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  アメリカ独占禁止法 実務と理論 改訂版

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アメリカ独占禁止法 実務と理論 改訂版

J. H. シェネェフィールド・I. M. ステルツァー 著、金子 晃・佐藤 潤 訳  (品切)

2,800円 A5判 232頁 978-4-385-31363-4

好評の改訂版。アメリカ独占禁止法(反トラスト法)の基礎理論を易しく解説。内容をアップ・ツー・デートにするとともに、実務上の解釈・運用の解説に力点を置き、またその背景にある哲学・歴史にも言及。

1999年11月20日 初版 発行
2004年8月1日 改訂版 発行

訳者はしがき 目次 謝辞 日本の読者へのメッセージ




●訳者はしがき

 本書との出会いは今から十年ほど前である。訳者の一人(金子)が大学の3年生の研究会(ゼミ)で、新しく入ってきた学生たちに読ませるのに何か良い独占禁止法の解説書はないかと探していたときに、たまたま本書を目にした。分量が手頃であったことと、経済・法律の専門用語も多用されていず、非常に読みやすく書かれていることなど、独占禁止政策および法を初めて勉強する者にとって、本書は極めて適当な内容であると思った。日本の独占禁止法の母国であるアメリカの独占禁止法(反トラスト法)の解説書であり、日本の独占禁止法を勉強する前に読んでおくのも良いと考え、研究会で読むことにした(この研究会にはもう一人の訳者である佐藤も参加していた)。

 学生達と本書を実際に読んで見て、その素晴らしさをあらためて認識した。まず、内容の豊富さである。コンパクトに書かれ、また専門的な用語を出来るだけ使わずに平易な文章で書かれているにもかかわらず、本書に盛り込まれている内容は豊富であり、充実したものであった。しかも、最新の事情までふれられている。第二に、本書はアメリカ反トラスト法の単なる解説書ではなく、アメリカにおける反トラストの歴史・目的を述べ、反トラストの背後にある哲学を記述し、現在のすべての国においていかに反トラストが有用であり大切であるかを説得的に述べている。第三に、反トラスト法による規制について、その根拠を経済理論に基づいて説明し、それを前提に、条文の解釈・運用を説明していることである。理論に支えられた説明は説得力があり、読む者の理解を容易にしてくれる。勿論、すべての者が合意している反トラスト法の理論はないし、また時代とともに理論の発展がみられる。著者は、自分たちの信奉する理論に従って、他の理論にも触れながら記述している。第四に、著者は反トラスト法の目的として経済的目的のみではなく、政治的目的や社会的な目的も挙げ、それが歴史的な事実であると述べている。アメリカの反トラスト法を母法とするわが国の独占禁止法は、わが国の経済の秩序づけを目的とした経済の基本法である。単に、経済の効率性のみを達成することを目的にしているものではなく、民主的で健全な国民経済の達成を目的としている。第五に、理論と実際がバランス良く調和され、知識・理論を求める学生・研究者のみならず、実際の企業活動における指針を求めるビジネスマンにとっても本書は有益である。筆者は大学退職(平成15年3月)後弁護士活動に携わったが、独禁法事件において裁判所および公正取引委員会との対応、また依頼人との関係において本書の記述およびアドバイスは非常に有益であった。

 翻訳作業中に新たに第三版が出版されたため、これを翻訳・出版した。幸い読者の好評を得ることができ、増し刷りをして読者の希望に応えた。その後、本書の第四版の出版が企画されているとの情報に接した。早速著者および出版社に確認したところ、大幅な見直し作業を行っているとのことであった。そこで第四版の翻訳を企画し先方と交渉の結果、翻訳出版の許可を得ることができた。第四版は2001年に出版された。翻訳者および出版社の都合で若干翻訳作業が遅れたが、確認したところ近い将来に第五版の出版の予定がないこと、現時点において最新情報が体系的に得られる本であることなどを総合的に考慮して第四版を翻訳しあらためて出版することにした。

 翻訳に当たって、第三版の時と同様、著者の意図をできる限り本書においても生かすため、著者の専門用語を使わない表現は日本語でも専門用語に置き換えることを避け、できるかぎり平易な文章で書くことに務めた。また、直訳をさけ、原文の内容を日本語の文章として伝えるよう努力した。そのため原文の文章構成を変えた部分も多い。また、アメリカ反トラスト法の論文・書籍を原文で読む者の便宜も考えて、基本的な用語には原文を付した。

 なお、反トラスト法およびEC条約の諸基本規定は既存の訳が必ずしも適切でないため、訳者たちが新たに翻訳した。また第三版の翻訳と同様、読者の便宜を考え参考資料として「1992年水平合併ガイドライン」(第三版に掲載したものは全面的に見直した。)の翻訳(全文)も掲載した。「競争者間の提携に関する反トラストガイドライン」、「知的財産権のライセンシングに関する反トラストガイドライン」の翻訳を掲載することも予定したが分量が多いため断念した。なおこれらは慶應義塾大学法学研究会編「法学研究」第75巻5号および11号にそれぞれ掲載されているので、それを参照されたい。

 なお、日本では「反トラスト法」よりは「独占禁止法」という用語の方が馴染み易いと考え、本書の題名は「アメリカ独占禁止法」としたが、文中では、独占禁止法という表現は使わずに反トラスト法を用いた。

 最後に、本書の出版を快く引き受けて下さった三省堂の方がたに心より感謝を申し上げる。



●目  次

訳者はしがき
謝辞
日本の読者へのメッセ−ジ
著者紹介

第1章 はじめに

第2章 反トラスト法の起源と目的

  哲学的起源

  歴史的背景

  反トラスト法の目的 第3章 法律の規定

  シャーマン法

  クレイトン法

  連邦取引委員会法 第4章 執行機関と手続

  提訴目標

  刑事訴追

  法廷へ

  和解 第5章 分析の枠組み――市場と市場支配力

  製品市場

  地理的市場

  競争者

  市場支配力 第6章 単独行為

  独占の企図

  独占行為 第7章 競争者との共同行為

  価格協定

  市場分割

  共同取引拒絶

  ジョイントベンチャーおよび他の水平的協定 第8章 合併と取得

  事前届出手続

  水平的合併

  垂直的合併

  多角的合併 第9章 取引先との関係

  垂直的価格制限

  垂直的非価格制限

  抱き合わせ販売

  排他的取引

  価格差別

  垂直的取引拒絶 第10章 知的財産

  反トラスト法による分析

  知的財産権の取得

  知的財産権の行使

  実施許諾 第11章 補完的な制度

  州反トラスト法の執行

  私訴 第12章 反トラスト法の国際的執行

  海外における合衆国の法執行

  欧州連合(EU)の執行

  EU加盟国による反トラスト法の執行

  カナダ反トラスト法の執行

  国際的な合併届出

  反トラスト法実施の国際的協力 第13章 遵守プログラム

  書面によるガイドライン

  遵守のための講習会

  文書管理

  定期的な監査 第14章 常識に基づくガイドライン 第15章 エピロ−グ 資料A 反トラスト法主要規定

 シャーマン法(The Sherman Act,1890)

 クレイトン法(The Clayton Act,1914)

 連邦取引委員会法(The Federal Trade Commission Act,1914) 資料B ハーィンダ−ル・ハーシュマン指数 資料C EC条約第81条、第82条 資料D 文献紹介 参照判例 判例索引 事項索引 参考資料

 1992年水平合併ガイドライン

 反トラスト法基本用語対訳表



●謝  辞

 大著でないにもかかわらず、本書に対し非常に有益な助言を何人かの同僚からいただいた。ロバート・ボーク(Robert Bork)氏およびクリストファー・デミュース(Christopher DeMuth)氏に特に感謝したい。企業の事業活動を反トラスト法により判断するにあたって、消費者利益を唯一の基準として採用するように、彼らは一生懸命にわれわれに注意を喚起した。われわれが彼らのシカゴ学派に加担しないのは、彼らの側にわれわれを説得する技術が欠けていたからではなく、むしろわれわれの頑固さとわれわれ自身の反トラストに関する法と経済学の理解によるものである。

 われわれ両名はアルフレッド・カーン(Alfred Kahn)氏から多年にわたり影響を受けてきた。スコット・ステンペル(Scott Stemmpel)氏およびドナルド・クラウィッター(Donald Klawiter)氏は優れた実務家であり、本書についてさまざまな提言および訂正をしてくれた。ポール・ルビン(Paul Rubin)氏、ダグラス・ウェトモアー(Douglas Wetmore )氏そしてダグラス・リーズ(Douglas Leeds)氏は重要な点について詳細な助言を与えてくれた。ジョン・ウオットン(John Wotton)氏は第12章について、反トラストの国際的執行に関する彼の知識をわれわれに共有させてくれた。ジェフリー・ベイネス(Jeffrey Baines)氏およびジョン・テルザケン(John Terzaken)氏は新版をアップツーデイトなものにする手助けをしてくれた。ジーン・バスター(Jeanne Buster)氏の正確性が新版をより理解しやすくしてくれた。 これらすべての方々の多大な助力により本書は完成した。本書に不十分な点があるとすれば、それはわれわれ自身の責任である。



●日本の読者へのメッセージ

 本書が日本の読者にとって有益であることを願う。特に日本の政策決定者たちが、将来の日本にとって最も望ましい経済モデルの基本的考え方について再検討している時だけに、本書が役立てば幸いである。本書のテーマは、活発な競争が効率性および消費者利益を最大化させるということである。

 自由な市場を、価格協定やカルテルで置き換えることは、高価格、革新を妨げる協定や資本財の誤った配分を招くことになる。政府の行政官がいかに有能であっても、市場の判断に彼の判断を置き換えた場合、彼は技術および消費者の趣向の変化を予測することは出来ない。こうした変化は、彼が判断を下すやいなやそれを陳腐化してしまう。

 その上、市場は判断の誤りを早急に取り除くが、管理された価格や政府が直接行った資本財の配分は、それを誤るとさらに誤りを重ねる結果となる。行政官は消費者が望まない企業を支持し、当該企業が倒産しないように資金提供者に対し圧力をかけようとする。このことは、当該産業から金融分野へと問題を拡大させることとなる。われわれは、こうした結果をアジア全域でいま目撃している。

 活発な競争政策は社会的利益をも実現する。競争が行われている社会においては、新規の技術あるいは経営手法を有する企業家が新しい事業を創造することを、市場支配的企業の反競争的行為やカルテルにより妨げられることはない。このことは、より柔軟でより開放された社会を実現することに貢献する。この社会の長所は、人の財産や地位を最終的に決定するものは、個人の努力であるという点にある。

 われわれは本書が日本の政策決定者に対し、競争的行為と反競争的行為との区別、また、どの企業が市場支配力を有しどれが有さないかの定義、および日本の制度や文化にとって適切な手続きと措置を決定することになんらかの示唆を与えることができれば幸いである。

ジョン H. シェネェフィールド、アーウィン M. ステルツァー

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