コンサイス 法律学用語辞典
特色と使い方

『コンサイス 法律学用語辞典』に戻る

[ I ] 編修の方針と本辞典の特色

1.時代にふさわしい法学辞典を目指して
  法学学習に、そしてビジネス、日常生活の疑問に応えうる法学百科辞典として、法律学専攻の学生、公務員試験・司法試験・その他各種試験の法律科目を受験する人たちに必要な用語のみならず、行政マン・ビジネスマンの業務に必要な用語、そして一般市民が法的問題に直面したときの参考になる用語を幅広く選定し、めまぐるしく変貌する現代に生きる人々の法学百科辞典としての役割を果たさせることを狙いとした。

2.1万9000に及ぶ項目を収録
 項目選定にあたっては、パンデクテン的視点にとらわれず、こと法学に関する用語は可能な限り広範囲に拾い上げるよう努めた。

 @ 旧来の法律学事(辞)典では、法学とは無関係として捨象されてきた語であっても、現代においては法と無縁では存在しないものが多々ある。政治・経済等の社会科学分野はもちろん、医学・化学・物理学・工学等の科学分野、ビジネス分野、スポーツ・芸能の分野においても法と密接な語が氾濫している時代に、各法分野からトップダウン方式に項目を選定する旧来方式では時代を反映できない、との考えからである。

 A もちろん旧来の辞典同様、実定法・基礎法など講学上の法分野の用語や事件・判例は全て厳選・網羅すべく努めた。その上で、市民の実生活を基点にした用語を拾い上げる作業に労を厭わなかった。特にめまぐるしい発達・展開を遂げるビジネス分野の用語を紙幅が許す限り収録したことは本辞典の一大特色となるであろうと考えている。

 B 辞典類を利用する者にとっての最大の不便は、種々検索しても目的の項目に到達できぬという状況であろう。ヒントにすら到達できず、むなしく辞典を閉じるという経験を持つ読者も少なくないと想像する。この不便を解消するには可能な限り多くの項目を収録する必要がある。本辞典が収録項目数2万に及ぼうとする、法学辞典では空前絶後ともいうべく規模となったのは、このような利用者の不便を解消したいと願ったからである。

3.時代を反映する幅広い執筆者
 近時、象牙の塔から一歩踏み出し、各種審議会や民間主導の研究会へ参画する研究者の数が増えている。行政、そして実業は、研究者の頭脳をなくして展開できぬ時代となったともいえる。同時に法曹界から、あるいは官界・実業界から、大学へ転籍される方々も増えている。実社会ではアカデミズムを、大学では実社会に根ざす知識を、相互に補完し合う時代となった象徴でもある。
この知識の相互補完は、法律学辞典の編修においても求められる。法学部学生を読者対象のメインに置く時代の法律学辞典は、大学教育で「知識を授ける」際に必要な項目を中心に、その周辺領域を補充する形で編修されていたし、また、それで十分だった。辞典の執筆者の多くが法学専攻の研究者が中心だった所以である。
 しかし、あらゆる分野でボーダレス化・専門化が進展した今日、実生活に根ざした法学辞典作成には、急激な変貌を遂げる知的財産権分野、ビジネス分野、行政分野、社会保障分野、国際法分野を中心に、研究者はもとより、官庁ジュリスト、法曹、企業法務、各種専門機関の方々の協力は不可欠である。本辞典では、これらの方々五百数十名の協力を得て成り立った。実生活に根ざした項目選定とビビッドな解説はこれらの方々の労を惜しまぬご協力があって初めて可能となった。

4.まずは用語の意味を知る――項目解説の基本的態度
 @ 一人でも多くの読者に役立つため、一つでも多くの項目を収録したい、という編修方針の結果でもあるが、解説は理論的側面や歴史的背景に重きを置くのではなく、用語自体の意味するところ、概念を理解いただくことに意を注ぎ、平明で簡潔な叙述を心がけた。もちろん、当該項目に関連する根拠法令や学説・判例はできるかぎり引用している。

 A 小項目辞典では、時にして、項目相互間の概念上の位置づけが不明確になることがある。そのような弊を避けるため、本辞典では、当該項目の概念上の位置づけに注意を払う解説を心がけた。

5.記述形式上の特色
 膨大な数の項目を小項目形式で収録するため、各項目解説は可能な限り簡潔にした。解説が長文にわたる場合は内容に応じて別項目を設けたものもある。その際は、項目相互間の関連・異同に特に注意を払った。利用者は、項目相互を比較対照しつつ、有機的・体系的な理解、全体像の理解を追求いただきたい。

6.欧文の多用
 外国法上の概念、グローバル化したビジネス関連用語については、可能なかぎり原文を付すよう心がけた。英米におけるいわゆる法律上のテクニカル・タームの多くは、日本人が中学時代から見慣れたワードで構成されることが多い。法律上の語句であるため正確には様々な枠付けが伴い、内容は難解な項目でも平明なワードの意味を考えることにより、そのイメージを把握しやすいということも多々ある。難解と思われる項目については英和辞典を併用することも一法と思われる。
 また、項目名直後に欧文を付すことにより、別の機能も期待される。特に英米法関連、ビジネス関連用語については、和英辞典の機能も果たすことを密かに期待している。

 

[ II ]編修の形式

A 項目の配列
新仮名遣いによる五十音順の配列とし、次の方針によった。
 @ 長音は、それがないものとして扱った。したがって項目の検索は長音を無視した順序による。
 A 促音は「っ」で表し、その順序による。

B 収録項目について
1.項目の種類
 本辞典の項目には、「A項目(解説を施した項目)」、「B項目(項目名のみを表記し、解説は指印で指示した項目を見よとする項目)」、「参照項目」の3種類がある。

 @ B項目が指示したA項目では、解説中にB項目を太字で表記することにより、検索の便宜を図った。
 A 参照項目は、A項目をより深く理解するために一読を奨めたいと思う項目で、これらは、各項目末尾に掲げた。

2.二通りの読み方がある項目
 読み方に二つの慣用がある項目は、それぞれの順序に掲げ、どちらからでも検索できるようにした。したがってこのような項目の片方は上記でいうB項目となる。
また、項目名が異なり、同じ内容をもった項目は原則としてB項目としたが、異なった視点から解説されているものはA項目として扱ったものもある。

3.複合項目
 複合的な項目は、メインと思われる項目で解説を施し、他は上記にいうB項目として扱った。

C 解説の記述
1.使用漢字・仮名遣い
 @ 常用漢字・新仮名遣いによった。常用漢字以外の漢字および読み誤られやすい漢字には、原則として読み仮名を付した。
 A 読点は、法令名・引用文中のものも含め全て「、」で統一した。

2.複数法領域の解説
 法領域により意味・用例が異なる場合は、以下のように法領域を示すマークを付した。たとえば
基礎法→A 憲法→B 民法→C 知的財産権→W 手形小切手法→?
情報技術→Y 証券取引→c 社会保障→O 会社法→d がその例である。

3.項目解説の基準日
項目の解説基準日は、原則として2002年12月31日としたが、2003年5月31日までに公布された主要法令はフォローし、解説の記述に関係あるものは織り込むよう努めた。

4.法令・判例・条約等の扱い

 @ 法令名項目の解説
法令については正式、通称の双方(通称ないし略称が複数ある場合はその全て)を掲げ、解説は正式名の箇所で施した。したがって、略称名は上記にいうB項目となる。

 A 条約名項目の解説
条約についても正式名、通称ないし略称の双方(通称ないし略称が複数ある場合はその全て)を掲げたが、解説は通称名の箇所で施した。したがって、通称名は上記にいうA項目となる。

 B 法令・条約名とも、類似名称法令・条約と区別するため、法令番号・条約番号を付した(例:昭和23年法律第103号→昭23法103、平成5年条約第1号→平5条1)。

 C 解説中( )で引用した法令については、『模範六法』表紙裏の「おもな法令略記表」に基づき略記し、見慣れぬ法令を除き法令番号は省略した。また、「おもな法令略記表」にない政令・省令・通達・告示等は以下のように略記し、その上に「おもな法令略記表」に基づく法律名を表記した。

 ○法令略記
  規則・規程→規 施行令→施令 施行規則→施規 細則→細 政令→政
  省令→省 通達→達 告示→告 訓令→訓 布告→告 勅令→勅
 ○所管省庁略記 省庁名の冒頭一文字(例:法務省→法 外務省→外)

以上の表記法に従った例を挙げると以下のようになる。
 証券取引法施行令→証取施令

 D 本辞典で解説した判例の出典の略称については、以下の通りである。

 民録―大審院民事判決録  刑録―大審院刑事判決録
 民集―大審院民事判例集、最高裁判所民事判例集
 刑集―大審院刑事判例集、最高裁判所刑事判例集
 裁判集民―最高裁判所裁判集民事  裁判集刑―最高裁判所裁判集刑事
 高民集―高等裁判所民事判例集  高刑集―高等裁判所刑事判例集
 高刑特―高等裁判所刑事判決特報  高等裁判所刑事裁判特報
 東高民時報―東京高等裁判所民事判決時報
 東高刑事報―東京高等裁判所刑事判決時報
 下民集―下級裁判所民事裁判例集  下刑集―下級裁判所刑事裁判例集
 行録―行政裁判所判決録  行裁月報―行政裁判月報
 行例集―行政事件裁判例集  家裁月報―家庭裁判月報
 訟務月報―訟務月報  刑事月報―刑事裁判月報
 労裁集―労働関係民事事件裁判集  労民集―労働関係民事裁判例集
 知的(無体)例集―知的(無体)財産権関係民事・行政裁判例集
 新聞―法律新聞  裁判例―大審院裁判例(法律新聞別冊)  評論―法律評論
 判決全集―大審院判決全集  判時―判例時報  判タ―判例タイムズ
 金融法務―金融法務事情  金融商事―金融・商事判例  登研―登記研究
 労経速―労働経済判例速報  労判―労働判例  労旬―労働法律旬報
 審決集―公正取引委員会審決集

 E 旧法・旧規定の表示 法令名(略語を含む)の前に「旧」とある場合は、旧法令を示す(例:旧民は、旧民法の意)。法令名の次に「旧」とあって条数等が掲げられている場合は、削除されたか改正前の条文であることを示す(例:民旧208は、民法第208条旧規定の意)。

 F 解説中の( )内で引用する法令条文は、同一法令の場合はナカグロ(・)で、異なる法令の場合は読点(、)で区切った。

 G 条文の表記は、条数はアラビア数字で、項数は I 、U、V…、号数は@、A、B…で示した。また、ただし書きは「但書」、連続する3つ以上の条・項・号を引用する場合は、その中間にあるものを省略し、「〜」と表示した。また、枝番号のある条数については、原典どおり片仮名の枝は片仮名で、平仮名の枝は平仮名で表示した。

5.人名・書名の扱い
 @ 人名を項目とする場合には全て生没年を掲げ、外国人名であるときは、併せて原名(姓・名の順)を付記した。
 A 書名については項目名直後に;のマークを付した。

6.外国語の扱い
 外国語項目(外国人名項目を含む)は、原則として、一般に慣用される読み方に従って片仮名で表示し、原語を付記した。

このページのトップへ




Copyright (C) 2006 by SANSEIDO Co., Ltd. Tokyo Japan