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フランス憲法入門

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フランス憲法入門

辻村みよ子・糠塚康江 著

3,800円 A5判 320頁 978-4-385-32353-4

2008年の大改正以降、際だった特徴を見せているフランス憲法を、憲法史的・憲法理論的・比較憲法的視点から考察。その歴史的展開と統治構造・人権原理の現状などを概説したフランス憲法概説書の最新決定版。

はしがき   目 次   著者紹介

2012年4月20日 発行




はしがき

 フランスでは、大革命期の1791年憲法以来、革命などの政治変革の結果として15を超える憲法が作られた。現行の第五共和制憲法(1958年憲法)も、制定から2011年12月までの約53年間に24回の改正を行って、フランスの政治状況や社会・文化等の変化に対応してきた。フランス憲法は、いわばフランス政治・社会・文化の体現物であり、「フランスの粋」を集めた法的営為の結晶でもある。この意味では、フランス憲法を知ることによって、フランスの政治・社会・文化を知ることができるといっても過言ではない。

 とくに最近では、判例法主義の英米法体系に属するイギリスやアメリカとも異なり、また、成文法主義の大陸法系に共に属するドイツとも異なって形成されてきた「フランス的憲法伝統」にも、変容傾向が認められる。

 例えば、違憲審査制について、アメリカ型の付随的審査制ともドイツ型の抽象的審査制とも異なる「事前審査制」を確立してきたが、2008年7月23日憲法的法律による憲法改正において「抗弁による事後的審査制」を部分的に導入した。これによって、フランス型の特徴が薄まるとともに、憲法院による人権保障という観点が前面に押し出されることになった。

 また、フランス国内法体系の最高法規であるフランス憲法も、最近では、欧州連合(EU)の拡張に伴う欧州憲法条約や欧州(ヨーロッパ)人権裁判所判決等を通して、EU法や欧州(ヨーロッパ)人権条約の影響を強く受けることになった。

 このような憲法変容は、違憲審査制の在り方やEU法等の影響にとどまってはいない。広く人権原理や人権規範についても、また、主権原理や代表制原理、統治制度(大統領と首相の二頭制の問題、議会制民主主義の在り方)など、憲法原理の全般にわたって変化が認められる。1958年から24回も憲法改正が実施された間に、パリテ(男女同数)、パクス(民事連帯契約)、イスラムのスカーフ問題、住民投票、ニュー=カレドニア等の分権化、環境憲章、権利擁護官の創設など、フランス憲法の共和主義的伝統や主権原理・人権原理に直接かかわる問題について、絶えず新たな憲法理論が生成・発展されてきた。このような展開は、日本の憲法学のみならず広くフランス社会・政治・文化・思想等に関心を持つ世界各国の人々を魅了し、多分野にわたって大きな影響を与えてきた。

 そこで本書では、フランス憲法伝統の変容や新たな憲法問題に重点をおくことを基本として、序論でフランス憲法を学ぶ意義をみたうえで、第I部でフランス憲法史上の諸憲法の特徴と展開、第II部で現行第五共和制憲法の特徴と変容について概観する。

 ここでは、つねに比較憲法的な視点にたち、フランス憲法以外の問題に関心をもつ読者や、日本国憲法を深く学ぶことを志す学生・市民のみなさんにも有益な議論を提供することをめざしている。

 さらに、巻末の資料編で、1789年人権宣言・1791年憲法以来の諸憲法の条文の邦訳(一部抄訳)や主要判例、憲法年表、基本用語等を掲載することで、フランス憲法資料集としても貴重な書物になることを期待している。

 なお、本書は、フランス革命期のジャコバン憲法を学位論文のテーマとして以来、フランス憲法の展開や現代立憲主義原理を研究してきた辻村と、フランス第三共和制期の議会制の研究を学位論文のテーマとして以来、現代の平等原理・パリテや議会制について研究してきた糠塚の共著という形で公刊することとした。これによって、フランス憲法の歴史的意義と統治構造・人権原理の展開をそれぞれの専門を活かして十分に咀嚼して示すことができ、フランス憲法の魅力を各界に伝えることができることを願っている。

 本書は、これまでのフランス法学・比較憲法学等の研究成果に負うところが大きいため、巻末文献欄に引用した多くの先行業績に感謝したい。また『新解説世界憲法集』(初宿・辻村編、第2版 2010年)等に引き続いて、本書でも大変お世話になった三省堂六法・法律書編集室の黒田也靖さんに、心より厚くお礼を申し上げる。


2012年1月

辻村みよ子・糠塚康江



目   次

はしがき

序 論 フランス憲法を学ぶ意義

1 歴史的(憲法史的)意義  1

2 憲法理論的意義  2

3 比較憲法的意義  5

4 日本におけるフランス憲法研究の意義  7

第I部 フランス憲法の歴史的展開

第1章 フランス革命期憲法──第1のサイクル  12

1 フランス革命と近代憲法の成立──1789年人権宣言と1791年
   憲法  12

(1)フランス革命の意義と構造  12

(2)1789年「人および市民の権利宣言」  13

(3)オランプ・ドゥ・グージュの「女性および女性市民の権利宣言」  15

(4)1791年憲法と国家(ナシオン)主権の構造  16

2 1793年憲法(ジャコバン憲法)と人民(プープル)主権  18

(1)  王制廃棄から共和制憲法の制定へ   18

(2)1793年憲法人権宣言  19

(3)1793年憲法の統治構造  21

3 1795年憲法(共和暦III年の憲法)とブルジョア憲法原理の定着   24

(1)1795年憲法の意義  24

(2)1795年憲法の内容  25

4 1799(共和暦VIII)年・1802(共和暦X)年・1804(共和暦XII)年
   憲法の展開  27

(1)1799(共和暦VIII)年憲法  27

(2)1802(共和暦X)年憲法  29

(3)1804(共和暦XII)年憲法  29

第2章 19世紀前半の憲法──第2のサイクル  30

1 憲章の時代──議院内閣制の出現  30

(1)1814年憲章の特徴と統治構造  31

(2)議院内閣制の萌芽──七月革命へ  34

(3)1830年憲章とオルレアン型議院内閣制  36

2 1848年(第二共和制)憲法──普通選挙制の出現  39

(1)臨時政府──共和制の宣言と普通選挙制  39

(2)1848年憲法の制定  42

(3)共和主義者なき共和制──議会vs.大統領  44

3 1852年憲法と第二帝制  46

(1)1852年憲法  47

(2)プレビシット体制  49

(3)自由帝制  50

第3章 第三共和制憲法・第四共和制憲法──第3のサイクル  55

1 1875年(第三共和制)憲法の成立  55

(1)共和主義世論の形成  55

(2)共和制の成立  57

(3)統治機構  58

(4)2つの共和制  62

2 議会中心主義の確立──共和主義者の共和制  64

(1)  5月16日(セーズ・メ)事件  65

(2)1884年8月14日憲法改正と選挙法の改正  67

(3)共和国の試練と「法律による自由」  70

3 議会中心主義の動揺  75

(1)議院内閣制の機能障害──内閣の不安定  75

(2)国家改革論と首相府の創設  77

(3)デクレ=ロワの常態化からヴィシー体制へ  80

4 1946年(第四共和制)憲法の成立と運用  83

(1)1946年憲法の成立  83

(2)1946年憲法体制  85

(3)第三共和制への回帰  89

第II部 第五共和制憲法

第4章 第五共和制憲法の特徴と展開  94

1 1958年憲法の成立と特徴  94

(1)成立  94

(2)特徴  94

2 1958年憲法の展開  96

(1)憲法改正の経緯  96

(2)統治機構の改革──大統領の権限強化・任期短縮と地方分権  99

(3)人権保障の展開──憲法院判例の進展と憲法規範の拡大  101

3 2008年7月23日憲法改正の経緯と内容  102

(1)経緯  102

(2)2008年改正の主要論点  104

(3)男女平等参画と人権保障の多元化  105

第5章 統治機構と憲法の変容  107

1 欧州統合と主権  107

(1)欧州統合をめぐる憲法改正と憲法院判決  107

(2)憲法改正の限界と憲法制定権力  110

(3)憲法改正の手続と制約  111

2 主権論の展開  112

(1)2つの主権論の展開と「市民主権」  112

(2)「人民(プープル)主権」の構造と直接民主制  114

3 統治機構  116

(1)双頭の執行府(執行権の双頭制[二頭制]) 117

(2)国会  123

(3)政府と国会の関係──合理化された議院内閣制  126

第6章 憲法院と憲法訴訟の展開  133

1 違憲審査制の意義と類型  133

2 第五共和制憲法下の憲法院の変容と判例展開  135

(1)憲法院の職務権限(competences)と判決の種類  135

(2)憲法院判決の効力と性格  140

3 2008年憲法改正後の展開  141

(1)事後的違憲審査制の導入  141

(2)新制度の限界と課題  144

(3)QPC判決の展開  145

第7章 人権原理と憲法の課題  149

1「公の自由」から「基本権」へ  149

(1)公の自由  149

(2)人権論の変容──「基本権」の保障  152

2 憲法院による人権保障の展開  157

(1)憲法ブロックの承認と拡大 157

(2)「基本権」の展開  163

(3)憲法院の課題  167

3 新しい人権  171

(1)リプロダクティヴ・ライツと自己決定権  171

(2)機会の均等──ポジティヴ・アクション、パリテ  177

4 イスラムのスカーフ問題──フランス共和主義の課題  187

(1)共和制原理と自由  187

(2)2004年スカーフ禁止法とライシテ  188

(3)2010年ブルカ禁止法と共和国原理のゆくえ  191

資料編

(1)フランス憲法条文  194

(2)主要年表  277

(3)第五共和制歴代大統領・首相  283

(4)基本用語一覧  284

■主要参考文献  289

■判例索引  295

■人名索引  298

■事項索引  303



著者紹介

辻村 みよ子(つじむら・みよこ)

〔略歴〕

東京生まれ、一橋大学法学部卒、同大学院法学研究科博士課程(法学博士)
一橋大学法学部助手、成城大学法学部専任講師・助教授・教授、パリ第二大学比較法研究所招聘教授を経て、現在、東北大学大学院法学研究科教授、東北大学ディスティングイッシュト・プロフェッサー。

〔主著〕

『フランス革命の憲法原理──近代憲法とジャコバン主義』日本評論社(1989年)
『「権利」としての選挙権──選挙権の本質と日本の憲法問題』勁草書房(1989年)
『人権の普遍性と歴史性──フランス人権宣言と現代憲法』創文社(1992年)
『市民主権の可能性──21世紀の憲法・デモクラシー・ジェンダー』有信堂
  (2002年)
『フランスの憲法判例』(フランス憲法判例研究会編・編集代表) 信山社(2002年)
『欧州統合とフランス憲法の変容』(中村・高橋・辻村編) 有斐閣(2003年)
 Égalité des Sexes:La Discrimination Positive en Qestion,(M.Tsujimura et
  D.Lochak,dir.)Société de Législation Comparée, 2006
 International Perspectives on Gender Equality & Social Diversity, (M.Tsujimura,ed.)Tohoku University Press, 2008
『ジェンダーと人権』日本評論社(2008年)
『憲法とジェンダー──男女共同参画と多文化共生への展望』有斐閣(2009年)
『新解説世界憲法集(第2版)』(初宿・辻村編)三省堂(2010年)
『ジェンダー平等と多文化共生──複合差別を超えて』(辻村・大沢編)東北大学出版
  会(2010年)
 Gender Equality in Multicultural Societies,(M.Tsujimura & M.Osawa,eds.)
  Tohoku University Press, 2010
『フランス憲法と現代立憲主義の挑戦』有信堂(2010年)
『比較憲法(新版)』岩波書店(2011年)
『憲法から世界を診る──人権・平和・ジェンダー〔講演録〕』法律文化社
  (2011年)
『ポジティヴ・アクション──法による平等の技法』岩波書店(2011年)
『憲法(第4版)』日本評論社(2012年)

〔本書執筆分担〕

序論、第1章、第4章、第5章1・2、第6章、第7章3(1)・4


糠塚 康江(ぬかつか・やすえ)

〔略歴〕

静岡県生まれ、静岡大学人文学部卒、一橋大学大学院法学研究科博士課程(法学博士)
一橋大学法学部助手、関東学院大学法学部専任講師、同助教授を経て、現在、同教授。

〔主著〕

『普遍性か差異か──共和主義の臨界、フランス』(共著、三浦信孝編)藤原書店
  (2001年)
『フランスの憲法判例』(共著、フランス憲法判例研究会編・辻村みよ子編集代表)
  信山社(2002年)
『欧州統合とフランス憲法の変容』(共著、中村睦男・高橋和之・辻村みよ子編) 有斐閣
  (2003年)
『来るべき〈民主主義〉──反グローバリズムの政治哲学』(共著、三浦信孝編)藤原
  書店(2003年)
『パリテの論理─男女共同参画の技法』信山社(2005年)
 Égalité des Sexes:La Discrimination Positive en Qestion,(M.Tsujimura et
  D.Lochak,dir.)Société de Législation Comparée, 2006
『ジェンダー平等と多文化共生──複合差別を超えて』(共著、辻村みよ子・大沢真理
  編)東北大学出版会(2010年)
『現代代表制と民主主義』日本評論社(2010年)

〔本書執筆分担〕

第2章、第3章、第5章3、第7章1・2・3(2)



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