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  再発・転移の話をしよう


祝 菊池寛賞受賞!
近藤誠先生が「乳房温存療法のパイオニアとして、
抗がん剤の毒性、拡大手術の危険性など、
がん治療における先駆的な意見を、一般人にも
わかりやすく発表し、啓蒙を続けてきた功績」により、
第60回「菊池寛賞」を受賞されました。

再発・転移の話をしよう

近藤 誠+イデアフォー 著  (イデアフォーの HP)

1,500円 四六判 288頁 978-4-385-35552-8

“本当のがんの話をしよう”そして安心して長生きしよう。転移はいつ起きる?検査は?再発後は?乳がんを素材に医師と患者が本音で語る『患者と語るガンの再発・転移』の増補新版。他のがんの再発・転移も解説。

2003年11月20日 発行

目次 本書の流れ あとがき 読者カード(最終更新日 2006.2.8)



●目  次

本書の流れ 
まえがき

第1部 乳がんの再発・転移

1 がんの一生

『早期発見おめでとうの1センチ』で10億個のがん細胞
がんの誕生
がんの一生から見ると、気づいた時はもう熟年!
大きくなるとがんも成長スピードが落ちる?
あわてなくてもいい

2 あなたは本当にがんだったのか

がんの定義って、そんなにあいまいなの?
本物のがん、偽物のがん、そして『がんもどき』
集団検診は『がんもどき』をたくさん治療してしまう?

3 転移のメカニズム

転移するがん、しないがん、誰にもそれはわからない
転移って、あとから起きるんじゃないの?
転移は原発がんが見つかるずっと前から『ある』
ほっといても転移しないものは転移しないんだ
再発と転移のちがい
『いきなり大きくなるがん』は転移しやすい?
さすらいのがん細胞
基底膜を溶かす能力がないと転移できない
鍵と鍵穴が合わないと転移できない
原発なき転移
転移能力は遺伝子が決めている?
遺伝子を調べれば治療に応用できるか?

4 抗がん剤のメカニズム

微小な転移をたたけるのは抗がん剤だけ
副作用強いほど効いているって本当?
副作用は警告アラームだから、消すとかえって危険
がんも身の内。体が先にまいっては元も子もない
転移には抗がん剤は効かない?
抗がん剤は注射・点滴で一気に。だらだら使ってはだめ
がんという暴走列車を脱線させられるか?
なぜ日本でだけ『飲む抗がん剤』が全盛か?
分子標的薬について

5 放射線のメカニズム

放射線の追加照射は重大な危険を招く
放射線のおまけなんていらないわ
放射線治療したあとで妊娠しても大丈夫?
こちら立てればあちらが立たず
放射線をかけたのに、なぜ乳房に再発するの?
放射線は同じところに2度はかけられない

6 手術のメカニズム

手術をしたのに、なぜ乳房に再発するの?
リンパ節を取らなかったけど大丈夫?
リンパ節は防波堤か、がんの発進基地か?
リンパ節転移があっても必ず転移するわけじゃない
早く手術しないとがんが飛ぶ?
手術の時に転移する危険があるなんて
治療方法がよく変わるのはなぜ?
家族の無念、医者の無念

7 治療後はふつうに生活

ホルモンに関するがんはセックスすると転移する?
抗がん剤治療をしたけど妊娠しても大丈夫?
閉経したけど、がんの成長を抑えるのには有利?
タモキシフェンはいつまで飲んだらいいの?
バランスよく食べて太らないこと
再発・転移の予防はできないの?
免疫力を高めるとがんも元気にしてしまう?
めざす作用は不明、はっきりしているのは副作用
同じものばかり食べると危険?
民間療法も『作用』があるなら『副作用』があるはず

8 検査はどうするか

検査のストレス
転移は自覚症状が出てから対処すればいい
無理して早く見つけてもゴールは同じ
単発の転移なら治療できる
肺転移は症状が出にくい
転移か新しいがんかの区別は難しい
転移しやすい臓器・しにくい臓器
転移の徴候となる痛みってどんな痛み?
『検査の宿命』
『腫瘍のマーカーになってくれたらいいな』という程度
レントゲン検査で放射線を浴びても大丈夫?
検査はしてほしい、だけど検査のデメリットが心配
『何でもない』で済まさないで
診察の間隔はどうしたらいいのか?

9 もし再発・転移したら

乳房に再発・転移したら
肺に転移したら(肺転移)
胸水がたまったら(胸膜転移)
肝臓に転移したら(肝転移)
骨に転移したら(骨転移)
脳に転移したら(脳転移)
腹水がたまったら
痛みはがんの進行度合とは別。がまんしたら損
モルヒネはふつうの鎮痛剤より安全。副作用は便秘
モルヒネはこわい? 中毒になる? 命を縮める?
モルヒネは痛みが取れるまで増量してかまわない
何も効かない苦痛は意識を下げる

10 長生きして楽に死のう

転移とわかったら体力維持を考える
症状が出ても入院しないほうが楽
転移してもすぐ死ぬわけじゃない
余命なんてあてにならない
『まだ何か治療したい』とあきらめきれない時は
患者が民間療法をするのは自由、医者が勧めたら詐欺
亡くなる1週間前まで歩いて外来に来られる
昔はみんな家で亡くなったんだから
『花の下にて吾れ死なん』自宅で迎える静かな死

11 がんで死ぬのは自然、治療で死ぬのは不条理

一か八かの大手術に賭けるのは危険すぎる
効かない抗がん剤治療を続けると命を縮める
大病院では末期に抗がん剤の実験台にされる?
薬の名を聞いて『新薬』なら断ろう
よぶんな点滴で、ベッドの上で溺死する危険もある
末期の『儀式』は拒否すると伝えておこう

12 たかががん、されどがん

がんは老化の一種。細胞は昔、一度転移した?
がんは遺伝子に仕掛けられた時限爆弾
気力には副作用がない!

第2部 他のがんの再発・転移

1 再発・転移の対処法

用語の整理
再治療法の候補
(1)手術  (2)放射線治療 (3)抗がん剤治療 (4)免疫療法

2 がんの初発部位別、再発・転移のポイント

急性白血病 慢性白血病 悪性リンパ腫
脳腫瘍   頭頸部がん 上咽頭がん  中咽頭がん
舌がん   喉頭がん  下咽頭がん  甲状腺がん
肺がん   食道がん  胃がん    大腸がん
肝臓がん  胆道がん  膵臓がん   腎臓がん
膀胱がん  前立腺がん 子宮頸がん  子宮体がん
卵巣がん  睾丸腫瘍

あとがき 
索引

 



 ●本書の流れ

 …本書は次のような意図で構成してあります

第1部 乳がんの再発・転移

1【がんの一生】

 1センチのがんは「早期発見!」と喜ばれるのがふつう。でも、がんの一生から見るとすでに熟年。がんが若くて元気なうちに、もう人の運命は決まっているのか?

2【あなたは本当にがんだったのか】

 「早期がんの治癒率は100%近い」というが、がんは「悪性」の代名詞なのだから、どこか変だ。本物のがんとは何か? 早期発見されているがんとは何かを考える。

3【転移のメカニズム】

 「手術したら転移が予防できる」? それなら、乳がんで、乳房を全部取ったのに、患者さんの3割が転移で死亡するのはなぜか? 転移のメカニズムに関する最新の理論では「転移はすでに初回治療の時に存在している」という。

4【抗がん剤のメカニズム】

 抗がん剤は大多数の患者さんにとっては単なる『毒』。抗がん剤が効かないがんが圧倒的に多い。抗がん剤が有効とされるがんでも、効かなかった人には、やっぱり『毒』。しかし医者は抗がん剤を勧める。患者さんの側から拒否しないとだめ。

5【放射線のメカニズム】

 放射線治療は、臓器をごっそり取る手術に代わってがんの初回治療としてもだいぶ使われるようになったが、使い方によって毒にも薬にもなる。医者が語りたがらない危険とは?

6【手術のメカニズム】

 「生検してメスが入るとがんが飛ぶ」そう言って医者は手術を急がせる。それなら「手術が一番危険」になるのでは? リンパ節を取っても転移は防げないのに、医者にリンパ節をごっそり取られて患者さんは後遺症に苦しむ。

7【治療後はふつうに生活】

 治療後も、再発・転移が心配で、何か民間療法をやっている患者さんが多い。民間療法にも『作用』があれば『副作用』がある。本当にそれが自分の体に必要なのか?

8【検査はどうするか】

 検査は、見つけて治療して、それで治ってこそ意味がある。でも、治る再発・転移は少ない。役に立たない検査を頻繁にする意味があるのか? 人は検査のために生きているわけではない。

9【もし再発・転移したら】

 再発・転移は治せないのが原則。例外は少ない。しかし治せないまでも、苦痛を取り除く治療法は多々あるし、在宅で過ごせる。それがわかれば安心できるのでは?

10【長生きして楽に死のう】

 再発・転移しても、すぐ死ぬわけじゃない。今日元気なら、明日には死なない。体力を保って、1日1日を積み重ねて長生きすることが大切。そのためには、患者さんの側に、知識と努力が要求される。

11【がんで死ぬのは自然、治療で死ぬのは不条理】

 人は悲惨な終末期を迎えるために生きてきたのではないはずだ。それなのに、なぜ、病院に入ったがために、苦しい死を迎えなければならないのか? 患者さんにも家族の方にも、これだけはやってはいけませんよと注意しておきたい。

12【たかががん、されどがん】

 がんは老化現象。世代交代を図るために、自然界が用意した自爆装置。言いかえれば「運命」。運命とは、とことん闘ってはいけないのでは?

第2部 他のがんの再発・転移

1【再発・転移の対処法】

 再発・転移をつらぬく原理はどのがんでも同じ。対処法は似てくる。

2【がんの初発部位別、再発・転移のポイント】

 人間の体は、治療を受けることを予定して進化してきてはいない。だから治療に対して非常にもろい。寿命を縮めないベターな選択とは何か?

 



 ●あとがき

 本書は『患者と語るガンの再発・転移』(94年初版)の改題・増補新版です。

 初版刊行の発端は、ある乳がんの患者さんの経過でした。

 その患者さんは、再発・転移なく数年を過ごしていましたが、ある時、背中が痛くなりました。それまで好調だったので、『大丈夫、なんでもない。乳がんとは関係ない』と自分で判断し、私の外来には受診せず、近くの開業医のところへ通いました。ところが、それは脊椎への転移であり、数ヶ月たつうちに進行して脊椎のなかを通っている神経を圧迫し、とうとう下半身マヒになってしまったのです。

 私は、再発・転移について、もっと詳しく患者さんに説明しておくべきだった、と反省しました。私は医者の中では、患者さんによく説明するほうだと思っていましたが、再発・転移については説明が不足していたと認めざるをえませんでした。それで、自分の知っていることや考えていることを、洗いざらい書いてしまおうと決心したわけです。

 また、もうひとつの発端は、私が乳がん治療について最初の問題提起をした本『乳ガン治療・あなたの選択』(90年刊行)の編集を担当した編集者との会話でした。私は医療における数々のタブーをなくしてきたつもりですが、自分自身のうちにタブーを抱えていては、患者をひどい医療から解放できないし、患者を尊重したことにもならない、私自身も解放されない、と気づかされたのです。

 しかし、ありのままに話すといっても、医者が一方的に話す形では、伝えたいことも伝わりません。そこで、乳がんを経験したイデアフォーのメンバーと一緒に、実際に何回か『再発・転移の勉強会』をしました。すでに治療を終えた経験者や、治療中の患者さんに質問や言い分をぶつけてもらい、医者も患者も本音で語り合って得た声を土台にして構成したのが本書です。

 初版刊行から約10年、幸い、長らく、たくさんの方々に読んで頂くことができました。

 この間、いろいろな臓器がんで手術の縮小化が進み、手術しないで放射線治療を受ける患者さんも増えてきました。全国の乳がん治療の中で乳房温存療法が占める割合は、2000年に4割だったので、今では5割を突破しているでしょう。

 しかし、再発・転移の治療法には、大きな変化はみられません。患者さんが抱いている、再発・転移に対する誤解や不安も昔のままのようです。私の、再発・転移に対する考え方も大筋においては変わっていませんが、乳がん初回治療時の抗がん剤治療に対する評価は、「微小な転移が治ることがある」から、「延命効果だけかもしれない」に変わりました。その点を加味して全体を書き改めました。

 また、本書第1部は、患者さんとの会話の形式をとっていますが、この10年間に生じた変化や新たに発表された医学データと整合するように、手直ししました。第2部の「他のがんの再発・転移のポイント」は全面的に書き直しました。

 また、新版にあたり、共著者としてイデアフォーの名前を入れました。イデアフォー会員たちとの対話がなければ本書が生まれなかったことを明確にするためです。新版にあたっては、イデアフォーの世話人での1人である中澤幾子さんに協力してもらいました。

 なお、再発したあとの患者さんの実際の生き方としては、21人の再発乳がん患者さんの手記を集めた本『再発後を生きる』(イデアフォー編、三省堂、2003年刊行)が参考になるでしょう。

 最後になりましたが、「先生、お先に」と言って旅立っていかれた人たちに、あらためて、お礼を言いたいと思います。本書で話した私の日常診療上の考え方は、患者さんの生き方や考え方から教えられたものがたくさんあります。

 本書に記した事実の中から、読者が、自分に合ったがんとのつきあい方を見つけられ、よりよい人生を過ごして頂けることを願っています。

2003年10月16日

著者を代表して  近藤 誠

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