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  世界の人権保障

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世界の人権保障

中村睦男・佐々木雅寿・寺島壽一 編著

2,600円 A5判 272頁 978-4-385-32149-3

主要国における人権の保障と救済制度について概観を試みた解説書。人権思想の歴史・人権の哲学的根拠に関する概説、人権の国際的保障にも言及し、日本の人権保障がどうあるべきか、読む者に示唆を与える。

はしがき   目 次   編著者・執筆者紹介

2017年9月15日 発行




はしがき

 本書は、世界諸国における基本的人権(以下、単に「人権」という)の保障と救済制度について、その現在の姿に重点を置きつつ、概観を試みる解説書である。

 本書の大半は、国別に見た、人権保障の展開を解説する部分であり、その内容は、「比較憲法(学)」と呼ばれる学問の中の、権利保障を扱う部分に対応する。本書ではそれを「比較人権論」と呼んでいる。こうして、本書の基本的性格は、「比較人権論の入門的教科書」──少なくともその一例を提示しようとする試み─である、ということになる。そのため、本書の序章ではまず、比較憲法学とは何かについて解説したうえで、比較人権論の意義を説明している。

 いうまでもなく、人権の保障・救済の具体的な制度化のありようは、現実には、国・地域により様々である。しかしながら、日本国憲法にも、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であ」る(97条)、と謳われているように、人権という概念そのものに、「国・地域の違いを超えた普遍的な価値」という含意がある。このことから、人権について論ずる場合には、その普遍性が、果たして、あるいは、どのようにして、根拠づけられるのか、という問いを避けては通れないことになる。同時に、人権が普遍的な価値だと言う以上は、その国際的保障が課題とならざるを得ず、そのことはまた、人権に関する国際的規律は各国の国内法制にどのような影響を及ぼす(べき)か、という問いへとつながっていくのである。

 そこで本書では、序章に続く第1章を、人権思想の歴史・人権の哲学的根拠に関する概説に充て、本書全体を締め括る終章の前の第10章で、人権の国際的保障について概説することとした。その点で、本書の内容には、法思想史・法哲学、(国際法の一分野である)国際人権法にわたる部分も含まれている、ということができる。

 以上の点を含めて、本書の構成上の工夫、本書で取り上げる対象など、本書の特色の詳細については、本書の序章で述べられているので、そちらを参照していただきたい。

 本書が生まれるきっかけとなったのは、編者の一人である中村から、中村編著『はじめての憲法学』(三省堂、初版2004年、第2版2010年、第3版2015年)の執筆者らに対してなされた、「人権に関する、比較憲法的視点に立った教科書を共著で出せないか」という趣旨の提案である。この提案を承けて、2012年春頃から、本書の編者の一人である佐々木が、『はじめての憲法学』執筆者のうち木下・齊藤と相談しつつ、本書の構想を具体化するための原案作りを始め、同年12月には最初の企画会議がもたれた。

 この企画会議で合意された構想は、幸いにも三省堂六法・法律書編集室のご理解を得ることができた。その際、本書で扱う中国・韓国・台湾という東アジアの憲法の重要性から、これらのそれぞれに精通した鈴木・岡・李にも特に参加を要請することとし、2013年4月までにはこの3名から参加の了解も得られた。初回を含めて5回に達した企画会議では、草稿を持ち寄っての検討など、綿密な意見交換を重ねたほか、電子メールによる協議を幾度も行い、この度ようやく本書の完成に漕ぎ着けたものである。

 本書の執筆者はいずれも、北海道大学大学院法学研究科の出身者である。本書はその点で、序章でも述べられているように、「北海道大学におけるこれまでの比較法研究の成果」の一つであると言ってよいであろう。

 本書は、日本国憲法に関する基本的知識をひととおり学んだ大学生等を対象とする、比較人権論の入門的教科書としての構想から出発したものであるが、大学院法学研究科生、法科大学院生等にとっても役立ちうる内容を含んでいるのではないかと考える。さらに、憲法・憲法上の人権保障の具体的な姿に関心をもつ市民、人権保障の国際比較に関心を抱く人々にも、本書が広く読まれることを願っている。

 三省堂六法・法律書編集室の黒田也靖氏には、本書の構想の段階から深いご理解をいただき、本書の完成に至るまで、辛抱強いご支援と多大なご尽力をいただいた。記して心から感謝の意を表したい。

2017年6月

編 者




目  次

はしがき  i

序章 「比較人権論」のすすめ  1

I 比較憲法学  1

1.比較憲法学  1

12.比較の方法  1

13.比較の対象  2

14.憲法の類型  2

15.比較憲法学の性格  3

16.比較憲法学の意義・効果  4

II 比較人権論  5

11.基本的人権に関する比較研究:比較人権論  5

12.本書の構成と特徴  5

13.解説の視点  7

14.比較人権論のすすめ  8

第1章 人権保障の理念  11

  ◎人権保障を比較するポイント  11

I 人権の思想  12

1.人権思想の前史  12

2.近代自然権思想の発展  14

II 人権保障の発展  18

1.自然権の復権  18

2.現代の人権保障の特徴  19

III 人権の観念と根拠  24

1.人権の観念  24

2.人権の根拠  26

むすびにかえて  29

第2章 イギリス  31

  ◎比較のポイント  31

I 人権保障の歴史  32

1.人権保障の母国  32

2.人権保障の伝統的枠組みの淵源  32

3.国王と議会及び裁判所との対立を通じた混合政体の形成  33

4.憲法原則としての議会主権と法の支配の定式化  34

5.人権保障の伝統的枠組みの特徴  35

II 人権保障の諸制度  36

1.人権保障の伝統的枠組みの限界  36

2.行政決定に対する司法審査の活性化  37

3.欧州人権条約の影響  38

4.法の支配の優位と人権保障の枠組みの転換  38

5.1998年人権法  39

6.人権法に基づく審査における判断枠組み  40

7.議会による人権保障  41

8.新権利章典制定をめぐる論争  42

III 保障される人権の特徴  43

1.言論の自由  43

2.平等  45

3.テロリズム対策立法と人権保障  47

むすびにかえて  50

第3章 アメリカ  53

  ◎比較のポイント  53

I 人権保障の歴史  54

1.独立戦争と独立宣言  54

2.連合の時代  54

3.憲法制定会議における「連邦派」と「州権派」の対立  55

c4.修正条項  55

II 人権保障の諸制度  56

1.概観  56

2.司法審査権  56

3.組み込み理論  57

4.ステイト・アクションの法理  57

III 保障される人権の特徴  58

1.特徴  58

2.表現の自由  59

3.国教樹立禁止条項と信教の自由  63

4.法の下の平等  65

5.実体的デュー・プロセス理論  69

むすびにかえて 70

第4章 フランス  73

  ◎比較のポイント  73

I 人権保障の歴史  74

1.フランス革命と人権  74

2.1848年憲法と個人主義的・自由主義的法原則の修正  77

3.第2次世界大戦後における社会権の承認  78

II 人権保障の諸制度  78

1.通常裁判所による違憲立法審査権の欠如  78

2.憲法院による法律の合憲性の審査  78

3.通常裁判所による法律の条約適合性審査  82

4.権利擁護官による人権の擁護  83

5.国家人権諮問委員会  83

III  保障される人権の特徴  83

1.ライシテ原則(政教分離の原則)  83

2.ポジティヴ・アクション  86

3.警察留置  88

4.反論権と表現の自由  89

5.「記憶の法律」と表現の自由  89

むすびにかえて  91

第5章 ドイツ  93

  ◎比較のポイント  93

I 人権保障の歴史  94

1.三月革命・フランクフルト憲法とその挫折まで  94

2.プロイセン憲法とドイツ帝国憲法  95

3.ヴァイマル憲法からナチス支配へ  95

4.第2次世界大戦後  97

II 人権保障の諸制度  98

1.憲法裁判制度  98

2.憲法改正の限界  100

III 保障される人権の特徴  101

1.基本法の規定から見た特徴  101

2.「防御権」としての基本権と比例原則  103

3.「客観的原則規範」としての基本権  105

4.人間の尊厳と人格の自由な発展に対する権利  107

5.いくつかの基本権をめぐって  110

むすびにかえて  115

第6章 カナダ  117

  ◎比較のポイント  117

I 人権保障の歴史  118

1.はじめに  118

2.1867年憲法の下での権利保障  118

3.1960年「カナダ権利章典」  120

4.1982年憲法が保障する諸権利  121

II 人権保障の諸制度  124

1.違憲審査制  124

2.「権利および自由に関するカナダ憲章」に関する違憲審査  125

3.人権侵害の救済方法  127

4.カナダ最高裁の積極姿勢  127

5.人権保障における議会の役割:対話理論  128

6.人権保護法による私人間の差別禁止  129

III 保障される人権の特徴  129

1.良心および信教の自由(2条(a))  129

2.表現の自由(2条(b))  131

3.生命、自由および身体の安全に対する権利  132

4.平等権  134

5.多文化主義  135

むすびにかえて  135

第7章 中 国  137

  ◎比較のポイント  137

I 人権保障の歴史  138

1.近代における人権の受容と苦悩  138

2.中華人民共和国における人権  140

II 人権保障の諸制度  144

1.社会主義型憲法の特殊性  144

2.空洞化する憲法保障制度  145

3.裁判による限定的な人権保障  146

III 保障される人権の特徴  148

1.特殊な人権論  148

2.権利・義務一致の原則  148

3.平等権  149

4.参政権  150

5.政治的自由および権利  150

6.信教の自由  153

7.人身の自由  154

8.経済、社会、文化的権利  154

むすびにかえて  156

第8章 台 湾  159

  ◎比較のポイント  159

I 憲法の歴史と人権保障の経緯  160

1.現行憲法の制定過程  160

2.「中華民国憲法」の台湾での施行  161

3.憲法改正の動向  162

4.人権保障の経緯  163

II 人権保障の諸制度  166

1.違憲審査制の概要  166

2.憲法法廷[憲法法庭]  169

3.仮の救済  169

III 保障される人権の特徴  170

1.憲法上の人権規定  170

2.精神的自由  170

3.平等保障とアファーマティヴ・アクション  172

4.社会権的権利と基本的国策  174

むすびにかえて  177

第9章 韓 国  181

  ◎比較のポイント――韓国の人権保障をみる視点  181

I 基本権保障の歴史  182

1.建国期における「基本権」の観念  182

2.「開発独裁」における基本権保障の倒錯現象  184

3.「民主化」と基本権の保障  185

II 基本権保障の諸制度  186

1.憲法裁判所と一般法院の両者にまたがる二元的な違憲審査制度  186

2.一般法院の違憲審査権と憲法裁判所との関係  189

3.憲法裁判所における「司法積極主義」のゆくえ  191

4.準司法機関たる「国家人権委員会」  192

III 保障される基本権の特徴  193

1.基本権の総説  193

2.基本権制限の正当性審査の基準  194

3.民主社会の根幹である「表現の自由」  196

4.「生命権」の新たな展開  197

5.北朝鮮との準戦時体制の下における基本権の問題  198

むすびにかえて  201

第10章 人権の国際的保障  205

  ◎国際人権法をみる意味  205

I 人権の国際的保障の歴史  206

1.国際人権法の前史  206

2.国際人権法の成立  206

3.人権の課題の展開  207

4.冷戦終結後の諸問題  209

II 人権の国際的保障の諸制度  211

1.人権保障のための国際的な制度  211

2.国際人権条約の国際的実施の制度  213

3.国際人権条約の国内的実施とその監視  214

III 保障される人権の特徴  218

1.実体的権利規定の特徴  218

2.宗教の自由と政教関係  219

3.表現の自由  219

4.平等  220

IV 人権の国際的保障と憲法秩序  221

1.各国憲法による条約の受け入れ構造  221

2.国法体系における国際人権条約の機能  222

むすびにかえて  223

終章 人権保障の現状と日本の特徴  225

I 人権の裁判的保障  225

1.違憲審査制の諸類型  225

2.人権制約の正当性審査の方法  228

3.人権保障に対する裁判所の立場  230

4.人権保障における政治部門の役割  231

II 現代における人権保障の特徴  231

1.人権の主体  232

2.人権の内容  232

3.人権の保障範囲  234

4.人権保障の国際化  235

III 個別分野の概観  236

1.平等権  236

2.信教の自由と政教分離の原則  238

3.表現の自由  239

むすびにかえて  241

事項索引  243

判例索引  252



編著者・執筆者紹介

〈編著者〉

中村 睦男  北海道大学名誉教授(第4章担当)

佐々木 雅寿  北海道大学教授(序章、第6章、終章 担当)

寺島 壽一  北海学園大学教授(第5章〔V5を除く〕担当)

〈執筆者〉

岩本 一郎  北星学園大学教授(第1章担当)

木下 和朗  岡山大学教授(第2章担当)

大島 佳代子  同志社大学教授(第3章担当)

鈴木 賢  明治大学教授(第7章担当)

李 仁諱@ 台湾国立中正大学教授(第8章担当)

岡 克彦  福岡女子大学教授(第9章担当)

齊藤 正彰  北海道大学教授(第10章、第5章〔V5〕担当)


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