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概説 労働市場法

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概説 労働市場法

鎌田耕一 著

2,200円 A5判 224頁 978-4-385-32173-8


労働市場の歴史と機能、その中で職安法・雇用対策法・雇用保険法・職業能力開発促進法・障害者雇用促進法などが果たす役割について解説。人と仕事とを結びつけ、安定した職業生活を送るための制度を概観。

はしがき   目 次


2017年10月10日 販売会社搬入



はしがき

 仕事で得た報酬で生活する人の多くは、自分の能力に見合った仕事に安定的に就くことを願っているだろう。そのために、ハローワーク・求人メディア等、仕事を仲介するサービスが存在する。しかし、仕事に就けないときもある。そうした場合に備えて、失業中の生活を支える雇用保険制度があり、失業者は一定の手当や研修などを受けて再就職の準備を行うことができる。ある種のハンディキャップをもつ人達が就職しやすくなるように、雇入企業に助成金を支給する。労働市場法とは、人と仕事とを結びつける、このような様々なサービスや政策に関する法律の総称である。

 労働市場法は、労働法の一分野であるが、これまであまり注目されてこなかった。他の先進国に比べ、日本は失業率が低く、雇用については優秀な国と見られていたからである。労働法は、解雇・長時間労働など、現に雇用されている労働者に生じる問題を主たる対象としてきた。しかし、1990年代初めのバブル経済の崩壊、2008年のリーマン・ショックを契機とした世界不況により、わが国でも雇用環境は悪化し、職業を仲介する事業や失業者の生活保障・再就職に向けた国の支援に注目が集まるようになった。

 労働市場法に属する法律は、具体的には、職業安定法、雇用対策法、労働者派遣法、雇用保険法、障害者雇用促進法、職業能力開発促進法などがあるが、労働基準法、労災保険法などの伝統的な労働法とはいくつかの点で異なる特徴をもっている。

 労働市場法を他の労働法と分ける第1 の特徴は、労働者の保護だけではなく、事業規制をも目的としているという点にある。例えば、労働者派遣法は、派遣労働者の保護を図る様々な制度を設けているが、これにとどまらず、労働者派遣事業に対して事業許可を義務付けたり、事業を行う場合のルールを規定したりしている。その意味では、人材サービスを提供する事業にとっては、労働市場法は、ビジネスを行う上での土俵を提供しているといえよう。

 第2 の特徴としては、労働市場法は、国の雇用政策と密接に関係している。現在、政府は、若者・女性・高年齢者・障害者などが活躍しやすい社会的インiiフラの整備に向けて、様々な政策を立案・実施している。労働市場法は、その基本理念に基づいて各種の制度とルールを体系的に展開するものであるが、同時に、その折々の政府の政策にコミットして発展してきた。

 労働市場法に関して、労働法のこれまでの体系書・教科書はあまり触れてこなかったし、触れてもごく一部法律にとどまっていた。それは、労働市場法が、他の労働法領域と比較しても広範な内容をもっており、また、複雑であることが一因としてあるのかもしれない。また、実務家は自身の関係する領域には詳細な知識を有しているが、必ずしも労働市場法全体と関連付けて理解しているわけではない。こうした状況の下、労働市場法の基本的な知識を示しながら全体像を体系的に概説する本書の刊行には、一定のニーズがあると考えたのである。

 本書は、労働法を専門としている実務家や大学で労働法の講義を受講する学生にとどまらず、人材サービス事業に携わる人、国や地方公共団体の雇用政策に携わる人や、若者・高年齢者・障害者などの雇用問題に関心をもつ人が、複雑多岐にわたる労働市場法の内容を要領よく理解できるよう、コンパクトにまとめている。著者は、2002年以降、厚生労働省労働政策審議会委員としていくつかの法律の立法・改正に関与したが、こうした経験に裏打ちされた記述があることも、本書の特徴といえるであろう。

 本書の内容は、労働市場法に関する多くの文献の成果に依拠しているが、読者が細部にこだわらずに学習できるように、文献の案内などの注記は最小限にとどめた。また、政省令、業務要領等の運用については、厚生労働省の担当部局の方々にご教示をいただいた。学恩とご教示にこの場を借りて感謝したい。

 本書がこの時期にこうした形で出版できたのは、ひとえに三省堂の井澤俊明氏のご協力のたまものである。労働市場法の改正履歴のチェックや読者目線で読みやすくする工夫などで様々な支援をいただいた。

 最後に、本書が、労働市場法に対する関心を高めることに少しでも役に立てば、これ以上の喜びはない。


2017年8月

著者



目  次

第1章 労働市場と労働市場法

第1節◆労働市場と法

第2節◆労働法の第3 の領域

第3節◆本書の目的

1. 体系化の必要性  2. 体系化の視点

第2章 労働市場法の概念と歴史

第1節◆労働市場法の概念

1. 労働市場法の概念  2. 労働市場法の適用対象  3. 労働市場における国家の役割

第2節◆労働市場法の歴史

1. 戦前期  2. 1945年〜1950年代前半  3. 1950年代後半〜1980年代  4. 1990年代〜2008年  5. 2008年〜現在

第3章 労働市場法の理念

第1節◆労働権

1. 労働権の内容  2. 労働権の権利性

第2節◆職業選択の自由

1. その意義  2. 採用の自由

第4章 労働市場法の目的と体系

第1節◆労働市場法の目的

1. 職業の安定  2. 労働力の適正・円滑な需給調整  3. 完全雇用の達成

第2節◆労働市場法の体系

1. 職業仲介法  2. 雇用保険法  3. 雇用政策法  4. 職業能力開発法

第5章 労働市場の機構

第1節◆職業安定機関(公共職業安定所等)

1. 職業安定機関の展開  2. 職業安定機関の組織  3. 公共職業安定所の業務

第2節◆労働保険特別会計

1. 雇用保険料  2. 国庫負担(租税)  3. 労働保険特別会計の仕組み

第6章 労働市場法の実効性確保

第1節◆実効性確保の手法

1. 実効性確保の意義  2. 労働市場法における実効性確保手段

第2節◆個別紛争

1. 雇用関連給付受給権  2. 職業仲介事業に関する紛争

第7章 職業仲介法

第1節◆総論

1. 職業仲介事業の概念と形態  2. 職業仲介の共通ルール

第2節◆職業紹介事業の規制

1. 職業紹介の概念  2. 職業紹介事業の基本ルール  3. 民間職業紹介事業の許可・届出  4. 有料職業紹介事業者の義務  5. 有料職業紹介事業のルール

第3節◆労働者の募集と募集情報等提供事業

1. 労働者募集  2. 募集情報等提供事業

第4節◆労働者供給事業

1. 他人の労務を提供する事業  2. 労働者供給事業の意義  3. 労働者供給事業の原則禁止  4. 労働組合が行う労働者供給事業

第5節◆労働者派遣法

1. 労働者派遣法の目的と歴史  2. 労働者派遣法の意義  3. 労働者派遣の概念と類似の就業形態  4. 労働者派遣事業の規制  5. 労働者派遣事業の許可  6. 派遣可能期間の制限  7. 派遣労働者の保護等  8. 違法派遣に対する制裁等

第8章 雇用保険法

第1節◆雇用保険の目的と機能

1. 雇用保険の目的  2. 雇用保険制度の機能

第2節◆雇用保険の概念と意義

1. 雇用保険の概念  2. 雇用保険の意義

第3節◆雇用保険関連サービス

1. 失業等給付  2. 雇用保険2 事業

第4節◆保険関係

1. 保険関係の成立と消滅  2. 適用事業  3. 被保険者  4. 保険者  5. 保険手続

第5節◆基本手当

1. 基本手当の受給  2. 基本手当受給の要件

第6節◆基本手当の給付と制限

1. 基本手当の給付  2. 給付制限

第7節◆基本手当以外の求職者給付

1. 高年齢求職者給付  2. 短期雇用特例求職者給付  3. 日雇労働求職者給付

第8節◆再就職促進、教育訓練及び高年齢者の雇用継続

1. 就職促進給付  2. 教育訓練給付  3. 雇用継続給付

第9節◆雇用保険給付の権利救済

1. 被保険者の権利  2. 受給権の保障  3. 支給決定請求権

第9章 雇用政策法

第1節◆雇用政策法の概念と雇用政策の目的

1. 雇用政策法の概念  2. 雇用政策法と労働市場  3. 雇用政策の展開  4. 雇用政策の実効性確保  5. 年齢による募集採用制限の禁止

第2節◆失業の予防、離職者の再就職支援、就職が特に困難な者の雇入れ促進

1. 失業予防と雇用調整助成金  2. 離職者の再就職支援と事業主の責任  3. 就職が特に困難な者の雇入れ促進

第3節◆地域雇用対策

1. 地域雇用対策の課題  2. 地域雇用対策の展開  3. 今後に向けた施策

第4節◆高年齢者の雇用対策

1. 高年齢者の雇用問題  2. 高年齢者雇用対策の変遷  3. 定年と雇用確保措置  4. 高年齢者継続雇用制度  5. 再就職支援と多様な就業確保措置

第5節◆若年者の雇用促進

1. 若年者の雇用状況  2. 若者雇用促進法の制定経緯と目的  3. 適職選択及び定着のための取組  4. 若年無業者に対する就労支援  5. 関係者の責務の明確化等

第6節◆障害者の雇用促進

1. わが国の障害者雇用促進政策の特徴  2. 障害者雇用促進法の展開  3. 障害者雇用促進の目的と障害者の概念  4. 障害者差別の禁止と合理的配慮  5. 障害者雇用率制度  6. 障害者雇用納付金、障害者雇用調整金その他

第10章 職業能力開発と法

第1節◆職業能力開発制度の展開

第2節◆職業能力開発促進法の目的と理念

1. 職業能力開発促進法の目的  2. 職業能力開発の基本理念  3. 職業能力開発政策の課題と具体的取組

第3節◆職業訓練

1. 事業主による職業訓練  2. 企業外職業訓練(公共職業訓練)

第4節◆個人主体のキャリア形成支援

1. 情報提供とキャリアコンサルティング  2. ジョブ・カード制度  3. 金銭的な支援

第5節◆職業能力評価制度

1. 職業能力評価の手法  2. 技能検定制度  3. ビジネス・キャリア検定  4. 職業能力評価基準

第6節◆求職者支援制度

1. 求職者支援制度の目的とその性格  2. 特定求職者  3. 特定求職者への職業訓練   4. 職業訓練受講給付金

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