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  ヨーロッパ競争法

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ヨーロッパ法

岡村 堯 著  (品切)

8,000円 A5判 656頁 978-4-385-32290-2

 2001年に『ヨーロッパ法』、2004年に『ヨーロッパ環境法』という、どちらも大著であり体系書でもあり、学会、実務界にも評価を持って迎えられた岡村堯教授の執筆による、前著と同じく大作であり、著者がEEC設立当初よりから研究をはじめて以来、コツコツと三十数余年に及ぶ、ヨーロッパ裁判所の判例研究を主とする研究成果を世に問う労作でもある。
 アメリカ独禁法と並んで世界で最も影響力を持つヨーロッパ競争法(EU独禁法)は、EU域内の27か国にとどまらず、世界規模での経済活動に関係するものである。
 ヨーロッパ競争法が目指しているのは、加盟各国の全域において、人・物・資本およびサービスが自由に移動することができ、企業間の競争が自由に行われる単一の市場の形成である。本書は、EU競争法の規定およびそれに関連するヨーロッパ裁判所の判例を理解するとともに、併せてわが国の独禁法との比較研究を試みている。
 マイクロソフトに対する巨額の制裁金を課されたことにみられるように、近年、委員会は価格カルテルをはじめとする競争法違反事件の摘発の強化にのりだしている。日本企業も例外ではなく、巨額の制裁金を課される事件が増大してきている。そこで、日本企業に対するヨーロッパ法の適用の代表例を示し、企業にとって今後の対策の研究の一助になりうる、必携の書となることであろう。

はしがき 目次

2007年12月25日 発行




●はしがき

 2001年に『ヨーロッパ法』、2004年に『ヨーロッパ環境法』を上梓したが、折しもその年からヨーロッパ連合は大変貌を遂げるに至った。というのも、同年1月に中東欧諸国10か国が加盟し、さらに2007年にはルーマニアとブルガリアが加盟し、計27か国となった。EU構成国の人口は約五億人に近く、経済的にいえば、広大な市場が出現したのである。これまで、EUは構成国の加盟による拡大については、各機関の定員あるいは特定多数決の際における議決数の変更などについて、その都度EC条約等の基本条約について改正するための条約を制定してきた。マーストリヒト条約然り、アムステルダム条約然り、ニース条約然りである。

 ところが、EUは構造的にも大変革を遂げたにもかかわらず、従来のように変化に応じた条約を制定せず、理事会または委員会は「決定」等による対応をしたのである。なぜEUはそのような態度をとったのであろうか。その答えは、ヨーロッパ憲法条約にあるといえよう。というのも、これまでのように、加盟に伴う拡大に対応するための条約の制定をするのではなくて、従来の15か国から25か国になり、しかもさらに数か国の加盟が予想されるようになった状態を踏まえて、EUは同憲法条約の制定を意図したのである。しかしながら同憲法条約の批准は進展せず、結局のところ、2007年のEU首脳会議では同憲法条約の内容を生かしつつ、新たな「改革条約」を締結することに合意した。

 EUは拡大発展に対し便宜的な条約改正で対応してきたが、ニース条約によるヨーロッパ連合条約およびEC条約等の改正を最後に、手付かずの状態のまま今日に及んできた。本書「第一編 ヨーロッパ法総論」では、その経緯ならびに改正の内容を明らかにした。EU加盟の増加は、取りも直さずEU大市場の出現を意味する。EUは市場における経済活動の自由を認める反面、それに対する法的コントロールの手段も用意している。その中心となるのが、EC条約八一条と八二条であり、それに両条の施行規則である「理事会規則第一号」(Reg.1/2003)である。

 「第二編 ヨーロッパ競争法」では、これらの規定について可能な限り、ヨーロッパ裁判所および第一審裁判所の判例を採り上げて徹底的な検討を試みた。これらの検討に際し、わが国の独禁法の学説および審判決との比較的検討を行った。というのも、EUおよびわが国のいずれの競争法も、自由かつ公正な競争の確保を目的とする点では軌を一にするが、その規制方法については大いに異なるのであり、両法の比較的考察は日本企業等にとっても、企業戦略を練る上で参考になるのではないかと思われたからである。

 「第三編 日本企業に対するヨーロッパ法の適用」では、わが国の企業にEU競争法はもとより、関税法、知的財産権法、とりわけ特許法、商標法、著作権法等が適用され、争いになっていることについてあまり知られていないようであるが、結構な数にのぼるのである。そこで、各分野における代表的な判例を選んで検討を試みた。

 前著の『ヨーロッパ環境法』では対象範囲があまりにも広く、大いにとまどったものであるが、本書で扱う競争法の分野では環境分野のように幅広くはないが、内容的に広がりがありかつ極めて奥深いのである。競争に関する判例は膨大な数にのぼり、代表的なものに目を通してまとめるだけでも30年以上の時日を要した。

 EUの構造的変化を追いながら、まるで雨後の筍のように生ずる競争法違反事件の圧倒的な量の検討は、眼前に立ちふさがる大きな壁のように思え、ややもすれば気圧される筆者に対し、叱咤激励してくれたのが三省堂編集部の鈴木良明さんである。索引等の面倒な仕事も引き受けていただき大変お世話になった。厚く御礼申し上げたい。

 時折しも錦秋の候を迎え、この時にこつこつと書いてきたものを上梓できることは、文字通り錦を添えられたような喜びと感慨無量なるものを感じる。

2007年11月

岡村 堯



●目  次

  はしがき
  本書の使い方

第一編 ヨーロッパ法総論 ――歴史・制度・法
  第1部 ヨーロッパ連合の成立
    はじめに
    第一章 ヨーロッパ連合の成立前史
    第二章 ヨーロッパ連合の発足 ── マーストリヒト条約
    第三章 ヨーロッパ連合条約の改正 ── アムステルダム条約
    第四章 ヨーロッパ連合条約の改正 ── ニース条約
  第2部 ヨーロッパ連合の拡大
    第一章 一二か国の加盟
    第二章 拡大に伴う利点
    第三章 拡大に伴う問題点
    第四章 トルコの加盟問題  第五節 イギリスのEC加盟
   第3部 ヨーロッパ憲法条約の締結
    第一章 ヨーロッパ憲法条約案制定の経緯
    第二章 ヨーロッパ憲法条約案の採択
    第三章 ヨーロッパ憲法条約の内容
   第4部 ヨーロッパ連合の機関と機能
    第一章 ヨーロッパ理事会
    第二章 ヨーロッパ議会
    第三章 ヨーロッパ連合理事会
    第四章 ヨーロッパ連合委員会
    第五章 ヨーロッパ連合裁判所
   第5部 ヨーロッパ法
    第一章 ヨーロッパ法
  第6部 ヨーロッパ連合法の制定
    第一章 特定多数決
    第二章 共同決定手続
   第7部 ヨーロッパ連合法と国内法の関係
    第一章 ヨーロッパ連合法は連邦法か
    第二章 わが国における憲法と条約の関係

第二編 ヨーロッパ競争法
  第1部 ヨーロッパ競争法
    第一章 ヨーロッパ競争法の発展
    第二章 日本独占禁止法の沿革
    第三章 日本独占禁止法の改正
    第四章 カルテルおよび協調的行為の規制 ── EC条約第八一条
    第五章 独占禁止法の基礎概念
    第六章 わが国における競争規整 ── 独占禁止法による禁止行為
    第七章 支配的地位の濫用の禁止 ── EC条約第八二条
    第八章 市場支配的地位の濫用
    第九章 制限販売
    第一〇章 フランチャイズ協定
    第一一章 非競争の義務、購入強制および抱き合わせ販売
    第一二章 EC条約第八一条一項と非競争の義務
    第一三章 拘束的義務に対するEC条約第八一条一項の適用
  第2部 水平的協定 ── カルテル
    第一章 EC条約第八一条のカルテルの適用
    第二章 カルテルによる競争制限
    第三章 市場分割協定
  第3部 垂直的協定
    第一章 代理店契約
    第二章 下請契約
    第三章 ハードコア制限
    第四章 垂直的協定一括免除規則適用の撤回
    第五章 並行取引と地域制限
  第4部 合併・買収に関する日・EU法制の比較
    第一章 EUの場合
    第二章 わが国の場合
  第5部 独占禁止法をめぐる親子会社関係
    第一章 EUの場合
    第二章 わが独占禁止法の問題
  第6部 知的財産権法
    第一章 ヨーロッパ知的財産権法
    第二章 権利消尽の原則
    第三章 直接的輸出制限
    第四章 制限に関する他の方法
    第五章 商標権
    第六章 著作権
    第七章 意匠権
  第7部 競争秩序と国家補助
    第一章 国家補助規制の近代化
    第二章 国家補助の定義と制度
    第三章 国家補助と一般的経済的利益
    第四章 例外および禁止規定と免除規定
    第五章 国家補助コントロールの仕組

第三編 日本企業に対するヨーロッパ法の適用
  第一章 関税適用をめぐる争い
  第二章 ダンピング税適用をめぐる争い
  第三章 競争
  第四章 特許

 ■事項索引
 ■主要判例索引  
 ■主要参考文献


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