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新・判例コンメンタール 民法 別巻
はしがき

 成文法主義と非成文法主義,法典主義と判例主義の対立は広く知られている。しかし,民法におけるパンデクテンシステムとインスチツチオーネンシステムとの対立は意外に知られていない。わずかに,ドイツ法主義とフランス法主義の対立として,特に物権変動の効力の問題として表面化する程度である。わが国の民法学者にはドイツ法系・フランス法系・英米法系という分類が可能だが,解釈論争での対立には発展しない。解釈の深浅度に反映される程度である。

 総則・物権(債権)・債権(物権)・親族・相続に分けるパンデクテンシステムは,高度の訓練をした者以外,正確に理解することは困難といわれる。特に,明治23(1890)年制定・公布のフランス法系「旧民法」が旋行されずに終り,代って登場した明治29(1896)年の現行民法がドイツ法系に属し,かつ現行ドイツ民法と制定年次を同一にしながら,中味は現行ドイツ民法がのりこえた1888(明治21)年のドイツ民法第一草案をモデルとしたうえ,さらに親族・相続の部分についてはわが国の江戸期における家族制度の再生・維持・継続を柱にしたため,物権・債権の近代型取引法との間に大きな落差を生じていた。

 昭和20(1945)年,終戦とともにはじまった民主化・近代化の立法・学説の大波は判例の流れを変えた。さらに,昭和40年代(1960年代)から高まった経済成長は,法学者の国際交流を活発にして,法理論や判例の先進国化をもたらし,法学領域における伝統的発想を衰退させた。

 判例は解釈理論の総合であるともいわれる。しかし,ひとつひとつの判決には,合議体を構成する一人ひとりの裁判官の想念の複合が示されている。分りやすくいえば,辛口・甘口・中辛という分類ができよう。しかし,その味付けには,時代思潮が反映されること,ダイシーの説くとおりであろう。同一条文に関する判例を明治・大正・昭和・平成と並べてみると,それが理解できるのではないであろうか。

 判決には法典の制定年次と反比例することが多い。法典が古ければ古いほど,判決に新鮮さが求められる。そこに,判決が判例に昇華し,光彩を放つ根源がある。しかし,実際の判例には,照明力・輝きに強弱がみられる。判例の射程といわれるものである。星にたとえると,いっそう分りやすい。北極星や北斗七星のような判例はリーディング・ケースとして輝きつづける。時には,その裁判官の名が,法学史上,さらには一般史上にまで刻印され,讃えられる。 しかし,判例をして判例たらしめる基底はやはり事実である。事件の本体である。どんなに優れた裁判官でも,それにふさわしくない事件にめぐり合わなければ,大判例を創像することはできない。判決は事実によって方向づけられる。後の引用者が,この点を忘れ自己に有利な点のみを読みとろうとする誤りを自戒しなければならないであろう。それは,敗訴を避ける賢明な道でもある。

 本巻は,全15巻の総索引である。前記のように,日本の民法典は日本社会の近代化への過程の中で,おびただしい判例を集積してきた。日本の民法は判例法主義に変っているとの見かたもある。判例を抜きにして民法を語ることはできない。私たちは,このような情況に注目しながら,今や生ける法の代名詞となった判例を整理させて頂いた。その大半は執筆された先生方の御努カに負うものであることはいうまでもない。また,いつも縁の下の力に徹し,私たちの作業を支えてくれた三省堂編集部の皆さまのおかげでもある。そして又,何よりも,本シリーズ全巻を温く,時には厳しく見守って下さった読者のおかげであることも強く感じる次第である。このはしがきで私たちの作業は完了した。読者諸賢の更なる御教示を仰ぎたい。

1994年5月

篠塚昭次
前田達明

島津一郎
久貴忠彦

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