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現代メディアと法

田島泰彦・右崎正博・服部孝章 編  (品切)

2,500円 四六判 288頁 978-4-385-31375-7

メディアと法の基本問題を3部全13章でわかりやすく解説したテキスト。メディアと国家、メディアと市民の関係をリアルにとらえ、新時代を迎えた「情報化社会」の課題と展望を明らかにする。

1998年3月31日 発行


執筆者紹介 はしがき 目次



●執筆者紹介(五十音順。*印は編者)

*右 崎 正 博(うざき・まさひろ)
  獨協大学法学部教授
  第2章・第8章執筆

 後 藤   登 (ごとう・のぼる)
  大阪学院大学流通科学部専任講師
  第7章・第10章執筆

*田 島 泰 彦*(たじま・やすひこ)
  神奈川大学短期大学部教授
  第3章・第5章・第11章・第13章4(2)〜(4)・5執筆

 立 山 紘 毅 (たちやま・こうき)
  山口大学経済学部教授
  第4章・第9章執筆

*服 部 孝 章*(はっとり・たかあき)
  立教大学社会学部教授
  第1章・第13章1〜3・4(1)・6執筆

 山 田 健 太 (やまだ・けんた)
  青山学院大学法学部講師
  第6章・第12章執筆



●はしがき

 近年のパソコン通信やインターネットの普及に象徴されているように、私たちの社会の「情報化」は急速に進行し、生活に大きな変化をもたらしつつある。私たちの情報生活の中で、これまで中心的役割を担ってきたのはマスメディアである。今日、マスメディアは、私たちの市民生活や民主主義を支える有用で不可欠の多くの情報を日々伝えているし、それが期待されていることは何人も否定できない。しかし、こうしたメディアをめぐる環境も、新たな情報手段の登場と普及の中でその存在意義が問い直されるとともに、メディアの中での放送、とりわけテレビの役割と比重の増大や、放送のデジタル化による数百チャンネル時代の到来など、激しい変動に直面しつつある。

 このような変革期にあるメディアはまた、テレビ朝日前報道局長事件やオウムをめぐるTBSのビデオテープ事件などで示された、報道関係者の国会への証人喚問や参考人招致、そして郵政省の「厳重注意」の行政指導など、とりわけジャーナリズムの伝統が未熟な放送の領域で露骨な権力的な干渉や規制にさらされるとともに、メディア関係者の政府審議会参加や番記者・記者クラブ制度などにより、権力批判の牙を抜かれ、権力との癒着を疑われる報道のあり方に対して、市民の厳しい目が向けられてきた。なかでも、メディアが最も強く批判されたのは、犯罪の被疑者を一方的に犯人と決めつけたり、被害者や被疑者などの人権を深刻に侵害する犯罪報道のあり方であった。こうした市民の権利との緊張関係の高まりは、「ロス疑惑」報道訴訟をはじめ、名誉やプライバシー侵害の裁判においてメディア側が相次いで敗訴したり、放送における苦情対応機関である「放送と人権等権利に関する委員会」が1997年に発足するに至ったことなどに象徴されている。

 本書が対象とするのは、このようなかつてない変動期にあり、多くの問題と課題に直面している現代のメディアをめぐる法的規律のありようである。私たちはここで、こうしたメディアに関する法を中心としつつ、法による規律の対象となる現代のメディア状況そのものや、法規制の前提となる表現の自由の法理、そしてさらにはメディア法が深くかかわる情報の保護と公開などの問題も検討対象に加え、より広い視野からの考察を試みた。ただし、種々の制約から、著作権の問題は取り上げることができなかったし、また情報法制一般にかかわる論点についても不十分な言及にとどまらざるをえなかったところが少なくない。今後、改善を期したいと思う。各章や巻末の参考文献を見ていただければ明らかなように、この本が扱うテーマについては、これまでも優れた仕事が、研究書やテキストなどの形で、少なからず積み重ねられてきた。私たちはこれらにも学びつつ、現代のメディアと法の問題に関心を寄せる市民、および憲法やメディア(法制)を学習・研究する学生などのための標準的なテキストを意図してこれを編んだ。

 本書は、大きく、メディアと法の問題の基礎的・総論的な考察を試みている「I 現代メディアの状況と法」、主として市民とのかかわりからメディアと法の諸局面を論じた「 II  現代メディアと市民」、およびもっぱら公権力による規制と自由に関わる諸問題を論じた「 III  現代メディアと国家」の三つのパートから構成されるが、ここで意識的に試みようとしたアプローチは、次のような点でユニークであると自負している。まず第一に、国家対メディアという文脈の下での古典的な諸問題とならんで、市民の権利との調整やその救済、そしてメディアへのアクセスなど市民社会の中における表現の自由やメディアのあり方の問題を重視する構成に心がけるとともに、直接のテーマとした13章はもちろん、それ以外の章においてもテレビをはじめとする放送の果たす大きな役割を意識し、それにウエートを置くよう留意したことである。第二は、メディアと法のあるべき生きたかかわり方を探求するため、メディア論の視点、メディアの実態と現場の視点、そして倫理・自主規制論などの観点を積極的に取り入れ、狭い概念的、法的アプローチの枠を超える努力を払ったことである。第三は、現代のメディア状況をふまえ、表現・報道の自由の重要性を前提にしつつ、とりわけメディアに対する市民の権利とアクセスの視点を重視するアプローチを採用したことである。第四は、メディアを一枚岩のものと観念的・固定的にとらえず、とくにメディアの中でのジャーナリストの視点を大切にした点である。

 各章の内容は最終的にはそれぞれ筆者の責任に属するが、この本はたんなる分担執筆の寄せ集めではない。問題意識をできる限り共有し、問題状況や課題について共通の認識を広げるべく、一堂に会しての研究会こそあまり持ちえなかったものの、共同の編集作業を何度も重ねてきた。こうしてできあがった本書の叙述やスタイルについては、とくに以下の点に配慮した。まず第一に、各テーマの概説や整理にとどまらず、筆者なりの改革課題の提示や問題提起も積極的に試みたこと、第二に、判例や事件、そして外国の状況など、最新の具体的事例に即して論述していること、第三に、主要法令や参考文献の掲載など、学習・研究上の便宜を考え工夫を施したこと。

 今回の企画の構想を編集部と議論してから3年が経つ。さまざまな事情で本書の完成は難航した。この間粘り強く叱咤激励し続けた編集部の鷲尾徹氏と困難な出版事情の中でわがままを許してくれた三省堂に心より感謝申し上げる。こうした優れたパートナーとの共同作業なしには、この本は決して生まれることができなかっただろう。ささやかな作品ではあるが、本書が、より自由で、より人間的なメディアのあり方を真剣に模索する一助になれば幸いである。

編者一同



●目  次

I 現代メディアの状況と法

 第1章 現代メディアの状況と特質
  
1 歴史的転換期をむかえたメディア状況
  2 放送メディアの課題
  3 衛星放送の現状と課題
  4 報道機関の自立と自律性

第2章 表現の自由をめぐる現代的問題状況と課題
  1 近代憲法における表現の自由の理論
  2 「市場」の構造変化と表現の自由理論の転換の必要性
  3 表現の自由の現代的諸要素
  4 現代メディアと表現の自由の課題

第3章 メディアの自由と責任
  1 メディアの自由と特権
  2 メディアの責任
  3 メディア倫理制度の意義と課題

第4章 「編集権」とジャーナリズトの権利
  1 編集権とは何か
  2 ジャーナリズトの権利をどう確立するか

II  現代メディアと市民

第5章 報道と名誉・プライバシー
  1 「報道と市民の権利」をめぐる問題状況と調整の視点
  2 市民の権利の法理
  3 名誉権と報道の自由
  4 プライバシー権と報道の自由
  5 犯罪報道の問題点と改革の課題

第6章 差別表現
 
現状と問題の所在
  2 法規制のありよう
  3 自主規制のありよう

第7章 「報道被害』の救済システム
  1 「報道被害」とは何か
  2 法的救済システムの現状と問題点
  3 マスメディアの自主規制による救済システムの現状と問題点
  4 今後の課題

第8章 メディアへの市民のアクセス
  1 現代メディアとアクセス権
  2 アクセス権とメディアの自由
  3 反論権
  4 その他のアクセスの諸形態

III  現代メディアと国家

第9章 取材体制・取材の自由と権利
  1 報道の自由と取材の自由
  2 取材の体制と法

10章 性表現の自由と規制
  1 性表現の現在
  2 刑法175条と判例にみるわいせつ基準の変遷
  3 性表現と税関検査
  4 性表現と青少年保護
  5 性表現と自主規制
  6 今後の課題

11章 情報の保護と公開
  1 情報の保護と公開
  2 秘密保護の制度と現状
  3 知る権利と情報公開
  4 国会と裁判の公開

12章 情報流通・広告
  1 情報流通の自由と規制
  2 広告(商業言論)の自由と規制

13章放送の自由と規制
  1 放送概念の変化
  2 現行の構造規制の問題点
  3 免許制度の再考
  4 内容規制と公平原則
  5 訂正・取消放送制度
  6 国際化の問題点

資料(メディア関係法令)

参考文献

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