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  国際経済社会法

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国際経済社会法

吾郷眞一 著  (品切)

2,500円 A5判 240頁 978-4-385-32236-0

国際労働法(ILO基準)を国際経済に関する法体系の中で論述した「国際経済社会法」の教科書。国際経済現象に法がどのように規律したかを論述、個別の国際労働基準、監視機能の役割も解説。付録に「通常監視手続の流れ」「特別手続及び結社の自由手続の実例」「ILO条約・勧告一覧」。
従来、「国際労働法」、「国際経済法」と別々に講義されたいたものを、国際労働法(ILO基準)を国際経済に関する法体系の中に位置づけ論述した「国際経済社会法」の教科書。
WTO中心に語られてきた「国際経済法」ではなく、国際経済現象を法がどのように規律してきたかを論述。個別の国際労働基準についても論述し、監視機能の役割についても解説。

2005年2月1日 発行

著者紹介 目次 あとがき




●著者紹介

吾郷眞一(あごう・しんいち)

1948年4月10日生まれ。1971年東京大学法学部卒業、東京大学大学院(法学修士)、ジュネーブ大学大学院 (Ph.D) を経て1977年埼玉大学教養学部助手、同講師、同助教授。1980年から1993年まで2度に分け、合計10年間ILOに勤務。1993年九州大学法学部教授。現在、九州大学大学院法学研究院教授。

〈主要著書〉
『国際労働基準法』三省堂、1997年

〈主要論文〉
「香港におけるILO条約の適用」ジュリスト1042号、1994年
「経済開発と労働基準」法政研究66巻2号、1999年
「貿易ルールとしての労働基準」日本国際経済法学会年報10号、2001年

〈翻訳書〉
『国際労働基準とILO』N.バルティコス著、三省堂、1984年



●目  次

第 1章 国際経済社会法の意義
第 2章 経済社会分野における国際社会の組織化
第 3章 国連経済社会理事会
第 4章 経済・社会協力
第 5章 国連の業務的活動
第 6章 ブレトンウッズ機構による経済協力
第 7章 GATT/WTOの活動
第 8章 国際社会法の概念
第 9章 ILOの主要機関
第10章 ILO条約とILO勧告
第11章 国際労働基準の採択・効力
第12章 基準採択後の加盟国の義務
第13章 基準の適用監視(通常の監視)
第14章 基準の適用監視(特別の監視)
第15章 監視の効果
第16章 社会条項
第17章 条約・勧告以外の基準
第18章 基本的労働権条約
第19章 強制労働の禁止
第20章 差別待遇の禁止
第21章 児童労働
第22章 雇用、社会政策、労働行政など
第23章 労働条件
第24章 その他の基準



●あとがき

 1997年出版の『国際労働基準法』が品切れになったことをきっかけに、本書が出来上がった。実質的には改訂版であるが、表題を変えて少し大げさな名称をつけたことには理由がある。前のものが主として「国際労働法」の授業の教科書として使うことを目的として書かれていたのに対して、本書は九州大学における「国際経済法」の授業を念頭においている。私は九州大学法学部の国際経済法という授業を10年続けてきたが、早い段階からその講義題目を国際経済社会法に変えてきていた。30コマのうちの半分くらいはILOについて話しているので、国際経済法という講義科目にするのは気がひけるという側面もあった。しかし、一方では国際経済法イコール貿易法という風潮にどうしても納得が行かないところがあり、国際経済とはWTOばかりではない、広い意味の国連を通してもっと幅のある経済協力活動、規範設定活動があるはずであって、それをなんとかしてうまく描くことができないものかと思っていた。授業においても、ブレトンウッズ機構と国連体制下での経済協力活動を講じた後、ILO基準についての概説をして、社会条項論で両者を結びつけるという手法をとってきた。本書においては、それを少し理論的に整理することを試みたが、十分に満足すべき結果がでているとは思わない。経済の部分についての叙述が、労働の部分に比して圧倒的に少なく、また前者が分析的であるのに対して後者がかなり描写的であることから、読者層を特定することができないという弱みがある。前者はかなり研究者向けのところがあり、後者は学生及びILOの実務家向けである。脚注なども、学部学生が使う教科書にとっては不釣合いな学術書が引用されたりしている。しかし、とりあえず、今の段階で私が考えていることを一度活字にしておくことは有用ではないか、また、教科書としても一応は通用するのではないかという判断の下に書いたのが本書である。

 第8章以下は事実上『国際労働基準法』をアップデートした改定である。7年間の間にいくつかの新しい基準が加わったが、監視機構や基本的なILO条約が持つ意味は不変なので、全体的に大きく記述を変えなくてはならないところは少なかった。しかし、古くなった条約の整理ということにILOが積極的に取り組むようになったため、現在では批准が推奨されないものであるとか、廃止されたものなどが数多く出現してきたし、実際に手続の部分には抜本的な変更が加わったものもある。それらについては、ILO東京支局 の助力を得てできるだけ最新の情報に更新したが、本書の目的が実務者向けのILO基準の手引きというだけの意味を持たず、理論的に国際労働法を位置づけることにも主眼点が置かれていることから、古い条約であっても、全体の説明にとって有用なものはそのままとした。

 21世紀に入り世界はグローバリゼーション傾向を一段と強めていっている。「寄らば大樹の陰」で、その流れに自ら進んで身を投じるのか、その傾向が内包する負の部分に対して敢然と立ち向かうのか、研究者としては真実を追究することにより自らその回答は得られるものと思われる。法はそもそも保守的なもので政治(革命)が達成したものを維持することを使命とする。しかし、他方で法は「政治の矩」でもある。政治が混沌を目指すとき、それを正す役割を持つのも法である。機能主義を基盤に20世紀を生き延びた国際労働基準が、21世紀の挑戦に対して「矩」の役割を果たすかどうかは、次世代の国際社会が国際経済現象と国際社会現象を正しく認識するかどうかにかかわってくるといえよう。本書で提起しようとした問題意識が、いくらかでも将来の国際社会認識に役立てば幸いである。

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