浜田道代 監修
定価 2,640円(本体 2,400円+税 10%)
A5判 656頁 978-4-385-15952-2
条文が複雑な「会社法」を、画期的に読みやすくレイアウトした会社法関連法令集。カッコ書き部分に色アミをかけることで、文章構造が一目瞭然に。さらに、「引用条文要旨」を注記することで、孫引きの面倒を省いた。会社法・会社法整備法・会社法施行令・会社法施行規則・会社計算規則・電子公告規則を収録。2色刷。
2017年5月5日 発行
はしがき
目 次
監修者紹介
本文見本ページ
「会社法」の条文は、読みにくい。
21世紀の初頭、「商法第2編 会社」は毎年のように改正された。谷間に建てられた旧式の木造旅館が、改築や増築を重ね、別館も建てて、旺盛な需要に応えたようなものである。廊下は迷路のようになり、慣れない者は思わぬ段差につまづく。そこで、2005年に、会社法制の全面的な建替えが行われた。編・章・節・款などが、現代風の全体設計に沿って合理的に配置され、使い勝手が良くなった。条文も、ひらがな口語文ですっきり表現されており、日本語として読みにくいわけでは決してない。
それにもかかわらず、「会社法」の条文は分量が多いうえに、読みにくい。理由の一。条文中に引用条文が多く登場する。引用元を探して読んでいるうちに、当初は何を調べていたのかさえ忘れてしまう。理由の二。括弧書きが多い。長々しい括弧書きの中にさらに括弧書きがあったりすると、本文がどこへ続くのかさえ分からなくなってしまう。
「会社法」の基調は、規制緩和である。規制緩和は、規制を増やす。自由な空間を広げても弊害が生じないようにするには、複雑で精緻で膨大な規制が必要になる。「会社法」条文の分量の多さと読みにくさは、読み手が耐えるほかない。
しかし、「会社法」を読みやすくするために、何らかのお手伝いはできるのではないか。これが、デイリー六法の編修委員を長年務めている私の思いである。
デイリー六法の「会社法」では、条文中の引用条文全ての要旨を、〔 〕(亀甲括弧書き)で表記している。この工夫は、全て本書に活かされている。
括弧書きの読みにくさは、括弧書き部分をマーカーで塗りつぶせば半減するということを、関俊彦東北大学名誉教授がデイリー六法の編修会議でつとに指摘されていた。本書は、会社法のみを切り出して2色刷に踏み切ることで、括弧書き部分にマーカーの代わりとなる「地アミかけ」ができた。引用条文要旨の色刷りも可能となった。
本書は、大判化と横組みにも踏み切った。その読みやすさを実感されたい。
このように本書は、会社法制のみを切り出して出版することで、格段の読みやすさを実現できた。もっとも、デイリー六法に盛り込んだ「定義条文」の工夫は、今回は取り入れることができなかった。「会社法」のある条文中のある用語が、他の条文で定義されているか否かの判別については、引き続き、デイリー六法中の「会社法」を参照されたい。
この「日本一読みやすい会社六法」が多くの方々に利用されることを期待している。
@ 会社法[参照条文・引用条文要旨つき]
A 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律[引用条文要旨つき]
B 会社法施行令
C 会社法施行規則
D 会社計算規則
E 電子公告規則
浜田 道代(はまだ みちよ)
1972年 名古屋大学大学院法学研究科(修士課程)修了
1986年 ハーバードロースクール法学修士(LL.M)取得
1972年〜 名古屋大学 法学部助手、助教授を経て、法学部教授
1999年 名古屋大学大学院法学研究科教授
2008年 名古屋大学法科大学院長
2009年 公正取引委員会委員(2014年まで)
名古屋大学名誉教授
<代表著作物等>
「株式会社という仕組みは、どこから来て、どこへ行くのか」山形大学法制論叢66・67合併号(2017年)
「日本の競争法政策の制度構造と変遷〔上〕〔下〕」商事法務2053号・2054号(2014年)
「新会社法の下における基準日の運用問題〔上〕〔下〕」商事法務1772号・1773号(2006年)
『日本会社法の歴史的展開(北澤正啓古稀祝賀論文集)』編著(商事法務研究会、1999年)
『アメリカ閉領会社法』商事法務研究会(1974年)
デイリー六法の創刊時(1991年)から、会社法・商法担当の編修委員を務めてきている。