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子どもの権利 アジアと日本

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子どもの権利 アジアと日本

荒牧重人・喜多明人・森田明美 編

2,200円 A5判 224頁 978-4-385-32139-4

子どもの権利条約批准 20周年。いじめ・体罰、虐待・貧困、災害時における子ども支援について日本とアジア各国の実態をふまえ、権利保障システムの構築に向けて、子どもの権利条約の今日的意味を明らかにする。

はしがき   目 次   執筆者紹介

2013年12月20日 発行




はしがき

 いま、日本の子どもたちは、さまざまな暴力や災害などにさらされています。学校ではいじめ・体罰や学校災害の問題、家庭では虐待や貧困の問題、地域では「不審者」や交通災害の問題などが生じており、さらに東日本大震災・福島原発事故においても多くの子どもたちが犠牲となっています。

 ところが、日本の社会では相変わらず、愛ある指導として体罰を容認したり、あるいは、いじめる子どもといじめられる子どもという単純な対立構造でいじめ問題をとらえ、いじめる子どもに対して厳しく対応するというような取り組みが行われています。また、しつけの名による子どもへの虐待行為も止みません。さらに、災害からの復旧・復興においても、子どもの最善の利益の視点や子ども参加による計画の策定や施策の推進はなかなか取り組まれていない状況にあります。わたしたちは、これらの基本的な原因の一つが「子どもの権利」という視点と方法・仕組みの不在にあると考えています。

 アジアでも、スマトラの地震、インド沖の津波、中国四川の地震、タイの洪水など多くの災害が発生しています。それぞれの国で、子どものいのちや成長にかかわる諸問題が生じています。わたしたちは、子どもに向けられた暴力や災害等の問題がアジア諸国の共通の課題であるという認識に立ち、大災害といった非日常的な世界で浮き彫りになってきた子どもの権利の問題に加えて、とくにいじめや暴力の問題など日常的な生活の場での子どもの権利侵害に関して問い直していくこと、さらには子どもの権利保障の将来を見据えた継続的な課題の取り組みを進めていく必要性を痛感しています。これらの問題解決の鍵を握る視点と方法・仕組みが「子どもの権利」にあるという自覚のもとで、「アジア子どもの権利フォーラム(Asian Forum on the Rights of the Child)」を始めました。第1回は2009年11月にソウルで、第2回は2011年11月に東京で開催しました。本書は、それらの取り組みの成果やそこでの報告・討論を基にしています(なお、本書における翻訳・構成の最終責任は編者が負っています)。第3回フォーラムは2014年8月にモンゴル・ウランバートルで開催する予定です。

 わたしたちは、東日本大震災・福島原発事故をはじめとする大災害に直面して、アジア諸国が「子ども最優先の原則」の意義、災害時の子どもの権利保障のあり方などについて情報・意見交換を行い、子どもの権利条約というグローバルスタンダードを共通の言語と規範にしていくことの重要性を再認識しました。

 もともと子どもの権利の国際的保障の取り組みは、1924年のジュネーブ「子どもの権利宣言」(国際連盟)以来、第1次・第2次世界大戦などによる戦災と社会的危機のなかで自覚され、子どもの権利の実現が人類の存続と発展の土台となるという確信に至っています。このように子どもの権利の認識が深められてきたことを想起すれば、災害時でこそアジアにおける子どもの権利研究の普遍性や重要性が具体的に確かめられていく必要があると考えています。

 本書では、アジアにおける子どもの権利に関する総論として、第1章「アジアにおける子どもの権利の実現」をおき、緊急課題である子どもに対する暴力の問題について、第2章「子どもに対する暴力の防止・禁止」で検討し、災害時の子ども支援とまちづくりについて、第3章「災害時における子ども支援と子どもにやさしいまち」で論じ、アジア諸国の権利保障制度をふまえ、第4章「子どもの権利保障機構の構築」を展望しています。

 2014年は、国連で子どもの権利条約が採択されてから25年、日本が批准してから20年にあたります。日本では、未だ「子どもの権利」について共通理解が得られないばかりか、無理解や誤解から子どもの権利に対する否定や非難の世論(わがまま助長、権利より義務など)が収まらず、強まる傾向すらあります。そのようななかで、アジア諸国が子どもの権利条約というグローバルスタンダードを基に子どもの権利保障に取り組んでいる一端を示している本書は、日本における子どもの権利認識の向上や実現に貢献するでしょう。同時に、本書が、アジアという地域で子どもの権利の実現に向けた考え方(「アジア子どもの権利憲章」)や保障の仕組み(「アジア子どもの権利機構」)をつくり上げていくことに少しでも寄与することを願っています。


2013年11月

編 者



目   次

はしがき 〈編者〉

第1章 アジアにおける子どもの権利の実現

1 子どもにふさわしい世界の創造
   ──危機的状況下における子どもの権利の実現 〈荒牧重人〉

2 子どもに対する暴力防止と子どもの権利条約の実現 〈李亮喜〉

第2章 子どもに対する暴力の防止・禁止

3 日本:いじめ・体罰問題の現状と課題 〈喜多明人〉

4 日本における子どもへの暴力と被害からの救済・回復 〈坪井節子〉

5 韓国における子どもに対する暴力の実態と対策 〈金享謨〉

6 台湾における児童虐待の現状と対応 〈張紉〉

7 タイにおける子どもに対する暴力の実態とその対策
   〈サイスリー・チュティクル〉

8 カンボジアの学校における体罰禁止の取り組み 〈モン・タニー〉

9 アジアにおける子どもへの暴力の防止と禁止の取り組み
   〈アイリーン・V・フォナシア・フェリサール〉

10 アジアにおける子どもに対する暴力の防止・禁止に向けて
   〈甲斐田万智子〉

第3章 災害時における子ども支援と子どもにやさしいまち

11 東日本大震災における子どもの困難と子ども支援 〈森田明美〉

12 災害と復興における開発への参加のための子どものエンパワーメント
   〈リタ・パニッカー〉

13 四川大震災における子ども支援 〈田雪梅〉

14 災害リスク軽減への子ども参加の促進に関するベトナムの経験
   〈ギィア・ヌグイェン・ヴァン〉

15 災害時における子ども支援と子どもにやさしいまちづくり 〈木下勇〉

第4章 子どもの権利保障機構の構築

16 日本における子どもの権利モニタリング制度の必要性と課題
   〈半田勝久〉

17 韓国・国家人権委員会による子どもの権利保障の活動 〈金哲弘〉

18 モンゴル・国家人権委員会による子どもの権利保障の活動
   〈ダシュドルジ・シャダムバ〉

19 中国における子どもの権利保障システムとその新たな傾向 〈柳華文〉

20 インドネシアにおける子どもの権利保護・促進のためのシステム構築
   ──インドネシアにおける子どもにやさしいまちの開発
   〈レニー N.ロザリン〉

21 アジアにおける子どもの権利保障機構の重要性と展望
   〈スリサック・タイアリー〉

22 アジアにおける子どもの権利保障の機構に向けて 〈佐々木光明〉

資 料

1 第1回アジア子どもの権利フォーラム宣言

2 第2回アジア子どもの権利フォーラム宣言

3 子ども防災(災害リスク軽減)憲章
   ──子どもたちのための、子どもたちによる防災行動計画

4 国連・子どもの権利委員会 「一般的意見」(general comments)一覧

5 国連・子どもの権利委員会 「一般的意見」13号(2011年)
   「あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利〔抜粋〕

   

執筆者紹介(執筆順) *は編者

*荒牧 重人(山梨学院大学教授)

李 亮喜(国連・子どもの権利委員会前委員長、成均館大学校教授)

*喜多 明人(早稲田大学教授)

坪井 節子(弁護士 社会福祉法人カリヨン子どもセンター理事長)

金 享謨(京畿大学校教授)

張 紉(国立台北大学准教授)

サイスリー・チュティクル(子どもに対する暴力対策小委員会委員長)

モン・タニー(カンボジア・子どもの権利基金代表理事)

アイリーン・V・フォナシア・フェリサール(国連「子どもに対する暴力」研究
  フォローアップのためのNGO諮問評議会・東アジア太平洋地域代表)

甲斐田 万智子(文京学院大学准教授 国際子ども権利センター)

*森田 明美(東洋大学教授)

リタ・パニッカー(インド バタフライズ代表理事)

田 雪梅(西南交通大学政治学院准教授)

ギィア・ヌグイェン・ヴァン(セーブ・ザ・チルドレン・ベトナム緊急事業部門長)

木下 勇(千葉大学教授)

半田 勝久(東京成徳大学准教授)

金 哲弘(韓国・国家人権委員会人権教育課)

ダシュドルジ・ジャダムバ(モンゴル・前国家人権委員会委員)

柳 華文(中国社会科学院法学研究所所長補佐 人権研究センター事務局長)

レニー・N・ロザリン(女性エンパワーメント・子ども保護省 子どもにやさしいまち担当局長)

スリサック・ティアリー(タイ全国子ども・青少年育成評議会常任理事)

佐々木 光明(神戸学院大学教授)

  


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