがきには病人は「回復」し、「任官」したと書いてあるが、日記のあと何がおこったと考えられるだろうか。まとめてみよう。
 
		
     
   
  
    
		プレームチャンド(インド)
		「私の兄さん」
		
			- 作品が書かれた当時のインドの状況について調べてみよう。
 
			- 兄弟が勉強させられている内容や科目はなんだろうか。まとめてみよう。
 
			- なぜ、作品のなかで学校の勉強が大事とされているのか、考えてみよう。
 
			- 「兄さん」の立場で「私」のような弟が家族にいたらどうだろうか。考えてみよう。
 
		
     
   
  
    
		チヌア・アチェベ(ナイジェリア )
		「終わりの始まり」
		
			- ナイジェリアの言語/部族について調べてみよう。
 
			- ネネが「ラゴスの女学校の教師」(165.8)であることが、どうしてンナ・エメカの父オケケにとって大問題になるのだろうか。考えてみよう。
 
			- 自然の描写や自然現象をもちいた比喩が作品にどのような効果をあたえているのか、考えてみよう。
 
		
     
   
  
    
		イサーク・バーベリ(ロシア)
		「ズブルチ河を越えて/私の最初のガチョウ」
		
			- ロシア革命とその後の内戦について調べてみよう。
 
			- 「私の最初のガチョウ」の「最初のガチョウ」とは、どういう意味だろうか。考えてみよう。
 
			- なぜ「私」はガチョウを殺さなくてはならなかったのか、考えてみよう。
 
		
     
   
  
    
		フリオ・コルタサル(アルゼンチン)
		「グラフィティ」
		
			- 作品の舞台となっている街はどんな街なのか、考えてみよう。
 
			- 色彩表現に着目して読んでみよう。
 
			- お酒の種類が意味しているものについて、考えてみよう。
 
			- グラフィティに見いだされる「希望」(191.11)(195.7)という言葉は、何を表しているだろうか。まとめてみよう。
 
			- 「きみ」にとってグラフィティが持つ意味は、どのように変化しているだろうか。考えてみよう。
 
			- 「きみ」と呼びかけている語り手は誰なのか、考えてみよう。
 
		
      
      
     
   
  
    
		石牟礼道子(日本)
		「神々の村」
		
			- 水俣の風土について/水俣病について調べてみよう。
 
			- 「神々の村」で、人々が「チッソ」というとき、どんな思いがその言葉にこもっていると考えられるだろうか。 まとめてみよう。
 
		
      
      
     
   
  
    
		クリスタ・ヴォルフ(東ドイツ)
		「故障 ── ある日について、いくつかの報告」 
		
			- チェルノブイリ原発事故について調べてみよう。
 
			- 意識のない弟に送るメッセージが「放射線」であるとは、どういうことだろうか。考えてみよう。
 
			- この作品は一般に科学技術の負の側面(原発事故)と正の側面(弟を救う医療)を対比していると言われる。それについて自分の考えをまとめてみよう。
 
		
     
   
  
    
		コレット(フランス)
		「ジタネット」 
		
			- 現在のジタネットと、三~四年前のジタネットの間にはどのような違いがあるか。まとめてみよう。
 
			- 現在のジタネットにとって、リタはどのような存在なのか。考えてみよう。
 
		
     
   
  
    
		イタロ・カルヴィーノ(イタリア)
		「ある夫婦の冒険」 
		
			- 夫婦が同じ時間に起きていた頃に比べ、現在の夫婦の関係にはどのような違いがあるのか。まとめてみよう。
 
			- 夫のアルトゥーロはなぜ最初は自分の場所に横たわり、やがて妻の場所に身を移動させるのだろうか。考えてみよう。
 
			- 夫婦はそれぞれ相手がいない時に、どのようなことを考え、どのような行動をとっているか。まとめてみよう。
 
			- この小説では、語り手はなぜ夫婦の心理について、「ようだ」という推量表現をさしはさんでいるのだろうか。考えてみよう。
 
			- この夫婦にとって、何が「冒険」なのだろうか。考えてみよう。
 
		
     
   
  
    
		莫言(中国)
		「白い犬とブランコ」 
		
			- この作品の前提となっている、文化大革命などの歴史的背景について調べてみよう。
 
			- この作品にあらわれる、様々な因習的・差別的な考え方についてまとめ、考えてみよう。
 
			- 白い犬やコーリャン、ジーンズやナイフなどの存在は、作品の中でどのような象徴性を帯びているのだろうか。考えてみよう。
 
			- この作品のテーマとしてどんなことがあげられるか、考えてみよう。また、それは作品の構成や文体とどのように関わっているか、考えてみよう。
 
		
     
   
  
    
		アズィズ・ネスィン(トルコ)
		「神の恵みがありますように」 
		
			- ゼンゴの人物像をまとめてみよう。
 
			- ゼンゴの結婚初夜の犯罪について、その動機を考えてみよう。
 
			- 弁護士がゼンゴに、ゼンゴが弁護士に取った行動の意味をそれぞれ考えてみよう。
 
			- 物語を読み終わったあとで感じる、ゼンゴの人物像について議論してみよう。
 
		
     
   
  
    
		宮澤賢治(日本)
		「毒もみのすきな署長さん」 
		
			- この作品の舞台や登場人物を整理してみよう。
 
			- 署長が最後に笑った理由を考えてみよう。
 
			- 物語の結末でみなが「すっかり感服」したのはなぜか、考えてみよう。
 
			- この作品の登場人物を、ネスィンの「神の恵みがありますように」の登場人物たちと比較し、「悪」というテーマについて考えてみよう。
 
		
     
   
  
    
		ジュール・シュペルヴィエル(フランス)
		「沖合の少女」 
		
			- 語り手が知っていることと、少女が知っていることの間にはどんな差があるだろうか。考えてみよう。
 
			- 少女が過ごす日常の奇妙さはどんなところに感じられるだろうか。書きだしてみよう。
 
			- 少女はなぜ助けを求める叫びを発したのだろうか。考えてみよう。
 
			- 物語を再読したとき、最初に読んだときの印象とどのように違うだろうか。何が分かり、何が謎のままに残っているだろうか。話し合ってみよう。
 
		
     
   
  
    
		ガブリエル・ガルシア=マルケス(コロンビア)
		「世界でいちばん美しい溺れびと」 
		
			- 特に気になった表現(比喩や語彙など)を抜きだしてみよう。
 
			- この物語の文体やトーンからどのような印象を受けるか、考えてみよう。
 
			- 水死体がやってきたことで、村におこった変化をまとめてみよう。また、その変化の理由を考えてみよう。
 
			- 「名前」という要素が、この物語の中で果たしている役割を考えてみよう。
 
		
     
   
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