三省堂-現代経済法講座 全10巻
現代経済法講座 全10巻

各巻A5判(全点、品切)

日本そして世界の経済の動きを見すえ,幅広い研究領域を,社会経済を規律する"社会法としての経済法"の視点から体系的に解説したわが国初めての経済法講座。経済法領域における現代のさまざまな諸問題についての法理論を考察するとともに,実務の問題についても法的アプローチを試み,企業法務の指針を提示。


1 現代経済社会と法

正田 彬・金井貴嗣・畠山武道・藤原淳一郎 著

3,689円 352頁 978-4-385-30726-X

1現代経済法の理論/2現代における競争秩序と法/3現代経済法と行政/4現代経済社会における公企業と法

1990年 5月 20日 発行


2 カルテルと法

今村成和・馬川千里・正田 彬・来生 新 著

3,883円 352頁 978-4-385-30727-X

1カルテル禁止とその限界/2事業者団体の機能とカルテル禁止の原則/3公正取引委員会とカルテル/4適用除外カルテルの性格と限界

1992年 7月 20日 発行


3 企業結合と法

実方謙二・奥島孝康・江口公典・本間重紀 著

3,689円 304頁 978-4-385-30728-X

1企業結合と独占禁止法/2合弁企業と法/3業務提携と法/4企業集団と法

1991年 9月 1日 発行


4 企業系列と法

根岸 哲・辻 吉彦・横川和博・岸田雅雄 著

3,689円 328頁 978-4-385-30729-X

1企業系列の法構造/2生産系列と法/3流通系列と法/4資本・金融系列と法

1990年 5月 20日 発行


5 消費生活と法

宮坂富之助・谷原修身・内田耕作・鈴木深雪 著

3,689円 352頁 978-4-385-30730-X

1現代の消費者問題と権利/2消費生活と競争秩序/3消費生活と表示関係法/4消費者行政と法

1990年 6月 30日 発行


6 流通産業と法

金子 晃・土田和博・和田健夫・藤田 稔 著

4,660円 328頁 978-4-385-30731-X

1流通産業における競争と法/2大規模小売業者と小売市場/3大規模流通業者と購売力 他

1993年 7月10日 発行


7 新技術開発と法

紋谷暢男・渋谷達紀・満田重昭 著

3,689円 248頁 978-4-385-30732-X

1新技術開発と無体財産権/2工業所有権と独占禁止法/3国際技術移転と法

1993年 7月10日 発行


8 協同組合と法

木元錦哉・高瀬雅男・正田彬・高橋岩和 著

4,369円 312頁 978-4-385-30733-X

1協同組合法の性格と競争秩序/2中小企業協同組合と法/3農業協同組合と法/4消費生活協同組合と法

1993年 7月10日 発行


9 通信・放送・情報と法

根岸哲・舟田正之・石村善治・稗貫俊文 著

3,689円 336頁 978-4-385-30734-X

1新情報網システムと法/2電気通信事業における独占と競争/3放送事業における独占と競争 他

1990年 11月1日 発行


10 国際取引と法

松下満雄・神崎克郎・岡村尭・小原喜雄 著

3,689円 272頁 978-4-385-30735-X

1国際取引をめぐる法構造/2国際的資本移動と法/3輸入貿易と法/4輸出貿易と法

1991年 9月 1日 発行



●はしがき

 「経済」と法という課題は、経済社会の展開に対応してその焦点に変化がみられるものの、経済社会にかかわる法の研究にとっては、依然として、最も基本的な研究課題である。現在のわが国における高度に発展した資本主義社会に対応して、それと組み合わせられながら展関している法的な現象を、経済社会における具体的な事象に即したかたちで検討し、それを総合的に整理するということは、現代における「経済と法」という課題に対応する試みということができよう。全10巻のこの「現代経済法講座」は、現在のわが国の経済社会を前提としたこのような試みとして意味をもつものと考えられる。

 この講座は、「現代経済法講座」として刊行されるが、これは、経済法を一定の概念で定義づけることを前提としたものではない。わが国の経済社会を高度に発展した資本主義社会としてとらえ、それに対応して登場する法制度を、総括的に経済法としてとらえての整理を試みるものであって、むしろ内容的には、現代経済と法についての研究とするべきものである。

 資本主義経済の高度化と関係して経済法をとらえるという包括的な見方からすると、その対象は、きわめて広範囲である。現在のわが国の経済法の基本的な原則が、競争秩序維持法制である独占禁止法によって確立していることについては異論のないところであろう。独占・競争制限に対する法制度の基本的な対応が、ここに明示されているということができる。公正かつ自由な競争秩序の維持を直接的な目的とする独占禁止法の原則とそれを具体化するための仕組みとが、わが国の経済社会の実体とどのように関係するかが、問題の中心とされることになろう。

 しかしながら、独占禁止法と直接間接に関係をもちながら、各種の法制度が組み込まれて、わが国の経済法制を構成しているという側面、すなわち、競争秩序の維持を基本としながら、それに対して何らかのかたちで制限的に働く法制度が組み合わせられていることは、わが国における経済法制の性格を規定する重要な要因であるといわなければならない。わが国における経済構造の枠組みおよびそれを前提として具体的な取引・競争のルールを設定するものとして経済をとらえるならば、競争秩序維持の原則とそれを制限する法制度の組み合わせと仕組みの解明が、重要な課題とされることになる。これらは複雑にからみあっており、それにわが国に固有な経済社会における慣行、それを支える事業者・消費者の意識が加わって、問題の所在自体が明らかでない場合も少なくない。このことは、また、経済法制全体を貫く基本的な原理の如何とも関係することになろう。さらにわが国経済社会の展開が、国際的な環境の変化にも影響されて、経済法制との関係でも、少なからざる問題を提起していることも否定できない。

 このような意味で、わが国における経済法制全体について、実証的な研究を基礎に置いた理論的な検討を、総合的に行うことが、とくに必要とされているということができる。この講座では、競争秩序にかかわる法制度について、わが国の経済社会との関係で提起される基本的な問題についての検討を行うことを試みながら、経済法制全体についての総合的な研究に向かっての一歩となることが意図されている。とりわけ、経済法制の中心を構成する独占禁止法をめぐる基本的な問題の検討に加えて、わが国の経済社会が直面し、あるいはその影響下にあるといえる国際化、情報化との関係に焦点を合わせた課題、それと関係しながらわが国における事業者間の結合の特殊な形態とも考えられている各種の問題についての検討が行われること、および、経済法制における国民生活・消費者の地位あるいは中小事業者を含めた組織化・協同化についての検討が行われることに、わが国における経済法をめぐる視点とかかわる一つの特徴があるとも考えられるのである。

 もとより、この講座で取り扱った問題が、現代経済法の課題のすべてを網羅しているわけではない。とくに、現代のわが国における経済法制とのかかわりで重要な意味をもち、同時に多くの検討すべき問題を含んでいる、各種公益事業についての個別的な法制度、金融に関する法制度、とりわけ金融業における競争と規制の組み合わせをめぐる事業規制に関する問題、農業にかかわる法制度を中心とした第一次産業に関する法制度、土地・住宅に関する不動産取引をめぐる法制度、さらに経済法制と不可分の関係にある知的財産権に関する問題等については、部分的に総論的な検討を行うにとどめざるをえなかった。またこの講座で取り上げた問題も、十分に検討しうるだけの余裕がなかったと思われる部分も少なくない。この意味で、この講座は、現代経済法の総合的な研究のための文字通り第一歩の試みであり、将釆、残された問題を包含した総合的な検討が行われることを期待したい。

 それぞれの巻の共著者の方々と刊行者である三省堂関係者の方々に感謝しながら、この講座が、読者の方々にとって有意義なものであることを願いたいと思う。

「現代経済法講座」責任編集 正田 彬

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