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  新版 日本のすべて


新版 日本のすべて

三省堂編修所 編、木村尚三郎 監修

2,200円 A5 416頁 978-4-385-35317-3 (品切)

英文対訳で日本の社会文化すべてを紹介。国際化社会では、お互いに相手の事を知ることが大切。本書は、日本語と英語の対訳で、日本の歴史・地理・政治経済・生活・文化を紹介したもので、外国の人に日本のことを知ってもらうのに便利な1冊。

2000年8月10日 発行

目次 Preface はじめに 見本ページ 『新版 日本のすべて』


●目  次

はじめに  4

序章 日本の社会と文化――その心とかたち――〈木村 尚三郎)  30

第1章 日本と日本人  45

異国人との出会い/日本に対するイメージ/欧米人の抱く日本人像/欧米人と日本人の違い/義理と人情の日本人/控えめな日本人/あいまいな日本人/ホンネとタテマエ/解決のカギは相互理解

第2章 日本の自然環境  59

日本の位置/地形的な特徴/日本の気候/土地の利用/自然災害/人口の動き

第3章 日本の歴史と宗教  69

(1)日本の歴史  69日本人の起原/日本の歴史と天皇の存在/象徴としての天皇/元号(年号)/日本という国名/国旗と国歌/日本歴史の概観/原始期の日本/大和国家の起こり/律令制度の確立/貴族の台頭/武士団の台頭/封建社会の始まり/モンゴル軍の来襲/室町幕府の誕生/戦国時代と産業・文化の発展/豊臣秀吉の全国統一/長期政権・徳川幕府の誕生/閉鎖的な鎖国政策/ペリーの来航と開国/徳川幕府の滅亡/王政復古と明治維新/近代国家への歩み/徴兵制度と武力進出/第一次世界大戦とその後の日本/太平洋戦争と敗戦/敗戦直後の日本/アメリカ人との出会い/連合国軍の対日政策/新憲法の公布

(2)日本の宗教  115信仰より生活習慣に比重/神道/仏教/禅/キリスト教

第4章 日本の政治と経済  123

〈1)日本の政治  123行政と官僚/行政改革の動き/政治と政治家/裁判制度/自衛隊

(2)日本の経済  133戦後の日本経済/高度成長期を迎える/経済摩擦からバブル崩壊/日本版金融ビッグバン

(3)日本の産業構造  137産業構造の変化/日本の農水産業/競争力をつけた工業/エネルギー資源への模索

(4)日本の企業  143従来の日本型経営/企業内組合/日本の会社組織/大企業と中小企業/会社人間/企業の接待/企業の談合

第5章社会生活と家庭生活  153

(1)社会生活  153日本の教育制度/学歴偏重の風潮/塾と予備校/受験戦線に異変/進路指導の改善/英会話に弱い日本人/いじめや校内暴力の多発/「ゆとり」への模索/マスコミ事情/超高齢社会への移行/社会保障の取り組み/戦後の住宅事情/新幹線と航空機の競争/通勤ラッシュアワー/自動車と道路/治安と犯罪/無人の自販機/酔っぱらい天国/街の騒音

(2)家庭生活  175ひと昔前の家族制度/長男が全財産相続/戦後の家庭に大きな変化/少子化と高齢化の家族/日本の家計/中流意識を抱く日本人/日本家屋の造り/姿を消しつつある日本的な造りや家具/快適な和風風呂/洗浄式便座の普及

第6章 日本語と日本文学  191

英語に比べて日本語は難しい?/日本語のベースは漢字/漢字から平仮名と片仮名を創作/日本語の中の外来語・和製英語/日本文は縦からも横からも書く/英語と日本語は発音が違う/古代の代表的文学作品/中世・近世の代表的文学作品/近代・現代の代表的文学作品/和歌と短歌と俳句

第7章 日本の建造物  203

4〜6世紀ごろの建築物/8〜14世紀ごろの建築物/14〜16世紀ごろの建築物/16〜19世紀ごろの建築物/明治時代以降の建築物/超高層ビルの林立

第8章 風俗・習慣  213

着物を着る割合は女性が多い/着物の変遷/女性の着物/ゆかたの効用/着物にマッチする履物と髪型/昔の男性の髪型/見合い結婚/神前結婚式/派手になる披露宴/ブライダル産業/慶事より弔事を重視/仏式の葬儀/焼香と戒名/個人への供養/実家との付き合い/隣近所との付き合い/日本の企業は家族的/職場関係の付き合い/付き合いマージャン・付き合いゴルフ/宴会の付き合い/友人・先輩・後輩との付き合い/郷土との付き合い

第9章 年中行事と祝祭日  243

稲作スケジュールの伝統/日本人の一生と行事――誕生から幼年期/日本人の一生と行事――成人から老年期/十二支と年の関係/日本の年中行事/日本の祝日

第10章 日本食  261

変化に富んだ食生活/和食は健康食/旬を味わう和食/和食の調味料/和風のだし味/おふくろの味/正月の料理/主食はご飯/井ものとカレーライス/弁当と握り飯/ご飯に欠かせないみそ汁と漬物/そばとうどん/大人も子供も好きなすし/刺し身料理/天ぶら/温かいなべ料理/大衆的な店の料理/焼鳥・お好み焼/和洋折衷の傑作料理/外国人に苦手な日本食

第11章 娯楽・趣味  289

日本人の余暇時間/自然を楽しむ/マージャン/碁・将棋/映画/日本の漫画/日本のアニメ/ゲーム機に夢中な子供や大人/息の長いパチンコ人気/世界に広がったカラオケ

第12章 スポーツ  301

日本人とスポーツ/日本のプロ野球/全国高校野球選手権大会/大相撲/柔道/剣道/空手道/合気道/弓道

第13章 伝統演劇・芸能  311

能/狂言/文楽〈人形浄瑠璃)/歌舞伎/邦楽/日本舞踊/大衆芸能/落語/漫才/講談/浪花節

第14章 伝統芸術・工芸  323

生け花(華道)/茶の湯(茶道)/書道/日本画/浮世絵/洋画/陶磁器/漆器/七宝焼/日本刀/日本庭園/日本人形

囲み記事の項目

日本人と「忠臣蔵」/富士山/「カミカゼ」/金閣寺と銀閣寺/四民平等/婦人の参政権/神社と鳥居/ハンコ万能時代も終わり?/株主総会/名刺は会社人間の証/教育ママ/電車内の居眠り/チップ不要の日本/街は携帯電話だらけ/安眠を誘うフトン/東大寺と大仏/枯山水と鹿おどし/鬼門と鬼門除け/葬儀の改善/中元と歳暮/祖先崇拝/除夜の鐘/包丁とまな板/祝い事の料理/回転ずし/食品サンプル/クロサワの死去/流鏑馬/薪能/芸者/家元制度/鯉のぼり

付録  348

年表/知っておきたい生活・習慣/日本語会話

日本語索引  407

※本文中の英文は完全対訳ではなく、日本文の大意を要約したものである。


●Preface

Preface


●はじめに

 本書は最初、三菱自動車工業株式会社が1988年の稼働を目指して米国イリノイ州にクライスラー社との合弁会社を設立した際、主としてアメリカ従業員に対して日本の文化・歴史・政治・経済・社会生活などの背景にある日本人のものの考え方や行動の原点などの理解を深めるために同社人事部が企画し、三省堂教育開発が編集協力して作成した冊子であった。

 もともと外国人と日本人の間には歴史や習慣などの違いから互いに理解しがたい面や、多くの相違点が存在することは当然である。そこで本書は日米間はもとより、広く世界各国との相互理解に多少なりとも寄与することができればということから衆知を結集し、さらに東京大学教授であった木村尚三郎先生に全編の監修ならびに序章の執筆をお願いした。また本書の作成に当たっては、米国イリノイ州政府のご協力もいただいた。

 その後、社内外から本書を入手したいという要請が数多く寄せられたのに応えて、三省堂から日本国内で市販することになり、今までに予想を上回る版を重ねてきた。

 しかし、刊行以来、すでに10年を経過した現在、日米間の関係はもとより世界の情勢も大きく変化している。そこで今回は、三省堂が内容の改訂を行い、『新版 日本のすべて』として刊行することとなった。今回の新版の編集に当たっても、引き続き木村尚三郎先生に監修していただき、今日的な視点に立って“日本のすべて”について点検を行い、できるだけ多くの外国人に日本や日本人の実像を知ってもらうことを目指した。

 日本や日本人に関心を持つ外国人はもとより、日本人が外国人に対して日本や日本人について説明する際にも、本書を活用していただけれは幸いである。

2000年6月
三省堂


●『新版 日本のすべて』

木村尚三郎

「ぶっくれっと」145号より

 現代は、どこの国でも大きな意味での技術文明が成熟してしまって、かつての抗生物質や自動車、ジェット機、テレビ、電気冷蔵庫といった、全身に驚きとか幸せ、楽しさを与えてくれるような、そういう技術がなくなってしまったわけですね。わずかに頭を喜ばせる技術がITとして発展している。頭は全世界を情報関連技術によって駆け巡るんですけれど、首から下がついて行かない。その意味では、インターネットを通しての情報というものは実感がないわけです。目は刺戟いたしますが、味もありませんし匂いもない、触覚もありません。

 そして今、その実感を求めて全世界的に大移動の時がきているのです。昨年一年間だけでも、外国旅行に出た人は全世界で六億3500万人にのぼります。地球の総人口の一割以上で、この数字が西暦2010年には10億になる、2020年には16億になるでしょうと予測しておりますのが世界観光機関(WORLD TOURISM ORGANIZATION)、略してもう一つのWTOですが、スペインのマドリッドに本部をおく機関です。21世紀最大の産業は旅産業であるというわけですね。

 一方、そのような技術文明の成熟のなかで、一国だけで生きて行くとか、一企業だけで生きて行くということがだんだん難しくなってきました。今までは独自の技術によって未来に向かって突き進んで行くということがあったのが、そのような自信のもてる大きな技術がなくなってしまった。かつてのようにゴーイング・マイ・ウェイで、自分だけで未来に向かって突っ込んで行く、そして邪魔する者があれば戦争も辞さない、という生き方がとれなくなってきたのです。

 したがって、どこの企業もまず自らの防衛を図らなければいけない、またそのためにライバル企業とも合併したり、あるいは企業活動の連携の強化を図る。お互いに交流を活Tにして、多少不愉快なことがあっても、手と手をとり合って安心を拡大したい、という気持ちがいま強くなってきているわけです。

 ですから、昔のように明日のために生きるという時間の観念は後退し、その分、国と国とか、企業と企業同士、個人と個人も、お互いに手をとり合って生きて行きたいと、空間感覚が拡大されているのです。進歩と発展といった時間の観念は後退しましたが、空間感覚が働くようになって、全世界的に大移動、大交流の時代が始まりつつあるということです。

 それがビジネスや技術の世界ではグローバリゼーションというものを引き起こすわけですけれど、他方において、その土地にしかない良い生き方、これをふつう文化といっておりますが、たとえばそこに美味しい食べ物がある、旨いお酒がある、あるいは良い音楽がある、面白い祭りがあり民族芸能がある、あるいはすぐれた建築物や良い風景なり街並みがある……何でもいいんですが、その土地にしかない良い生き方、暮しと命の知恵をまし、日々の生活を楽しくしてくれるような、そのようなものに対して興味・関心が非常に強くなっている。

 ビジネスにおいても観光の面でも、土地ごとの文化に対する関心が全世界的に高まりつつあるわけです。グローバリゼーションが進めば進むほど、その土地にしかない文化特性というものも前面に出てきている、これが現代だと思うんですね。

 たとえば、日本からヨーロッパへ行きますと、その都市の在り方の違いに気がつきます。ヨーロッパの都市はかつて城壁に囲まれていたものですから規模が小さい、それに対して日本の都市はどこまでも大きく広がって行くような感じがある。どうしてこんなに違うのか。あるいは、われわれはどこでも座ろうとするけれども、ヨーロッパの人たちはたいてい立っている、電車で空席があっても立っている人がいるのはなぜなんだろうか。そういう文化の違いに気がついて、あらためて自分の文化について関心をもつということが、観光旅行を通してもあるわけです。外国のことがよく分かっていなかったということはもちろん、自国の文化についても、よく分かっていないことに気がつく。

 このことは日本に来た外国人観光客と付き合う場合にも起こることなので、あるとき私の友人が、フランス人の歴史研究者を大分県臼杵の磨崖仏へ案内した。磨崖仏というのは岩壁に仏さまが掘ってありまして、これが数十体ある。そうしたらフランス人がつぶやいたそうです。「日本が一神教の国でないことは、よく知っている。しかしそれにしても、数十もあるというのは多すぎる」。そう言われて友人は絶句した。そのときはじめて彼は、仏とは一体何なのかということが分かってないということに気づいたわけです。

 あるいは、紫式部の名前は全世界に有名です。要するに、『源氏物語』という世界的な女流文学が西暦1000年の頃に現れた。ヨーロッパの女性が世界的に発言するようになるのは19世紀ですから、その1000年も前に、そのような偉大な文学が生まれたというのは大変に珍しい。ですから、紫式部の名前はよく知られていて、日本に来た外国人観光客が開口一番、「紫式部の墓はどこにありますか」。

 そう聞かれて、日本人は仰天するわけです。あわてていろんな本を調べてみると、どうも京都にあるらしいということが分かる。実は京都市内の北の方に紫式部の墓というのがあるんですが、もっと調べてみると、それは本物ではなさそうだということが分かって、では本物の墓はどこにあるか、それが分からないということが分かる。要するに、外国の人と接することでも自国の文化を知る必要が出てくるわけですね。

 日本人も、年間1600万の人が海外へ行く時代です。外国人が日本について知りたいと思うと同時に、日本人自身が日本について知りたいと、そういう時がきている。日本についてのイメージを、日本人自身が実感することが必要な、そのような大交流時代がいまやって来ているのです。

 回転寿司などは全世界的に普及して、これから回転飲食店というジャンルが出来ようとしています。あれは日本文化なんですね。回り舞台というのは18世紀半ば大坂の角座から始まりまして、歌舞伎、文楽に影響を与え、全世界的に回り舞台になった。さらに、それが中華料理にも影響を与えて日本のテーブルが回り出し、それが中国に影響を与え、中国のテーブルがグルグル回り出した。その先に回転寿司があるわけです。いまは蓋をつけられますので、保温装置、保冷装置がついて、飲茶でも冷奴でも食べられる、そういう時代になってきました。

 我田引水めきますが、この『日本のすべて』はそういう大交流時代の要請に応えて出来たものといえます。この本はもともと三菱自動車がアメリカに進出したとき、アメリカ人従業員に日本の文化・歴史、社会生活などを通して日本人の考え方を理解してもらおうという意図から編集されたものです。英文対訳の形で、日本の文化特性というものを、とくに生活文化を中心に具体的に述べています。外国との対比のなかで、日本人の衣食住、風俗・習慣などを取り上げている。英語も素直で、いい英語のようですから、英語の勉強にもなると思います。

 よく考えてみると、学校教育においては、日本の歴史についても、生活文化についても、実体験に基づいて知りたいようなことは教わってこなかったということに気がつきます。文部省も文化庁も、生活文化というのはこれまでほとんど関心を払ってこなかった分野なんですね。日本を知るための入門書として、この本が日本の生活文化の特質について、いわば旅行者の目で分かりやすく説いているところは大きな特徴であると思っています。(談)

(きむら・しょうさぶろう 東京大学名誉教授)

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