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 床下の毒物 シロアリ防除剤

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植村振作・反農薬東京グループ 編著

1,500円  四六  256頁  978-4-385-35903-X (品切)

床下や天井裏にまかれるシロアリ駆除剤は、サリンと同じ種類の有機リン系殺虫剤である。うっかりまいてからでは(隣家にまかれても)遅い、重大な人体への被害の実例を報告。

1999年 4月10日 発行

 目  次
 自著自讃 (「ぶっくれっと」135号掲載)

 農薬毒性の事典 改訂版
 残留農薬データブック
 家庭にひそむ農薬


●目  次

●はしがき ●シロアリ防除剤関連年表 ●四コマ漫画 ●Q&A

1章●うっかりまいてからでは遅すぎる!
 1)エコロジー住宅でもシロアリ防除剤の被害にあう(東京都)
 2)契約違反の薬剤を使われたとは知らず、シロアリ防除(神奈川県)
 3)国民生活センターがクーリングオフを適用、土を替えたが汚染は消えず(東京都)
 4)隣家の床下換気扇から農薬が吹き出し、ついに転居(埼玉県)
 5)隣に防除業者が越してきて10年越し異臭に悩み、公害調停に(大阪府)
 6)隣家の新築現場から異臭が発生、その日から家に住めなくなり、ついに裁判に(北海道)
 7)クロルデンの駆け込み防除後、調べてみたら団地住民に健康被害が多発(岐阜県)

2章●行政・業界の無責任
 1)被害相談機関がない
 2)「公庫が薬剤処理を義務付けている」は誤解
 3)健康被害の訴えが一番多いクロルピリホスの使用禁止を要望

3章●死ななければいいのですか?
 1)どのくらい吸い込んでいるか
   花粉症・化学物質過敏症と農薬被曝/無意識のうちに被曝/ほか
 2)実際に人間にはどんな影響が出ているか
   症状はばらばら/コリンエステラーゼ値の限界/慢性有機リン中毒論争/ほか
 3)感受性の高い子供たちからの警告
   基準以下なら大丈夫か/免疫毒性とアトピー・ぜんそく・O157/ほか

4章●シロアリ防除剤の毒性
 1)シロアリ防除剤とは
 2)なぜシロアリ防除剤には法的規制がないのか
 3)防除業界の自主規制では健康被害は防げない
 4)防除剤使用建材の廃棄による環境汚染

提言●あとがきに代えて
  医療機関へ/行政へ/建築・防除業界へ

資料
 ●住宅金融公庫が薬剤処理を義務付けてはいないことを示す文書
 ●シロアリ防除剤の商品名と主な成分名一覧
 ●事項索引


●『床下の毒物 シロアリ防除剤』

(「ぶっくれっと」135号掲載)

辻 万千子

 自宅の床下に毒物があることを知っている人は意外に少ないのではないでしょうか。
 昨年、和歌山県で起きた毒物カレー事件に関連して、シロアリ防除剤として亜ヒ酸が使われていたことが報道されました。たかがシロアリに亜ヒ酸? と驚いたものです。
 ヒ素は昔からシロアリ防除に使われていたようです。社団法人日本しろあり対策協会が昨年十一月に出した広告には「(協会は)会員業者に対して、亜ヒ酸等を所有している場合は産廃処理業者を紹介するなどの通知を送付しています」とあり、現在も一部で所有されていたのでしょうか。
 毒物などを規制する法律としては「毒物劇物取締法」がありますが、これは製造・輸入・販売に関する規制であって、使用規制ではありません。ヒ素は毒物に指定されていますが、シロアリ防除剤に関しては化審法(化学物質の審査及び製造等規制に関する法律)の禁止物質以外は法的規制は一切ありませんから、防除業者は何を使ってもいいわけです。
 ところで、シロアリ防除剤の問題は、亜ヒ酸を使わなければいいというものではありません。一般に使用されているシロアリ防除剤はほとんどの成分が農薬と同じですが、農薬として使用するよりもずっと高濃度で床下に使用されます。中には農薬として登録されていないものもあり、その毒性がわからないものもあります。
 農薬については「農薬取締法」で毒性試験が義務づけられ、曲がりなりにも使用規制もあります。シロアリ防除剤のように、農地よりもいっそう生活環境に近い床下での殺虫剤の使用に何の規制もないというのは、どう考えてもおかしいのです。
 それどころか、シロアリ防除は行政によって推進されています。住宅金融公庫も薬剤によるシロアリ防除を勧めています。最近でこそ薬剤処理一辺倒の姿勢は改まりましたが、代替方法を広く周知させることはしていません。家という財産を守るほうが、そこに住む人間の健康よりも大事なのでしょうか。
 問題は、床下に大量に高濃度で使われる薬剤が室内や近隣に揮発してきて、周辺を汚染し続けるということです。一般にシックハウス症候群と呼ばれるものの中では、シロアリ防除剤による被害が一番重いと言われています。
 私たち反農薬東京グループにも、被害を受けた人からいろいろな訴えが寄せられます。頭痛、下痢、関節痛、鼻血、嘔吐、めまい、筋肉痛、じんましん、体のだるさなど、一見、風邪に似たさまざまな症状です。化学物質過敏症の人の中にも、シロアリ防除剤が発端になったという人が大勢います。検査しても異常は出ないので原因不明といわれる場合が多く、更年期障害、自律神経失調症などと診断される人もいます。
 不幸にして床下を防除してしまった場合、除去するのはほとんど不可能です。シロアリ防除は床下の土に散布するのと、木部に穴をあけて薬剤を注入するのと両方あります。床下の土を十センチ以上満遍なく掘って取り除いても薬剤が残留していた例もありますし、土が取り替え可能でも(それだって大変な作業ですが)、土台などに注入した薬剤は除去できません。
 さらに、隣家のシロアリ防除で健康被害を受ける人も多くなっています。薬剤を床下にまいて床下の湿気を取るためとして、床下換気扇を数台つけるやり方が増えてきてから、一層、被害が多くなっています。揮発した薬剤を換気扇によって近隣にまき散らすわけです。その結果、周辺の人が健康を害したら、傷害罪などが成立するのではないでしょうか。もちろん、因果関係が認められなければだめですが。
 二年ほど前、栃木県で空中散布の農薬を頭からかけられて女子高校生が入院したという事故がありましたが、栃木県警は傷害容疑で調査をしたという事実もあります。
 また、環境ホルモンとして疑われている化学物質は農薬が多いということも考慮に入れると、生活の場での農薬や化学物質多用を考え直す時期にきていると思います。
 とにかく、シロアリ防除剤はまいてしまってからでは遅い。まく前にどういう被害があるのかを是非、知ってもらいたいと思います。

(つじ・まちこ 反農薬東京グループ代表)

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