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| 新・抗がん剤の 副作用がわかる本 |
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近藤 誠 著 1,890(1,800)円 四六 408頁 4-385-35613-0 抗がん剤が本当に効くのは、がん全体のたった1割。毒性による寿命短縮、治療や臨床試験中の死亡など、抗がん剤治療の実態を公開した本。薬の名前がわかる索引、副作用情報など10年ぶりに新しく改訂した。 1994年11月10日 初版 発行
●新版にあたって 本書を刊行してから10年になります。十年一昔とも、十年一日の如しともいいますが、抗がん剤治療(=化学療法)に関しても、変わったことと変わらないことがあります。 大きく変わったのは、がんという病名や、抗がん剤だということを本人に告げ、治療するようになったことです。抗がん剤で治るがんでは、これは朗報です。患者が病気や治療法をしっかり理解することができれば、治療にも前向きに取り組め、治る率が多少とも上がるはずだからです。 しかし抗がん剤で治らない種類のがんでは、どうでしょうか。データ上はメリットが認められない場合に、再発や死への恐怖から、化学療法を延々と受け続けている人が大勢います。また患者本人は抗がん剤をやめたいけれども、医者が、病名を告げたので、ためらいがなくなったのか、「再発したらどうする」などと言って、化学療法が一向に終わらないことも多いのです。 またこの間、相当数の抗がん剤が新たに認可されました。そのため、薬をとっかえひっかえして化学療法を続けることが、以前よりたやすくなっています。ただし、それを続けていくと、がんで死ぬより先に、蓄積された抗がん剤の毒性で先に死ぬことになります。 この10年の間に、吐き気止めなどを用いた副作用対策が若干上手になったのも、変わった点でしょう。しかし、抗がん剤が「百%毒物」であるという本質は変わらないので、使い続ければ諸臓器に毒性が蓄積していき、回復不能の障害を引き起こす、ということは変わっていません。そうであれば抗がん剤の害作用を、回復可能な「副作用」と、回復不能な「毒性」に分けて論じるのがベターかもしれません。ただ社会では、「副作用」という用語に毒性まで含めることも多いこと、また本書は題名に「副作用」を入れているので、この新版でも「副作用」には毒性を含めます。 抗がん剤の効力に関しては、この間、何も変わっていません。10年前に抗がん剤で治らなかった種類のがんは、現在の薬をもってしても治らないのです。それゆえ、本書中の「抗がん剤の効力別がん分類」は、今日でも基本的に妥当します。ただ少し変更すべき点があるので、この前書きの最後に変更点をまとめておきます。 ――――――――――――――――――――――――― 本書を10年前に出版した目的の一つは、医者たちの実験体質や、抗がん剤にかかわる臨床試験の問題点を患者や社会に知らしめることにありました。ソリブジン事件やイリノテカン事件を冒頭に置いたのもその意味です。 出版後、抗がん剤を開発・認可するための「治験(ちけん)」の、全国共通の実施規則が新たに定められました。そこでは、被験者たる患者から書面で同意を取るなど、手続き要件が厳格になっています。それでは、治験にまつわる問題は解消したのでしょうか。 患者のからだをつかって試される物質が毒物であり、第一相試験が毒性試験であるという治験の本質に変わりはありません。これらの本質は、規則をいくら厳格化しても、なくなることはないのです。 そのうえ、医者たちの実験体質も変わっていません。そのため規則を変えても内実が伴わず、治験の実際が杜撰なものとなり、以前同様の薬害事件がくり返されています。肺がんに対する特効薬と期待されたゲフィチニブ(商品名イレッサ)が市販されたあと、副作用のために大勢が亡くなって社会問題化しました。この事件も、治験の最中に判明した副作用情報を軽視したために起こったもので、10年以上前と事件の構造は変わっていません。 結局、患者が抗がん剤で苦しみ亡くなることを避けようとしたら、これらのことについてよく知っておく必要があります。ただ実験体質については、この間、患者や社会の目から隠すのが巧みになってきています。実験体質の真実に迫ろうとすると、どうしても医者たちの言葉を紹介する必要があるのですが、医者が内心のことを言うのに慎重になっているのです。10年以上前の状況や発言を収録した本書によってしか、実験体質の真実に迫れない理由はそこにあります。本書では、臨床試験と呼ばずに、あえて「臨床実験」と呼んでいますが、これも読者に、人体実験であるという側面を認識してもらいたいため、あえてそのままにしました。 したがって、この新版でも、本文は初版当時(1994年)のままとしました。巻末の抗がん剤別の「副作用情報」は、この10年間に認可されたものを加えて全面的に新しくしました。また、抗がん剤の効果について、臨床データにもとづいて詳述した本を新たに書き起こし、同時に発売しました(拙著『データでみる抗がん剤のやめ方・始め方』三省堂)。 また、必要以上に再発転移を恐れるあまり、抗がん剤治療を選択するということのないようにするには、がんの再発転移の仕組みを理解しておくことが大切です。がんのメカニズムから再発・転移までを、患者との会話体で易しく書いた拙著『再発転移の話をしよう』(三省堂)もあわせて読めば、安心の境地に至れることでしょう。 これらの本を活用して、抗がん剤治療を受けるかどうか、妥当な結論に達してください。 ●抗がん剤の効果に関する変更 本書の初版刊行(1994年)以降に発表されたデータなどの影響で、「抗がん剤の効力別がん分類」に対する筆者の考えは少し変わりました。以下に、変わらない点を含め、ポイントを述べますので、三章ないし五章を読むときには、念頭においてください。本文には注記をつけました。@抗がん剤の効力(効き方)によって、がんを4つのグループに分類する点は変わりません。この分け方は、大筋では、化学療法を専門にしている医者たちの分け方と同じです。A第一グループ(抗がん剤でよく治るがん)に分類した悪性リンパ腫は、もう少し厳密に、「ホジキンリンパ腫および、中・高悪性度の非ホジキンリンパ腫」と限定しておきます。 それと関連して、第三グループに「低悪性度の非ホジキンリンパ腫」を追加します。B「乳がん(臓器転移がある場合を除く)」は第二グループ(抗がん剤で治る率が上がるがん)に分類していましたが、第三グループ(抗がん剤で延命する?がん)に変更します。 これまで行われた術後乳がんに対する化学療法のくじ引き試験データを分析した研究結果(メタアナリシス)が発表されましたが、どこかに微小な転移がある患者に、抗がん剤を使っても、治せることが証明できなかったからです(Lancet 1998;352:930-940)。C第三グループ「抗がん剤で延命する?がん」は、どうやら抗がん剤では延命させられないことがより一層明瞭になってきました。これらの乳がんや、卵巣がんなどについてのデータ的根拠は、拙著『データで見る抗がん剤のやめ方始め方』(三省堂)に書きました。 ●はしがき(初版) ●目 次 ●読者カード(2006.2.8現在) ●(無職・50代)
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