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新・判例コンメンタール 日本国憲法1
はしがき

 日本国憲法によって,裁判所が違憲法令審査権を行使するようになったことは,日本の法制度の変革のなかでも,極めて重要なものの一つであった。この憲法は国法秩序のなかで,最も強い効力をもつ規範であるが,それにとどまらず,基本的人権保障の理念と密接不可分に結びついた最高法規である。最高法規である憲法が,法律などの下位の法規範によって脅かされ,歪められるような事態を,事後にではあるが,是正する役割をになっているのが,違憲審査制である。

 違憲審査制の運用が始まってから,はや半世紀に近い年月が経過した。この間に生み出された憲法判例の数は,ますます多くなってきた。広い意味の憲法判例というのは,民事・刑事・行政事件などの通常訴訟において,違憲性の主張がなされた訴訟に関する判例である。憲法に関する判例は,のちの憲法判決にたいして事実上の拘束力を有するものである。

 では,憲法判例によって,日本国憲法の最高法規性が,いかなる意味で確保されてきたといえるのか。あるいは,いかなる領域で,最高法規性が確保されてきたといえるのか。いかなる領域で,不十分であったのか。その認識と評価は,各論者の間で,おそらく厳しく分かれるであろう。しかし,この違憲審査制の運用の実際をみると,統治活動と人権保障の営みにおいて,憲法規範を真に実定化するためのさまざまな努力が,裁判所や訴訟当事者たちによって,持続的になされてきたことをうかがうことができる。憲法判例の姿を真によく知らない人は,違憲審査制を十分に活用することもできないであろう。

 本書の第1巻は,憲法の前文から第21条までを扱っている。「前文」では,平和的生存権の裁判規範性を含む諸間題がとりあげられている。第1章「天皇」につづく,第2章「戦争の放棄」では,違憲審査制の限界を含むかなり多数の判例が蓄積されている。第3章「国民の権利及び義務」では,〔国民の要件〕から,〔基本的人権の普遍性・永久不可侵性・固有性〕,〔権利の保持責任と濫用の禁止〕,〔個人の専重と公共の福祉〕,〔法の下の平等〕,〔参政権〕などを経て,精神的自由権の重要部分である〔思想良心の自由〕,〔信教の自由〕,〔表現の自由〕が扱われている。

 さて,本書は1977年に刊行され重版を重ねた『判例コンメンタール憲法』の新版である。旧版と同じように,本書においても,寮法判例の配列は,日本国寮法の条文を基礎にしてなされている。まず条文を掲げ,「引用判例」の一覧を示し,「引用判例」に関する「概説」を行っている。だが,それにとどまらず,新版である本書では,参照判例をも含めて,寮法判例のほとんどすべてをとりあげ,また,それらの判例解説などの文献も掲げている。こうして本書は,判例と文献を網羅的に検索できるデータ・ベースとなることをめざしている。

 旧版は,故・有倉遼吉先生が心血を注いで編集,執筆されたものであった。旧版の第1巻冒頭に収められた有倉先生ご執筆の「序説・憲法における判例の意義」は,いまも,その学問的価値を失っていない。(ただし,これの本書への再録は,本書編集の趣旨に照らして,見送ることになった。)本書は,そうした旧版のおおくの遺産を受け継ぐものである。

 三省堂の依頼をうけて編集の責めを負った私たちは,旧版の分担執筆者すべての方々に,この新版の執筆者になってくださるようお願いした。そのほとんどすべての方々が,分担執筆を快諾してくださり,お忙しいなか,「概説」の原稿執筆ばかりか,参照判例や判例解説文献の収集にいたる,実に面倒な仕事を立派にやり遂げてくださった。執筆者の方々に改めて,心から感謝の意を表するものである。また,本書上梓の運びにいたるまで,われわれを督励してくださった三省堂編集部の方々にも,あらためて謝意を表する次第である。

1993年10月

浦田賢治
大須賀明

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