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  法学教育改革とプロフェッション

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法学教育改革とプロフェッション (品切)

アメリカ法曹協会 著、日本弁護士連合会 編、宮澤節生・大坂恵里 訳

4,600円 A5 368頁 978-4-385-32198-1

法科大学院の教育はどうあるべきか。法律プロフェッションに必要な知識や技能、価値観をどう訓練すべきか。アメリカ法学教育に大きな影響を与え、ロースクールに改革をもたらしたマクレイト・レポート、待望の日本語版。

2003年3月31日 発行

目次 あとがき



●目  次

刊行にあたって 日本弁護士連合会会長 本林 徹  i

はじめに
 日本弁護士連合会法科大学院設立・運営協力センター委員長 飯田 隆  ii

日本語訳への序文
 アメリカ法曹協会法学教育コンサルタント ジョン・A・シーバート  iii

訳者凡例  vi

アメリカ法曹協会 法学教育・法曹資格付与部会
 ロースクールとプロフェッションに関する特別委員会
 ──ギャップを架橋するために  x

本特別委員会のプロセスと手続  xvi

序 説  1

第一部 法律家がそれに向けて準備すべきプロフェッション

プロフェッションの概観  11

第1章 法律家と法的サーヴィス
──成長、変化、および多文化的多様性
  12

A 法律家の数と法的サーヴィスの利用の爆発的増加  12
B ジェンダー構成における変化  18
C マイノリティへの遅きに失した開放と多様性  23

第2章 多様な実務環境  28

A 単独開業弁護士と小規模ローファーム  34
B 法的サーヴィスの新たな提供者  47
C 大規模・中規模のローファーム  75
D 社内弁護士  92
E 政府のために働く法律家  100

第3章 プロフェッションの組織と規制  107

A プロフェッションの始まり  107
B 学問、技能、そしてプロフェッションの価値観における法律家のアイデンティティ  110
C ロースクール:一体化させる経験  117
D 司法府:プロフェッションのゲートキーパー  120
E 単一の公共的プロフェッションの存続  126

第二部 新たな法律家が獲得しようと努めるべき技能と価値観のヴィジョン

4章 技能と価値観に関する声明の定式化  129

A 本声明の理由  129
B 本声明の焦点  131
C 本声明の作成  133
D 本声明の活用  134
E 本声明の濫用は避けるべきである  139

第5章 基本的なローヤリング技能とプロフェッションの価値観に関する声明  141

A 本声明の構成  141
B 分析された技能および価値観の概観  145
C 技能と価値観の分析  149

第三部 法律家が自己の技能と価値観を身につける継続的教育過程

第6章 ロースクールに先行するプロセス  217

A 自己評価と自己開発へのコミット  217
B 情報に基づいた選択をする必要性  220

第7章 ロースクール在学中のプロフェッショナルとしての成長  226

A プロフェッショナルとしての成長におけるロースクールの役割  226
B 技能と価値観に関する現在の教育に対する評価  230
C ロースクール認定プロセスと、技能と価値観に関する教育  255
D ロースクールを補完するものとしての雇用経験  264

第8章 ロースクール学生から実務家への移行  269

A 資格付与プロセス  269
B 法曹資格付与のためのカリキュラム要件  271
C 司法試験  275
D 継続的過程の建設  283
E 法曹資格申請者と新人弁護士のための移行教育  285

9章 ロースクール修了後のプロフェッショナルとしての成長  305

A 継続的法学教育の発展  305
B 義務的CLEの成長  311
C 現在のCLEプログラムの範囲と多様性  314
D オンザジョブと組織内部での訓練  317
E 卓越性の継続的探求  320

第10章 法曹のプロフェッショナルとしての成長過程を高めるための全国的研究所へのニーズ  322

第四部 本特別委員会の勧告

A 技能と価値観に関する声明を普及させ議論すること  329
B 法律関係のキャリアとロースクールとを選択すること  331
C ロースクール在学中におけるプロフェッショナルとしての
  成長を促進すること  333
D 実務への移行と資格付与プロセスを継続的教育過程に位置付けること  338
E ロースクール修了後もプロフェッショナルとして卓越するよう努力すること  340
F アメリカ法実務研究所を設立すること  341

プロフェッショナルの成長に対するプロフェッションの責任
 ──訳者代表あとがき 宮澤 節生  343



●あとがき

プロフェッショナルの成長に対するプロフェッションの責任

――訳者代表あとがき――

2003年2月10日  宮澤 節生

 本書は、American Bar Association, Section of Legal Education and Admissions to the Bar, Legal Education and Professional Development- An Educational Continuum, Report of the Task Force on Law Schools and the Profession: Narrowing the Gap, American Bar Association, July 1992、通称『マクレイト・レポート』(TheMacCrate Report)の全文414頁のうち、参考文献、本レポート作成のために行われた調査、英連合諸国の制度1)、本レポートが提案した全国的研究所の目的などに関する6つの付録、合計75頁を削除したものの翻訳である。膨大な参考文献は本文の脚注としてすべて収録されているし、付録の他の内容も本文の随所で言及されるので、付録の削除は本レポートの理解にとって支障にはならないと考える。

 本レポートの意義を正確に理解していただくために、ここでは、以下の3つの点を強調しておきたい。

1 本レポートの提言は、抽象的思弁から生れたのではない。本書の3分の1を占める第一部が示すように、アメリカの法曹、とくに弁護士の実態に対する法社会学的認識に支えられている。たとえば第2章は、日本の弁護士の近未来像を考えるうえで、大いに参考になるであろう。

2 本レポートは、ロースクール教育において、自己の責任において依頼者をはじめて代理する段階で必要とされる最小限の技能と価値観の教育を強化すべきことを提唱している。第5章における技能と価値観の提示および注釈が、その中核である。しかし、それは、本レポート以前にそのような教育がまったく行われていなかったことを意味しない。本レポートは、むしろ、すでに多くのロースクールにおいて技能や専門職責任に関する教育が提供されていたことを踏まえて、その整理を試み、一層の普及と改善を提唱するものである。

3 本レポートの最大の特徴は、法曹養成の場をロースクールに限定するのではなく、プロフェッショナルとしての法曹の成長が、法曹の全生涯にわたって続く継続的過程であることを強調し、ロースクール入学以前の段階から継続的法学教育に至るすべての段階においてプロフェッション団体が能動的に責任を負うべきことを提唱する点にある。2004年4月に導入されようとしている法科大学院教育の将来に対する本レポートの意義は明白であるが、法曹、とくに弁護士のプロフェッショナルとしての不断の成長に対するプロフェッション自体の責任という観点こそ、日本でもより大きな意味をもつものとして受け止めるべきである。

 本レポートは、アメリカの法曹、とりわけ弁護士に必要とされる技能と価値観の定式化を試み、それがアメリカ法曹協会のロースクール認定基準に反映されることを通して2)アメリカのロースクールの最近のカリキュラムに大きな影響を与えたものとして、司法制度改革審議会が法曹養成制度の改革に取り組み始めて以来、日本でも参照されるようになってきた3)。私自身、ちょうど3年前に、「日弁連は本報告書を翻訳出版すべきである」と提案した4)。大坂恵里さんという有能な共訳者を得て翻訳に着手したのは、それから1年後の2001年4月である。

 同年8月19日から9月20日までカリフォルニア大学バークレイ校ロースクールで客員教授を務めていた私のもとに、大坂さんから相次いで下訳が到着するようになり、帰国の直前には、全部の下訳が揃った。しかし、その後、本年1月中旬に私が最後の監訳を終えるまで、1年4ヶ月を費やしてしまった。その間、2001年10月〜11月に、第4章A、第5章A・B、第7章、第四部C・Dの仮訳を、中央教育審議会大学分科会法科大学院部会に資料として提出したが、全体の監訳は遅々として進まなかった。それは、私自身が、司法制度改革論議、とくに法科大学院をめぐる論争の当事者となったため、夏休み、冬休み、外国出張などの合間にしか作業を進めることができなかったからである。このように遅れたことについて、翻訳を快諾されたABA関係者、とくに法学教育コンサルタントで本書にメッセージを寄せてくださったJohn A. Sebert氏、私の提案を受け入れてくださった日弁連の関係者、とくに直接の担当者としてお骨折りくださった岡森英二課長、そして、入稿から出版までわずか2ヶ月弱という驚異的スピードで出版をお引き受けくださった三省堂の関係者、とくに福井昇氏に対して、心からお詫びとお礼を申し上げたい。

 しかし、私が最大の謝意を表したいのは、大坂さんに対してである。貴重な研究時間を割いて迅速に下訳を作成してくださったにもかかわらず長期間放置しただけではない。監訳作業が長期間に及んだために私自身の監訳の揺れが著しく、最終段階では大坂さんと協議しながら翻訳の調整に取り組むことになった。訳者と監訳者ではなく、共訳者として表記する所以である。

 本書の原文は、複雑な構造をもった長いセンテンスが多く、原文の構造に対する忠実さと、日本語としての自然さとの間で、どう折り合いをつけるか悩むことの連続で、結局はきわめて生硬な日本語となった。また、凡例から推測しうるように、個々の単語に対して文脈に応じてどの訳語を与えるかも、つねに問題であり続けた。lawyer、lawyering、bar、competence、value、corporate等々の基本的用語に対する訳語の選択すら、完全に納得しているわけではない。さいわいにも増刷の機会が得られれば、読者のご教示によって改訳したいと思う。

〈注〉

1) カナダの弁護士会による修習制度(articling)を高く評価している。ただし、ごく最近では、修習受入先の違いによる質の格差と、修習制度をもたないアメリカのロースクールとの競争で不利であるところから、少なくともオンタリオ州では廃止の動きが高まっていることに注意を要する。

2)  日本弁護士連合会司法改革調査室(編)『アメリカ法曹協会(ABA)ロースクール認定手続』現代人文社(2002年)68〜70頁の基準302。

3) たとえば、短いものでは、松浦好治「法科大学院構想の批判的検討」月刊司法改革4号(2000年)39頁、詳細なものでは、柏木昇「法曹養成と大学に於ける実務教育」法学協会雑誌118巻12号(2001年)1846〜1857頁。

4) 宮澤節生「法曹一元制下の法曹養成制度」日本弁護士連合会(編)『21世紀弁護士論』有斐閣(2000年)注37。

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