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  滝沢正先生古稀記念論文集 いのち、裁判と法 比較法の新たな潮流

法律書ジャンル別案内


滝沢正先生古稀記念論文集 いのち、裁判と法 比較法の新たな潮流

矢島基美・小林真紀 編修代表

9,800円 A5判 352頁 978-4-385-32315-2

滝沢正教授の古稀を祝して捧げられる論文集。滝沢教授の主要研究テーマであるフランス法・比較法の観点から、生と死をめぐる法的問題と裁判と法をめぐる諸問題について、学恩を受けた気鋭の学者が執筆した。

はしがき   目 次   編集代表・執筆者紹介
お詫びと訂正

2017年3月15日 発行



はしがき

 本書は、上智大学法科大学院教授である滝沢正先生が2016年7月に古稀を迎えられたことから、日頃の学恩に感謝したいという思いのもとに一堂に会した17名の執筆者が、祝意として謹呈するものである。

 この論文集は、次に掲げる2つの点に重きをおいて構成されている。第一に、滝沢先生が最も力を注いで研究を進められてきた専攻領域そのものである。あらためて言うまでもなく、先生の主たるご専門はフランス法および比較法であるが、これらに加え、EU法や国際法に関わる問題についても優れた業績を発表されてきている。このことを踏まえ、本書の企画の際には、外国法・比較法的視点からの論考はもとより、国際関係法的な視点から扱った論考も含まれるよう、テーマ設定について執筆者の方々に配慮を頂けるようお願いした。幸いにも、アメリカ法、フランス法、ドイツ法など英米法および大陸法を代表する法体系を扱った論文と、EU法、国際公法および国際私法といった分野横断的な視点から書かれた論文が多数寄せられたおかげで、本書そのものが、先生のご活躍の分野の広さを示す指標にもなっている。それぞれの論文は独立しているとはいえ、全体を通してみられる相互の繋がりが、一方で、法系論的な観点から英米法や大陸法の特徴を示し、他方で、法の統一あるいは国際的な法の動向の現状を描き出しており、そこに比較法の新たな潮流を汲み取ることができるのではないかと考えている。

 第二に、これまで、滝沢先生ご自身が中心となり複数の研究者と連携して進められてきた数々の共同研究の成果を考慮した。先生は、上智大学を研究の拠点として種々の共同研究を実施され、その成果を学会や紀要にて発表されてきている。それらを大別するなら、まず、フランス生命倫理法に代表される、生殖補助医療や終末期医療において起こる法的問題や、患者の同意や死者の遺志の捉え方といった人の生と死をめぐって生じる諸問題を扱ったものがある。次に、ヨーロッパ各国法およびEU法における裁判組織のあり方、裁判の根源および意義あるいは公正性などを論点として、裁判と法をめぐる諸問題を扱ったものが挙げられる。そこで、本論文集もこれら2つのテーマを柱として、第1部を「生と死」、第2部を「裁判と法」とする2部構成を取ることにした。各部において論考は、それぞれの論者が検討の主たる対象とした国別に並べられている。


 滝沢先生は、1976年3月に東京大学大学院博士課程を修了し、法学博士の称号を受けられ、同年4月に上智大学法学部に助教授として着任された。以来、こんにちに至るまで、上智大学を拠点としてフランス法および比較法の教育と研究に邁進されている。また、東京大学、九州大学、日本大学をはじめとする全国各所の大学および大学院においても、長きにわたり非常勤講師としてフランス法および比較法の講義を担当されてきた。こうした先生のご活躍は、指導教授であられた野田良之先生をはじめとする先代が築かれてきた基礎法学教育の礎を後世に伝えるべく、近年、法学部における基礎法学科目の重要性に対する認識が低下しつつある現状に警鐘を鳴らそうとする、滝沢先生の強いご意志のあらわれであるともいえる。

 とりわけ、先生のご業績の筆頭に挙げられるのが、1986年に渋沢・クローデル賞を受賞された『フランス行政法の理論』(有斐閣)、1997年に初版が出された『フランス法』(三省堂)、および2009年に刊行された『比較法』(三省堂)である。とくに後者の2つの書物は、体系的かつ分かりやすい教科書に長らく欠けていた両分野で、まさに教科書として不動の地位を得ているといっても過言ではない。特筆すべきは、両書ともきわめて優れた体系書であるにもかかわらず、フランス民法典のように平易で明快な言葉で書かれている点である。とかく担当者の専攻や関心に偏りがちなフランス法や比較法の講義のあり方に一石を投じ、法学の一分野として教育すべき重要性をあらためて世に示したという点も、学界で高く評価されている所以である。これらの書物も含め、先生がこれまで発表されてきた数々のご研究の成果から、先生が抱かれている問題意識を敢えてひと言で表現するならば、それは、常に物事の全体を俯瞰し、大局的視点に立ちつつ、最も基本的かつ重要な論点を射抜くことにあるのではないかと思われる。

 もちろん、滝沢先生のご活躍は、教育・研究の分野にとどまらない。上智大学では、法学部国際関係法学科長、法学部長、法科大学院長など、次々と重要な役職を担われたのち、第14代学長に選任され、上智大学のさらなる発展に貢献されてきた。現在も、同大学生命倫理研究所の所長としてご活躍中である。また、学界においては、比較法学会、日仏法学会および公法学会の理事を長期にわたって務められている。とりわけ比較法学会では2006年に理事長に就任され、2期にわたり、わが国における比較法学の発展に寄与すべく学会の先頭に立って指揮をとられてきた。加えて、末延財団の理事としても、外国法研究を志す若手研究者の育成に注力されてきた。このように、滝沢先生のご活躍の分野は裾野があまりに広く、ここにひと言で書き表すことは難しい。詳細については、巻末に掲げたご業績の一覧を参照して頂きたい。


 滝沢先生の周囲には、常に同僚や門弟が集う。先生を中心にいつの間にか人の輪ができ、それが波のように分野を越えて多方向に伝わって、幾重もの学問的交流の環が自然と形成されていく。それも、学問に対しては常に厳しく批判的な姿勢を貫きつつ、ひとたび研究の場から離れると、誰に対しても穏やかで優しさに満ち溢れた態度で接してくださるという、滝沢先生のお人柄に魅かれる者が後を絶たないためである。本書も、こうした先生のお人柄に尊敬の念を抱いてやまない多数の研究者が、先生がめでたく古稀を迎えられるにあたり、何らかの祝意を表したいと結集した結果、完成したものである。いわば、滝沢先生のお人柄が、フランス刺繍の糸のように門弟の絆を強く縫い合わせ、本書をきっかけとして、「比較法の新たな潮流」と題する一枚の刺繍画を描く機会を与えてくださったのではないかと考えている。なお、企画を立ち上げた当初には寄稿へのご承諾を頂きながらも、編集のスケジュール上の理由から、玉稿を収めることが叶わなかった方もおられる。あらためてここにご寛恕を請う次第である。

 本書の刊行にあたっては、昨今の厳しい出版事情にもかかわらず、企画の段階から一貫して三省堂の黒田也靖氏にご尽力を頂いた。同氏の寛容かつ粘り強い編集努力がなかったら、本書の刊行は到底実現しえなかったであろう。厚くお礼を申し上げる。


 最後に、執筆者一同に代わり、滝沢先生の今後のますますのご活躍とご健勝を心よりお祈りし、先生の学恩に謝するべく本書を謹呈することとしたい。

2016年11月

執筆者を代表して

矢島 基美
小林 真紀




目  次

はしがき

編者・執筆者紹介

第1部 生と死

 

生命倫理における人間像──物語としての人生 〈奥田純一郎〉  2

I はじめに 2

II 物語的自己同一性──人間の多層性を束ねるリクールの「自己の解釈学」  5

III 物語とは?──ドゥオーキンとの比較:自己の中の輻輳・緊張 11

IV 結 語  16

生殖補助医療における望まない子の出産・出生責任
  ──アメリカ、ニュー・ヨーク州における二つの判決から
  〈服部篤美〉  17

I はじめに 17

II ニュー・ヨーク州での二つの判決──事実の概要と判決要旨  19

1 Paretta判決──生殖補助医療により望まない障害児が出生した事例  19

2 Andrews判決──生殖補助医療により望まない健常児が出生した事例  22

III 検 討  25

1 2つの判決  25

2 州における従来型「望まない子の出産・出生」訴訟  26

3 生殖補助医療における「望まない子の出産・出生」訴訟事案の特徴  29

4 若干の検討  31

IV 結びにかえて──これからの課題 35

ニュー・ヨーク州における同意能力を欠く患者の生命維持治療に関する決定について
  ──制定法の歴史とその背景にあるもの  〈永水裕子〉  37

I はじめに 37

II 「家族による医療ケア決定法」の制定へ  38

1 生命維持治療拒否権について  38

2 ニュー・ヨーク州の先例とその背景にある考え方  40

3 ニュー・ヨーク州生命と法に関する特別委員会報告書「他者が決定しなければならない場合?同意能力のない患者のために決定すること」(1992)  44

4 「家族による医療ケア決定法」が制定されるまでの道のり  48

5 家族による医療ケア決定法  51

III おわりに  57

フランスにおける終末期医療と法──意思表示できない患者に対する治療の中止・差し控え  〈小林真紀〉  58

I はじめに 58

II 終末期における患者の権利の保障  60

1 レオネッティ法による枠組み  60

2 顕在化した問題  63

III 新たな解決策の模索  71

1 制定の背景と経緯  71

2 クレス?レオネッティ法の概要  72

IV おわりに  75

フランスにおける生殖補助医療と法  〈本田まり〉  78

I はじめに  78

II 生殖補助医療に関する法制度  80

1 実施(技術利用)要件  80

2 受精卵着床前遺伝子診断  82

3 研 究  83

4 禁止される行為  85

III 近時の動向──第三者が関わる生殖を中心として  87

1 原 則  87

2 配偶子提供および自己保存  89

3 代理懐胎  90

IV わが国における状況  93

V おわりに  94

着床前診断を巡るドイツの10年と胚保護法新3a条  〈佐藤 亨〉  96

I はじめに  96

II 着床前診断の実施から胚保護法の改正まで  98

III 胚保護法新3a条の内容の検討  104

1 3a条1項について  106

2 3a条2項1文について  108

3 3a条2項2文について  111

IV おわりに  113

遺言の撤回と被相続人の意思の探求──破毀院判決を手がかりとして
  〈門広乃里子〉  114

I はじめに  114

II 平成25年判決について──遺言解釈と撤回された遺言  116

1 事実関係と判決要旨  116

2 遺言解釈と撤回された遺言  118

III 2014年破毀院判決について──果実の持戻しと被相続人の無償処分意思  119

1 事実関係と判決要旨  119

2 果実の持戻しと無償処分意思  121

IV 考 察  125

V むすびに  126

EU国際相続法における当事者自治の原則  〈福井清貴〉  128

I 序 文  128

II EU相続規則の成立とその内容  129

1 沿 革  129

2 条 文  131

3 EU相続規則と草案の内容  132

III 量的制限をめぐる議論   139

1 国籍国法以外の法の選択  139

2 小 括  143

IV 結 語  144

第2部 裁判と法

人道的な処刑と合衆国最高裁
  ──処刑失敗をめぐる論議からみえるもの  〈岩田 太〉  148

I はじめに──近年の死刑をめぐる状況  148

II 合衆国における処刑のあり方と裁判所による規制  151

1 死刑に対する合衆国最高裁の規制概説  151

2 処刑の残酷性と合衆国最高裁の規制  152

3 近年の最高裁と薬殺刑──Baze判決からGlossip判決へ  154

III 処刑失敗をめぐるナラティブ──SaratとDennoの議論から  161

IV 結びに代えて  164

1 合衆国における死刑をめぐる公けの議論の活発さ  164

2 死刑をめぐる運用の困難さ・死刑の特殊性  167

フランス法における「結社の自由」の制約原理
  ──「特殊性の原理」の意義と射程  〈熏正博〉  169

I 序──結社の自由の制約原理としての「目的」  169

II 「特殊性の原理」の概念  171

1 原理の概念・基礎・性質  171

2 リペールの公法規範説  174

3 ミシューの公法・私法規範説  176

III 「特殊性の原理」の適用  178

1 原理違反の場合の制裁内容  178

2 国務院による特殊性の原理の厳格な適用  180

3 破毀院による特殊性の原理の柔軟な適用  184

IV 結──内在的制約としての「目的」  187

フランスにおける合憲性統制の新段階  〈矢島基美〉  188

I はじめに  188

II 憲法院付託権拡大の試み  190

1 1974年憲法改正  190

2 1990年憲法改正案  192

3 1993年憲法改正案  194

III 2008年憲法改正による成功  195

1 QPC制度導入の経緯  195

2 QPC制度の手続  198

3 成功の要因  199

IV 事後的な合憲性審査制度の運用とその影響  202

1 QPC制度運用の実際  202

2 QPC制度の導入にともなう問題ないし影響  204

V むすびに代えて  206

ナチス期および戦後期におけるドイツの弁護士政策 〈荒井 真〉 208

I はじめに  208

II 自由職としての弁護士の誕生  209

III 弁護士認可制限の導入  210

IV ユダヤ人弁護士の排除  215

V 他分野からの参入者の排除  220

VI 追放者(Vertriebene)および避難民(Fl)の排除  221

VII 女性弁護士の排除  224

VIII 元ナチス関係者の再認可  225

IX おわりに  227

比較法におけるミクロ史の視点
  ──19世紀末日独の調停を題材に  〈松本尚子〉  229

I はじめに  229

1 テーマと問題関心  229M

2 方法論上の特徴  230

II 比較の視点をどこにおくか  231

1 「日本人の法意識」論からみた調停  231

2 ミクロ史・日常史の視点──「司法利用」と比較司法史  234

III 比較の基盤となるファクター ──規範的枠組みと統計データ  237

1 プロイセン勧解人制度  237

2 日本の勧解制度  239

3 小 括  240

IV ミクロ史の視点──利用者の視点からみた調停比較  241

1 勧解人記録から読み取れること  241

2 明治期勧解研究から読み取れること  244

V むすびにかえて  247

EU先決裁定制度における先決問題付託義務違反と公正な裁判を受ける権利──欧州人権条約6条の観点から  〈西連寺隆行〉  249

I 序  249

II EUの先決裁定制度  250

1 先決問題付託義務  250

2 訴訟当事者の地位  252

3 小 括  253

III 欧州人権条約6条適合性審査  253

1 欧州人権条約6条適合性審査の枠組み  253

2 付託拒否理由の審査  259

3 違反認定時の救済  263

4 考察──理由付け審査の背景  263

IV 結 語  265

クルツ・バット引渡請求事件(英国)の国際法上の意義について
  〈洪 恵子〉  267

I はじめに  267

II クルツ・バット引渡請求事件の概要  270

1 事実背景  270

2 高等裁判所におけるバットの主張と裁判所の結論  271

III 特別使節の免除  272

1 特別使節に関する国際法  272

2 特別使節として認められるための要件  273

3 裁判所と行政府の役割分担  274

IV 身分による免除を享有できる範囲  277

V 刑事管轄権からの事項的免除  279

1 事項的免除の根拠と裁判所の判断  279

2 事項的免除に関する本件の意義  281

VI おわりに  284

国際司法裁判所における「法の一般原則」への依拠
  ──クリーン・ハンズ原則の可能性  〈岩石順子〉  285

I はじめに  285

II 「法の一般原則」としてのクリーン・ハンズ原則  287

1 クリーン・ハンズ原則の意味と機能  287

2 国際法上の議論  288

III 近年の国際司法裁判所におけるクリーン・ハンズ原則への依拠  293

1 クリーン・ハンズ原則への依拠例  293

2 原則への依拠と裁判における紛争の個別化  299

IV おわりに  301

個人の国際法上の権利と国際司法裁判所  〈土屋志穂〉  303

I はじめに  303

II 国際司法裁判所における個人と外交的保護  307

III ディアロ事件における人権侵害に対する外交的保護  311

IV おわりに  317

滝沢正先生 略歴  319

滝沢正先生 主要著作目録  322



編集代表・執筆者紹介

〈編集代表〉

矢島 基美(やじま もとみ) 上智大学法学部教授

小林 真紀(こばやし まき) 愛知大学法学部教授

〈執筆者(執筆順)〉

奥田 純一郎(おくだ じゅんいちろう) 上智大学法学部教授

服部 篤美(はっとり あつみ) 東海大学法科大学院実務法学研究科教授

永水 裕子(ながみず ゆうこ)) 桃山学院大学法学部教授

本田 まり(ほんだ まり) 芝浦工業大学工学部共通学群人文社会科目准教授

佐藤 亨(さとう とおる) 上智大学客員研究員

門広 乃里子(かどひろ のりこ) 國學院大學法学部教授

福井 清貴(ふくい きよたか) 明治大学法学部専任講師

岩田 太(いわた ふとし) 上智大学法学部教授

熏 正博(たかさく まさひろ) 関西大学法学部教授

荒井 真(あらい まこと) フェリス女学院大学国際交流学部教授

松本 尚子(まつもと なおこ) 上智大学法学部教授

西連寺隆行(さいれんじ たかゆき)大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授

洪 恵子(こう けいこ) 南山大学法学部教授

岩石 順子(いわいし じゅんこ) 上智大学客員研究員

土屋 志穂(つちや しほ) 上智大学客員研究員


お詫びと訂正

〔目次 ix頁〕 作先生の論文中「VI 結──内在的制約としての「目的」」は、正しくは「IV 結──内在的制約としての「目的」」です。

〔187頁〕 「VI 結──内在的制約としての「目的」」は、正しくは「IV 結──内在的制約としての「目的」」です。

謹んでお詫び申し上げます。


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