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  フランス行政法─判例行政法のモデル─

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フランス行政法

P. ウェール・D. プイヨー 著、兼子 仁・滝沢 正 訳 (絶版)

2,000円 四六判 192頁 978-4-385-32292-6

フランス行政法のロングセラーである古典的名著の翻訳。行政裁判所であるコンセイユ・デタ等の歴史的所産である主要判例をもらさず言及し”判例行政法“のフランス的モデルの全体像を分かりやすく解説。

2007年8月20日 発行

訳者紹介 目次 訳者あとがき





●訳者紹介

兼子 仁(かねこ・まさし) 東京都立大学名誉教授

1935年生れ
1957年 東京大学法学部卒業、同助手
1960年 東京都立大学法経学部講師
1965年 東京大学法学博士(新制論文)
1965-67年 フランス政府給費留学生(ボルドー大学、パリ大学)
1975年 東京都立大学法学部教授
1994-97年 日本学術会議会員
1998年 東京都立大学定年退職、名誉教授、フランス行政法研究会名誉会長
[専攻]行政法学
[関連著作等]
『現代フランス行政法』有斐閣、1970年
『リヴェロ・フランス行政法』(共編訳)東京大学出版会、1982年
『フランス行政法学史』(共著)岩波書店、1990年
『フランス判例百選』(フランス行政法判例解説・別冊ジュリスト)有斐閣、1969年

滝沢 正(たきざわ・ただし) 上智大学法科大学院教授

1946年生れ
1969年 東京大学法学部卒業
1976年 東京大学大学院修了、法学博士
1976年 上智大学法学部助教授
1979-81年 フランス政府給費留学生(パリ大学)
1984年 上智大学法学部教授
1998年 フランス行政法研究会運営委員
2001 年 日仏法学会常務理事
2004年 上智大学法科大学院教授、法科大学院長
[専攻]フランス法
[関連著作等]
『フランス行政法の理論』有斐閣、1984年(渋沢・クローデル賞)
『フランス法』三省堂、1997年(第2版、2002年)
『比較法学の課題と展望』(編集代表)信山社、2002年
「フランス法における行政契約」法学協会雑誌95巻4〜7,9号、1978年
「フランス行政法」『現代行政法大系第1巻』有斐閣、1983年



●目  次

序  論

I 行政法の前史
1 行政を司法裁判所の統制から免れしめたこと
2 行政権の内部における行政裁判所
3 自律的な法規範

II 古典的な時期
1 行政法の公理
2 判例行政法づくりの手法

III 発展に伴う危機

IV 大きく動かされている行政法
1 行政裁判官と行政法とのかかわりに生じた変動
2 新しい法規範的環境
3 新たに見られる制度風景

第1部 行政作用のしくみ

第1章 行政機関の拡散──直接作用から間接作用まで

I 公施設法人
II 独立行政機関
III 私的な組織
1 一般利益の任務への私人の協働
2 私的な組織という法形式を付与された規制機関の、公権力による創設

第2章 行政手段の多様化──特権から特別義務まで、公管理から私管理まで

I 特権と特別義務
1 法律行為
2 公務員法
3 財産制度
4 公土木および公の工作物
II 公管理と私管理
1 公役務における私管理
2 私管理の公役務
3 手段の選択の問題

第3章 行政目的の段階化──公役務と一般利益の活動

I 公役務の定義
II 公役務と一般利益の活動の区別

第4章 法制度──公法と私法

I 単一の基準の失敗
II 複数の基準
III 公法制度と私法制度という概念のゆらぎ

第2部 行政統制のしくみ

第1章 法による行政の制限──適法性の原理

I 制限される行政活動──適法性原理の適用範囲
1 行政機関の活動
2 非公法的法人による行政作用
II 行政を制限するもの──適法性の源泉
1 行政に対する外的制限
2 行政内部的な制限
3 例外状況の法理
III 適法性の内訳──裁量権と覊束権限

第2章 裁判官への行政の服従──権力分立原則

I 行政裁判所による統制
1 行政裁判所
2 越権訴訟
3 行政賠償責任
II 司法裁判所による統制
1 司法的な統制の領域
2 司法的な統制の態様
III 裁判管轄の統一に向かうのか

結  論
参考文献

訳者あとがき
訳者解説:判例法としてのフランス行政法
事項索引
訳者紹介



●訳者あとがき

 Nous voudrions remercier cordialement Monsieur le Professeur emerite Prosper Weil ainsi que Madame le Professeur Dominique Pouyaud d’avoir bien voulu nous autoriser a traduire en japonais cet ouvrage aussi attractif (Le droit administratif, coll. Que sais‐je? n° 1152, 21e ed., 2006.).

  Masashi Kaneko, Professeur emerite a l’Universite metropolitaine de Tokio, ancient Boursier 1965〜67 (Droit administratif)

  Tadashi Takizawa, Directeur de l’institut d’etudes judiciaires a l’Universite Sophia, ancient Boursier 1979〜81 (Droit francais)

 私どもはまずもって、本原書の著者であるプロスペール・ウェール名誉教授およびドミニック・プイヨー教授が、私どもに、クセジュ文庫『行政法』(2006年第21版)の日本語訳の出版を許可して下さったことに対し、心からの御礼を申し上げたい。

 それとともに、この翻訳出版に格別のご尽力を頂いた三省堂の鈴木良明氏に、大いに感謝している。

 また、クセジュ文庫の翻訳である本訳書の刊行にご理解を頂いた白水社に謝意を表する。

 私どもは、以下に述べる理由から、クセジュ文庫『行政法』の和訳である本書が、“判例行政法のモデル”を読みやすく魅力的に示したフランス行政法の紹介書として、日本の法学研究者をはじめ法科大学院生および学部学生の皆さま方に親しんで頂けることを、心底願っている。

 なお私ども2名は、兼子は行政法研究者、滝沢はフランス法研究者として、ともに「フランス行政法研究会」(1978年以来)に属して長年共同研究をしており、また別記のとおりそれぞれフランス政府給費留学生としてフランスの大学でフランス行政法を研究する機会を与えられた者であるので(2人ともパリ大学でウェール教授の講義に接している)、本訳書の出版がそうした恩恵に報いる一端ともなれば幸甚と考えるものである。

〔なお、翻訳は、本原書の「序論」および「第2部第1章、第2章I」を兼子、「第1部」、「第2部第2章II、III」および「結論」を滝沢、が分担している。〕

本原書の共著者の紹介

■プロスペール・ウェール  Prosper Weil

パリ第2大学(パンテオン・アッサス大学)名誉教授、フランス学士院会員
1951年 博士論文(パリ大学法学部論文賞)「越権による行政行為の取消しの効果」(Les consequences de l’annulation d’un acte administratif pour exces de pouvoir, these Paris, 1951, Ed. Jouve)
1952年 教授資格試験合格(公法、首席)
エックス・アン・プロヴァンス大学を経てパリ第2大学教授(比較行政法、国際法講義担当)
国際司法裁判所仲裁人・顧問、常設仲裁裁判所裁判官、世界銀行行政裁判所裁判官
主要著作──共著『主要行政判例解説』(Les Grands Arrets de la jurisprudence administrative, Dalloz, 1956年初版より)、本原書(1964年初版)、『国際法論集』(Ecrits de droit international, 2000.論文集)
[Weil教授名の発音は、フランスにおいても、ヴェーユ、ヴェイルなど一定していないようであり、本訳書では、ドイツ起源の原語読みのフランス的慣行に沿うウェールを選ばせていただいている。]

■ドミニック・プイヨー女史  Dominique Pouyaud

パリ第5大学(ルネ・デカルト大学)教授
1989年 博士論文(パリ第2大学)「行政契約の無効」(La nullite des contrats administratifs, Bibliotheque de droit public t. 158, 1991, LGDJ)
教授資格試験合格後、ルーアン大学教授を経てパリ第5大学教授(行政法講義担当、学士課程主任)
主要著作──共著・本原書(1994年第16版より)、『行政賠償責任』(La responsabilite administrative, Documentation francase, 2004)、「公法人間の契約」(加除式 Jurisclasseur Administratif)、判例評釈・フランス行政法雑誌(RFDA).

本原書の位置づけおよび評価

1)本原書は実は単に『行政法』と題されているのであるが、和訳本書としては『フランス行政法』と改題し、“判例行政法のモデル”という副題を敢えて付させて頂いている。

 本原書がフランスで40年余にわたるロングセラーのクセジュ文庫本(1152号)であることは、われわれには驚異的であろう。1964年初版でほぼ2年に一度の改訂をかさね目下2006年第21版に及んでいる(累計出版部数は21万3千部を超える由である)。

 フランス大学出版社(Presses Universitaires de France:PUF)が刊行するクセジュ文庫シリーズは、本来やはり文芸・教養書が多く、法律書も、一般人向け入門書のほかは個別制度問題ないし特別法分野に関するものである(たとえば、F.スュードル『ヨーロッパ人権条約』建石真公子訳、有信堂、1997年、など)。

 それに対して、本原書は例外的に、一般「行政法」の専門的レベルを落とすことなく、かつ一般人にも読める文庫本を成している。発刊当初から行政法の参考文献として専門書にも挙げられており、しかも概説書にはないような魅力ある筆致とが相俟って、行政法書およびクセジュ文庫本として、それぞれに異彩を放っていると言えよう。

 本原書はフランスで、長く行政法の古典的名著という定評を得てきたのであるが、1990年から2000年代にかけての今日的改訂版では、後述するような“新味”を加えている。

2)本原書の目立つ特色として、つぎの4点が挙げられると思われる。

 (1) フランスの行政法書には、法制と法問題を形式論理的に分かりやすく分類整理し筋立てるというカルテジアニスム(デカルト主義)と、人権保障を具体的に追求する積極的リベラリスムの傾向とが、統合されているという特色がよく見いだされる。公権力の特権(prerogatives)と特別義務(sujetions)の必須的組合せはその表われの一つである。この点は、ダローズ・テキストシリーズのリヴェロ教授『行政法』(兼子仁・磯部力・小早川光郎編訳『フランス行政法』東京大学出版会、1982年)と共通している。

 (2) フランス行政法が19世紀初め以来、行政裁判所であるコンセイユ・デタ訴訟部の歴史的所産としての判例法(droit jurisprudentiel)であることは、公知であろうが、小規模な本原書は、主要判例を落とさずメンションしながら“判例行政法”のフランス的モデルの全体像を分かりやすく説明している。(ただし、フランス行政法判例の特殊な成り立ちの面もあるので、本訳書には必要最小限の[訳注]を追加している。)

 もっとも、20世紀以降の「公役務」行政法のゆらぎと一貫性の弱化について本原書の表現はややペシミスティックすぎる感があり、日本のわれわれにとっては、変遷した歴史的遺産としての判例行政法の要点に学び知るべきところが多いと見える。

 (3) 本原書のクセジュ文庫本らしい特徴として、上掲のリヴェロ・テキストのような概説書には見られない、かなり思い切った筆致と叙述法で、堅苦しくなりがちな行政法を読みやすく語っていると言える。

 とりわけ、コンセイユ・デタ(国務院)の評定官たちの最高級職団の政治社会的機能の描写や、行政アウトソーシングのフランス型を示す私的行政組織の今日的な状況説明などが注目されよう。

 (4) 本原書の改訂部分には、特に1990年代から2000年代にかけてのフランス行政法の新味が、これまた積極的に追記されている。

 わけても、「序論」の末尾に示されたように、今日のフランス行政法の大きな変動要因として、ヨーロッパ共同体法(ヨーロッパ人権裁判所の判例を含む)との直接的交流、および国内における「憲法院」判例のインパクト、が強調されている。

 すでに日本では、フランス憲法院とその判例の研究が大いに進んできているが(たとえば、フランス憲法判例研究会編・辻村みよ子編集代表『フランスの憲法判例』信山社、2002年)、本原書には、憲法院判例とコンセイユ・デタ判例との関係がデッサンされているのである。

 なお、上記のヨーロッパ共同体法をめぐる本書の部分は極めて示唆的であって、この点を含めて本書は、これからのEU法にかかわりのある産業界の方がたにも有用な書物であると申し上げられよう。

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