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鷲巣月美 編著

1,500円 四六 176頁 978-4-385-35841-X (品切)

ペット大国ニッポン!いま3割の家庭でペットが飼われ、高齢化や成人病・死別の悲しみなどの問題が浮上してきている。本書ではペットの病気・死の現代事情を、飼い主のこころのケアを含めて考える。ペット先進国、欧米事情も紹介。

1998年10月 5日 発行
2005年 9月15日 〈新版〉を発行


●『ペットの死、その時あなたは』

《自著自賛 小社PR誌 ぶっくれっと No.129》

鷲巣月美

日本において、広く一般家庭で犬がペットとして飼育されるようになったのは、昭和四十年代後半、人々の生活に経済的なゆとりが生まれ、多くの人々が中流意識を持つようになった頃のことです。番犬としてではなく、家族の一員として迎え入れられた犬達は家の外の犬小屋ではなく、家族と同じ屋根の下で生活するようになってきました。動物達は私達と寝起きを共にし、外出から戻ればいつもにこにこ顔で迎えてくれ、誰にも言えないことも文句を言わず黙って聞いてくれ、寂しい時や悲しい時には常に傍らに寄り添っていてくれます。ある人にとってはたった一人の家族であり、周囲のだれよりも大切な存在となっていることもあります。現在、動物の寿命は確実に長くなり、一頭の動物と共に暮らせる時間が以前よりもずっと長くなりました。その分、絆も強くなり、動物達は益々われわれにとって身近な存在となり、当然、これらの動物を失った時、深い悲しみを経験する人々も多くなったと考えられます。

ペット・ロスとい言葉をどこかで耳にされたことがありますか?ペット・ロスは直訳すればペットを失うということなのですが、実際には愛する動物を失った飼い主の悲しみを表現する言葉として便われています。最愛のペットを亡くした飼い主の中には、こんなに悲しいのは自分だけではないか、こんなにいつまでも悲しみを引きずっている自分は異常なのではないかと思ってしまう人がたくさんいます。また、一般社会の受けとめ方として、「たかがペットが死んだくらいで」という風潮がまだまだ根強く残っています。周囲の人々の心ない一言でひどく傷ついている人がいることも事実です。何年間も共に暮らした動物が亡くなれば、悲しいのは当たり前であり、自分の親が亡くなつた時よりもずっと悲しいという人もたくさんいます。

本書は、

  • 愛する動物を失った時に経験する可能性のある心や体の変化
  • 動物の死後、後悔しないための動物医療の受け方
  • 動物との生き別れがなぜ起こるのか
  • ペット・ロスに対する取り組み
  • 愛する動物を失った人々の手記
を軸に構成されています。

本書には、動物を亡くした経験のある方はもちろんですが、現在、健康な動物と共に生活している方にも参考になる事がたくさん書かれています。愛する動物を亡くした時に、心や体にどのような変化が起きるのかを知っておくことはとても大切です。また、飼い主として、動物が病気になった時、さらに最悪の事態が起きた時どのように対処したらよいのかは知っておくべきでしょう。本書の動物医療に関する章では、ターミナルケアーや安楽死についても分かりやすく説明されており、愛する動物の最後をどのように看取るのかを考える時、大きな助けとなります。

動物を失った方々の手記を集めた章には様々な形の別れと思いがつづられています。この章は、動物と暮らしたことがない人、「たかがペットが死んだくらいで」と言ってしまいそうな人に、動物と共に暮らすということの意味や素晴らしさを理解して頂くための手がかりになると思います。

動物との別れは動物の死によってもたらされるだけではありません。「生き別れに見るペット・ロス」の章では、一九九五年一月十七日に発生した兵庫県南部地震における動物達との別れも含め、動物と共に暮らすことができなくなる様々な背景について考えていきます。

核家族、単家族人口の増加にともない、今後益々動物と共に暮らす人々の数は増えることでしょう。私たちが一緒に暮らす動物達の寿命は、多くの場合、人間の寿命よりもかなり短いため、動物と暮らし始めた人は必ずいつか「別れ」を経験します。本書は、その時、どうすれば悔いのない最後を迎えることができるのか、そして残された自分にどのようなことが起きるのかを的確に伝える一冊であると信じています。

(わしず・つきみ 日本獣医畜産大学講師)

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