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  通説 民法総則 第2版

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通説 民法総則 第2版

中井美雄 著  (品切)

3,500円 A5 392頁 978-4-385-31207-1

通説・判例の理論を明快に示した定評ある民法総則の概説書。成年後見・大深度地下法制などの法改正、判例・学説動向をふまえた待望の第2版。バランスのとれた構成と平易な解説。民法学習、各種試験のための最新の基本書。

1991年 7月 1日 初版 発行
2001年 4月20日 第2版 発行

はしがき(初版) 第2版 はしがき 目次



●はしがき(初版)

 「民法総則」を、民法を習い始めた諸君にも「通じる」ように判りやすく「説明」するのは、なかなかに難しいことと、今、実感している。

 「民法総則」の体系書には、先学の諸先生による「名作」が数多くあり、今更、という感じがしなくもないが、現在では、大学の法学部で、早い段階で「民法総則」の講義が設けられているようにも窺え、学生諸君は、未だ充分に民法の専門用語や考え方に慣れないうちに、「総則」という抽象的・体系的な講義に接することを考えると、注記や脚注をできるかぎりつけないで、スムーズに読みとおせるような叙述ができないものか、などと考えたのが、本書に手をつけた発端だった。しかし、今、そのことはほとんど不可能に近いのではないかとも思っている。民法がかかわる社会状況がこれほど複雑化、多様化しているとき、民法諸領域に関する問題を全体的に把握した上で、多くの「民法総則」に関する名著が膨大な注記や脚注を付けて編まれていることはむべなるかなという感を、今更のように抱いている。

 本書は、いうまでもなく「民法総則」に関する概説書である。本来なら「民法総論」的なことも含まなければならないのであろうが、そこまでは到底なしえない。学生諸君にできるかぎり早く「民法」というものを理解してもらうためには、「民法史」(少なくとも、明治維新期以降の民事法立法史)や、「民法学説史」を読んでもらったほうがてっとり早いという感も最近は抱いている。また、こうした事柄について正確な情報を学生諸君に提供したほうが「民法」というものの性格をより早く理解してもらえるのではないか、また、そのことを民法の講義でかなりの比重をかけて扱うことも大切なのではないかと痛感している。しかし、本書ではそこに多くを割くことをできなかった。

 また、民法学において議論されることの多い「法の解釈」に関する論争なども、説明をきちんとすれば若い学生諸君の関心を呼ぶのではないかとも思うし、法学というものに対する正確な接し方を理解してもらえるのではないかとも思ったりしているが、その力量・余裕は、私にはない。多くの先学の優れた蓄積に教えられながら、解釈論上の問題点と感じたところを中心に、この一冊をやっとのことで書き上げたというところである。

 民法はいうまでもなく、私法上の権利義務関係を規律する一般法であり、その全体が「権利」を中心に体系的に構成されている。いわゆるパンデクテン体系の精緻さは今でも明治二九年にできた「民法典」に生命を与えつづけているが、同時に、多くの特別法や学説・判例の蓄積が「民法典」を支えてきたこともいうまでもない。「権利の主体」論にしても、「権利の客体」論や「法律行為」論にしても、さらには「時効」論にしても、現代の社会的変容の影響を強く受けていることは否めない。そうした影響を受けつづけてきている「民法総則」の個別課題を整理することもそれなりの意義を有するのではないかと思っている。「権利能力・意思能力・行為能力」論を見ても、たとえば、権利能力は権利義務の帰属点を示す「主体」=人を表わす法的範疇であり、「人は生まれながらにして権利義務の主体たりうる」という表現は、イデオロギーとして、また法理念として、歴史的にも、また現在でも大きな意義を有しているが、今日では単にそこにとどまらず、権利能力の法社会学的な内容の検討から大きな影響を受けているようにも思われる。「権利義務の主体たる資格」一般という抽象的な概念を認めたというだけでは充分ではないのであって、その社会においてどのような法的権利が認められているかが重要な法的分析の対象となっている。所有権を中心とした物権や、債権などの財産権はいうまでもないが、人格権、工業所有権・著作権などの知的所有権の法的承認は、権利能力=権利義務の主体たる資格ということの具体的内容を明らかにするし、また、個々人への帰属をいうだけでは充分でないような権利、社会共有的な権利(少なくとも、社会保障にかかわる権利はその側面を有するし、環境権も認められるとすれば適切な例であると思う)ということになると、それが「権利主体」のあり方に及ぼす影響はずい分と大きいと思われる。そのことはまた訴訟上の当事者論にもはねかえる。「権利能力」と「行為能力」との関係を論ずる際に、「行為能力」に比重がおかれる傾向が見られるのは、あるいはこうした把握がそこに現われているのかもしれない。

 「権利の客体」たる「物」論をめぐっても、新しい社会経済的状況は端的に出ている。「集合物」概念はすでに定着しているし、海没地をめぐる土地所有権の争いは、現代の土地状況を端的に反映している。

 「代理論」や「団体論=法人論」も生きた民法理論の展開を求めている。

 「無効と取消の相対化」ないし「無効の取消化」といった議論は、法律行為の効力否定のための法制度が、法に規定された固定的な枠を墨守しながら機能することの限界を端的に示している。それぞれの制度を固定的な枠で捉え、社会の法的事象をそのなかに無理に押し込むのではなく、法に規定された制度の要件や効果を多角的に考察して、それぞれの機能を検討し直してみるという動向を示している。「時効制度」にしても、取得時効や消滅時効制度があって、それぞれの機能の評価については多様であり、画一的な制度趣旨の説明は難しい。ある一定の権利の時効取得や時効消滅を考えるにしても、様々な権利が存在しており、それぞれの権利についての時効制度の適用の趣旨は多様であることを意識する必要がある。

 ともすると、「総則」のような分野については、その説明が一般的・抽象的に流れやすい。しかし、このような領域であるからこそ民法領域において生じている様々な事象に目を配ることが必要であることはいうまでもない。ただ、そうは思いつつも、本書でそのことが行われたという自信はない。できるかぎり判例を引用し、具体的な事実との対応に目を配りながら、現在の「民法総則」にある問題点を整理しようと試みたに過ぎない。私法上の権利義務関係を規律する一般法としての民法の役割を正確に押さえ、その理論的体系性を再検討し、構築する作業を進める以外に道はないであろう。物権法や債権法、さらには家族法の領域に生起してくる問題を的確に把握して、その法的課題を明確にし、解釈論的にも「総則」規定の果たす役割を明確にしてゆく必要があると考えている。

 立命館大学法学部にお世話になってかれこれ二八年程になる。この間、昨年の十月から今年の三月まで久しぶりに自由な研究の時間を与えていただいた。本書はその間の仕事でもあり、このような時間を与えてくださった法学部の同僚に深謝したいと思っている。

 本書は、三省堂の法律学の通説シリーズの一冊として公にすることができた。この間いろいろと御配慮戴いた出版部の佐塚英樹氏に心からお礼を申し上げたい。また、ともすると逃げの姿勢に入る私を督励して、本書を完成させてくださったシステムファイブの渡邊俊介氏に深甚なる謝意を表したい。

 1991年4月

中井美雄



●第2版 はしがき

 わが国において、周知のように、「成年後見制度」が新たに設けられ、平成一一年法一四九号によって民法典の改正が行われ、平成一二年四月一日から施行された。本書の今次の改定は、主要には、これに伴うものである。後見・保佐・補助に関する説明を新たに書き加え、随所に必要な訂正を行うとともに、他の個所に関しても旧版刊行以後に現れた特徴的な判例への言及など必要な加筆・訂正を行った。

 今次改正された「能力」制度がどのように機能するかは、今後の展開にまたざるをえないかと思われるが、制度改正の基盤となった理念が実現できるような制度運営を期待している。

 今回の改版に際しては、三省堂の佐塚英樹、井澤俊明の両氏にお世話になった。心から御礼申し上げたい。

 2001年4月

中井美雄



●目  次

第一章 民法とは何か―民法の概念

  第一節 民法の意義
  第二節 「私権」の法としての民法
  第三節 民法の
  第四節 民法の解釈
  
第二章 権利の主体

  第一節 民法における権利の主体
  第二節 自然人
  
第三章 権利の客体―「物」

  第一節 権利の客体としての物
  第二節 物の区別
  
第四章 法律行為

  第一節 法律行為制度について
  第二節 意思表示
  第三節 法律行為の効力―無効・取消
  第四節 代理
  第五節 条件および期限
  
第五章 期間


  第一節 期間の意義
  第二節 期間の計算方法
  
第六章 時効

  第一節 時効制度の意義
  第二節 取得時効
  第三節 消滅時効
  第四節 時効完成の障害となる事由
  第五節 時効の援用・放棄
  第六節 時効の効果
  第七節 消滅時効と除斥期間

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