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Q&A消費者契約法解説 Q&A消費者契約法解説

松本恒雄・畔柳くろやなぎ達雄・高崎 じん 著

2,000円 A5変 176頁 978-4-385-32142-X (品切)

平成12年度通常国会で成立した「消費者契約法」のQ&A方式の解説書。本法は、消費者の権利を庇護するために、重要事項の不告知の場合に契約を取り消すことができたり、不当条項を無効にることができる。一般消費者、消費者と契約を結ぶすべての事業者に必携の書。

2000年11月20日 発行



●はしがき

 消費者契約法は、20世紀最後の年に成立し、21世紀の最初の年に施行されます。20世紀の最後の10年間は、消費者保護に関する法整備が、従来の行政に規制権限を与えるという行政中心主義から、消費者に訴訟の内外で自らの権利として行使することのできる具体的権利を与えるという消費者中心主義に徐々に変わってきました。消費者契約法はこの流れをさらに押し進めるものです。

 私人間の取引に適用される基本的な法律である民法のルールは、取引のそれぞれのプレーヤーを同じくらいの情報と交渉力を持った対等の者として扱っています。そのため、いったん「ハイ」と言って契約を結んでしまうと、実際は不当な勧誘方法が使われていたり、消費者に不当に不利な内容であったりしても、その効力を否定するのはたいへん困難でした。

 従来の消費者行政は、このような消費者の不利益を行政規制によって予防、救済しようとしていました。消費者契約法は、行政の規制権限に頼らなくても、消費者が自ら契約を取り消したり、不当条項の無効を主張することができるようにして、過大な自己責任を負わされる状態を改善します。

 消費者契約法には個別の消費者トラブルを、従来よりは消費者に若干有利に解決するという上述の機能のほかに、事業者間の公正な競争を確保をするという機能もあります。従来の民法のルールは、いわば、「ハイと言った消費者が負け」、「事業者を信頼してはいけない」というものでした。これとは逆に、「信頼した者が勝ち」の世界にしようというのが、消費者契約法です。

 民法の下では、まともな事業者より、いいかげんな事業者の方が得をする結果になっています。消費者契約法の下では、事業者は誤解を与える情報を提供したり、強引な勧誘をすると契約を取り消されて、結局、その契約から得た利益を吐き出さなければなりません。正確な情報を提供して消費者の信頼を得た事業者のみが利益を得られるのです。信頼できる市場環境であれば、消費者は安心して取引に入ってくることができます。その結果、市場が広がり、事業者にも利益となります。このように、事業者・消費者双方がともに得をする環境づくりが消費者契約法の目指すところです。

 本書によって、消費者と事業者がともに、消費者契約法の趣旨と内容を理解し、活用されることを期待します。

2000年9月

執筆者を代表して 松本恒雄



●消費者契約法

(平成12年5月12日・法律第61号)施行、平13・4・1

第1章 総則

第1条(目的)

この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

第2条(定義)

この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。

2 この法律において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。

3 この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。

第3条(事業者及び消費者の努力)

事業者は、消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮するとともに、消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。

2 消費者は、消費者契約を締結するに際しては、事業者から提供された情報を活用し、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について理解するよう努めるものとする。

第2章 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し

第4条(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)

消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認

2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。

3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。

二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。

4 第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。

一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容

二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件

5 第一項から第三項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

第5条(媒介の委託を受けた第三者及び代理人)

前条の規定は、事業者が第三者に対し、当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託(以下この項において単に「委託」という。)をし、当該委託を受けた第三者(その第三者から委託を受けた者(二以上の段階にわたる委託を受けた者を含む。)を含む。次項において「受託者等」という。)が消費者に対して同条第一項から第三項までに規定する行為をした場合について準用する。この場合において、同条第二項ただし書中「当該事業者」とあるのは、「当該事業者又は次条第一項に規定する受託者等」と読み替えるものとする。

2 消費者契約の締結に係る消費者の代理人、事業者の代理人及び受託者等の代理人は、前条第一項から第三項まで(前項において準用する場合を含む。次条及び第七条において同じ。)の規定の適用については、それぞれ消費者、事業者及び受託者等とみなす。

第6条(解釈規定)

第四条第一項から第三項までの規定は、これらの項に規定する消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法(明治二十九年法律第八十九号)第九十六条の規定の適用を妨げるものと解してはならない。

第7条(取消権の行使期間等)

第四条第一項から第三項までの規定による取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行わないときは、時効によって消滅する。当該消費者契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。

2 商法(明治三十二年法律第四十八号)第百九十一条及び第二百八十条ノ十二の規定(これらの規定を他の法律において準用する場合を含む。)は、第四条第一項から第三項までの規定による消費者契約としての株式又は新株の引受けの取消しについて準用する。この場合において、同法第百九十一条中「錯誤若ハ株式申込証ノ要件ノ欠缺ヲ理由トシテ其ノ引受ノ無効ヲ主張シ又ハ詐欺若ハ強迫ヲ理由トシテ」とあり、及び同法第二百八十条ノ十二中「錯誤若ハ株式申込証若ハ新株引受権証書ノ要件ノ欠缺ヲ理由トシテ其ノ引受ノ無効ヲ主張シ又ハ詐欺若ハ強迫ヲ理由トシテ」とあるのは、「消費者契約法第四条第一項乃至第三項(同法第五条第一項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ因リ」と読み替えるものとする。

第3章 消費者契約の条項の無効

第8条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効)

次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。

一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項

二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項

三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の全部を免除する条項

四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の一部を免除する条項

五 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。次項において同じ。)に、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項

2 前項第五号に掲げる条項については、次に掲げる場合に該当するときは、同項の規定は、適用しない。

一 当該消費者契約において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該事業者が瑕疵のない物をもってこれに代える責任又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合

二 当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約又は当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で、当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該他の事業者が、当該瑕疵により当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い、瑕疵のない物をもってこれに代える責任を負い、又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合

第9条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)

次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分

第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

第4章 雑則

第11条(他の法律の適用)

消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力については、この法律の規定によるほか、民法及び商法の規定による。

2 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力について民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

第12条(適用除外)

この法律の規定は、労働契約については、適用しない。

附 則

 この法律は、平成十三年四月一日から施行し、この法律の施行後に締結された消費者契約について適用する。

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