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三省堂テミス 物権法


三省堂テミス 物権法

生熊長幸 著

2,500円 A5判 328頁 978-4-385-32080-9

基本事項から丁寧に示して解き明かしながら、要件事実を意識した記述で実務・新司法試験を見据えた内容にまで至る。初学者から法科大学院生、実務家にも好適な物権法の本格的テキスト。

はしがき   目 次   著者紹介

2013年3月31日 発行




はしがき

 本書は、民法の物権法の分野についての法科大学院生および充実した法律知識を身につけようとする法学部学生を対象とする教科書であり(担保物権法の分野については近刊)、筆者の国立および公立の法学部での31年間に渡る講義および法科大学院での9年間の講義(2013年度は、1年生配当の民法総則・債権総論・担保物権法関係計6単位、2年生配当の民法演習 I・II 各2単位、3年生配当の民事法実務総合演習2単位、民法総合演習2単位、およびリーガルクリニック2単位を担当予定)の経験を踏まえ、できるだけ分かりやすく解説したものである。

 本書の叙述の順序は、民法典の「第2編 物権」の章の順序とは異なっている。すなわち、民法典第2編物権は、総則から始まり(第1章)、次いで各種の物権につき規定しているが(第2章〜第10章)、総則の中で極めて大きな比重を占めるのは、物権変動と物権変動の対抗要件の問題である。しかし、物権にはどのようなものがあるのか、それらの物権はどのような効力を有しているのかを知らずに、これらを勉強することは、物権法の理解を困難にする。そこで、本書では、物権変動、物権変動の対抗要件、即時取得という物権法の重要なテーマについては、本書の後半部分で扱うことにした(鈴木禄弥・物権法講義〔5訂版〕や内田貴・民法 I〔第4版〕なども、ほぼ同様である)。

 本書は、基本的には判例・通説をベースとして叙述しており、重要な判例についてはその内容も紹介している。もっとも判例や通説に大きな問題があると考えられる論点(例えば、物の売買における所有権移転時期など)については、その問題点を具体的に指摘し、どのように考えるべきかを示している。

 本書では、他の類書と比べて図・表を多く使用しているが、これは少しでも読者の理解の手助けになればと考えたからである。法科大学院では法曹養成の観点から「要件事実」の基礎教育が行われているが、その前提となるのが裁判において個々の要件の主張・立証責任が当事者のいずれにあるかであり、これについては本書ではその主要なものを取り上げた。また、《展開》の部分で扱ったものは、少し高度な論点であり、最初は読み飛ばしていただいてもよい。

 私は、法学部卒業後、この分野の第一人者であられた恩師鈴木禄弥東北大学名誉教授(学士院会員)のご指導のもと研究を開始したが、法科大学院の創設により、法律基本科目担当の研究者にとって予想を超える負担増に直面し、本書の執筆が大幅に遅れ、先生のご生前には本書をご覧いただけなかったことはまことに心残りである。もっとも大学4年の初夏、就職先に関するご相談で先生のお宅をお尋ねしたとき、大学へ残る道があることを教えて下さったのは、先生の令夫人鈴木ハツヨ先生(現東北学院大学名誉教授)である。ハツヨ先生は現在仙台でご健勝にてご活躍中であり、ハツヨ先生に本書をご覧いただけるのは大変ありがたいことである。

 禄弥先生は、極めてシャープでしかも大変柔軟な思考をされた方であり、独創的な解釈論をたくさん打ち立てられた。もっとも、本書には先生の主要な学説でありながらそれを踏襲していない箇所もいくつか存在する(物の売買における所有権移転時期や「占有改定と即時取得」など)。包容力に富んだ先生のことであるからご海容いただけることであろう。

 私は、民法の研究者を志して出発し、助手時代に仮登記や仮登記担保についての論文等を執筆した。当時は、強制執行法(旧民事訴訟法第6編「強制執行」。現「民事執行法」および「民事保全法」)の改正作業が進められており、禄弥先生は、法制審議会・強制執行法部会委員として、我妻先生初め当時の私法学会・民事訴訟法部会の錚錚たる学者と侃々諤々の議論を楽しまれていた。それにもかかわらず先生は、「僕は執行法はよく分からないから君は執行法を勉強して来るように。」とおっしゃられ、岡山大学法文学部法学科の強制執行法担当教員としての赴任を奨められた。そのような経緯で、私は幸いにも民法を手続法の観点からも分析するという研究手法を身につけることとなった。その後、民法担当教授として大阪市立大学法学部へ移り、また法科大学院創設に関わり、6年前に立命館大学法科大学院に異動し、現在に至っている。

 最後になるが、本書の原稿につき内容面、表現面に渡り、三省堂六法法律書編集担当の井澤俊明さんに、詳細なアドバイスをいただいた。本書が少しでも読みやすくなっているとすれば、井澤さんの努力に負うところが大きい。心より感謝申し上げる。


生熊 長幸

2013年早春


目   次

●第1編 物権法総論

第1章 物権法の全体像

第2章 各種の物権の概要と分類

第1節 各種の物権の概要

1. 所有権  2. 用益物権  3. 担保物権  4. 占有権

第2節 各種の物権の分類

1. 本権としての物権と本権ではない物権  2. 所有権と制限物権

第3章 物権の意義・性質・効力

第1節 物権の意義・性質

1. 物権の意義  2. 直接支配権(対物権)  3. 排他的権利

第2節 物権の効力1 ── 優先的効力

1. 物権同士の衝突  2. 物権と債権の衝突

第3節 物権の効力2 ── 物権的請求権

1. 物権的請求権の意義  2. 物権的請求権の根拠  3. 物権と物権的請求権
の関係  4. 物権的請求権の行使の要件  5. 物権的請求権の内容  6. 物
権的請求権の種類  7. 物権的請求権と他の請求権との競合(請求権競合の問題)

第4章 物権の目的

第1節 物権の目的

第2節 物

1. 有体物  2. 動産と不動産

第3節 不動産

1. 土地  2. 土地の定着物

第4節 動 産

1. 動産  2. 無記名債権  3. 貨幣

第5節 現存する特定の物

第6節 独立の物

第7節 1個の物

1. 1個の物  2. 1個の土地  3. 1個の建物

第5章 物権法定主義

第1節 物権法定主義の意義と根拠

1. 物権法定主義の意義  2. 物権法定主義の根拠

第2節 特別法上の物権

第3節 慣習法上の物権

1. 問題の所在  2. 慣習法上の物権を認める法律上の根拠 3. 判例法上物権と
して認められた慣習法上の権利  4. 慣習法上の権利を物権として認めることが
できるための要件

●第2編 所有権・用益物権・占有権

第1章 所有権

第1節 所有権の意義と性質

1. 所有権の意義  2. 所有権の性質

第2節 現代社会における所有権

第3節 所有権の内容

1. 所有権の内容とその制限  2. 所有権の制限  3. 土地所有権の内容と特殊性

第4節 相隣関係

1. 相隣関係一般  2. 隣地使用権(209条)  3. 隣地通行権(210条〜213条)
4. 隣地通行権規定の類推適用  5. 水・水流に関するもの(214条〜222条)
6. 境界に関するもの(223条〜232条)  7. 竹木の枝の切除および根の切取り
関するもの(233条)  8. 境界付近の工作物に関するもの(234条〜238条)

第5節 所有権固有の原始取得

1. 所有権の取得原因  2. 無主物先占・遺失物拾得・埋蔵物発見等  3. 添付
(242条〜248条)  4. 不動産の付合  5. 動産の付合  6. 動産の混和
7. 動産の加工  8. 動産に加工をして不動産とした場合  9. 不動産の加工

第6節 共 有

1. 3種類の共有(広義の共有)  2. 共有(狭義の共有)の法律関係  3. 準共有

第7節 建物の区分所有権

1. 建物区分所有法の意義  2. 分譲マンション(区分所有建物)の所有関係
3. 分譲マンション(区分所有建物)の管理関係  4. 分譲マンション(区分所有建物)の復旧および建替え

第2章 用益物権

第1節 地上権

1. 地上権の意義  2. 地上権の設定  3. 地上権の効力  4. 地上権の消滅
5. 区分地上権

第2節 永小作権

1. 永小作権の意義  2. 永小作権の設定  3. 永小作権の効力  4. 永小作権の消滅

第3節 地役権

1. 地役権の意義と類似の権利との関係  2. 地役権の性質  3. 地役権の権利
行使の態様  4. 地役権の契約による取得および時効取得  5. 地役権の効力
6. 地役権の消滅

第4節 入会権

1. 入会権の意義  2. 民法上の入会権に関する規定  3. 入会権の法的性質
4. 入会権の成立・公示方法  5. 入会地の管理処分権・共有持分権・使用収益権
6. 入会権の対外的主張

第3章 占有権

第1節 占有制度の機能とその沿革

1. 民法典上の占有制度の取扱いとその機能  2. 占有権の効力とその沿革

第2節 占有の成立と態様

1. 占有の意義  2. 占有の成立要件  3. 代理占有  4. 占有の態様
5. 占有の態様に関する推定規定

第3節 占有権の取得

1. 原始取得と承継取得  2. 占有の承継取得の方式  3. 占有承継の効果

第4節 占有の効果(1)

1. 権利適法の推定  2. 無権原占有者の占有回復者に対する果実返還義務
3. 占有者と占有物の回復をする本権者とのその他の関係

第5節 占有の効果(2)

1. 占有の訴えの意義と種類  2. 占有の訴えの要件・当事者および除斥期間
3. 占有の訴えと自力救済  4. 占有の訴えと本権の訴え(物権的請求権)との関係
5. 占有の訴えの制度の実際の機能

第6節 占有権の消滅

1. 自己占有の消滅事由  2. 代理占有の消滅事由

第7節 準占有

1. 意義  2. 準占有の成立要件  3. 準占有の効果  4. 205条の準占有と478条の準占有との関係

●第3編 物権変動

第1章 序 説

第1節 物権変動の意義

1. 物権の発生  2. 物権の内容の変更  3. 物権の消滅

第2節 物権変動の原因(法律要件)

1. 法律行為  2. 時効(時効取得・時効消滅)  3. 相続  4. 無主物先占・
遺失物拾得・添付など  5. 混同

第2章 法律行為による物権変動

第1節 物権行為と債権行為

1. 物権行為(物権契約)  2. 債権行為(債権契約)

第2節 意思主義・形式主義、物権行為の独自性の有無など

1. 意思主義と形式主義  2. 物権行為の独自性否定の法制と物権行為の独自性肯定の法制  3. 物権行為の有因性・無因性

第3節 わが国における意思主義・形式主義、物権行為の独自性の有無 など

1. 意思主義  2. 物権行為独自性否定説

第4節 所有権移転時期の問題

1. 問題の所在  2. 所有権移転時期についての判例理論 3. 売買契約における所有権移転時期についての学説  4. 検討  5. 売買契約時説の問題点

第3章 公示の原則と公信の原則

第1節 物権変動における公示の原則

1. 176条と177条および178条との関係  2. 公示の種類

第2節 物権変動における公信の原則

1. 公信の原則  2. わが国の民法における公信の原則の取扱い

第4章 不動産物権変動における公示

第1節 序 説

1. 第三者対抗要件  2. 本章で検討すべき課題

第2節 不動産登記制度の概要と申請手続

1. 不動産登記制度の概要  2. 登記簿の構成  3. 不動産登記法により登記することができる権利  4. 登記の種類  5. 不動産登記の申請手続

第3節 不動産物権変動と対抗(1)
   ── 不動産物権変動における「対抗」  の意義

1. 176条の意思主義と177条の不動産物権変動における対抗  2. 176条と177条との関係についての学説

第4節 不動産物権変動と対抗(2)
   ── 登記を必要とする物権変動(物権 変動の原因)

1. 問題の所在  2. 取消しと登記  3. 解除と登記  4. 相続と登記  5. 取得時効と登記

第5節 不動産物権変動と対抗(3)
   ── 登記をしないと対抗し得ない「第 三者」の範囲

1. 問題の所在  2. 登記をしないと対抗し得ない第三者  3. 登記なしに対抗できる第三者

第6節 不動産登記のその他の実体法上の諸問題

1. 登記の推定力と公信力  2. 仮登記の効力  3. 登記請求権  4. 登記の有効要件

第5章 動産物権変動における公示と即時取得の制度

第1節 序 説

1. 動産物権変動の対抗要件  2. 動産物権変動と即時取得制度

第2節 動産物権変動の対抗要件

1. 178条が適用される動産  2. 物権の譲渡  3. 引渡し  4. 引渡しなしに対抗し得ない第三者の範囲  5. 動産債権譲渡特例法による動産譲渡登記

第3節 動産の即時取得(善意取得)

1. 即時取得の制度  2. 即時取得の要件  3. 即時取得の効果  4. 盗品・遺失物の即時取得における特則

第6章 明認方法

第1節 明認方法の存在意義

第2節 明認方法による対抗力の具備

1. 土地に生育する立木  2. 未分離の果実・桑葉・稲立毛など  3. 温泉専用権(湯口権)

第3節 明認方法の対抗力

1. 立木や未分離果実等の二重譲渡の場合  2. 土地所有権が譲渡された場合

第7章 物権の消滅

第1節 物権の消滅

1. 物権の消滅  2. 物権に共通の消滅原因

第2節 各種の物権に共通の消滅原因

1. 目的物の滅失  2. 消滅時効  3. 放棄  4. 混同  5. 公用徴収

判例索引

事項索引


著者紹介

生熊 長幸(いくま・ながゆき)

 立命館大学大学院法務研究科教授・博士(法学)

1968年 東北大学法学部卒業
同年   東北大学法学部助手
1973年 岡山大学法文学部講師、同助教授を経て
1984年 同大学法学部教授
1993年 大阪市立大学法学部教授
2002年 同大学大学院法学研究科教授
2007年から現職
法務省法制審議会・担保執行法制部会委員(2001年〜2003年)
第10回全国銀行学術研究振興財団賞受賞(2003年度)  

 [主な著書]

『執行妨害と短期賃貸借』(有斐閣・2000年)
『物上代位と収益管理』(有斐閣・2003年)
『即時取得の判例総合解説』(信山社・2003年)
『民法 II ─ 物権〔第3版補訂〕』(共著、有斐閣・2010年)
『わかりやすい民事執行法・民事保全法〔第2版〕』(成文堂・2012年)


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