憲法問題12
2001

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全国憲法研究会 編

2,600円 A5 192頁 978-4-385-41521-X 品切

全国憲法研究会の機関誌第12号。2000年度の研究会報告と憲法記念講演会を収録。転換期の憲法状況を全体テーマに、通信傍受法、国旗国歌法などの問題点について論じる。

2001年 5月 3日 発行


【目  次】

特集 転換期の憲法状況

〈第一部〉転換期の憲法状況(一)

一九九九年立法動向と憲法構造の変容――試論的考察…右崎 正博(獨協大学)
内閣・国会の制度改革と日本国憲法…吉田栄司(関西大学)
通信傍受(盗聴)法の成立と「監視国家」…倉持孝司(名古屋経済大学)
「愛国心」・「国旗・国歌」と憲法学…西原博史(早稲田大学)
  春季研究集会シンポジウムのまとめ

〈第二部〉転換期の憲法状況(二)自由・安全・自治を通して

「自由・安全・自治」で読み解く憲法構造の転換と国際的文脈…森 英樹(名古屋大学)
労働における規制と自由…北川善英(横浜国立大学)
「安全」の専制…岡本篤尚(広島大学)
男女共同参画社会基本法の成立にみる自治の現在…武田万里子(金城学院大学)
  秋季研究総会シンポジウムのまとめ

2000年憲法記念講演会

日本国憲法は平和を創れるか…弓削達
世紀をまたぐ憲法の思想」…芹沢斉(青山学院大学)
介護保険――必要とされる法的課題の検討と解決…橋本宏子

全国憲法研究会の活動の記録――2000年
憲法問題の動き――2000年
編集後記


【編集後記】

元山健(東邦大学)

 もうかなり前のことである。父に古稀の祝いを尋ねたら、「自分の守り本尊のお不動様の仏像が欲しい」という。子供たちには仏教関係者はいない。しかたなく私が、奈良に長く住んでいたという、ただその理由だけで仏像を求める役になった。京都のU会員に以前ご紹介いただいた清水寺の和尚さんを思い出して、お願いの手紙を書いた。京都の仏具店をご紹介いただき、私たちはおかげで格安で素晴らしい不動像を贈ることができた。それ以来、京都に行くとき、機会があれば和尚様の御坊にお邪魔してお話をうかがい、ほんの少しのお布施も受け取っていただいていた。ある日、私がうかがったとき、玄関に先客がいた。「どうぞお先に」と言って、しばらく待っていると、やがて彼が帰って、私が客間に案内された。件の客は数ヶ月前に玄関先に空腹で倒れていた者で、そのとき以来何度めかの来訪であるという。四国の故郷に帰って真面目にやり直したいと言うので、数万円の旅費を渡したら、「今度こそ帰るから」と言っては、もう三度めの来訪だという。今日も話を聞くと、二万円ほど渡したのを遣ったという。私が用意していたお布施が二万円であった。一種の逆マネー・ロンダリング。御坊を辞してから「やれやれっ」と思い、また一息して「いやいや、有り難いことだ。こんなことがなければ、この世の中、息が詰まっちゃうじゃないか」と思い直した。

 人を信じることである。どこまでも信じることである。お寺と大学、坊様と大学教師は歴史をたどれば同根みたいなものである。もっとも坊様は信じ、学問はすべてを疑うものだけれども。でも、その作法は坊様の心に倣いたいものである。「そうだっ。信じて、待つ」と思ってはみたものの、心ならずもつい原稿の催促などしてしまった。四国の客人ならぬ会員諸氏は、もちろんきちんと原稿を出してくださったにもかかわらず、である。嗚呼、焦り。執着〔シュウジャク〕を捨てられない我が身よ。再度、編集委員長を務めさせていただくことがあれば、そのときこそは催促などせず、信じて待つ。そうありたいものである。

 多忙の中で原稿をお寄せいただいた会員の皆さん、とりわけ手書きの美しい、志溢れる原稿をお寄せいただいたゲストの弓削先生、どうもありがとうございました。本号の編集委員は元山健(委員長)、江島晶子(会計)、福岡英明(庶務)、蛯原健介(総務)の四人で、このうち、福岡、蛯原は島崎健太郎、赤坂正浩と交代に、2000年7月から委員を務めている。島崎さん、赤坂さん、ご協力ほんとうにありがとうございました。最後に、いつもいつもお世話をいただいている三省堂の皆さん、どうもありがとうございました。

(もとやま・けん)

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