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  国会学入門 第2版

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国会学入門 第2版

大山礼子 著  (品切)

2,200円 四六判 280頁 978-4-385-31398-6

矢継ぎ早に改革が実現したとはいえ、国会審議は旧態依然のままである。いかにすれば国会審議が活性化し、新しい時代にふさわしい国会になるのか。国会をめぐる様々な問題を提起し、その将来像を展望する。

1997年11月20日 初版 発行
2003年 3月15日 第2版 発行

第2版 はしがき 目次



●第2版 はしがき

 本書の初版を執筆してから五年が経過した。この間、国会を取りまく情勢は一層の変化を遂げ、また国会の内部でもさまざまな改革が試みられてきた。

 一九九八年一月に召集された第一四二回国会では、前年末の国会法改正にもとづいて、衆議院においては決算行政監視委員会の新設、予備的調査制度の導入および調査局設置、参議院においては抜本的な常任委員会の再編と行政監視委員会の新設などの改革が実施された。参議院では本会議への「押しボタン式投票」装置の導入もあわせて実現し、一月一四日に押しボタンによる初めての採決が行なわれた。

 次いで一九九九年七月にも、国会審議のあり方に大きな変化をもたらす法律が制定された。国会審議活性化法(正式名称は「国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律」)は、政府委員制度の廃止を規定したほか、両院に国家基本政策委員会と称する新しい常任委員会を設けることとし、この委員会を舞台に首相と野党党首との「党首討論」が実施されることになった。また、同時期に国会法の一部改正も行なわれ、両院にそれぞれ憲法調査会が設置された。憲法調査会は「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行う」ものとされ、五年をめどに報告書を提出することになっている。

 日本の議会政治史上、このような短期間に矢継ぎ早に改革が実現した例は稀といってよいが、衆参両院ともこれにとどまることなく、さらなる改革を模索中である。二〇〇〇年四月には参議院議長の私的諮問機関である「参議院の将来像を考える有識者懇談会」の意見書、二〇〇一年一一月には衆議院側の「衆議院改革に関する調査会」の答申がそれぞれ提出され、その実現に向けて各会派間の調整が行なわれている。

 最近の改革および改革案の特色は、従来の論議の枠組みをこえて国会と内閣との関係(議院内閣制のあり方)まで視野を広げ、憲法改正にも踏み込んだ議論を展開した点にある。とりわけ、参議院有識者懇談会の「参議院の将来像に関する意見書」では、参議院の権限に一部制約を加える憲法改正の提案のほか、国会の議事手続に関しても、国会法規定の簡素化、口頭質問の導入など、従来はなかなか正面から取り上げられることのなかった大胆な改革案が提示された。

 どんなに素晴らしい改革案が示されようと、国会改革の成否は各党の思惑次第であり、その時々の政治情勢に左右される。近年における改革の加速化は、五五年体制崩壊後の流動的な政党状況がもたらしたものというべきだろう。その意味で、二〇〇一年の小泉政権成立は、改革の一層の進展を予感させる出来事だった。事実、小泉首相直属の自民党国家戦略本部国家ビジョン策定委員会が二〇〇二年三月に提出した「政治システム」改革案は、与党による法案事前承認制の廃止を提唱しており、これが実現されれば、五五年体制とともに確立された現行の国会運営も抜本的な変革を迫られるはずだ。

 しかし、政治状況の変化や改革論議の活発化とくらべると、国会審議はまだ旧態依然とした状態から抜け出せていないのが実情である。もちろん、変化の芽は存在する。単独与党の自民党が最大野党の社会党と対峙していた時代の「国対政治」、すなわち与野党間の舞台裏の交渉によって法案審議の決着を図る手法がもはや通用しなくなっていることは明らかである。また、一九九三年の非自民連立政権登場後は議員立法件数の増加が著しく、党派横断型のプロジェクトチームを主体とする法案作成など、新しい試みも生まれている。それでも、これまでのところ、衆参両院における本会議および委員会の審議内容にはほとんど変化がなく、国会審議そのものの活性化にはほど遠い状況なのである。

 審議の活性化を阻んでいる最大の要因は、旧来型の発想から抜けきれない与野党双方の国会運営観にあるといえようが、改革案自体にも問題がないわけではない。各党の改革案やマスメディアの論調には、残念ながら、議会制民主主義や議院内閣制についての基本的な理解を欠いていると思われるものが少なくない。それぞれの提案はもっともなようでも、相互に矛盾のみられる場合もある。新しい時代にふさわしい国会審議の実現には、一度、現在の国会運営の常識を疑ってみる必要があるが、それには歴史的視点とともに国際的視点が不可欠である。

 初版以来の本書の目的は、帝国議会以来の歴史的経緯や諸外国との比較の観点から国会をめぐる論点を再検討し、国会の将来像を展望することにある。構成に大きな変更はないが、最近の改革論議の進展に対応して新たに終章を追加し、全体の見取り図を提供しようとつとめた。国会の未来を考えるための手がかりとして活用していただけるならば、幸いである。

 改訂作業にあたっては、政治議会調査室・課をはじめとする国立国会図書館調査及び立法考査局の皆さんから旧版に対する貴重なコメントを頂戴したほか、最新の統計資料等の入手にもご協力いただいた。厚く御礼申し上げる。

2002年10月

大山礼子



●目  次

第二版 はしがき

第1章 国会の機能

 1 議会の機能
   議会の四つの機能
 2 議院内閣制下の議会
   議院内閣制と大統領制との違い/イギリス型の特殊性

第2章 議事の運営

 1 議事運営機関
  (1) 議長
    議長・副議長の選出/議長の職務権限/議長の権威/中立性とリーダーシップ
  (2) 議院運営委員会と「国対」政治
    議院運営委員会の役割/交渉過程の密室化/全会一致ルール

 2 会派の役割
   会派とは/会派中心の議会運営/政党と会派との距離/内閣と与党会派

 3 会期
   常会・臨時会・特別会/会期の長期化と通年会期/会期不継続の原則/合理的な審議スケジュール

第3章 法案審議

 1 法案の提出
  (1) 立案から提出へ
    法案の種類と件数/内閣提出法案/議員提出法案
  (2) 議員立法
    議員立法待望論/外国議会の状況/与党会派の議員立法/野党会派の議員立法/党派にとらわれない議員立法

 2 審議の概要
   審議手続/本会議中心主義から委員会中心主義へ/審議時間

 3 委員会
  (1) 委員会制度
    常任委員会と特別委員会、調査会/委員の選任/法案の審査
  (2) 変換型審議の可能性
    議院内閣制と委員会/委員会修正/審議の公開
  (3) 国会審議活性化法の効果
    政府委員の廃止/党首討論

 4 本会議
  (1) 本会議審議の現状
    法案の審議手続/形骸化する審議/本会議の役割/予算委員会と本会議
  (2) 論戦の再生
    自由討議制の挫折/口頭質問/定足数の弾力化
  (3) 党議拘束
    党議拘束廃止は可能か/党議拘束の実態/ヨーロッパの場合/拘束緩和の可能性/政党・会派・議員

 5 審議の充実
   改革の方向/審議レベルのずれ/公約実現責任と内閣修正

第4章 二院制

 1 二院制の意義
   良識の府/両院の力関係/強すぎる参議院

 2 参議院改革
   歴代議長の試み/審議時間の確保/国民に開かれた参議院/参議院の独自性/調査会設置問題

第5章 行政に対するコントロール

 1 議会と行政統制
   行政統制機関としての議会/日常活動による統制/アメリカ型行政統制の効果/行政監視委員会

 2 法律による行政
   法治主義の原則/委任立法の統制/計画行政の問題点

 3 予算・決算
   財政国会中心主義/予算の法的性格/予算修正権/財政の透明性/決算の審議

 4 外交政策
   外交権限/条約の承認

 5 国政調査権
   議院の調査権/調査権の限界/少数者調査権と予備的調査/国政監督と調査

第6章 議員活動の支援体制

 1 議員と会派に対する支援
   国会議員の待遇/職務手当の国際比較/待遇改善の理念/活動支援の対象/会派補助

 2 立法補佐機構
   補佐機構の現状/体制の整備/人材確保

第7章 国会のルール

 1 議院法規と自律権
   国会関連法規の構造/議院の自律権/国会予算

 2 国民に開かれた議会
   審議の公開/会議録/行政情報と議会/開かれた国会

終章 国会改革への展望

 1 国会の何が問題なのか
   比較議会制度の視点から/国会改革の蹉跌/言論の力

 2 実行可能な改革
参考文献について

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