書名 漢字 よみ 著者名 漢字 よみ
さらに詳しく検索

新刊・近刊  トップ・ページ  辞書  電子出版  一般書  六法・法律書  教科書  参考書  教材  品切一覧

法律書ジャンル別案内
六法・辞典・シリーズ  憲法・法学一般  行政法・教育法  民事法  商法・経済法  刑事法  労働・社会法  国際法・法律実務書  資格試験対策 
法律書・六法 品切一覧   新・判例コンメンタールに戻る

新・判例コンメンタール 民法10
はしがき

 本シリーズの旧版「判例コンメンタール」の「民法 IV 親族」,「民法 V 相続・渉外家族法」が島津一郎を編者として刊行されたのは1978年であった。数年後には増補版が出され,それらは幸いにも多くの方々に受け容れられてきた。このたび全面的に装いを改めて「新・判例コンメンタール民法」として刊行されるにあたり,新たに久貴忠彦が編者に加わった。本巻は親族編の最初の巻である。

 明治31年の民法第4編親族・第5編相続を全面的に改正して現行規定が施行されたのは昭和23(1948)年であった。そして,同年,これと密接な関係をもつ家事審判法が施行され,現在の家庭裁判所の前身ともいうべき家事審判所(および少年審判所)が誕生した。それからはや四十数年が経つ。その間,日本人の家族生活のあり方は大きく変わり,また,婚姻観・離婚観・親子観,さらには死生観など家族をめぐる諸問題についての人びとの考え方にも大きな揺れや顕著な変化が生じた。いま,家族は,そして家族に関する法は,激動のさなかにあるといえよう。そして,そのような変化や動揺は,一方で僅かとはいえ民法の改正をもたらしもしたが,他方,少なからぬ数の家事紛争を生ぜしめ,そのうちのあるものは判例として私どもの前に現われた。

 もっとも,同じように民法の判例といっても,いわゆる家族法すなわち親族法・相続法関係の裁判例は財産法におけるそれとはかなり異なる色合いをもつことを否定できない。たとえば,離婚を例にとろう。協議によって離婚という結論に達しえなかった夫婦は,次の解決手段をいきなり通常の訴訟に求めることはできず,まず家庭裁判所に調停の申立てをしなければならないとされる。調停前置主義である。そして,調停は非公開であり,合意ができて調停が成立したのちでも,調停調書が公にされ内容が明らかとなることはない。調停――そして,離婚にあってはとくにきわめて例外的としか評しえない数の審判――によってもなお解決に達しなかった場合にはじめて,離婚は訴訟によって争われることとなるが,その数は年間の離婚総件数の僅か1パーセントにすぎない。離婚事件の判例として一般の目にふれるのは,このような限られた局面での限られた数の事件であるが,それらが当事者間の協議や調停における合意に与える影響は,軽視することができない。さらにまた,婚姻にしても親子にしても、親権や扶養にしても相続(これは財産法としての性格が強いが)にしても,家族や家庭をめぐる複雑多岐な紛争の数々は,やはり調停によって解決されることが少なくないが,財産法の場合と異なるもう一つの特色は,家事紛争の解決には家庭裁判所の審判が大きな役割を果たしているということである。そこで,本書では,判決や決定と同様に,審判にも十分な配慮をし,重要なものはこれを積極的に取り上げることに意を用いた。これによって,現代家族法の諸相がより鮮明になったものと思われる。

 新版の編集にあたって私たち編集委員は三省堂と慎重な協議を重ねた結果その基本的コンセプトを旧版の“判例をもって条文を語らしめる”というところにおきながら,主な「読者を法曹実務家、専門研究者と定め,最新の実務判例を,あらゆる角度から取り上げ,参照判例を含めて戦後の重要判例の大半を,しかもそれらの判例評釈などの文献を網羅的に検索できる,実務判例データベースをめざした」。そして,旧版同様,執筆者には,研究者のみならず,第一線にあって重要な役割を担っておられる多くの法曹実務家に加わって頂いた。もともと家族法研究の分野では,早くから研究者と実務家との協同作業が盛んであり多くの成果をあげてきているが,本書にもそれが反映できれば幸いと考えたからである。この新版が,旧版にもまして多くの読者諸賢に温かく迎えられることを切に希っている。

 最後になったが,公私ご多端の折にもかかわらず貴重な時間を割いて快く筆を進めて下さった執筆者の方々,ならびに,企画の段階から献身的な努力を重ねて下さった三省堂編集部の皆様方に,心からお礼を申しあげる次第である。なお,索引作成作業を引き受けて下さった大阪大学助教授床谷文雄氏にも厚くお礼を申しあげたい。

1991年12月

島津一郎
久貴忠彦

このページのトップへ

トップページへのアイコン




Copyright (C) 2006 by SANSEIDO Co., Ltd. Tokyo Japan