憲法問題10
1999

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全国憲法研究会 編

2,600円 A5 192頁 978-4-385-41519-X 品切

全国憲法研究会の機関誌第10号。98年の研究総会および憲法記念講演会の記録を掲載。テーマは平和主義に関するものを主に、周辺事態法と戦争犯罪と戦後補償、情報公開など。 

1999年 5月 3日 発行


●目    次

         特集 岐路に立つ平和憲法

〈第一部〉 平和主義の新構想――ミリタリーパワーを超えて

平和主義の現況と課題――新ガイドラインと沖縄を素材にして…高良鉄美
平和を実現する主体──安全保障観の転換にも触れて…君島東彦
冷戦後国際社会における日本国憲法の平和主義…最上敏樹
平和主義の原理的考察…長谷部恭男

 春季研究集会シンポジウムのまとめ

〈第二部〉 二一世紀に向けての平和主義の構想

平和主義の現況と展望…山内敏弘
立憲主義と周辺事態法…高作正博
日本国憲法の平和主義と国際社会…常岡せつ子
戦争犯罪と戦後補償――戦争犠牲者への補償…石村修

 秋季研究総会シンポジウムのまとめ

憲法記念講演会

女性史の窓から…山崎朋子
福祉国家のゆくえ…中村 睦男
インターネット社会における情報の保護と公開…右崎正博
全国憲法研究会の活動の記録――一九九八年
憲法問題の動き――一九九八年
日本国憲法施行五〇周年に際して――憲法研究者の声明
周辺事態法案等を憂慮する憲法研究者の声明

編集後記


●編集後記

岩間昭道(いわま・あきみち)

 この一年間もいろいろ重要な出来事があったが、なかでも、周辺事態法案の審議に関連して、政府が従来の九条解釈を重要な点で変更しようとしていることは最も注目される事柄の一つだといえよう。

 周知のように、憲法九条は一切の軍備の保持と行使を禁止したものとして制定された。しかし、その後再軍備がすすめられ、憲法改正の試みが挫折した後、政府は、九条の解釈を根本的に変更して自衛隊の合憲化を行った。そして、今日、政府は、周辺事態法の制定に関連して、これまでともかくも九条解釈の限界とされてきた集団的自衛・nbsp;の行使と自衛隊の海外派兵を実質上認める九条解釈に踏み込むことにより、九条解釈を再び根本的に変更しようとしている。

 そもそも自衛隊を合憲とする九条解釈は、戦後の代表的な憲法学説が指摘するように、「法の解釈の範囲を超えるもの」(宮沢・憲法論集四七二頁)で、本来許されないものであったといわなければならない。そして、かつてと同様に今回もまた解釈の変更によって事態に対処するならば、宮沢教授が正当に指摘したように、そうした「便法の易きにつくことは、法の解釈は無限であるという命題を、文字どおり、承認すること」で、結局において、「法の解釈の存在を、したがって、法の存在を無意味にしてしまう」という深刻な結果を招来することになるであろう。したがって、我が国が立憲政治を行おうとするならば、九条を改正して自衛隊を正式に認知するとともに、集団的自衛・nbsp;の行使を承認する途を歩むか、それとも九条を堅持して軍縮を促進する途を歩むかのいずれかを選択するほかないであろう。いうまでもなく、九条は、安全保障のあり方のみにかかわっているのではなく、統治や人・nbsp;保障のあり方の全体にかかわっており、こうした意味で、日本国憲法は、いま、重大な岐路に立っているといわなければならない。

 多忙の中、原稿をお寄せいただいた方々には、ご協力にあらためて感謝申し上げる。本号の編集委員は、岩間昭道(委員長)、渡辺康行(庶務)、赤坂正浩(会計)、嶋崎健太郎(総務)の四人である。このうち、赤坂、嶋崎は、広沢明、萩原重夫と交代に、一九九八年一〇月から委員となった。広沢、萩原両氏には、これまでのご尽力に感謝申し上げる。

 最後に、これまでと同様に、本書の刊行についてお世話を頂いている三省堂の関係者各位に対して、心から謝意を表したい。

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