永井憲一(法政大学)・浅倉むつ子(早稲田大学)・安達和志(神奈川大学)・井田 良(慶応義塾大学)・柴田和史(法政大学)・広渡清吾(東京大学)・水島朝穂(早稲田大学) 編
1,700円 B6 1,520頁 978-4-385-15693-4(普通版)
4,000円 B5 978-4-385-15918-8(大きな活字版)
解説つき「読む六法」の決定版、待望の全面横組化。新六法独自の18の編構成ごとに、各法分野の概要や最新の立法動向を詳しく解説。基本条文・重要条文を精選し、学習上の必須法令、生活に密着した法令等を収録。憲法改正手続法・新教育基本法・犯罪収益移転防止法等を新収録。別冊付録「街の法律家ガイド」付き。
普通版 2007年10月15日 発行
大字版 2007年10月20日 発行
はしがき
本書の使い方
この一年の主な立法の動向
法令総目次
50音順法令一覧
見本ページ
別冊の目次と「はじめに」
普通版と大字版の比較(画像)
読者のみなさまへ(別冊中の誤記のお詫び)
●本書の使い方
本書は、はしがきに記したように、わかりやすくかつ広く利用されるよう編集されています。したがって、約束事の多い記載方法は努めて避けました。しかし、本書をより厳密に活用される場合は、以下に留意してお使いください。
(1) 本書の構成およぴ目次・索引・柱について
本書は、全体が18の編で構成されていますが、これらはさらに7つの柱で大区分されています。その区分は以下のとおりです。
?T 国の法構造
?U 市民生活の基本となる法
?V 市民の活動?@労働と経済
?W 市民の活動?A教育文化と福祉
?X 市民の活動?B環境・土地建物と情報
?Y 市民生活の安全
?Z 国際社会の法
大区分の中の編の配置、ならびに各編の収録法令については、巻末の「総目次」でご覧ください。また、法令名から直接調べる場合は、巻頭の五十音順の「法令索引」を参照してください。法令の正式名称のほか、略称・通称からも調べられるようになっています。なお、各頁欄外の柱には法令名(略称・通称)を記載しましたが、憲法・民法・商法/会社法・刑法・刑事訴訟法・民事訴訟法の6大法典については、編および章の名称も示しました。
(2) 解説について
各編の冒頭の解説には、それぞれの分野の概観と収録法令の位置づけが記述されています。文章中太字記載の法令が、その編の収録法令です。
(3) 収録法令の全録・抄録について
重要法令や基本法令はできるだけ全録としました。しかし、なるべく多くの法令を収録するため、抄録となっているものがあります。法令の題名の下に【抄】と表示されたものが抄録の法令です。
(4) 資料法令・参考法令について
本書には、現行法令のほか、過去の法令や、法案さらにそれ以前の段階のものも、資料法令として収録されています。資料法令には、一目でわかるよう、その条文全体にカスミ罫を冠してあります。また、収録法令の条文中、ある条項に関連する他の法令の条文を抜粋して、参考法令として掲載している場合があります。参考法令には、その条文全体に飾り罫を冠してあります。
(5) 公布日・施行日等の表示について
収録法令の公布日と施行日は、各法令の題名のあとに表示してあります。また、全録法令については、同時に改正経過を記載してあります。全録法令で改正経過の記載のないものは、その法令が改正されたことがないことを意味します。
(6)法文の表記について
横組化にあたり、法文中の条数・数値等の表記については、原文の漢数字を必要に応じて算用数字に置き換えました。また、カナ書きの法文については、そのまま平仮名書きに置き換えました。なお、資料法令として掲載している旧法令でカナ書きのものについては、原文のままといたしました。
(7)条の見出し・項の番号について
法令の各条には、本来の法文(官報などで公布された際の文章)に見出しが付されている場合と付されていない場合があります。法文原文の見出しは( )で囲んだ太字で、法文原文になく編集部が付した見出しは[ ]で囲んだ太字で示し、区別しました。また、条の中の各項の番号についても、法文原文で付されている場合と付されていない場合があります。いずれの場合も、第一項については番号を付さないのが一般的ですので無番号(国際法編には例外あり)ですが、第二項以下は、法文原文の項番号は2 3 4、編集部が付した項番号は?A ?B ?C、と区別して示しました。
なお、法令の改正により、たとえばある条の条文が丸ごと「削除」と表示される場合があります。この場合、抄録法令では原則として条文そのものを割愛しましたが、全録法令については、条の見出しも残して収載するようにしました。
(8) 法令の抄録方法について
法令の抄録の基準については、いちがいには言えませんが、それぞれ担当分野の編集委員が、本書の収容能力の制限の中で、主として学習上の便宜を考慮しながら行いました(たとえば「行政書士法」や「社会保険労務士法」では行政書士や社会保険労務士の国家試験の出題を参考にしました)。なお、抄録によってはずされた条文について、特に省略を示す注記はしてありません。条・項・号などの番号が飛んでいる場合は、そこに省略があることを意味しますし、掲載された条・項・号のあとに省略された条・項・号が存在する可能性もあることに留意してください。ただし、各条において、第一項のみ抄録する場合は、前記項番号の原則によらず、?@を付してあります。
また、各条・項・号においては、全文収載を原則としていますが、例外的に文章の一部を省略した場合もあります。この場合は〔前略〕〔中略〕〔下略〕などと表示しました。
なお、法令の中には、条・項・号の上に編・章・節・款・目の区分が行われている場合があります。これらに区分された条文をその区分ごとすべて省略する場合は、編・章については編名・章名のみ掲載し、節・款・目については節名・款名・目名も省略しました。したがって、節・款・目についても番号が飛んでいる場合、そこに省略があることを意味しますし、掲載された節・款・目のあとに省略された節・款・目が存在する可能性もあります。
以上により、抄録法令において、条文読みとりに際して誤解が生じる余地がないようにしてありますが、あらかじめ法令の題名のところで抄録か全録かを確認するようにしてください。
(9) 全録の範囲について
全録として収録された法令には、本則のすべての条文が収載されていますが、附則や別表その他これに類する付属的な条項については、省略ないし部分掲載になっている場合があります。その場合は、該当個所等に〔省略〕と表示しました。
(10) 附則の収載及び附則の抄表示について
収録法令中に収載された附則には、その法令が公布された時点の本法附則と、改正の時点の改正附則(収載にあたっては公布年月日と法律番号を付記してあります)の両方が存在しますが、いずれにおいても、附則を部分収載する場合、その法令の本則が全録のときは抄表示してありますが、その法令の本則自体が抄録のときは、抄表示は省いています。
(11) 条文中の注記について
条文の中に〔 〕で囲んだ小文字がありますが、これは本来の法文ではなく、読解のために編集上付したものです。抄録などで他所の記述の意味が誤解されないようにするための補足的な注記のほか、内容を理解するための説明的な注記もあります。
(12) 日本国憲法の参照法令について
本書においては、「日本国憲法」のみ、各条ごとに関連事項を示し、その下に参照すべき法令の略称、条・項・号番号などを示してあります。法令名の付いていないものは、憲法の条・項・号です。憲法の各条の中をさらに分けて、●1、●2、のように項ごとに、あるいは《1》《2》のように号ごとに示す場合もあります。
(13) 収録法令の現在日と改正織り込みについて
本書に収録した法令は、2007(平成19)年9月1日現在公布された法令にもとづいています。改正については、その時点で施行期日が2008(平成20)年4月1日を超える(4月2日以降となる)ものについては原則として織り込んでいません。ただし、平成18年通常国会で成立した改正法の施行期日について、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する、とされた改正については、前記の日より後の施行となる可能性もありますが、織り込んであります(公布後1年内に施行とされるものについても同様)。
新法については、施行が前記の日より先となるものであっても、便益・重要性等の観点から収録したものもあります。
(14) 巻末付録について
1 さまざまな法律用語や概念が、どの法令のどこに載っているのか、どこに関係しているのか、一覧できる便利な「事項索引」を作成しました。見出し語の配列は基本的には50音順ですが、同一概念に関連する用語が一覧できるように、頭の漢字が同じものは一か所に集める特殊な方式を併用しています。
2 市民の日常生活に関係の深い、戸籍関係の諸届の様式や、不動産登記の書式を、架空の人物を想定して一定のシナリオに基づき、記入例とともに示しました。夫婦財産契約の例示や親等図も活用いただければ幸いです。
3 市民の社会生活に関係の深い、手形や小切手の書式と記入例(これらも 2 のシナリオに合わせてあります)のほか、銀行取引約定書・当座勘定規定の雛形も示しました。
4 市民が法律と直接向き合う機会は、裁判において最も顕著に見られます。民事・刑事の訴訟のしくみを、訴状( 2 のシナリオに合わせました)・起訴状の例とともに、分かりやすく理解できるようにしました。
5 法学の学習上必要と思われる最新の統計を、典拠を明らかにして示しました。
6 中央省庁の再編で国の行政組織が大きく変わっています。2007年7月1日現在の機構図を掲載しました。
7 憲法調査会などでの議論が注目されています。制定過程が一目でわかる小年表を掲載してあります。
8 社会保障関係の法令は、比較的紙幅を必要とするものが多く、また現実に保険関係等の給付の内容は、下位の法令にまたなければ十分に明らかになりません。これらすべてを、法令の条文を示して明らかにすることは、本書のような小冊子ではとうてい不可能です。そこで読者の便宜をはかって、2007年7月1日現在のこれら給付の内容をダイジェストしました。
●この一年の主な立法の動向
憲法編では、憲法96条に基づく憲法改正国民投票の手続を定めた日本国憲法の改正手続に関する法律が制定された。審議過程では多くの議論が積み残され、法施行までの3年間に検討されるべき点につき、18項目もの異例な附帯決議がなされた。また、防衛庁が防衛省に移行する法改正がなされ、自衛隊の海外派遣任務を「本来任務」に格上げする自衛隊法の改正がなされた。
行政法編では、いっそうの地方分権改革を進めるため、税財源の移譲を含めた地方分権改革推進法が成立した。
民法編では、信託制度を抜本的に拡大、整備することを目的とする新法としての信託法が制定され、ビジネスとしての信託制度の発展が期待されている。社会問題となっている消費者金融問題に対処すべく、貸金業法、出資法、利息制限法が改正され、書面の交付義務の強化、過剰貸付けの禁止、みなし弁済制度の廃止、いわゆるグレーゾーン金利の撤廃等の内容が盛り込まれた。明治32年の公布以降、文語体の形式を維持してきた遺失物法は、社会的状況の変化に対応するため、現代語化・全部改正がなされた。
商法編では、昨年改正が行われた金融商品取引法が、本年度より施行されることとなった。
労働法編では、本年度通常国会で上程されていた労働契約法・労働基準法改正は成立せず継続審議となった。そのほか、短時間労働被保険者の被保険者区分を一般被保険者に一本化する雇用保険法の改正、募集・採用に関する年齢制限の禁止を事業主の法的義務とする雇用対策法の改正、およびパートタイム労働者に対する差別を禁止するパート労働法の改正がなされた。
教育・文化法編では、教育基本法の全部改正がなされた。また、本法の改正を受け、また教育再生会議の報告等を踏まえた、学校種別ごとの教育目的・目標の改正、副校長・主幹教諭等の新設を含む学校教育法の改正、教員免許更新制の導入等を含む教育職員免許法の改正、文部科学大臣に教育委員会に対する是正・改善指示権を認める地方教育行政法の改正等が行われた。
健康・医事法編では、感染症予防・医療法の改正が行われ、疾病の追加や病原体の分類の見直し等および結核予防法の規定の統合が行われた。
社会保障法編では、本年度通常国会で議論の中心となった年金保険問題に端を発し、社会保険庁の廃止・年金公法人の設立、年金未払いの救済制度としての年金時効特例法が成立し、これに伴う厚生年金法、国民年金法の改正が行われた。
土地・建物法編では、住宅品質確保法により新設された工事請負人等の瑕疵担保責任の特例の履行を確保することを目的とする特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律が制定された。
刑法編では、刑法において、自動車運転による死傷事件を自動車運転過失死傷罰として処罰する新設規定が置かれ、従来の業務上過失致死傷罪よりも重罰化されることとなった。また、マネーロンダリング・テロ資金対策として犯罪収益移転防止法が制定され、疑わしい取引に関する情報の集約・提供が義務づけられることとなった。
刑事訴訟法編では、犯罪被害者が証人や被告人に質問したり、意見を述べることを可能とする被害者参加の制度が導入されることとなった。また、犯罪被害者保護法の改正により、刑事裁判の有罪判決の成果を利用して被害者側が損害賠償を受ける制度が新設された。
〔付記〕
本書は創刊以来、解説・法令の掲載にあたっては縦組みを基調としていたが、市民向け六法としての機能性を重視し、よりなじみやすく読みやすい紙面を追及するため、この2008年版より、横組みを採用することとした。
編 者
2007年9月
読者のみなさまへ(別冊中の誤記のお詫び)
『三省堂 新六法 2008(平成20年版)』の「別冊」中で
一部に誤記がありましたので、ここに訂正させていただきます。
読者のみなさまに深くお詫び申し上げます。
訂正箇所は下記のPDFファイルの赤下線部分です。
→PDF(別冊 P14 修正版)