解説 教育六法 2000
平成12年版

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教育六法編修委員会 編

編修委員

姉崎洋一・荒牧重人・小川正人・金子征史・喜多明人・戸波江二・広沢 明・吉岡直子

2,500円 B6 1,120頁 978-4-385-15709-X

学習・実務に直結した教育六法の最新版。本年版は、編構成を大幅改訂して紙面刷新。基本法令に最新の判例・行政実例・「あらまし」を掲載し、法令の概要・制定背景等を分かりやすく解説。学校教育法、学校教育法施行規則などの2000年1月までの改正を織り込み、研究交流促進法、中教審答申、大学審答申、新学習指導要領、主要教育判例など新収録。教育法用語・年表も充実。追録贈呈(7月)。

2000年4月20日 発行


●は し が き

 この六法をご活用いただく方々へ

 日本の教育界はいま、子どもをとりまく深刻な状況あるいは21世紀にむけた教育改革・教育再編成のなかで、まさしく激変期を迎えております。その評価は、人びとのおかれている位置や立場によって異なり、また教育をどのように変えていくのかについても違いがあるでしょう。しかし、どのような見地においても、共通の土俵を持たなければ、建設的な対話や改革の推進へとは進みません。

 日本は、「教育における法律主義」の立場をとっています。どのような教育改革案や教育政策も、さまざまな教育関係法規に依拠して実施に移されます。その際には、憲法・教育基本法、子どもの権利条約といった教育政策・行政を方向づけている基本的な法規範との整合性も問われるでしょう。こんにちの教育の有り様がひとつひとつ法とのかかわりで問われています。このことは、教育界の多くの人びとが教育法制への理解と関心を持つ所以のひとつであると思います。

 本書は、このような教育界のニーズを受けとめて、教育およびそれと関連する文化、福祉分野を含めて数多くの法令・資料の中から、学習、研究、実務などに欠かせない重要な法令や資料を選び出し、体系的に配列、集成した教育六法です。教育法、教育制度、教育行政、学校経営などを学び研究する学生、研究者、とくに教員志望の学生、学校や福祉施設等の教職員、教育委員会など行政の実務家、教育裁判にとりくむ裁判官や弁護士その他司法関係者、さらに教育法を学ぼうとしている市民の方々に広くご活用いただけることを願っております。

 本書の特徴と活用について

 この六法は、大きく二つの特徴を持っています。

 一つは、1971年創刊以来の本書の伝統として、教育法律についての「複眼的な視点」からの法律学習、条文理解に役立ててほしい、という基本的な編修方針です。故・有倉遼吉編修代表が書き記した「はしがき」(本書巻末に所収)にもあるとおり、法律の具体化には解釈が必要です。現実には行政実例や通達の形をとる行政解釈が第一次的に通用する解釈になっていますが、そのほか、法的には判例を通じての裁判所の解釈(=司法解釈)が重要ですし、また、教育法学界の研究者などを中心とした国民的解釈(=教育法的解釈)があります。前述の「はしがき」には、教育法的解釈は、「それが正しいものであるとしても、直ちに通用するものではない。しかし、それゆえに正しい解釈の探求を断念することは、国民の中の教育とその法を研究する者」などの「とるべき態度ではない」としています。

 本書は、主要法令の条文ごとに、参照条文、行政実例・通達、判例を掲げ、さらに平易で簡潔な解説をつけています。それは、上記のような創刊以来の趣旨から、本書の読者が、行政実例や通達を踏まえつつも、「法規の正しい解釈を形成するために」司法解釈としての判例や教育法的解釈としての解説を大いに活用してもらいたい、という願いからです。

 二つめの特徴は、教育六法に収めるべき法規を広げ、国内法規を中心に置きつつも、教育に関連する条約、勧告、宣言などの国際法規および条例などの自治立法も対象としました。国際化がいわれながら、これまで日本の教育行政あるいは裁判所は、国際法規範を充分に反映させることが不充分であると、たびたび指摘されてきました。それは、国内法規中心の六法主義の影響を受けてきたこともあると考えられます。私たちは、そのような問題点を踏まえて、21世紀の新しい教育六法のあり方として、国内で効力を持つ国際法規を含めて教育法を構成し、解釈・運用していくことができるよう体系化に取り組みました。本書の「教育基本編」や「資料編」の構成はそのような編修方針を反映させたものです。

 また、地方分権化一括法の制定などを契機として、今後は条例など自治立法としての教育法の形成がいっそう望まれることを視野に入れ、「教育関連法編」に、注目すべき教育関連の自治立法も収録しました。

 そのほか、教育法制の多面的な学習と理解の促進のために、「資料編」を充実させ、教育政策にかかわる資料、主要教育判例一覧・判決文、統計、近代教育法制史年表、大学等取得資格一覧などを収録し、巻末には139項目にわたる「教育法用語事典」を入れました。

 なお、本書の編修は、2000年版より新体制に移行しました。これまで約30年近く本書の編纂にご尽力いただいた、故・有倉遼吉編修代表をはじめ、新井隆一、伊ヶ崎暁生、浦田賢治、神田修、島田修一、永井憲一、中山和久、山崎眞秀の各編修委員の方々のご努力とご意志を受け継ぎつつ、21世紀の教育法学の発展の基礎となるような六法の編修に努めていきたいと考えております。

 本年度版について

 2000年度版では、編集委員の総入れ替えにともない、1999年度版までの成果を踏まえつつ、編構成および収録法規・資料を全面的に見直し、解説等も全面改訂しました。国際面では、子どもの権利条約、国際人権規約(社会権規約、自由権規約)を三段組とし、参照条文・判例・委員会の意見や勧告・解説を付しました。また、前年度版刊行以降に改正された、学校教育法、同法施行令、同法施行規則、地方教育行政法、同法施行令など、2000年一月までの最新の改正条文等、280件に及ぶ改正を織り込みました。新たに法令として、情報公開法、男女共同参画社会基本法、児童買春処罰法、川西市子どもの人権オンブズパーソン条例、箕面市子ども条例などを数多く収録しました。さらに、資料として、国連障害者標準規則、リャド・ガイドライン、国連・人権教育の10年、主要教育判例などを多数収録し、いっそうの充実を図りました。また、判例・行政実例索引も作成し、活用しやすくしました。

 今年度版は、編修の新体制への移行、全面的な改訂作業のほか、学校教育法施行令・施行規則など4月1日施行の重要な法令改正の官報掲載が遅れたこともあり、刊行が例年より二か月あまり遅れたことを読者の方々にお詫び申し上げます。引き続き読者の方々のご理解をいただき、本六法のご活用を願うとともに、本六法をより充実したものにするためにご意見やご要望などをお寄せいただければ幸いです。

 2000年2月

解説教育六法編修委員会

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