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  茶道ハンドブック 新版


茶道ハンドブック 新版

田中仙翁せんおう

1,500円 A5変 272頁 978-4-385-41054-8

茶道を学ぶ人、茶の湯の知識をさらに深めたい人のための小事典。茶道の歴史から茶の種類と点て方、茶道具の使い方、茶事の心得、茶室と露地までを約400点の写真・イラスト・表でわかりやすく解説。

『茶道入門ハンドブック』1993年 7月 1日 発行
『茶道ハンドブック 新版』2007年 4月25日 発行

著者紹介 新版の序 はじめに 目次 見本原稿(茶の種類と点て方) 見本ページ1 見本ページ2
ハンドブック・シリーズ




●著者紹介

田中仙翁(博民 ひろみ)

昭和三年(一九二八)生まれ。大日本茶道学会の創始者田中仙樵の孫。早稲田大学大学院東洋哲学科修了。昭和三十六年、大日本茶道学会の会長に就任。財団法人三徳庵理事長。日本航空、朝日カルチャーセンター、NHK文化センター等の講師のほか山村女子短期大学(国際文化科)の非常勤講師も務める。月刊誌『茶道の研究』を主宰。著書に『茶道具入門』、"THE TEA CEREMONY"、『茶の本 用と美』『茶の美入門』『茶道端言』『茶を学ぶ人のために』『茶掛けの見方』『茶道の美学』などがある。



●新版の序

 最近は茶道に関する知識を求める声が強くなってきたという。

 そう言われてみると、日常的なもので茶道に関連するものは極めて多い。

 建築、庭園、器具、陶器、掛物、それに付属する道具類など、総てその影響下にある。

 これらは日本人としてぜひ知っておきたい事柄であるが、ともすれば時流におされて過去のものとされ、やがては忘れられてしまう危険性がないとも言えない。

 この本は、一九七一年に講談社から出版した『茶道入門』を基にして執筆した、一九八六年刊行の『茶道入門事典』(三省堂刊)から始まっている。

 さらに総合的な視野から見直して、一九九三年に『茶道入門ハンドブック』として再発行したのが本書であった。

 初版以来、発行所である三省堂編集部の協力の下に版を重ね、改訂を重ねてきたが、このたび内容に厳密な検討を加えて加筆修正し、新版として出すことにした。

 本書が機縁となって、茶道文化への理解をさらに深めていただければ幸いである。

  平成一九年三月

田中仙翁



●はじめに

(『茶道入門ハンドブック』より)

 “茶道は総合芸術である”といわれる。厳密な意味で総合芸術であるか否かは別にしても、茶道が日本の生活文化と深いかかわりをもっていることは事実である。

 抹茶の飲用という異国の習俗の伝播とともに、美術や工芸などの優れた文物がもたらされ、それらは日本の工芸や産業に多くの影響を与えた。室町時代の末から盛んになった茶の湯は、そういう異国の文化を十分に摂取し、日本の伝統との調和をはかりながらさらにきめ細かい独自の様式を育てていったのである。

 最近、茶道に対する関心が高まり、茶道を学びたい、茶の湯について知りたいという人がふえているのも、日本の文化を考えるうえで、茶道がいかに大きく深いかかわりをもっているかが知られてきたからであろう。本書はそういう要望にこたえるものとして企画されたもので、ごく基本的な茶道に関する事項−歴史、建築、庭園、茶道具−などについてまとめたものである。編纂にあたって多くの先学の業績を参照させていただいたが、主としてこれまでの自著を中心に構成した。

 本書が手がかりとなって、一人でも多くの方が茶道に親しみを持ち、日本の文化や芸術と茶道とのかかわりについて心を寄せていただけるようになれば幸いである。

田中仙翁



●見本原稿(茶の種類とて方)(図版などは省略)

■緑茶の種類

 茶には、紅茶のような発酵茶と烏龍茶のような半発酵茶などもあるが、茶道に使われる緑茶は不発酵茶である。

 茶道用の緑茶は、新芽が伸び出すと茶の木に覆いをして栽培し、摘み取った葉を揉まずに蒸して乾燥する。 これが碾(ひき)茶で、必要に応じ茶臼で挽(ひ)き、抹茶として茶の湯に用いる。

 抹茶は大別して濃(こい)茶と薄(うす)茶とに分けられる。

 濃茶は、三十年以上、七、八十年ぐらいの樹齢を経た木の新芽を摘む。

 発芽の半月ほど前から、茶の木に葦簀(よしず)などで覆いをして直射日光をさけ、発芽した若葉の先だけを摘みとる。これを乾燥し手で揉んで押し潰すと濃茶用の葉茶になる。

 薄茶は樹齢が三年から十五、六年ぐらいの木の新芽を摘んだものである。

 旧暦の三月二十一日、つまり立夏から数えて八十八日目に当たる頃に茶を摘む。その前に摘んだ茶を初昔(はつむかし)、その後に摘む茶を後昔(あとむかし)と呼ぶ。

 茶銘は、もともと茶畑の地名や呼び名から付けられたものである。今日では発売元が宗匠などに依頼して名付けるので、同じ茶でも店によって名称が異なる場合が多い。

 濃茶の畑は全体を囲って覆う。特に新芽が伸び始める頃には、茶の木の上に覆いをし日光を遮り特別に仕上げる。

 昔は初夏に新芽が採れると、山の洞穴などに保管した。そして、秋には茶人の持つ茶壺に濃茶と薄茶を詰め、封印をしたものである。

 濃茶用の葉茶は、二十匁(もんめ)、およそ八十グラムぐらいを紙の袋に入れて二、三袋から七袋ぐらいを壺に収め、その回りに薄茶を詰める。

 この壺は茶壺である。茶壺にルソンの壺が使われたのは、壺に通気性があって茶の保存に適していたからであろう。

 袋に入れる葉茶は、銘の異なるものを何種か選び、茶箱の蓋裏(ふたうら)に銘と分量と摘んだ日付を記入し、茶師の花押(かおう)を認めた紙が貼(は)られる。

■菓子の取り方

 薄茶をさしあげるときには、その前に菓子を出す。略式に、点前なしで薄茶を接待するときにも、まず菓子を出す。

 客は、菓子を勧められれば、遠慮せずにいただく。亭主側の人も客が食べやすいように、「どうぞ召し上ってください」などと声をかける。

■銘々菓子器の場合

 菓子は、漆器の器などに生菓子を一つづつめいめいがしき銘々菓子器に入れてさし出すことが多い。 このような場合は、添えられているようじ楊枝を使い自分のかいし懐紙(かいし)に取っていただく。

 懐紙を持っていない場合には、そのことを言って亭主側から借りて使うとよい。

■菓子鉢で出された場合

 客の人数が多いときは、大きな菓子鉢に菓子を盛って出すことが多い。

 そのときは、持参した懐紙に取っていただく。

■干菓子の場合

 干菓子を出すときには、菓子が一種類のときもあるが、二つで一組みになっている場合がある。そのときには、一組を取っていただく。

 菓子の種類が、四種類も五種類もあるときには、二種類ぐらいにして、菓子は手で懐紙に取る。このようなときは、茶が客に一巡したところで、「もう一服」と勧められることが多いので、そのとき別の菓子を取る。

 正式な茶の湯の場合には懐石料理でもてなし、最後に主(おも)菓子(濃茶の菓子)を出す。

 客はこれを食べて、なかだち中立ちし、口をすす濯いでから迎え付けを受けて改めて席に入り、濃茶の点前が行われる。

■菓子を取る時機

 薄茶の場合は、亭主がお茶を点てようとして棗(なつめ)の上にある茶杓(ちゃしゃく)に手を掛けた頃がよい。

 普通の茶会では、正客(しようきゃく)とく次客(じきゃく)は点前のお茶を飲み、三客以下には、陰から点てて出されることが多い。

 この場合は、菓子器が回ってきたらつぎれい次礼(つぎれい)して、菓子を取って食べる。

 器に盛ってある菓子を皆で取り回すときには、菓子を取った後が乱れないように注意して取る。

■薄茶の点て方

 茶碗を温めて拭いた茶碗に薄茶を入れる。

 薄茶の量は、茶杓で二杓であるが、この量はだいたい、一・二グラムから一・七グラムぐらいになる。

 茶に注ぐ湯の温度は、七十度〜八十度が適当とされている。しかし、外気温度や気候に合わせて加減することが望ましい。

 湯の量は、四十CCから六十CCで、相手や場合に応じて対応する。

 茶の量が多く湯が少なすぎると、苦みが強く、慣れてた人でも飲みにくいものである。

 自分も飲んでみて、どのくらいの濃さのお茶が飲みやすいかを経験しておいた方がいい。

 お茶を飲み慣れた人には、すこし濃い目の茶を点てるようにし、あまりお茶を飲んだことのない人には、やや薄いお茶を、などの心配りが必要である。

 湯を汲むには柄杓を使うが、点茶のために湯を汲むときには柄杓に一杯の湯を汲む。

 柄杓のごう合の大きさは、本来は亭主が注文して作っていたから、その好みで決まっていた。そのため傾け方によって自由に調節できた。しかし、今日では注文して作るのは、献茶のときくらいになってしまった。となると、市販の品の合の容量などを知っておく必要がある。

■茶筅(ちゃせん)の使い方

 茶筅を写真のように右手で軽く持って、左手で茶碗を軽く押さえる。

 右手には力を入れないで、肘から茶筅までを真っ直ぐに伸ばして、茶筅の重みで茶筅を振る。初めの二、三振りくらいは、茶と湯を馴染ませるつもりで、茶筅を底の近くで小さく振る。茶と湯が混ってきたら、茶筅を少し持ち上げながら、七、八回軽く振る。

 茶筅は、斜め右向こうのあたりから左手前の方に向かって振り、次第に茶筅を持ち上げる。ほさき穂先が湯の上部に近づいてきたら、茶筅を振る向きを変えて、これまでと直角になるくらいにして小さく振り、表面を仕上げる。

■濃茶の点て方

 温めた茶碗に、一人前が3グラム前後の濃茶を入れる。しかし、一人前だけを練ると濃茶の味がよくないので、ふつうは五人前分を練る。

 濃茶は、湯を一度に入れると全体が均一に練れないことが多いので、二度に分ける。 まず、茶がやっと溶けるくらいの量の湯を入れ、茶筅で濃茶と湯とを馴染ませて十分に練る。

 次に湯を柄杓に一杯汲んで、必要な量だけ湯を足して、濃茶を適当な濃さにする。

 濃茶は薄茶と違って、点てると言わずに練ると言う。しかし、あまり茶筅でこ捏(こ)ねまわしていると、茶の風味を損ねるので手早く仕上げる。

■客の動作

 茶碗が出されると、客は取り込む。

 濃茶の場合は、普通、古帛紗(こぶくさ)を添えるので正客は茶碗とともに古帛紗を持って席に戻る。 そして、次客との間に茶碗を置き、古帛紗を添えて、客だけで総礼(いっせいのお辞儀)する。

 「ご一緒にいただきましょう」の意味である。

 次に正客は茶碗を取り上げて持ちながら、亭主を見てもくれい黙礼をする。

 そして、茶碗を回して正面を避けてから、一口飲んで濃茶を味わうのである。

 ここで亭主がお服加減を尋ねるので、正客は「結構です」などと挨拶する。

 何人かの客が飲む場合は、前の客が一口飲み落ち着いた頃、次の客に「お先に」と一礼する。

■濃茶の喫(の)み方

 濃茶は、ふつう一人の分量が三口半と、量の目安がだいたい決まっているので、そのつもりで飲む。 飲み終わった茶碗は下に置き、飲み口を拭き、茶碗の正面を次の人に向けて受け渡しをする。

 茶碗の口をつける箇所は、なるべく正客の飲んだところから飲み、茶碗を汚さないようにする。 そして、末客が茶を飲み終わったならば、正客は末客に、「お茶碗拝見」と声をかける。

 末客は受けて飲み口を拭いて、茶碗の正面を元に戻し正客に茶碗を届ける。

 場合によっては、給仕が取り次いでくれ、茶碗を水屋で清めてから持ち出すこともある。本来は、飲み跡をそのままで拝見し、茶の練り跡も鑑賞する。

 茶碗は正客から順次拝見して亭主に戻す。

 亭主は茶碗を取り込んで総礼する。

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