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金谷 憲/高知県高校授業研究プロジェクト・チーム 共著
1,890(1,800)円 A5 264頁 978-4-385-36211-3
高校での英語教育の改革こそが、今、日本人に求められる英語力向上のポイントであるという試論をもとに、和訳を生徒に先渡しし、授業を活性化させる取り組みを実践データを分析しつつ紹介する。 本書は2001年11月に開催された全英連(→ HP)・高知大会での研究プロジェクト・チームの実践・提案を基礎に、その後の研究成果をまとめたもの。
2004年8月10日 発行
高知県高校授業研究プロジェクト・チーム
長武ウ浩(高知県教育委員会事務局高等学校課)
本田智砂(高知県教育委員会事務局教職員課)
田辺法人(高知県立高知追手前高等学校)
谷 富貴(高知県立高知西高等学校)
上田 妙(高知県立高知小津高等学校)
山田憲昭(高知県立高知西高等学校)
山本貴子(高知県立高知南高等学校)
★目 次
第1章 高校英語教育改革の試み
1 改革フロンティア ●高校英語教育――8
2 高校英語教育和訳をめぐる問題点――10
2 1 なぜ100 %訳読授業ではダメなのか 10
2 2 訳を介さずに英語がわかるか 11
2 3 出口は英語で 12
2 4 解読と読解 12
3 高校英語授業の課題――14
3 1 量の問題 14
3 2 量不足の原因 15
3 2-1 英語科の構造 15
3 2-2 英語教師の体験と意識 15
3 3 intake の問題 16
3 3-1 読んでも読み直さない 18
3 3-2 導入にこだわるのが教師のくせ 18
3 3-3 時間が足りない 19
4 和訳先渡し ●an idea――21
4 1 解決方法−和訳先渡し− 21
5 和訳先渡し ●いくつかの誤解――22
5 1 大学入試でも量が大切 22
5 2 もっと勉強させる 23
6 和訳先渡しがすべてではない――25
7 まとめ――26
第2章和訳先渡し授業の試み
1 和訳先渡し授業の構想――28
1 1 高校における読解の周辺− 何が問題か? 28
1 2 和訳先渡し授業の背景 29
1 3 なぜ,和訳を渡すのか? 30
2 和訳先渡し授業はじめての和訳先渡し授業――31
2 1 和訳先渡し授業までの議論 31
2 2 「タイル張り」から「漆塗りへ」32
2 3 和訳先渡し授業T: 2000 高知県英語教育研究大会公開授業32
2 3-1 授業の概要: 2 時間で1 課終了 32
2 3-2 和訳先渡し授業T:授業ダイジェスト 35
2 4 検証:和訳先渡し授業T 41
2 4-1 授業中に読む英語の量は増えたか? 41
2 4-2 繰り返し英語を読んだか? 42
2 4-3 余った時間をどう使う? 43
2 4-4 シラバス作りへ 44
2 4-5 今後の課題―全英連公開授業に向けて 44
2 5 和訳先渡し授業U: 2001 全英連公開授業 45
2 5-1 授業の概要 45
2 5-2 和訳先渡し授業U:授業ダイジェスト 48
2 5-3 和訳先渡し授業のタスク 66
2 5-4 山田授業の余剰時間活用例 69
2 5-5 ダイナミックな年間シラバスへ 71
2 6 和訳先渡し授業への賛否両論 71
2 6-1 賛成派:和訳先渡し授業の可能性 72
2 6-3 反対派:和訳先渡しへの批判・疑問 73
2 7 研究大会以後 76
3 まとめ和訳先渡し授業は何を提起したか――77
第3章和訳先渡し授業の効果
1 和訳先渡し授業を取り巻く状況――80
1 1 英語の基礎力を身につけさせてきたか? 80
1 2 外国語学習の原点回帰 80
1 3 和訳先渡し授業の実践 81
1 4 訳読と時間の問題 82
2 和訳先渡し授業の効果――83
2 1 授業で扱える英文の量はどうなったか? 83
2 2 公開授業クラスの英語力はどうなったか? 85
2 3 和訳する力がつかないのではないか? 88
2 4 語彙力はついたか? 93
3 和訳先渡し授業を生徒はどう思っているか?――96
3 1 アンケート調査 96
3 2 和訳先渡し授業に対する意識の変化 109
4 和訳先渡し授業を先生はどう見たか?――113
4 1 授業研究プロジェクト・チーム 113
4 2 和訳先渡し授業のエピソードなど 115
4 3 和訳先渡し授業に取り組んだ学校の先生方の意見 118
4 4 先生方の意見のまとめ 119
4 5 まとめ 和訳先渡し授業の効果 122
第4章和訳先渡し標準procedure――こうすれば誰でも和訳先渡し授業ができる
1 高校英語授業タイプT 論説・説明文の場合――127
1 1 標準パターン1 時間目(論説・説明文)
135
1 2 標準パターン2 時間目(論説・説明文)
145
2 高校英語授業タイプU 物語文の場合――154
2 1 標準パターン1 時間目(物語文) 159
2 2 標準パターン2 時間目(物語文) 167
3 和訳先渡し授業の頻度と割合――174
3 1 和訳先渡し授業がすべてではない 174
3 2 和訳先渡し授業の割合 175
4 テストと評価――177
4 1 平常評価 177
4 1-1 ポートフォリオ 177
4 1-2 小テスト 179
4 2 定期テスト 180
4 2-1 これまでも生徒は和訳を持っていた 180
4 2-2 設問の具体例 181
4 2-3 授業と評価の一体化 185
第5章和訳先渡し余剰時間の活用
1 和訳先渡し授業を利用した年間授業計画例――194
2 余剰時間の具体的活動例――196
2 1 種類別活動例 196
2 2 教科書との関連性が強い種類別活動例 197
2 2-1 「すぐあと型」の具体例:課の深化を目指す活動 197
2 2-2 「まとめ取り型」の具体例:課を越えた活動 202
2 3 教科書との関連が少ない種類別活動例 204
3 スキル別分類…生徒が行うスキル別パターン――208
3 1 Reading の活動展開例 209
3 1-1 教科書の再読 209
3 1-2 別の教科書の活用 212
3 1-3 教科書以外の関連教材読解 213
3 1-4 別教材の多読 214
3 1-5 音 読 215
3 2 Writing の活動展開例 216
3 2-1 要約作成 216
3 2-2 リテリング 217
3 2-3 英借文 217
3 2-4 本文に対する意見作文 220
3 3 Listening の活動展開例 220
3 3-1 本文・関連教材のリスニング 221
3 3-2 教科書以外のリスニング 221
3 3-3 リスニング教材 221
3 4 Speaking の活動展開例 222
4 まとめ――223
第6章高校英語教育改革――和訳先渡し以外の方法
1 教材のレベル調整――226
1 1 easy version による大意把握 〜速読から入る〜 226
1 2 easy version による段階的読み 228
1 3 音声による導入 231
1 4 図や絵による導入 235
1 5 『和訳“中”渡し』方法 236
2 教科書採択の工夫――237
2 1 正しい教科書採択ができているか 237
2 2 教科書の複数購入 238
2 3 21 世紀の教科書提供システム 239
第7章まとめ――高校英語授業を変えよう
1 和訳先渡し授業の効果――244
2 コスト・パーフォーマンス――245
3 教材がキー――246
4 適切な教科書採択――247
5 高校英語授業を変えたい――247
和訳先渡し授業に対するQ&A 249
■参考文献――257
■記 事――258
■検定教科書など――258
■あとがき――260
■索 引――261
★改革フロンティア ●高校英語教育
高校英語授業を変えたい。
なぜそう思うかと言えば,中学と比べて,まだまだ高校授業には,工夫が足りていないと思うからである。また,中学と比べて,授業を工夫する余地が潜在的にたくさん残されていると思うからである。
単純に比較の問題ではあるが,中学校の先生は高校の先生以上に教え方の工夫に興味を持つ。高校の先生は中学校の先生以上に英語そのものに興味を持つと言われてきている。確かに,このような傾向は今でもあるようである。教員研修などの講師として呼ばれてゆくと,中高の先生が混ざっているグループだと,どんなところにそれぞれの先生が興味を持つかが肌身を通じ理解できる。やはり,上記のような傾向はあるようである。
しかし,この傾向も変わりつつある。高校の先生方でも,授業の進め方に強い関心を示す人が増えてきた感じがする。それは,多分一つには授業を工夫しないと,授業についてこられない生徒が増えてきたという困った状況が原因かもしれない。高校の先生が英語そのものに興味を持つことは真っ当なことであり,何もとがめ立てされるようなことではない。それはそれでよいのだが,もっと教え方,授業の進め方にも興味を持ってもらわないと困る。したがって,原因の善し悪しは別として,この新しい傾向は歓迎すべきものではないだろうか。
傾向は変わりつつあるが,まだまだ高校の授業がかなりワンパターンであるという印象を持つのは筆者たちだけだろうか。中学の授業のバラエティーに比べ,高校の授業はどちらかと言うと,どれを見ても,同じ感じがする。オーラル・コミュニケーションの授業となればまた話は別だが,英語T,英語U,リーディングなどとなると同じような印象を受ける。英文和訳100 %授業が淡々と行われている,ということが断然多い。研究授業などで,「工夫している」という授業を見ても,せいぜい教師が英語をたくさん使用していろいろな解説をしているというだけで,肝心の生徒はあまり英語を使っていないような授業に出くわすことが多い。
したがって,中学校と比べて,高校英語の授業方法というのは,まだまだ開拓されていない分野であると言えるのではないだろうか。逆に言えば,それだけ開拓の余地が残っているということである。
もう一つ,高校英語の授業方法についての努力を強調する理由は,中学英語授業より高校の方が本来,工夫の余地がたくさんあるはずだと思うからである。高校では一応(?),中学英語を基礎として前提におけるからである。中学校の英語教師は,生徒の予備知識や英語の基礎的スキルを前提として授業を行うことはできない(あるいは,できなかった)。今後は,小学校における英語活動の成果が,どのようにこの前提に影響を及ぼすかを見守ってゆかなければならないから,ちょっと事情は変わってくるだろう。しかし,大筋において当分の間,ことは変わらないだろう。
全く何もわからない人に何かを教える場合,教え方のバラエティーはある程度限定される。「自分で調べてごらん」と言っても,辞書をどうやって引くのかもわからず,第一,英語をどのように読めばよいのかもわからない状態では,こうした「活動」(?)を使うことはできない。
「間違ってもよいから自分の思うことを言ってごらん」,などと言っても語彙が限られ,表現が限られている中学生では,自分の思っていることなど,おいそれと言えるものではない。しかし,高校生になれば,あくまでも比較の問題ではあるが,中学生よりは表現できる範囲が広がっているはずである。
こうした二つの理由により,英語教育改革のフロンティアとして高校の英語教育が期待されている。
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