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小学校にオンライン教育がやってきた!


小学校にオンライン教育がやってきた!

【近日刊行】

上松恵理子 著

1,200円 B6判 144頁 978-4-385-36438-4

2021年1月14日 販売会社搬入予定


コミュニケーションの新たな回路を開き、"学びを止めない" オンライン教育のスタイルを知る。
Withコロナの時代、海外事例からも学ぶ待望の入門書! 全4章、「オンライン教育 Q&A」・「各教科でオンラインにトライするアイデア」・「簡略用語集」付き。

  はじめに   おわりに
  著者紹介
  本文見本ページ(PDF)



はじめに

 この本は、「小学校でオンライン教育をするというのはどういうことなのだろう」、「いつもの授業でオンライン教育をプラスする方法はどのようなもので、どういった効果があるのだろう」、そして「学校にICTを導入するとどのようなことが起きるのだろう」という疑問に答えるものです。

 この本で扱うオンライン教育の定義とは、インターネットを使い、学校でも家でもどこでも授業を受けることができるような教育です。教育の主体は学習者です。学習者の理解を促すためには、これまでの授業の一部にオンライン授業を導入することが今の時代に必要だからです。けれども授業の全てをオンラインで行わなければならないということではありません。

 海外ではすでにICTの活用が進み、インターネットを使った調べ学習の宿題は、先進国では日本と比較にならないほど行われています。また宿題の提出もインターネットを介してクラウド上で行われています。そういったところでは突然の休校ということになってもオンラインで学習の継続が可能なのです。

 小学校1年生で学校からID番号をもらい、授業で毎日インターネットにアクセスし、メールの送受信の方法や書き方などを授業で学ぶ国もあります。国によっては義務教育が日本よりも1年早くスタートするため、小学校1年生は日本の幼稚園年長さんの年齢にあたるということになります。そのような低年齢からICT化された教育環境にいるのが先進国の現実です。

 未来の情報化された社会に対応できる力を醸成することが教育にも求められ、教育内容や方法を更新させ実践されている国々があります。そういった国々の教育内容の変化や進化には目覚ましいものがあります。それは教育が子どもたちの未来を担うものであるという考えからです。この本には海外事例をいくつか載せてあります。ぜひ参考にして頂ければと思います。

 また、「インターネットが使える、パソコンが得意、いつもオンラインで色々なことをしている=オンライン教育ができる」ではありません。ですから、学校教育の現場にオンライン教育が入る時には、本書の事例は参考になると思います。そして学校関係者だけでなく家庭で学習者を支える保護者の方々にも読んで頂きたいです。2020年、学校も新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威で休校になりましたが、日本の公立小学校ではわずか5%程度しかオンライン教育がされていなかったという報道もありました。

 さらに、小学校の先生が紙のプリントを一人一人に配布するために家庭訪問をする事例があったそうです。学校に登校したら、学習プリントを渡されただけだったという事例もあったそうですが、保護者の方はどう思われたでしょうか?今どきメールもありますし、スマートフォンからウエブサイトも見ることができる時代です。学習プリントを紙で学習者に配る以外の方法が他に無かったわけではありません。

 もちろん紙を否定するつもりはありません。どちらかではなく、利点を理解しマルチで併用していくことが大事です。グーテンベルグが活版印刷機を発明後、人々の教養は高まり、情報が伝達され保存されたという文化は素晴らしいものでした。また紙は長く保存するにもよいものでした。授業で紙のノートを使ってそれをポートフォリオにするという古典的な海外の事例もたくさんみてきました。長期保存という観点からみると読み取り機が必要ないという点では優れています。しかし、紙は紛失の懸念もありますからオンラインとベストマッチで使うということはリスク軽減になります。オンラインでやりとりすることは学習者がいつでもどこでも学習しやすい環境にいるだけでなく、教師にも保護者にもメリットがあります。どんなメリットがあるのか、これまでのやり方よりも効果的で簡単な方法がわかるように、この本を編んでみました。

 コンピュータが発明され、その後、インターネットに接続されるようになった当時、素晴らしい可能性があることを研究者が唱えていました。それが現実となったのです。世界に繋がるツールがあるのに使わないのはもったいないことです。さあ、オンライン教育の扉を開きましょう。


著者




おわりに

 家電量販店に久しぶりに行くと色々なものが進化していてびっくりすることがあります。

 IT環境の進化は著しいものがあると同時に、すでにオンライン教育が当たり前になっている教育現場ではその進化も著しいものがあります。

 しかし、オンラインを使えばみるみる成績があがるわけではありません。直接対面の方がよいというケースがないわけではありません。繰り返し述べますが教育の主体は学習者で、最適化されたベストマッチな方法を時代に合わせて模索していくことが、今では可能な時代となっているということです。

 社会に出た時に遭遇する情報はオンラインがベースになっていくことは間違いありません。知識の取得もオンラインで情報を集め、それを精査し、使うということが当たり前になっていきます。また2.2で述べたように、時間表通りにリアルタイムで授業を行うケースと、教師がビデオをアップロードするだけ、あるいは、単に宿題をメールで送るだけという場合でも、ICT教育が進んでいる地域であっても、オンライン教育によるやり方によって学習格差が起こりかねません。

 学校によってはオンライン授業と言っても色々なスタイルがあります。ZoomやTeamsを使った朝の会を行う学校、YouTube Liveで配信する学校、オンタイムではなくオンデマンドでいつでも何回でも視聴することができる学校、授業動画を撮影して配信するだけの学校など色々です。朝の会からずうっと1日中、オンタイムで授業をしているところもあります。

 休校になっても、毎朝子どもたちとネット上で対面でき、双方向での授業ができることを学校の現場で取り組まないと、保護者や子どもたちに、なぜ使わないのかという説明責任が生じる時代に入ってきたのです。

 海外の先進国では学校や自治体が1人1台のパソコンを配るだけでなく、自治体がネット接続料も支払うという所もあります。オーストラリアのように人口密度が低く遠隔教育が必須なところではオンライン授業の普及がそもそもあり、学校でICTを日常的に使っているからこそ、緊急時にすぐに切り替えることが可能だったのです。

 自治体だけでなく学校も家庭もそれぞれ災害に備える意味合いも含めて、学習者がいかに学校でも家でもICTを使うか、工夫できることは進めていかなければならないでしょう。残念ながら日本では新型コロナウイルスの第1波の休校の際、ほとんどの公立小学校ではまだオンライン教育に舵を切っていませんでしたが、オンライン教育は新しい教育理念に基づいていることを理解して進めて欲しいと思います。

 海外では21世紀型スキルはもう古いと言われています。考えてみるとわかりますが、2000年からはもう20年たっています。その当時、スマートフォンもありませんでした。それがタブレット端末を使って授業をするという時代になってきたのです。Education 2030では、時代は「生きる力」ではなく「生き延びる力」が求められています。災害やウイルスの脅威にさらされて生きていく子どもたちの未来のためにオンライン教育をやらないという選択肢はないでしょう。これからの日本社会を担っていく子どもたちには、情報社会にふさわしいスキルを身につけることができると考えています。

 私がMOOCの調査を始めた10年ほど前から、授業の前にあらかじめ学生に視聴してもらう反転授業がカーネギーメロン大学で行われていました。また、ハーバード大学に訪れたところ、9割の教師がプリント類、中には授業の動画等を大学のクラウドに上げていて、IDとパスワードがあればアクセスできました。もちろん中にはMOOCのように一般の人でも自由に視聴できるオンライン講座もあります。10年前は、1割弱のハーバード大学の教師がオンラインで自分の授業を公開することに難色を示しているようだ、と学生たちが話をしていました。オンライン教育に前向きでなかった教師も今ではもう全てがオンライン授業の対応ができるようになりました。

 小学校の教室からいろいろな教材をダウンロードしたり動画にアクセスしたりと、インタラクティブなやりとりができるということはこれから普通のことになってくるでしょう。

 また、情報を発信する際の制約などに関して、または、教師や学習者が著作物に対しての知識を培う情報リテラシーのカリキュラムを導入する必要もあるでしょう。教材はどんどん進化し更新することが可能なテキスト特性があります。コミュニケ−ションの新たな回路を開いていくのがオンライン教育ですので、その在り方を意識することで、新しい教育的視座から活用されるべきものだと考えます。

 新型コロナウイルス対策でわかるように、まだまだ躊躇していたところも方向転換の舵を取る時期にいよいよなってきました。そう、小学校にもオンライン教育がやってきたのです。  そこに向かうプロセスに時間的余裕があった国と違い、一気に行くのは大変かもしれませんが、時代の流れはオンライン教育ありきで着々と進んでいるのです。この本がそういった皆様のお役に立つことができましたら幸いです。


 最後に三省堂の飛鳥様、出版にこぎつけていただき、また、教育における一番の喫緊の課題について取り上げて頂き、ありがとうございました。


2020年12月

上松恵理子



著者紹介

上松 恵理子(うえまつ えりこ)

博士(教育学)。新潟大学大学院人文科学研究科情報文化専攻修士課程修了、新潟大学大学院現代社会文化研究科人間形成文化論専攻博士後期課程修了。
現在、武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、早稲田大学招聘研究員、国際大学GLOCOM客員研究員、明治大学兼任講師、東洋大学非常勤講師。
「教育における情報通信(ICT)の利活用促進をめざす議員連盟(超党派)」有識者アドバイザー。
総務省「プログラミング教育事業推進会議」委員を歴任した。




本文見本ページ

*全てPDFファイルです



 

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