ことばは人を育て、未来をきりひらく知の源です。三省堂はことばをみつめて135年 サイトマップお問い合わせプライバシーポリシー
三省堂 SANSEIDOトップページ 三省堂WebShop辞書総合サイト Wrod-Wise Web教科書総合サイト ことばと教科
辞書教科書電子出版六法・法律書一般書参考書教材オンラインサービス
書名検索漢字かな著者名検索漢字かな詳細検索
新刊・近刊案内
メディアでの紹介
本の注文
書店様専用
大学向けテキスト
卒業記念
名入れ辞書
品切れのご案内
「ぶっくれっと」アーカイブ
会社案内
採用情報
謹告
三省堂印刷
三省堂書店へ
三省堂書店はこちら
声に出して読めない日本語。
「ほぼ日刊イトイ新聞」
(『大辞林』タイアップ・サイト)
  国際取引紛争 仲裁・調停・交渉

法律書ジャンル別案内


国際取引紛争 仲裁・調停・交渉

中村達也 著

2,500円 A5判 232頁 978-4-385-32356-5

代表例をストーリーで読み解く国際取引紛争の解決と実務。国際取引紛争の解決に利用される仲裁・調停・交渉について実務と基本的問題を概説。実際に用いられるさまざまな契約書等を用いて分かりやすく解説。

はしがき   目 次   著者紹介

2012年3月10日 発行



はしがき

 国際取引で紛争が生じた場合、これをどのように解決するか。通常、まずは 取引の相手と協議し、交渉によって解決することになるが、交渉が決裂した場合には、紛争の解決を諦めない限り、その解決が問題となる。国際取引紛争の解決においても訴訟が利用されることがあるが、現実には、訴訟ではなく仲裁(arbitration)が紛争解決手続として広く利用されている。

 仲裁とは何か、これを解説するのが本書の主な目的であるが、国家が訴訟と並んで紛争の最終的解決手段として認めた紛争解決制度である。詳しくは本書で説明するが、要は、訴訟の場合の判決と同様に、仲裁の場合にも、仲裁判断によって強制執行を行うことができる法的手続である。仲裁は法律上、喧嘩の仲裁とは意味が違う点に留意する必要がある。

 仲裁を利用するには、訴訟とは違い、仲裁によって紛争を解決するという合意(仲裁合意)が必要になるが、一般に、紛争が生じる前の契約締結段階で、契約書の一条項(仲裁条項)として、紛争が生じた場合、仲裁により解決する旨規定される。その場合、紛争の最終的解決は訴訟ではなく仲裁となる。日本商事仲裁協会(Japan Commercial Arbitration Association(JCAA))が2007年度に東証1部、2部上場会社を含む日本企業2千社に対し実施したアンケート調査結果(回答率14.8%)によれば、統計的には、日本企業が締結する国際契約の66%に仲裁条項が規定されている。したがって、国際取引で紛争が生じた場合、少なくともその7割弱が訴訟ではなく仲裁により最終的に解決することになる。

 また、最近、国際取引紛争の解決において、仲裁の遅延化や高額化という問題が生じており、当事者間の話合いで上手く紛争が解決できない場合、仲裁に行く前、あるいは、仲裁が進行中、迅速、低廉な紛争解決手続である調停(メディエーション(mediation))が利用され始めている。調停は、訴訟、仲裁とは違い、第三者の助力を得て、当事者が相互に満足のいく紛争解決合意(和解)を目指して協議する手続である。

 国際取引紛争の解決のために実際に仲裁や調停を利用することは少ないとしても、国際取引を行う上で予期せぬして生じる紛争に備え、仲裁、調停の知識を事前に得ておくことは、国際取引に関与する実務者にとって必要不可欠である。

 本書は、月刊誌「JCAジャーナル」に2011年9月号から2012年2月号まで9回に亘り連載した「入門・国際取引と紛争解決 ストーリーで見る紛争解決の実際」に加筆、修正を加え、国際取引紛争の解決に利用される仲裁、調停という紛争解決手続および当事者間の交渉について、その実務と基本的問題を概説するものである。その説明において、仲裁、調停の手続がどのように行われるか、これを示す必要があるが、仲裁、調停は、訴訟と違い、非公開で行われるため、一般にそれを知ることはできない。そのため、本書では、仮想的事例を作り、日本の中堅化学メーカーとナタリア国のサミエル社との契約の締結から紛争の発生、解決のための交渉、そして調停、仲裁による解決までを具体的に分かり易く解説し、国際取引紛争の全体像を概観することとした。

 国際取引に関与する実務者および将来関与する可能性のある学生はもとりより、将来、仲裁人、調停人として紛争解決に当たる人に対しても、本書が少しでも仲裁、調停の理解、活用の一助となれば望外の喜びである。また、ウィーン売買条約の適用を受ける国際売買契約から生じた紛争を題材に、手続面のみならず実体面についても解説を加えているので、法科大学院や大学での国際取引法の講義やゼミの教材としてもご利用していただければ幸いである。

 なお、事例は、手続の流れを具体的に説明するために作成したフィクションであり、現実の実務から乖離している面があることは否定できない。この点はご海容を請いたい。また、手続の流れは、日本における国際取引紛争を専門に扱う唯一の裁判外紛争解決機関であるJCAAの調停、仲裁に沿って解説するが、意見に亘る部分は、あくまでも筆者個人の見解であり、JCAAの見解を示すものではないことをお断りしておきたい。

 最後に、本書の出版に当たっては、三省堂法律書出版部の鈴木良明氏に大変お世話になった。この場を借りて、心より謝意を表したい。


2012年2月

中村達也



目  次

第1章 交渉

I 契約の締結

II 紛争の発生と国際化学の対応

III 紛争解決交渉

第2章 調停

I 交渉後の国際化学の対応‐調停の選択

II 調停手続の開始‐調停申立てと調停人の選任

III 調停期日

第3章 仲裁

I 交渉後の国際化学の対応 - 仲裁手続の準備

II 仲裁手続の開始

III 仲裁人の選任

IV 審理手続‐開始から仲裁権限に関する審問

V 文書提出命令、和解交渉、仲裁人の忌避

VI 本案に関する審問から仲裁判断



著者紹介

中村達也(なかむら・たつや)

1957年11月16日 津市生まれ
筑波大学大学院修士課程修了
現在、国士舘大学法学部教授、慶應義塾大学法科大学院非常勤講師(International Dispute Resolution(国際仲裁担当))、日本商事仲裁協会仲裁部部長

[主要著書]

『国際投資協定』(共著)三省堂,2010年 『国際ビジネス紛争の解決:訴訟・仲裁・ADR』大学教育出版,2008年 『仲裁法なるほどQ&A』中央経済社,2004年 『国際商事仲裁入門』中央経済社,2001年



このページのトップへ