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世界のエッセンシャルドラッグ

[原著=WHO専門委員会レポート] 浜 六郎・別府宏圀 訳

1,800円 A5 288頁 978-4-385-35823-X (品切)

日本の薬には不必要で安全も効果も証明されていないものが多い。本書は、効果が科学的に証明され、長年の使用により安全性も確認され、しかも安い、世界的に選び抜かれた必須医薬品のリストを初めて紹介する。

2000年4月20日 発行

訳者紹介 目次 オビの推薦文 自著自讃『世界のエッセンシャルドラッグ』(「ぶっくれっと」143号より) 編集部からのメッセージ 読者カード 医療・健康サイト


●訳者紹介

浜 六郎(はま・ろくろう)

1969年大阪大学医学部卒業。医師(内科・疫学)。医薬ビジランスセンター(JIP)代表。77年から97年まで阪南中央病院内科勤務。1986年TIP(「正しい医療と薬の情報」)創刊。副編集長。長年にわたり、医薬品の安全で適正な使用のための研究と情報活動に取り組む。医療事故裁判の鑑定などにも関わる。著書『薬害はなぜなくならないか』(日本評論社)の刊行を機に医薬ビジランスセンターを設立。

別府宏圀(べっぷ・ひろくに)

1964年東京大学医学部卒業。医師(神経内科)。都立府中療育センター副院長。医薬品・治療研究会(TIP)代表。1986年TIP(「正しい医療と薬の情報」)創刊。編集長。長年にわたり、医薬品の安全で適正な使用のための研究と情報活動に取り組む。医薬品独立情報誌国際協議会(ISDB)の日本代表。


●目  次

読者のみなさんへ【訳者の前書き】

●エッセンシャルドラッグ(必須医薬品)リストがなぜ日本で必要か(浜六郎)

 エッセンシャルドラッグ・モデルリストとは/医療の品質と医薬品の性能:「よい薬=高価な新薬」ではない/エッセンシャルドラッグ:厳選されることの利点/厳選された必須薬で医療の品質向上を/薬が必要ならこのリストの薬から優先的に/よりよい医療のために役立ててほしい

●薬をめぐる日本の医療状況(別府宏圀)

 なぜ薬の適正使用が行われないか?−医学教育の問題・宣伝と薬の乱用・薬価差益と医薬分業/医療における消費者の視点/EBMの重要性/必須医薬品リスト/日本のエッセンシャルドラッグ・モデルリストの作成

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●エッセンシャルドラッグの使用について

1章 序論

2章 エッセンシャルドラッグの国内政策確立のためのガイドライン

3章 エッセンシャルドラッグ選択の基準

4章 医薬品の剤形選択のためのガイドライン

5章 品質保証

 (1)国際貿易における医薬品の品質証明に関するWHO の方針
 (2)生体利用率
 (3)国際薬局方
 (4)偽造医薬品(インチキ薬)

6章 適応限定抗菌剤と耐性モニタリング

 (1)耐性監視(モニター)の必要性
 (2)適応限定抗菌剤

7章 抗ウイルス剤

8章 エッセンシャルドラッグの概念の適用

9章 エッセンシャルドラッグとプライマリーヘルスケア

 (1)現存の医療システム
 (2)国の保健医療基盤構造
(3)地域的疾病パターン
 (4)供給
(5)医薬品の宣伝・販売活動

10章 医薬品の寄付

11章 医薬品の市販後調査・監視

12章 研究と開発

(1)薬剤的側面(薬剤背景)
 (2)臨床的、疫学的側面
(3)教育的側面

13章 命名方

14章 医薬品情報と教育活動

15章 エッセンシャルドラッグリストの更新

付録1 モデルリスト追加申請用紙

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●モデルリスト
【312の薬剤が以下27の薬効別に分類収載されている。 各薬剤ごとに一般名・国際一般名・剤形・該当する日本の一般名・注】

 ◎エッセンシャルドラッグモデルリスト早見表
 ◎分類目次
 ◎凡例

<1> 麻酔剤

 <1>-1 全身麻酔剤と酸素
 <1>-2 局所麻酔剤
 <1>-3 手術前処置薬と短時間処置用鎮静剤

<2> 鎮痛剤、解熱剤、非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)、痛風用剤、疾患修飾性抗リウマチ剤(DMARDs)

 <2>-1 非オピオイド鎮痛剤
 <2>-2 オピオイド鎮痛剤
 <2>-3 痛風治療剤
 <2>-4 疾患修飾性抗リウマチ剤(DMARDs)

<3>抗アレルギー剤およびアナフィラキシーに用いられる薬剤

<4>解毒剤および中毒に用いられる物質

 <4>-1 非特異的拮抗剤
 <4>-2 特異的拮抗剤

<5>抗けいれん剤、 抗てんかん剤

<6>感染症用剤

 <6>-1  駆虫剤
 <6>-1-1 消化管駆虫剤
 <6>-1-2 抗フィラリア剤
 <6>-1-3 抗住血吸虫剤
 <6>-2  抗菌剤
 <6>-2-1 β−ラクタム剤
 <6>-2-2 他の抗菌剤
 <6>-2-3 抗ハンセン病剤
 <6>-2-4 抗結核剤
 <6>-3  抗真菌剤
 <6>-4   抗ウイルス剤
 <6>-4-1 ヘルペス用剤
 <6>-4-2 レトロウイルス用剤
 <6>-5 抗原虫剤
 <6>-5-1 赤痢アメーバ用剤とランブル鞭毛虫用剤
 <6>-5-2 リーシュマニア用剤
 <6>-5-3 マラリア用剤
 <6>-5-3-1 マラリア用剤
 <6>-5-3-2 マラリア予防用剤
 <6>-5-4 ニューモシスチス症用剤、トキソプラズマ症用剤
 <6>-5-5  トリパノソーマ症用剤
 <6>-5-5-1 アフリカトリパノソーマ症用剤
 <6>-5-5-2 アメリカトリパノソーマ症用剤
 <6>-6  昆虫忌避剤

<7>抗偏頭痛剤

 <7>-1 急性発作用薬剤
 <7>-2  予防用剤

<8> 抗がん剤と免疫抑制剤と緩和ケアに用いられる薬剤

 <8>-1 免疫抑制剤
 <8>-2 細胞毒剤系抗がん剤
 <8>-3 ホルモン剤と抗ホルモン剤
 <8>-4 緩和ケアに用いられる薬剤

<9> 抗パーキンソン剤

<10>血液に作用する薬剤

 <10>-1 抗貧血用剤
 <10>-2 凝血に作用する薬剤

<11>血液製剤と血漿代用液

 <11>-1 血漿代用液
 <11>-2 特別用途の血漿成分液

<12>心血管用剤(循環器用剤)

 <12>-1 抗狭心症剤
 <12>-2 抗不整脈剤(不整脈用剤)
 <12>-3 降圧剤(血圧降下剤)
 <12>-4 心不全用剤
 <12>-5 抗血栓剤(脂質低下剤)

<13>皮膚科用剤(局所用)

 <13>-1 抗真菌剤
 <13>-2 殺菌剤
 <13>-3 抗炎症剤と抗掻痒剤
 <13>-4 収斂剤
 <13>-5 皮膚の細胞分化および増殖に影響する薬剤
 <13>-6 殺疥癬虫剤と殺シラミ剤
 <13>-7 紫外線阻止剤

<14>診断用薬剤

 <14>-1 眼科診断用剤
 <14>-2 X線造影剤

<15>消毒剤と滅菌剤

 <15>-1 滅菌剤
 <15>-2 消毒剤

<16>利尿剤

<17>胃腸用剤

 <17>-1 制酸剤と抗潰瘍剤
 <17>-2 制吐剤
 <17>-3 痔治療剤
 <17>-4 抗炎症剤
 <17>-5 鎮痙剤
 <17>-6 緩下剤
 <17>-7 下痢に用いる薬剤
 <17>-7-1経口補液
 <17>-7-2止痢剤(対症的)

<18> ホルモン剤、内分泌薬と避妊用薬剤

 <18>-1 副腎皮質ホルモンと合成ホルモン
 <18>-2 アンドロジェン(男性ホルモン)
 <18>-3 避妊用薬剤等
 <18>-3-1ホルモン系避妊用薬剤
 <18>-3-2子宮内器具(IUD)
 <18>-3-3バリアー法
 <18>-4 エストロジェン(エストロゲン)
 <18>-5 インスリンおよび糖尿病用剤
 <18>-6 排卵誘発剤
 <18>-7 プロゲストジェン(黄体ホルモン)
 <18>-8 甲状腺ホルモンと抗甲状腺ホルモン剤

<19> 免疫製剤

 <19>-1 診断用薬剤
 <19>-2 血清,免疫グロブリン
 <19>-3 ワクチン
 <19>-3-1 全般予防接種用
 <19>-3-2 個人予防接種(任意接種)用

<20>筋弛緩剤(末梢性)とコリンエステラーゼ阻害剤

<21> 眼科用剤

 <21>-1 眼科用抗菌剤
 <21>-2 眼科用抗炎症剤
 <21>-3 眼科用局所麻酔剤
 <21>-4 縮瞳剤と緑内障用剤
 <21>-5 散瞳剤

<22> 子宮収縮剤と抗子宮収縮剤

 <22>-1 子宮収縮剤
 <22>-2 抗子宮収縮剤

<23> 腹膜透析溶液

<24> 精神疾患用剤

 <24>-1 精神病に用いられる薬剤
 <24>-2 気分障害用剤
 <24>-2-1 抗うつ剤
 <24>-2-2 双極性障害用剤(そううつ病用剤)
 <24>-3 鎮静剤と抗不安剤
 <24>-4 強迫神経症とパニック発作に用いられる薬剤

<25> 呼吸器に作用する薬剤

 <25>-1 抗ぜんそく剤
 <25>-2 鎮咳剤(せき止め)

<26> 水、電解質および酸-塩基平衡の異常を補正する溶液

 <26>-1 経口(補液)
 <26>-2 非経口(補液)
 <26>-3 その他

<27> ビタミン剤とミネラル類

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参考文献

英名索引

和名索引

付録 「1997年度年間売上高100億円以上の日本の医療品医薬品」

   訳者の関連団体紹介/TIP(医薬品・治療研究会)、JIP(医薬ビジランスセンター)
   本書の活用報告用紙

あとがき


●オビの推薦文

【推薦者/慶応大学医学部付属病院 近藤 誠医師】

 あなたの薬は本当に必要か? 日本は無用・有害な薬だらけ。本書でチェックして、もっと薬を減らそう!

 日本は医者が処方できる薬の多さが世界有数。その8割以上は、認可のデータ的根拠がうすいか、あいまいで、半面、副作用はしっかりある。つまり日常診療の場で医者が処方している薬の大部分は無用であったり有害なものである。本書は、”日常診療のほとんどはこれさえあれば充分”という世界の基本薬を載せており、医療従事者にとってよい参考書になるし、患者の側から医療を変えるための大きな力にもなる。

 医療被害をなくすためにも、もっと薬を減らそう。


●自著自讃『世界のエッセンシャルドラッグ』(「ぶっくれっと」143号より)

訳者・別府宏圀

 日本にはいま商品名で数えて約17,000種類,成分数でみても2,400の医薬品が販売されている。内科,外科,麻酔科,皮膚科,眼科などといった診療科の特殊性を考慮に入れても,こんなに多くの薬は必要ない。その薬の効き方や副作用,相互作用などを十分に理解した上で,一人の医者が使いこなせるのはせいぜい数十種類までである。他に合併している病気や併用している薬とのかねあいで使用を控えなければならなかったり,特殊な体質のためある薬が使えないという理由で,第二・第三の代替薬が必要になったとしても,こんなに多くの薬は必要ない。

 いろいろな薬が豊富にあって,その中から自由に選べることは良いことだと思われるかもしれないが,「過ぎたるは及ばざるがごとし」の諺にもあるとおり,かえって危険なことなのである。一人の医師の理解力,記憶力には限界があるから,とても一つ一つの薬の効き目や副作用にまで注意が行き渡らなくなる。

 同じ病気,同じ症状であっても,それぞれの医師や病院が別々の薬を採用していると,何かの都合で転院したり,別の病院にかかる必要がでてきたときに混乱が起きる。全く同じ種類・系統の薬でも,メーカーが違えば色や形が異なるため,うっかりすると重複していることに気づかない場合もでてくる。

 医師は,診察鞄の中の薬種をできるだけ少なくし,その内容を熟知して使いこなせるようにすべきだというのが,現在の医学教育の世界的趨勢である。

  「エッセンシャルドラッグ(必須薬)リスト」に基づいて医療を行うことは,もともとは医療資源や国家予算の乏しい発展途上国で,できるだけ効果的な医療を行うにはどうすればよいかという発想から生まれた考え方だったが,数多くの薬が氾濫する先進国でも同じように「本当に大事な(必須)薬,標準的な治療」を求める声が高まってきたのは,ある意味では皮肉なことである。

 われわれが,WHOテクニカルレポート・シリーズの一つとして発行された,この本(原題:The Use of Essential Drugs )を翻訳しようと思い立った理由もまた同じところにある。おそらく医療先進国の中で,新薬の氾濫による被害を最も顕著に受けているのが,日本の国民なのではないだろうか。少ない薬を適正に使用すること――それこそが日本の医療が抱える数多くの難問を一挙に解決するカギである。

 医師・薬剤師などの医療を専門とする読者には,このリストをもとにいま自分たちが使っている薬を見直してほしい。エッセンシャル(必須)の基準は,その国の医療制度,医療技術,疾病構造,国民の生活習慣などに合わせて,部分的変更を必要とするものではあるが,そうした理由で追加・削除すべき薬はそれほど多くないはずである。

 患者さんや,その家族・友人である一般の読者には,このエッセンシャルドラッグリストを標準地図と見立てて,いま自分たちが受けている医療の中身をもう一度考えてみてほしい。「医者からもらった薬がわかる本」をはじめとして,個々の処方薬についての一般向けの解説書はたくさん出ているが,その多くは製薬会社が作った添付文書を少し平易に書き換えただけのものである。最近は医師・薬剤師が,薬の名前,効能,使用法などを説明することも多くなったが,それだけで本当に満足してよいのだろうか。

 インフォームド・コンセントや患者の自己決定権などという言葉が広く浸透はしてきたが,その中味はまだまだ未熟である。不必要な薬,日本でしか通用しないようなローカル・ドラッグが処方されていたとしても,それを見分けたり,判断するための情報が不足している。この国の医療社会を少しでもよい方向に変えて行くためには,患者さんたちが,もっともっと自分の健康や医療に関心をもち,積極的に情報を求めてゆくことが必要であり,この本もまたそうしたことに役立つはずである。


●編集部からのメッセージ

”一家に1冊、調剤薬局に1冊、診察室に1冊あれば、患者も医師も安心”

 本書は、日本で初めて情報公開された、”良い薬のリストブック”です。

 一家に一冊、保険証と共に置いておき、病院に行く時や調剤薬局に行く時に持っていくと、何よりも心強い味方です。

 もしあなたが病気で薬が必要となった時には、この本を開いてみてください。医師に処方された薬を索引で調べて該当箇所にマーキングしたり、この本にその薬が載っていない場合は、どの薬効グループに該当する薬か聞いて、余白に書き込んだりしておけば、薬歴簿としても使えます。

 そしてなによりも一番有効な使い方は、この本にある薬を処方してもらうことです。 この本の薬はエッセンシャル=「必須」という言葉通り、世界で選び抜かれた薬ですから、使い方さえまちがえなければ、ひとまずは安全です。

 ”ひとまずは安全”これは重要なことです。未知の副作用や薬害から命を守るためのスタートです。医師にとっても、副作用が未知の新薬を使うより、安心でき、安全です(新薬が認可されても安全を期して一定期間は採用しない方針の病院もあります)。

「もし私の治療に薬が必要なら、この本の中から選んでください」と言えば、医師はより注意深く薬を処方してくれるでしょう。そしてそれはよりよい医療を受けることにもつながります。患者がこの本をはさんで、医師と対等に薬の相談ができる、それが本書のコンセプトです。もし、この本を見せたとたんに、いきなり怒鳴るような医師なら(今ではそんな医師はまれですが)、他の医師を探したほうが賢明でしょう(この本は薬を選ぶ前に、医師を選ぶリトマス試験紙にもなるのです)。

 この本に載っている薬は一般名(成分名)で312ですが、日本で売られている薬は一般名で約2,400、商品名で約17,000もありますから、医師や薬剤師がこれらに精通することは不可能に近いでしょう。でも毎日これらの薬は医療で使われています。この現実を想像してみてください。残念ながら日本では、患者が自衛せざるを得ない現実があるのです(不必要に多くの薬が認可され、それがどんな不利益を患者にもたらしているかについては本書を直接読んでください)。

薬は「医者からもらう」から、安全な薬を「患者が自らが選ぶ」時代です。

 本書の薬は、長年世界中で使われ、効果があることが証明され、同時に副作用も熟知された「古くてよい薬」がほとんどです。これでほとんどの日常診療はまかなえます(NHKテレビで救命救急医療現場を舞台にしたアメリカのドラマ「ER」を毎週放映していますが、医師たちの口からぼんぼん出てくる薬の名前は、ほとんどこの本に載っています。この本を編集してから私は「ER」がより面白くなりました)。

 薬のリストが厳選される重要なメリットは、医師も薬剤師も薬の数が少なければ少ないほど、個々の薬に精通できるということです。患者も一度使ったことのある薬を覚えておくことができます。薬をいろいろな商品名(ブランド名)でなく、一般名で把握していれば、それが可能だということです。

 本書は、一般名で把握する便宜のために、この312のエッセンシャルドラッグのそれぞれに、一般名と照合できる形で「該当する日本の商品名」を併記してあります。なぜかというと日本の医療現場では医師でさえ一般名を知らない(メーカーが勧める商品名でしか覚えていない)ことが多いからです。この本は医師や薬剤師が、一般名を患者に伝えたり、自分で覚えるのにも便利な本になるでしょう。

 また本書は日本の一般名に加えて、特に英語の国際一般名も併記してあります。日本人が海外に行く機会が増えましたが、旅行や出張・海外赴任中に外国で医療を受ける時に、ふだん使っている薬を日本の商品名で言っても医師に伝わりませんが、国際一般名なら、世界のどこでも医師はどの薬に該当するかわかります。また、逆に、現在100人に1人在住しているといわれる外国人が日本で医療を受けるのにも、役に立つでしょう。

薬代も安く済む。

 本書が画期的なのは、商品名を併記したうえに、それぞれの商品名ごとに薬価(健康保険で認められた値段)を記したことです。

 日本の薬価の仕組みでは、効果も安全性もまだ未知の新薬に高い薬価がつけられ、そして6年間はいわゆる市販後調査期間(いわゆる特許期間)として独占的に売れ、その間にメーカーは開発費を回収し利益をあげることになっています。新薬は値段が高く設定されるので、薬価差益を期待して病院側も新薬を使う傾向にあり、この市販後調査期間は、患者を実験台にして未知の副作用を試す「お試し期間」で、患者は高い薬を使われたうえ、危険も高いという二重の不利益を受けることにもなりかねません。

 本書の薬はおおむね「古くて良い薬」ばかりですから、それに該当する日本の商品も、新薬は少なく、局方品(きょくほうひん)やジェネリック品が多く、これらは薬価基準で薬価が統一されています(製品は各社からいろいろ販売されているが薬価は同じ)。これらの薬については医者は処方箋を一般名で書くことができ、患者も調剤薬局で製品を選ぶことができます。

 ジェネリック品とは何か、沢井製薬という薬品会社が、「患者さんのお薬代が約半額になります。」という新聞広告で上手に説明していますので、それを引用しましょう。「新薬の特許期間が満了し、有効性と安全性が確かめられたのちに売り出される医薬品をジェネリック医薬品と呼び、薬価が先発品より2〜6割安く決められています。」

 これらの局方品(きょくほうひん)やジェネリック品は、有用な薬なのに日本の薬価制度では、年々薬価が切り下げられて安くなるので(時には採算割れしてメーカーが作らなくなる問題も起きるほど)、安い薬ばかりです。本書の訳者の浜医師は、ジェネリック品で日本の医療をまかなえば、医療費は3兆円安くできる(国民1人当たり年間5万円節約できる)と本書で述べています。

 局方品(きょくほうひん)やジェネリック品以外の薬については、個々の商品名ごとに薬価が決められていることを理由に、商品名で書かないと保険審査の書類がパスしない仕組みになっていますので、医師は処方箋に商品名で薬の名前を書きます。ですから、安い方の薬を希望する時は、処方される前に医師に「同じ薬効なら値段の安いほうにしてほしい」と申し出ておけば(そして医師が同意すれば)、そちらを使うことができます。

 本書では、全く同じ薬(成分も用量も剤形も)で値段がちがう場合、安い順に並べてあるので、比べてみてください。高いブランド品を使わなくても同じ薬効でより安い製品を選ぶことができます。長期に服用する慢性患者や経済的に困窮している人、そうでない人も、薬価には無関心ではいられないでしょう。また、自分の病気に必要な薬なのに、安いほうの薬は保険適応がなくて、高い薬だけが適応になっていてそれを使わざるを得ないという理不尽な矛盾にも気づくはずです。


この本のご意見・ご感想はこちら(編集担当者)に

 重要なご意見・体験については、インターネットなどで公開させて頂きます。他の患者にとっても参考になりますし、医療現場で改革を進めている良心的な医療関係者への励ましにもなると思います。(インターネット上でお名前などを伏せたい方は、伏せたい部分について、そのむね書いておいてください。こちらから連絡できるように、あなたのご連絡先を明記してくだされば幸いです。)


●読者カード

○意見(調剤薬局の役割の一つに薬の使われ方を監視することがあると思います。どの病院が何の薬をどのくらい処方しているかをデータベース化し、不必要な使われ方をチェックする(?)その指標となる本だと思います。)

○意見(薬物療法を見直すチャンスになります。大変参考になります。)

○意見(大学等でひどい投薬をしている。某医大で肝硬変で内科でウルソをもらっている患者が皮膚科でセルテクト(肝障害を起こした例を3例知っている)を飲まされていた。抗アレルギー剤でそのセルテクトが売上高で同種薬の第一位とは恐れ入った。ある製薬会社の社員が自社の薬を飲まず、麻貫附子細○湯を飲んでいる。)

○意見(長年、薬剤と医療に関係してきて、もう先が知れています。一度、全体を整理してみたくなったこと、昨日は復活祭、処刑された、生き返られた、2000年間信じつづけられてきた信仰に似て、冷厳な摂理の中に薬を整理したい。)

○意見(とても有用である。『内科医の薬100 Minimum Requirement 第2版』(医学書院刊)と対になっていて、比較しながら参考にしている。)

○意見(高血圧、痛風等の薬について知りたかった。内容は医学の知識がないとわかりにくい。ズブに素人には無理と思えた。文中、この本を医師に見せて該当するか尋ねるも良しと記されていたが、医師のプライドにキズつけるようなことで、実際にはできないと思う。「ラジオの医学相談で自分の血圧計と医師の血圧計を比べてもらえと云っていたが、これも患者の理想論にすぎぬと思う。) ○意見(臨床医家・薬剤師など医療関係者が座右の書として患者のために役立つ薬を選ぶ場合の指針としてほしい。長年、病院薬剤師として働く中で、患者のために必須と思われる薬が病院の収益増(薬価差益)のために切り捨てられ、他の高価な同効薬に置き換えられることもあって、心の痛む思いをしたこともある。WHOの必須医薬品のことは知っていたので、その日本版をつくる必要を当時から感じていた。)

○意見(日本での薬の使われ方に非常に疑問を持っています。医家向けも大衆薬もどちらもメーカーの言うがままになっているのではないかと思います。テレビの宣伝を真に受けている人が非常に多いので、困ります。医薬品の正しい使い方を誰がいつ、どこで教えたらよいのか、考えなくてはいけないと思います)

○意見(非常にわかりやすいようですが、エッセンシャルドラッグが選定された根拠をより詳細に記述して頂ければ価値が高まったでしょう。)

○意見(たくさんのくすりを覚えることにばかりがんばってきましたが、エッセンシャルドラッグを読んで、目からウロコの思いでした。)

○意見(克明な説明と真摯な研究心が表れており、興味深く拝読した。また日常の薬品に対する注意を深刻にした次第である。)

○意見(とても有用だと感心しながら使用しています。訳者の努力に感心しています。アメリカ医師会(AMA)では古くから作用機序まで説明したものを出していますが、日本にはまだありません。不便です。使い勝手はPDRのスタイルのほうが良いです。公正に取り扱えれば、製薬会社の協力も良いと思います。)

○意見(必須医薬品方式の薬の選定は大変良いと思います。より安全、より有効、より安価な医薬品がもとめられねばならないと思います。)

○意見(簡潔明瞭で本の大きさも手ごろ、訳者注が役立つ)

○意見(極めて貴重な本である。日本の医療を見直すためにおおいに役立つことを期待している。)

○意見(本当に必要な薬がこんなに少ないのかと驚きました。ドクターとMRの結びつきが強い日本では、まだまだ医療費の高騰は続くと思う。必要のない薬がいっぱいありすぎ。)

○意見(リウマチ病で通院しています。過去に服用した薬が薬品会社の請け売りであったことが判りました。最近、医薬分業が多くなったようですが、医師の指示と違う投薬をする薬局があるのではと思っています。このような場合、立証は難しいと思いますが、申し立てを受けてくれる機関はあるのでしょうか。)

○意見(ずっと手に入れたいと思っていたエッセンシャルドラッグリストが出版されてうれしいです。日本版の構想もあるとか、楽しみにしております。一般主婦ですが、薬に興味をもち(娘が薬剤アレルギーなので)、ドクターにいろいろ質問を続けているとかなり詳しい説明をしてくださるようになりました。これからは一般名での会話をこころがけます。私にとってジクロフェナクナトリウムはエッセンシャルドラッグです。ひどい生理痛を止めてくれるのは他にありません。近藤誠さんが、がん治療、抗がん剤について孤軍奮闘です。世界のがん治療についての一般的な本の出版を望みます。)

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