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  東京山の手物語

 


東京山の手物語

長谷川徳之輔 著  (品切)

1,500円 四六判 256頁 978-4-385-36387-5

麻布、麹町など江戸の武家地から松涛や田園調布、成城学園や国立、近年の田園都市線沿線まで、「山の手」百年の変貌の歴史をたどる。土地の取得・売買にまつわる裏話も満載。町の歴史を物語る図版70点を掲載。

2008年9月15日 発行



本書の特色

  • 麻布、麹町など江戸の武家地から松涛や田園調布、成城学園や国立、近年の田園都市線沿線まで、東京「山の手」の百年の変貌の歴史をたどる。
  • 著者は土地問題の専門家。土地の取得・売買にまつわる裏話も満載。
  • 町の歴史を物語る写真・地図・グラフなど図版70点を掲載。
  • 本当の「山の手」はどこか、「山の手」の土地と歴史のわかる本。

「山の手」はよく口にされることばですが、「山の手」とは何か、その実態を紹介した本はほとんど出されていません。「山の手」はどこか、と問われて、すぐに答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。 「山の手」とは住むところでもあります。「山の手」問題は、東京に住む人にとって、東京は「ふるさと」になっているか、との問いかけであるようにも思います。 この本は、100年余の東京「山の手」の成長と変化を、鳥の眼と蟻の眼で眺めたものです。


はじめに

山の手と下町というが、地名ではない。土地、町のキャラクター、特性を示す用語だが、この東京23区でどこが山の手で、どこが下町なのか、必ずしも鮮明ではない。山の手にはその名の通り、緑、丘陵地のイメージが、下町には水辺、平地のイメージがある。江戸は武家政治の町であり、江戸城の周囲には、広大な武家地が置かれ、大名、旗本が家柄に応じて居住していた。その武家地へのサービス機能として商業地、町人地が置かれ、江戸の人口は100万人とも言われていた。武家地は江戸城から西の麻布、麹町 こうじ まち 、北の本郷の丘陵地に、町人地は東の埋立地の日本橋、京橋、神田界隈に置かれていた。その武家地の跡地が山の手であり、町人地の跡地が下町ということだった。山の手にはスノッブな匂いが、下町には庶民の匂いがする。ここでの山の手は、その外の話である。

江戸は千代田区・中央区・港区、いまの都心3区の範囲だったし、20世紀の初頭でも東京は山手線の内側にすぎなかった。しかし、この100年、市街地は膨張し、土地利用も劇的に変化した。100年前、東京は都心から2里=8キロの距離、面積は100平方キロメートル、人口は100万人足らずだったが、いまや、距離は都心から50キロを越え、面積は3000平方キロメートル、人口は3000万人に迫る巨大都市に変貌している。

東京の範囲も、時代とともに変化する。明治時代の人には麻布か四谷までだし、大正の人には渋谷か新宿まで、昭和も戦前の記憶のある世代には中野か目黒までであろう。杉並や世田谷が東京の街になったのは、20世紀の後半だった。とりわけ高度経済成長期には、人口は猛烈な勢いで集中分散し、地価の高騰に追われて、市街地は三多摩を越え、相模の国、下総・上総の国、ついには常陸の国にまで広がっていったのだ。今では、山の手の範囲も、山手線を越えてどこまでも拡大していき、半世紀前には純農村であった世田谷、杉並、大田区を越えて多摩川の西の相模の国にまで広がってしまっている。

この東京の変貌は、100年にわたる国、自治体、企業、個人のさまざまな人たちの意思と行動、投資と消費が積み重なって生まれたものであり、その100年の軌跡が東京の土地に足跡として残っているのである。この本は、100年余の東京の土地、市街地の成長と変化を主として山の手に絞って、そこで暮らした人たちの意識と行動の足跡を、場所と時を追って、鳥の眼と蟻の眼で眺めてみようとするものである。取り上げた地域の特徴を強調するために、一般に流通しているその土地のイメージやレッテルをあえて使ったことをお断りしておきたい。

私は、1936年生まれ、1959年に建設省の役人になって以来ほぼ半世紀、都市や土地を専門とする役人、シンクタンクの研究員、そしてアカデミズムの一員として、その変化をつぶさに観察してきた。その経験や知見をもとに、この100年の山の手の変貌を探ってみたいのである。それでは、最近話題の六本木ヒルズ、東京ミッドタウンの探検から始めて、都心、西郊、南郊の順でその足跡をたどっていこう。


本文掲載資料より

1955〜2005年 地価、経済成長、金利水準との格差
  1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
六大都市市街地指数 1 2.9 10.8 16.9 31.8 40.9 56.1 172.2 91.4 43.4 29.7
GDP名目 1 1.9 3.9 8.9 17.7 28.6 37.7 52.8 56.7 58 57.2
金利7%元利合計 1 1.4 2 2.8 3.9 5.4 7.6 10.6 15 21 29.5
金利5%元利合計 1 1.24 1.67 2.08 2.65 3.39 4.32 5.52 7.04 9 11.5
1900〜2005年 人口の推移(単位1000人)
  1900 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2005
全 国 45,493 51,741 55,473 64,450 71,933 83,200 93,419 103,720 117,060 123,611 127,757 127,757
東京圏 5,479 6,873 7,677 9,956 12,585 13,051 17,918 24,112 28,697 32,577 34,472 34,472
東京都 2,101 2,872 3,699 5,408 7,284 6,278 9,683 11,408 11,618 11,850 12,571 12,571
東京都区部 1,887 2,375 3,358 4,987 6,779 5,385 8,310 8,841 8,352 8,204 7,810 8,483
埼玉県 1,176 1,284 1,319 1,459 1,583 2,146 2,431 3,866 5,420 6,405 6,938 7,054
千葉県 1,275 1,358 1,336 1,470 1,561 2,139 2,306 3,366 4,735 5,555 5,926 6,056
神奈川県 927 1178 1323 1619 2158 2488 3443 5472 6924 7980 8490 8791


目   次

はじめに

第1章 最新の都心 六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、シオサイト

  • 第1話 港区六本木
    • 六本木ヒルズと東京ミッドタウン
    • 丘と谷を消失させた都市開発
  • 第2話 港区汐留
    • シオサイト 旧国鉄の借金の質草
    • 都心から場末へ、また都心へ

第2章 山の手と下町の足跡

  • 第3話 一中一高帝大の跡
    • ナンバースクール立地小史
  • 第4話 高級住宅地のネーミング
    • 「 山」から「園」へ 高級住宅立地小史
    • 御殿山、島津山、池田山 斜陽の高級住宅地
  • 第5話 中央官庁街 霞ヶ関
    • 中央官庁街形成小史
    • 変わる霞ヶ関、変わるか官僚道
  • 第6話 知られざる都心のインフラ
    • 誰も知らない大正通り
    • 三田用水 隠れたインフラ
  • 第7話 江戸っ子と山の手っ子
    • 左岸の鳩山家、右岸の升本家
    • 最初の東京人 福沢諭吉の不明
  • 第8話 高級料亭街の話
    • 赤坂 高級料亭街の盛衰
    • 向島 下町の料亭の復権
  • 第9話 大切な都市遺産
    • 緑の霊園と墓地
    • 死者のための都市計画
  • [コラム]土地の値段の不思議

第3章 旧山の手 江戸と東京の共存

  • 第10話 千代田区丸の内
    • 国有地払い下げ事始め
    • 東京駅はなぜ西向きか
  • 第11話 千代田区内幸町
    • 東京府庁の跡
    • 容積率商売事始め
  • 第12話 千代田区日比谷
    • 東宝・日活の日比谷興行街戦争
  • 第14話 千代田区九段
    • 九段坂 影の薄い銅像の話
  • 第14話 千代田区麹町
    • 番町界隈 大使館、官舎、女子高の三題話
  • 第15話 港区芝公園
    • 公園侵食の歴史
  • 第16話 港区虎ノ門
    • 都心の過疎地を脱したか
  • 第17話 港区赤坂溜池
    • 地名改悪の天罰
  • 第18話 港区青山
    • 品格のある街並み
        青山墓地、神宮外苑、表参道
  • [コラム]容積率って何?

第4章 旧郊外地 渋谷、新宿 武蔵野の残影

  • 第19話 渋谷区渋谷
    • 宮益坂 アセチレンガスの夜店風景
    • 道玄坂、百軒店と恋文横丁
    • 松涛町 変わる豪邸
    • 五島家と堤家の東急・西武都市戦争
  • 第20話 渋谷区代々木
    • 高級住宅地に共産党ビルは似合わない
    • 幡ヶ谷 農家の土地経営の末
  • 第21話 新宿区新宿駅西口
    • 40年経った新宿副都心
    • 西口広場 道路か通路かの論争
  • 第22話 新宿区新宿駅東口
    • 歌舞伎町 最大の歓楽街
    • 変わり行く街の老舗たち
  • 第23話 新宿区大久保・百人町・戸山
    • 百人町 国際化の最前線
    • 変貌する国有地・軍用地の跡
  • [コラム]関東大震災と東京大空襲

第5章 東京の西郊 新しい山の手

  • 第24話 中野と杉並
    • 中野と杉並の差
  • 第25話 中野区
    • 年老いたサンプラザとブロードウェイ
    • 野方、沼袋 無計画な土地経営の末
  • 第26話 杉並区
    • 井荻 整然とした町並み
    • 妙正寺川、善福寺川、神田川の悲劇

第6章 東京南郊 田園調布と学園都市

  • 第27話 世田谷区
    • 北多摩郡に生まれた103歳の古老の話
    • 千歳烏山、祖師ヶ谷大蔵 住宅団地の里
    • 粕谷 蘆花恒春園にみる二人の男の土地哲学
    • 岡本 民家園と静嘉堂文庫
    • 砧公園、用賀 残る緑の都市空間
    • 等々力、深沢 土地区画整理の成果
    • 駒沢公園 ゴルフ事始め
    • 下北沢、代田、代沢
  • 第28話 大田区田園調布
    • いまも最高級住宅地
    • 80年も高級住宅地であり続けた秘訣
    • 大岡山 東工大キャンパスの土地スキャンダル
  • 第29話 目黒区
    • 駒場 お受験族憧れの地
    • 目黒競馬場跡 円周の走路が残る住宅地
    • 自由が丘、都立大学 駅名ネーミングの勝利
    • 大橋、池尻、三宿 3度目の国有地の転換
  • 第30話 学園都市 成城学園と国立
    • 学園都市の盛衰
    • 国立市、小平市 学園都市建設始末
    • 新住民と旧住民 80年の抗争

第7章東京南郊 海の手の風景

  • 第31話 大田区蒲田
    • バブルの古戦場 誰が勝利者か
    • 鉄路から空路へ 羽田空港拡張小史
  • 第32話 品川区品川
    • 取り残された品川宿の町
    • 品川に未来はあるか
    • お台場 江戸防衛拠点の跡
  • 第33話 品川区大崎
    • 大崎ニューシティとゲートシティ大崎
            都立林試の森公園 都心の別天地

おわりに 山の手の変遷

  • 第34話 なぜ東京に市長がいないのか
  • 第35話 鳥の目で見た80年前の世田谷・目黒・大田区
  •   
  • 東京山の手年表

あとがき

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