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  はじめての憲法学 第2版

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はじめての憲法学 第2版

 【第3版、2015年3月20日 販売会社搬入】
  ⇒ 第3版のページへ


中村睦男 編著

2,600円 A5判 272頁 978-4-385-32187-5

好評の憲法入門書の改訂版。最新の判例を反映させたほか、タイムリーな話題を「トピックス」として紹介。終講として「国民主権」を追加し、ますます内容が充実した。憲法の全体像の理解に最適。

2010年10月1日 発行

はしがき   凡 例   目次   執筆者紹介
「第14講 選挙権の平等と選挙制度」増補・改訂



はしがき

第2版 はしがき

 本書は、2004年1月の初版刊行以来、憲法入門書として幸いにも広く利用されてきましたが、初版刊行からすでに6年半が経過しました。そこで、初版刊行後の新しい判例、法律の制定・改正などを取り入れつつ、説明を追加・修正するため、このたび第2版を刊行することとしました。

 本書の基本的な執筆方針は初版と同様です(この点については「初版はしがき」を参照してください)。他方で、第2版で変更した点として以下の点があります。第1に、国民主権について説明する「終講」を第20講の後に新たに加えました。終講は、本書全体のまとめ・しめくくりとしての意味をもつ講でもあります。第2に、それぞれの講での説明を補うものとして、憲法判例の動きや最近の注目すべき憲法問題を取り上げる「トピックス」を随所に盛り込みました。第3に、いくつかの講については、新しい判例などをふまえて冒頭の「設問」の内容を変更し(第8講・第12講)、説明を補充するため節を追加し(第15講■4・第16講■4)、講の表題をよりふさわしいものに改める(第8講・第13講・第15講)、といった変更を加えました。第4に、初版にはなかった「判例索引」を巻末に加えています。

 この第2版も、初版と同様に多くの読者に親しまれることを願っています。

 第2版の刊行に際しても、初版刊行時と同様に、三省堂法律書出版部の黒田也靖氏には格別のお世話になりました。記して感謝の意を表したいと思います。

2010年7月

中村 睦男


初版 はしがき

 本書は、法学部の学生はもとより法学を専門としない学生も含めて、大学生としてはじめて憲法を学ぶ人や、憲法に関心をもっている一般の市民の皆さんを対象として書かれています。

 そのためこの本では、法律や憲法の基礎的な知識がたとえなくても、憲法の基本的な内容や憲法上の問題を理解することができるように、工夫がなされています。憲法に関する問題を理解するうえでは、刑法や民法などのほかの法律についての知識も必要になってくることがあります。そこで、はじめて憲法を学ぶ皆さんが、なるべく法律学辞典や法律用語辞典を参照しなくても、本書で書かれている説明を理解できるようにするために、法律用語にはできるだけ説明を加えるようにしています。

 また、本書の構成にも、初学者の理解を助けるために次のような工夫がなされています。第1に、本書の第0講「イントロダクション」では、本書を使って憲法を学ぶうえで必要な、法学や憲法の基礎的な知識を説明しています。その際、憲法の初学者が間違いやすいいくつかの点について、あらかじめ注意しています。本書はどの講から読み始めてもいいようにつくられていますが、この第0講は、はじめに読むことをおすすめします。

 第2に、本書は、初学者にとって不可欠と思われる憲法の基本的な20のテーマを選び出し、第1講以下の講で解説しています。この本を通読すると、憲法の全体像と基本的な問題を一応理解できるようになっています。

 第3に、第1講以下のそれぞれの講は、「設問」「何が問題となるか」「解説」「設問への答え」に分かれ、最後に参考文献の紹介があります。20講で取り上げる憲法上の問題を、なるべく具体的にイメージできるように、はじめに、具体的な事例や裁判例を用いた設問を挙げ、次に、そこでは何が問題となるのかを簡単に説明しています。「解説」では、設問について考えるときに前提となる基本的事項についての説明、設問への答えを導くためのより踏み込んだ説明を加え、さらに、必要に応じて、設問とは必ずしも直結していなくてもその講のテーマに関係する重要な事項について、説明を補足しています。また、「解説」では、最高裁判所の立場と憲法学説の主要な考え方を中心に説明していますが、いくつかの異なる考え方も紹介しています。最後の「設問への答え」では、最高裁判所の立場や主要な学説の立場から、答えを示していますが、それ以外の答えの可能性を示唆する部分もあります。そこにはより深く考えるヒントが示されていますので、参考文献も参照しながら自分自身で考えてみてください。

 このような工夫を加えたことにより、本書は、設問で取り上げた具体的問題に関する演習書として利用できるものであると同時に、一般的な説明を加えている憲法の教科書としての性格ももっています。

 本書の完成に至るまで、日頃学問的にも人間的にも交流の深い執筆者は数回にわたり検討会を開いたほか、電子メールや電話等で活発な意見交換を何度も行いました。結果として、それぞれの執筆者が個性を発揮しながら、全体としてのまとまりがとれたものとなっていると思います。

 本書の企画にご理解を賜った三省堂法律書出版部長の鷲尾徹氏、本書の構想段階から出版にいたるまで格別のお世話になった三省堂法律書出版部の黒田也靖氏に感謝の意を表したいと思います。

2003年11月

中村 睦男



凡  例

〈法令名の略称〉

 法令名につきましては、基本的に本文中では正式名称を用いましたが、( )内は、以下のような略称を用いました。

  • A規約……経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約
  • 会検……会計検査院法
  • 学校施令……学校教育法施行令
  • 行組……国家行政組織法
  • 行訴……行政事件訴訟法
  • 刑……刑法
  • 憲……日本国憲法
  • 公選……公職選挙法
  • 国公……国家公務員法
  • 裁……裁判所法
  • 地公……地方公務員法
  • 地自……地方自治法
  • 内……内閣法
  • B規約……市民的及び政治的権利に関する国際規約
  • 民……民法
  • 労基……労働基準法

 本文中で用いた主な略称は以下のとおりです。

  • イラク復興支援特別措置法……イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支
         援活動の実施に関する特別措置法
  • 海賊対処法……海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律
  • 周辺事態法……周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に
         関する法律
  • 男女雇用機会均等法……雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等
         に関する法律
  • テロ対策特別措置法……平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生し
         たテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達
         成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する
         国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法
  • 武力攻撃事態法……武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国
         民の安全の確保に関する法律

〈判例・出典等略称〉

 判例の典拠については、次のように略記しました。
例:最大判昭34・12・16刑集13-13-3225は、最高裁判所昭和34年12月16日大法廷判決・最高裁判所刑事判例集13巻13号3225頁所収を示します。

[判例の略称]
  • 最判……最高裁判所判決
  • 最大判……最高裁判所大法廷判決
  • 最大決……最高裁判所大法廷決定
  • 高判……高等裁判所判決
  • 地判……地方裁判所判決
  • 簡判……簡易裁判所判決
[判例集の略称]
  • 民集……最高裁判所民事判例集
  • 刑集……最高裁判所刑事判例集
  • 裁判集民……最高裁判所裁判集民事
  • 判時……判例時報
  • 判例地方自治……判例地方自治
〈文献等略称〉

 主要な文献の引用にあたっては、以下のように略記しました。これ以外のものはすべてフルネームで表示してあります。

  • 芦部・憲法……芦部信喜=高橋和之(補訂)『憲法〔第4版〕』(岩波書店、2007年)
  • 芦部・議会政……芦部信喜『憲法と議会政』(東京大学出版会、1971年)
  • 阿部・憲法……阿部照哉『憲法〔改訂版〕』(青林書院、1991年)
  • 大石=石川編・争点……大石眞=石川健治編『憲法の争点』(有斐閣、2008年)
  • 小嶋・講話……小嶋和司『憲法学講話』(有斐閣、1982年)
  • 佐藤・憲法……佐藤幸治『憲法〔第3版〕』(青林書院、1995年)
  • 戸松・平等……戸松秀典『平等原則と司法審査』(有斐閣、1990年)
  • 中村・30講……中村睦男『憲法30講〔新版〕』(青林書院、1999年)
  • 樋口・憲法……樋口陽一『憲法〔第3版〕』(創文社、2007年)
  • 宮沢・憲法 II……宮沢俊義『憲法 II〔新版〕』(有斐閣、1971年)
  • 百選 I……高橋和之=長谷部恭男=石川健治編『憲法判例百選 I〔第5版〕』
         (有斐閣、2007年)

目  次

第2版 はしがき

初版 はしがき

凡  例

第0講 イントロダクション〈寺島 壽一〉 1

■1 法・法律・憲法……1

法と法律 1/憲法 2/合憲・違憲・違憲審査 2

■2 憲法の解釈……3

憲法の解釈とはなにか 3/なぜ解釈を要するような条文なのか 4/憲法の解釈をめぐる論争の発生 5 

■3 判例と学説……6

裁判所の判例 6/法学における学説 7

第1講 憲法の意味〈中村 睦男〉 9

■1 憲法の意味……10

憲法という用語 10/憲法の意味 10

■2 憲法の最高法規性と違憲審査制……11

憲法の最高法規性 11/違憲審査制 12

■3 日本憲法の展開……13

明治憲法の特色 13/日本国憲法の制定 14/八月革命説 16/日本国憲法の基本原理 17

第2講 基本的人権の保障〈中村 睦男〉 19

■1 人権の歴史……20

近代的人権宣言の成立 20/社会権の登場 21/人権の国際的保障 21

■2 人権の分類……22

■3 人権の限界……23

人権の不可侵性とその限界 23/人権と公共の福祉との関係23/二重の基準論 24

■4 人権の享有主体……25

法人の人権 25/子どもの人権 27

第3講 外国人の人権 〈齊藤 正彰〉 29

■1 外国人の人権享有主体性……30

憲法の解釈 30/従来の判例 31/国際人権条約 31/外国人の入国と在留制度 32

■2 外国人の参政権……33

問題の所在 33/国政レベルの選挙権 34/地方公共団体レベルの選挙権 34/被選挙権 35/公務就任権 35

■3 その他の人権……36

外国人の権利の制限と違憲審査 36/保障される人権の範囲36/定住外国人の人権 38

第4講 人権規定の私人間効力〈大島 佳代子〉 39

■1 私的自治の原則と私人間における人権保障……40

憲法とはどのような性格の法か 40/私的自治と私人間における人権保障との調整のあり方 40

■2 人権規定の私人間効力に関する考え方……42

人権規定の私人間効力 42/学説を具体的に適用してみるとどうなるか 43

■3 人権規定をどのように適用するのか……44

間接適用説の問題点 44/どのように適用するか 45

第5講 幸福追求権〈佐々木 雅寿〉 47

■1 幸福追求権……48

幸福追求権の意味 48/幸福追求権の範囲 48/幸福追求権から導かれる人権の内容 49

■2 自己決定権……50

自己決定権の意味 50/自己決定権の内容 50/自己の生命・身体の処分に関する自己決定権 50/髪形・服装などに関する自己決定権 53

■3 プライバシーの権利……54

プライバシーの権利の意味とその発展 54/プライバシーの権利の内容 55

第6講 法の下の平等〈大島 佳代子〉 57

■1 憲法14条の定める平等の意味……58

憲法14条1項 58/憲法14条の定める「平等」とは 58

■2 合理的根拠の有無はどのように判断するのか……59

違憲審査基準 59/どのように判断するのか 60/合理性の判断に際して留意すべき点 62

■3 嫡出性を理由とする差別には合理的な根拠があるか……63

民法900条4号但書の立法目的と目的達成のための手段 64多数意見と反対意見の合理性の判断 64/判断の違いはなぜ生じたか 64

第7講 信教の自由と政教分離〈齊藤 正彰〉 67

■1 宗教の自由と憲法……68

信教の自由の規定 68/政教分離の原則の規定 68

■2 宗教の自由の保障・国家と宗教の分離……69

信教の自由の内容 69/信教の自由の限界 70/国家と宗教の分離の限界 71/目的・効果基準 72

■3 信教の自由と政教分離の原則の衝突……74

目的・効果基準の適用 74/信仰と法令・規則に基づく義務75

【トピックス1】首相の靖国神社参拝……77

【トピックス2】砂川市有地神社訴訟……78

第8講 表現の自由〈岩本 一郎〉 79

■1 表現の自由の保障……80

保障の範囲 80/保障の限界 81

■2 表現の自由とビラ配り……83

立川基地反戦ビラ事件 83/道路や公園での表現活動 84 パブリック・フォーラムではない場所での表現活動 86

■3 表現の自由の優越的地位……87

政治的言論と民主政 87/表現の自由と二重の基準の理論 88/なぜ二重の基準か 89

第9講 検閲と事前抑制〈岩本 一郎〉 91

■1 検閲と事後処罰……92

表現活動を規制する2つの方法 92/検閲と事後処罰はどう違うか 92

■2 検閲と税関検査……93

最高裁は検閲をどう定義したか 93/最高裁の定義のなにが問題か 95

■3 検閲と事前抑制……96

検閲は表現の自由にとってなぜ危険か 96/検閲と事前抑制はどのような関係にあるか 97/裁判所による出版の差止めは事前抑制か 98

第10講 経済的自由権〈寺島 壽一〉 101

■1 職業選択の自由とその規制……102

「職業選択の自由」・その「保障」の意味 102/営業規制立法の違憲審査──「目的─手段」審査の枠組み 102/立法目的による規制の分類──消極的規制と積極的規制 103

■2 営業規制立法に関する違憲審査基準……103

小売市場の距離制限制 103/薬局の距離制限制 104/なぜ違憲審査基準が違ってくるのか 105/規制目的二分論の問題点 106

■3 財産権と憲法……107

財産権の保障と規制──憲法29条1項・2項の意味 107  正当な補償──憲法29条3項 109

第11講 生存権と社会保障制度〈岩本 一郎〉 111

■1 生存権とはどんな権利か……112

生存権と国の義務 112/社会保障制度と国会の役割 113

■2 堀木訴訟……114

障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止 114/最高裁はどう判断したか 115

■3 生存権保障と裁判所の役割……117

生存権は、国に直接生活費を請求できる権利か 117/裁判所はどうすれば国の判断をコントロールできるか 118

第12講 教育を受ける権利〈大島 佳代子〉 121

■1 教育を受ける権利とはどのような性格の権利か……122

教育を受ける権利を保障する目的 122/教育を受ける権利の内容 122

■2 教育を受ける権利と教育の自由……123

教育権の所在 123/教育の自由 124

■3 障害のある子どもの教育を受ける権利……124

「能力に応じて、ひとしく」の意味 124/障害のある子どもはどこで教育を受けるか 125/どこで教育を受けるかを「誰が」決定するのか 126/障害のある子どもの学校選択の自由 127

第13講 刑罰・刑事手続と憲法〈寺島 壽一〉 131

■1 刑罰と憲法……132

「犯罪」と「刑罰」 132/憲法31条と罪刑法定主義 132 罪刑法定主義の内容 133/法律主義の例外 134/刑罰法規そのものの適正さに関する原則 134

■2 「淫行」処罰規定と明確性の原則……135

福岡県青少年保護育成条例事件 135/最高裁の判断はどのような前提に立っているか 136/最高裁の多数意見に対する批判 136

■3 適正な刑事手続の保障……137

実体法と手続法 137/刑事手続に関する憲法の規定 138 憲法31条による適正手続の保障 139

第14講 選挙権の平等と選挙制度〈木下 和朗〉 141

■1 選挙法の原則と選挙制度……142

選挙の意味 142/選挙法の原則 143/選挙制度法定主義 143

■2 投票価値の平等と議員定数不均衡……144

平等選挙と投票価値の平等 144/議員定数不均衡という憲法問題 144/1976年最高裁大法廷判決 146

■3 判例と学説の展開……148

判例法理の特徴 148/学説 149/小選挙区比例代表並立制における議員定数不均衡 150

【トピックス】参議院議員選挙における議員定数不均衡……152

第15講 国会と立法権〈木下 和朗〉 155

■1 国会が「唯一の立法機関」であることの意味……156

「立法」の意味 156/国会中心立法・単独立法の原則 157

■2 立法の委任……158

立法の委任と委任立法 158/立法の委任の根拠 158/委任命令の種類 160

■3 委任立法の限界……161

立法の委任の問題点 161/授権法律における委任の限界 161/人事院規則への罰則の委任 162

■4 国会の組織と権能……164

国会の地位 164/国会の組織と活動 164/国会の権能 165/国政調査権 165

第16講 議院内閣制と衆議院の解散〈木下 和朗〉 167

■1 議院内閣制……168

議院内閣制と大統領制 168/議院内閣制の本質 169/代表民主制における議院内閣制の運用 169

■2 衆議院の解散……171

問題の所在 171/解散権の所在に関する憲法上の根拠 171議院内閣制と解散の民主的機能──制度説と7条説の背景 173

■3 解散権行使の要件……174

問題の所在 174/議院内閣制の運用と解散権行使の要件 174/衆参同日選挙を意図する解散 175

■4 内閣の組織と権能……176

内閣の組織 176/内閣の権能 176/内閣総理大臣と国務大臣の関係 177/内閣の責任 177

第17講 裁判所と司法権〈佐々木 雅寿〉 179

■1 裁判所と司法権……180

裁判所 180/裁判所の仕事内容を決める必要性 180

■2 裁判所の権限=司法権……182

司法権の定義 182/司法権の範囲 183/司法権の本質的内容=事件性の要件=法律上の争訟 183/法律上の争訟に当たらないもの 183/司法権の限界 185

■3 裁判の公正さを支える制度……186

司法権の独立 186/裁判の公開 186

【トピックス】裁判員制度……188

第18講 違憲立法審査制〈寺島 壽一〉 191

■1 違憲立法審査制の2類型……192

はじめに 192/司法裁判所型と憲法裁判所型 ── 制度のしくみの対比 192

■2 わが国の違憲立法審査制の性格……194

問題の所在 194/警察予備隊違憲訴訟 195/判例の趣旨と憲法学界の反応 196

■3 付随的審査制の構造と特質……197

付随的審査における3つの関門 197/2類型における発想の違い・機能の違い 199

第19講 地方自治〈佐々木 雅寿〉 201

■1 憲法による地方自治の保障……202

地方自治の憲法上の位置づけ 202/地方自治の本旨 202 地方公共団体 203

■2 条例……204

条例制定権 204/条例制定権の範囲と限界 204

■3 条例に基づく住民投票……206

地方自治における間接民主制 206/地方自治における直接民主制 207/条例に基づく住民投票 207/住民投票の評価209

第20講 平和主義〈齊藤 正彰〉 211

■1 戦争放棄条項の意味……212

戦争の放棄・戦力の不保持 212/自衛権 212/戦力=「警察力を超える実力」説 213/戦力=「必要最小限度を超える実力」説 214

■2 自衛隊の海外出動……215

海外派兵の禁止 215/海外出動の推進 215

■3 憲法9条と自衛隊……218

違憲審査制と9条 218/憲法改正と9条 219

終 講 国民主権〈木下 和朗〉 221

■1 国民主権論……221

主権の意味 221/国民主権の意味 222/国民主権を具体化する制度 222

■2 人権解釈と国民主権……224

外国人の選挙権享有主体性 224/民主政・人権の保障・違憲審査の役割 225

■3 統治機構と国民主権……227

統治機構の制度原理 227/象徴天皇制 228

日本国憲法  229

事項索引  241

判例索引  248


執筆者紹介

〈編著者〉

中村 睦男(なかむら むつお)  第1講、第2講執筆。

北海道大学名誉教授。
主要著書:『社会権法理の形成』(有斐閣、1973年)、『社会権の解釈』(有斐閣、1983年)、『論点憲法教室』(有斐閣、1990年)、『憲法30講〔新版〕』(青林書院、1999年)。

〈執筆者(五十音順)

岩本 一郎(いわもと いちろう)  第8講、第9講、第11講執筆。

北星学園大学経済学部教授。

大島 佳代子(おおしま かよこ)  第4講、第6講、第12講執筆。

同志社大学政策学部教授。

木下 和朗(きのした かずあき)  第14講、第15講、第16講、終講執筆。

北海学園大学大学院法務研究科教授。

齊藤 正彰(さいとう まさあき)  第3講、第7講、第20講執筆。

北星学園大学経済学部教授。

佐々木 雅寿(ささき まさとし)  第5講、第17講、第19講執筆。

北海道大学大学院法学研究科教授。

寺島 壽一(てらしま としかず)  第0講、第10講、第13講、第18講執筆。

北海学園大学法学部教授。



「第14講 選挙権の平等と選挙制度」増補・改訂(2012年11月28日 木下 和朗)

○ 表1(148頁)に追記

  判 例 選挙
制度
係争対象となった規定の公布年および選挙日 最大較
差(倍)
投票価値の平等 合理的期間 規定の合憲性
(11) 最大判平成23・3・23
民集65-2-755
小選挙区比例代表並立制 2002(法律95号)
2009・8・30
2.304 反する
(一人別枠方式は違憲)
経過しない 合憲

○ 149頁 6〜7行に追記(点線部分)

(旧)もっとも、判例を通じて見ると、最大較差3対1を超えると投票価値の平等に反するという一応の目安があると解されます(判決(2)(3)(4)(5)(6))。

(新)もっとも、判例を通じて見ると、中選挙区制の下においては、最大較差3対1を超えると投票価値の平等に反するという一応の目安があると解されます(判決(2)(3)(4)(5)(6))。

○ 151頁 3〜14行を下記に差し替え

判決(7)は、中選挙区制の下で形成された法理を「変更する要をみない」として、小選挙区制における議員定数不均衡に適用しました。判決(11)も、国会議員は全国民の代表でなければならないことや法の下の平等などという憲法上の要求に反する選挙制度の具体的しくみは、国会の裁量を考慮してもなおその限界を超えており、これを是認できない場合に違憲となるという点では、従来の法理を維持しています。しかし、最高裁は、これまでの判例と異なり以下のように判示して、区割(定数配分)基準の一つである一人別枠方式と、当該方式に基づき定められ2009年選挙時に最大較差2.304対1を生じている区割規定が投票価値の平等の要求に反すると判断しました。

(1)一人別枠方式の目的とされる相対的に人口の少ない地域への配慮は、全国民の代表である小選挙区選出議員が全国的視野から法律制定等の活動を行うにあたり考慮されるべき事柄であり、投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難い。しかも、一人別枠方式は選挙区間の投票価値の較差を生じさせる主要な要因になっていた。(2)一人別枠方式の意義は、新しい選挙制度を導入するにあたり、国政における安定性、連続性の確保への配慮なくしては改革の実現自体が困難であったと認められる状況の下で採られた方策であるという点にある。そうであるならば、一人別枠方式の合理性には時間的限界があり、2009年選挙時において小選挙区比例代表並立制は定着し、安定した運用がされるようになっていたと評価できるから、もはや一人別枠方式立法時の合理性は失われていた。加えて、本件選挙時の最大較差2.304対1や2対1以上の較差がある選挙区数の増加は、当該方式の不合理性が投票価値の較差としても現れてきたものである。(3)一人別枠方式は、遅くとも2009年選挙時には、立法時の合理性が失われたものにかかわらず投票価値の平等と相容れない作用を及ぼすものとして、投票価値の平等の要求に反する。

ただし、最高裁は、2009年選挙までに一人別枠方式の廃止とこれを前提とする選挙区割の是正をしなかったことをもって合理的期間内に是正しなかったとはいえないとし、区割基準を定める衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条と区割規定を合憲と判断しました。

○ 151頁設問への答え 9行「(合理的期間の審査は不要です)。」と「他方、」との間に下記を補遺

ただし、最近の判例(判決(11))によると、一人別枠方式は、法律施行後最初の選挙から既に10年以上を経過した時点では、国会の決定を尊重してもなお立法時の合理性が失われており、設問のように一人別枠方式とそれに基づき定められ選挙時に2.471対1の最大較差が生じている区割規定はいずれも、投票価値の平等に反する状態にあると解されます。この場合は次に、一人別枠方式の廃止などの投票価値の不平等の是正が合理的期間内になされたかが問題となります。もっとも設問では、法律の施行から6年後に実施された選挙時における一人別枠方式と区割規定の合憲性が問われています。最近の判例の考えに従っても、投票価値の平等に反するとまでは解されないでしょう。

○ 154頁トピックス 13行「(最大判平21・9・30民集63-7-1520)。」と「現在、参議院は」との間に下記を補遺

さらに2012年の大法廷判決2件において、2010年選挙時の最大較差5.00対1は「違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていた」と最高裁が判示したことは注目されます(最大判平24・10・17裁判所HP)。最高裁は、憲法が両院制を採用する趣旨を「議院内閣制の下で、限られた範囲について衆議院の優越を認め、機能的な国政の運営を図る一方、立法を始めとする多くの事柄について参議院にも衆議院とほぼ等しい権限を与え、参議院議員の任期をより長期とすることによって、多角的かつ長期的な視点からの民意を反映し、衆議院との権限の抑制、均衡を図り、国政の運営の安定性、継続性を確保しようとしたもの」として、両院の権能が対等であることに踏み込んで明確に示しました。その上で、参議院議員選挙制度が設けられてから60年余、1983年判決において基本的判断枠組みが最初に示されてからでも30年近くとなる制度と社会の状況の変化を考慮します。この結果、最高裁は、現在では参議院議員選挙であること自体から直ちに投票価値の平等の要求が後退してよいと解すべき理由は見いだしがたいとします。つまり、参議院議員選挙制度のしくみを定める段階から投票価値の平等という憲法上の要求に沿うように国会は裁量権を行使すべきだという解釈に転換したのです。この解釈を前提に、都道府県を単位とする選挙区のしくみを維持しながら投票価値の平等を実現することはもはや著しく困難な状況に至っているとの認識を示します。したがって、2010年選挙当時、最大較差5.00対1という投票価値の不均衡は、本件選挙が4増4減の較差是正後に実施された2回目の通常選挙であることを勘案しても、投票価値の平等の重要性に照らしてもはや看過し得ない程度に達していると結論するのです。しかし最高裁は、2010年選挙までの間に定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえないとして定数配分規定を合憲と判断しました。ただし、2009年判決を踏まえて、現行選挙制度のしくみ自体の見直しを内容とする立法をおこない、できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる不平等状態を解消することを求めています。


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