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  WTO紛争解決手続きにおける履行制度

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WTO紛争解決手続きにおける履行制度

川瀬剛志・荒木一郎 編著  (品切)

4,500円 A5判 504頁 978-4-385-32254-4

世界貿易機関(WTO)の設立以来、270件に及ぶ「パネル」「上級委員会」の勧告が出されたが、履行困難な「居座り」案件を中心に現行の紛争解決制度における履行確保システムの問題点を浮き彫りにする。

2005年11月1日 発行

執筆者紹介 はしがき(要旨) 目次
『WTO法』


●執筆者紹介(執筆順、*は編者)

(2005年9月現在)

ウィリアム・J・デイビー(William J. Davey) 米イリノイ大学法科大学院教授。1947年生。1971年米ミシガン大学卒、1974年同法科大学院修了(J.D.)。米連邦最高裁判所Potter Stewart判事付調査官、Cleary, Gottlieb, Steen & Hamilton法律事務所(ブリュッセル、ニューヨーク)弁護士、米イリノイ大学法科大学院教授、WTO事務局法務部長(出向)等を経て、1999年より現職。

阿部克則(あべ よしのり)
学習院大学法学部助教授。1972年生。1996年東京大学教養学部卒、1999年同大学院総合文化研究科博士課程中退(学術修士)。千葉大学法経学部助教授等を経て、2003年より現職。

久野新(くの あらた)
(株)UFJ総合研究所新戦略部通商政策ユニット研究員。1972年生。1994年慶應義塾大学経済学部卒、1996年同大学院政策メディア研究科修士課程修了(政策メディア修士)。(株)三和総合研究所(現・UFJ総合研究所)入所、経済産業省通商政策局情報調査課調査員(出向)を経て、現在に至る。

飯田敬輔(いいだ けいすけ)
青山学院大学国際政治経済学部教授。1960年生。1982年東京外国語大学外国語学部卒、1983年オーストラリア国立大学大学院国際関係研究科修士課程修了(MA)、1984年東京大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)、1990年米ハーバード大学大学院博士課程修了(Ph.D)。米プリンストン大学政治学部助教授等 を経て、1999年より現職。

大矢根聡 (おおやね さとし)
同志社大学法学部教授。1961年生。1989年神戸大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、博士(政治学・神戸大学)。金沢大学法学部助教授等を経て、2003年より現職。

瀬領真悟(せりょう しんご)
同志社大学法学部教授。1960年生。1983年立命館大学法学部卒、1988年同大学院法学研究科博士課程単位取得退学(法学修士)。京都学園大学法学部助教授、滋賀大学経済学部教授等を経て、2003年より現職。

渡邊伸太郎 (わたなべ しんたろう)
弁護士、長島・大野・常松法律事務所。1969年生。1992年東京大学法学部卒、1996年米ハーバード大学法科大学院修了(LL.M.)、1997年米ニューヨーク州弁護士登録。1992年通商産業省(現・経済産業省)入省、資源エネルギー庁原子力産業課課長補佐、通商機構部公正貿易推進室参事官補佐等を経て、2003年より現職。

東條吉純(とうじょう よしずみ)
立教大学法学部助教授。1966年生。1990年東京大学法学部卒、1995年同大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学(法学修士)。立教大学法学部専任講師を経て、1998年より現職。

内記香子(ないき よしこ)
大阪大学大学院国際公共政策研究科専任講師。1973年生。1996年国際基督教大学教養学部卒、1999年大阪大学大学院国際公共政策研究科博士課程中退(国際公共政策学修士)。東京大学法学部附属外国法文献センター助手、米タフツ大学フレッチャー外交・法科大学院客員研究員、経済産業省通商機構部参事官補佐を経て、2005年より現職。

川島富士雄(かわしま ふじお)
名古屋大学大学院国際開発研究科助教授。1967年生。1990年東京大学法学部卒。東京大学法学部助手、公正貿易センター客員研究員、金沢大学法学部助教授を経て、2005年より現職。

川瀬剛志(かわせ つよし)*
大阪大学大学院法学研究科助教授/経済産業研究所ファカルティフェロー。1967年生。1990年慶應義塾大学法学部卒、1994年同大学院法学研究科博士課程中退(法学修士)、米ジョージタウン大学法科大学院修了(LL.M)。神戸商科大学商経学部(現・兵庫県立大学)助教授、経済産業省通商機構部参事官補佐、経済産業研究所研究員等を経て、2004年より現職。

荒木一郎(あらき いちろう)*
横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授。1959年生。1983年東京大学法学部卒、1988年米カリフォルニア大学バークレー校法科大学院修了(LL.M)、1994年埼玉大学大学院政策科学研究科(現・政策研究大学院大学)修士課程修了(政策科学修士)。1983年通商産業省(現・経済産業省)入省、WTO事務局法務部法務官、通商機構部公正貿易推進室長、経済産業研究所研究調整ディレクター、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科助教授等を経て、2005年より現職。

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●はしがき(要旨)

履行問題の発生

 発足後10年を迎えたWTOであるが、その紛争解決手続は、当初の期待以上に、効果的・効率的に運用されてきたと評価されている。そのような十分な機能がもたらされた理由として、GATT時代との比較において、手続の司法化が飛躍的に進展したことが指摘できる。その主たる要因は、パネル設置、パネル・上級委員会報告書の採択及び対抗措置の承認という重要な手続上の決定をネガティブ・コンセンサス方式で行うこととした結果(その意義については、本書第1章参照)、事実上の強制管轄権が設定されたことと、上級委員会が事実上常設の司法機関として設置されたことに求められる。GATT時代の先例と比較すると、パネル・上級委員会の報告書の法的分析は洗練の度を増しており、一般国際法の諸原則との整合性に留意した精緻な法律論を展開するようになってきている。結果として、大多数の案件において、パネル・上級委員会の裁定(形式的にはDSBの勧告・裁定という形をとる)は、ほぼ遵守され、関係当事国間の満足のいく解決に結びついている。

 他方、一般に超国家的権力が存在しない国際社会においては、国際法上の義務の履行を当事国の意に反して強制することは困難(というよりむしろ不可能)であるが、このことはWTOにも該当する。特にネガティブ・コンセンサス方式導入の結果、GATT時代のようにパネル報告書の内容に不服のある当事国がその採択を阻止することができなくなった現在、DSB勧告の履行・実施が困難な案件が注目されるようになってきている。これは手続の司法化がもたらした副産物ではあるが、WTO体制の実効性にも関わる大きな問題となっている。

 若干の具体例を見ると、まずEC・バナナ輸入制度事件、EC・ホルモン牛肉規制事件及び米国・FSC税制事件など、一連のいわゆる大西洋間案件はGATT時代からの懸案事項であり、いずれも被申立国の不履行が譲許停止(貿易制裁発動)に帰結したことで、米欧二極間に深刻な通商紛争の懸念を惹起した。また、ブラジル・カナダ間の民間航空機補助金に関する紛争は、当事国が相互に複数回の履行確認パネルで争うなど、泥沼の様相を呈している。さらに、日本も日本製熱延鋼板AD事件やバード法事件等対米案件の履行確保に苦慮している一方で、自らもリンゴ検疫事件についてのDSB勧告の履行を米国から迫られる立場にある。

本書の目的と意義

 こうした不履行は何故発生するのか、逆に少なからぬ事件で円滑な履行が見られた理由は何か−−−本書の問題意識はそうした素朴な疑問にあり、そのメカニズムを明らかにすることである。 履行の困難ないし遅滞は、えてして上記のようにDSB勧告採択手続の自動性にその原因を求められがちだが、編者の実務的経験及びプロジェクト初期の予備的調査の結果により、当初から我々は異なる印象を持っていた。すなわち、履行の難易を規定するものは、現行DSUの履行制度の設計はもちろんのこと、紛争の背景となる事実(争われている措置の内容、利害関係者、社会経済的背景)、協議段階からDSB勧告に至るすべてのプロセスにおける個別的要因が関連していると考えられる。さらに、履行はWTOを舞台とした国際的なプロセスだけでなく、特に被申立国内の政治プロセスに依存している。

(後略)

2005年8月

編者  川瀬剛志・荒木一郎

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●目  次

第1章 WTO紛争解決手続における履行問題:問題の所在と解決方法

【ウィリアム・J・デイヴィー(荒木一郎訳)】

1.はじめに
2.WTOの紛争解決制度
3.WTO紛争解決手続における履行実績

第2章 WTOにおける紛争解決機関勧告履行手続の法的性格―国際法上の諸制度との比較の視点から―

【阿部克則】

1.はじめに
2.DSB勧告履行手続と比較し得る国際法上の制度
3.譲許その他の義務の停止等と一般国際法上の対抗措置
4.おわりに

第3章 WTO紛争解決制度における対抗措置の法と経済分析―履行促進の視点からの有効性―

【久野 新】

1.問題の所在
2.WTO紛争解決制度における対抗措置の位置付け
3.履行問題と効果的な対抗措置に関する経済学的検討
4.譲許停止仲裁裁定が対抗措置の有効性に与える影響
5.総括

第4章 DSB勧告履行の国際政治経済学的分析―対抗措置をめぐる3つの視座を中心に―

【飯田敬輔】

1.はじめに
2.ゲーム論
3.対抗措置の事例
4.2レベルゲーム
5.コンストラクティヴィズム(構成主義)
6.結論

第5章 国際規範の遵守と国内政治―コンストラクティヴィズムによる日本・農産物リンゴ検疫事件の分析―

【大矢根聡】

1.はじめに
2.WTOの「法化」と国内政治
3.国際規範の遵守:規範認識の次元
4.事例分析:日本・農産物検疫事件
5.酒税事件との比較
6.結論

第6章 通商救済法案件の履行―影響を及ぼす制度・手続上の諸要因について―

【瀬領真悟】

1.はじめに
2.通商救済法案件の履行状況の概観
3.パネル・上級委員会手続と履行(履行前)
4.履行段階の問題点
5.結びに代えて

第7章 産業政策案件の履行―補助金協定案件を題材にして―

【渡邊伸太郎】

1.はじめに
2.産業政策とWTO
3.補助金の性質が履行に与える影響
4.補助金協定が履行に与える影響
5.パネル・上級委員会の法解釈が履行に与える影響
6.その他の事情が履行に与える影響
7.おわりに

第8章 WTO協定違反勧告の履行における法規範の正当性―FSC外国販売会社税制を巡る米欧紛争を題材として―

【東條吉純】

1.はじめに
2.WTO法規範の遵守における正当性の意義
3.FSC税制事件とWTO協定法上の「解決」の概要
4.FSC紛争の「解決」遅延とWTO法規範の正当性
5.結語

第9章 「農業案件」の履行・不履行問題 ―統計的アプローチからの示唆―

【内記香子】

1.問題意識
2.農業案件:概観
3.履行過程に影響した要因

第10章 「貿易と環境」案件における履行過程の分析枠組みと事例研究―「非貿易的関心事項」が係わる案件の一例として―

【川島富士雄】

1.はじめに
2.履行過程の分析枠組み
3.事例研究
4.分析枠組みの有効性の検証と推論
5.まとめと展望

第11章 「法それ自体」の違反に関するDSB勧告の履行―米国の事案を中心として―

【川瀬剛志】

1.はじめに
2.「法それ自体」の違反
3.「法それ自体」案件のDSB勧告履行状況―米国の場合―
4.「法それ自体」案件の履行と米国
5.パネル・上級委員会の判断と「法それ自体」案件の履行
6.「法それ自体」案件の履行から見た履行プロセスの制度的課題
7.結びにかえて

第12章 いわゆる大西洋間案件の履行について

【荒木一郎】

1.はじめに
2.大西洋間案件の履行状況
3.米欧経済関係の沿革と展望
4.別のシナリオの可能性
5.おわりに

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