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考えながら学ぶ環境法

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考えながら学ぶ環境法

畠山武道 著

1,800円 四六判 344頁 978-4-385-32245-2

「環境法を(使って)考える」ことに重点をおいた環境法の入門書。各講末に設問・文献欄をおき、より深い学習ができるよう配慮した。初学者はもちろんのこと、ゼミ等での活用にも好適の1冊。

はしがき   もくじ   著者紹介
見本ページ:pp 219〜222 [PDF]

2013年12月15日 発行




はしがき

 本書は、高校生、大学生、あるいは社会人など、広く環境法に関心をもっている人を読者に想定して書かれた環境法の入門書である。

 環境法や環境問題に関心はあるが、なにから読み始めたらよいのか迷っている、あるいは環境法とはどのようなものかを知りたいが、いきなり難しい法律の条文を読むのはしんどい、そんな人も多いことだろう。本書のねらいは、そのような人に向けて、環境法の仕組みや考え方をできるだけ分かりやすく説明し、環境法のおもしろさを知っていただくことにある。

 とはいいながら、すでに書店には環境法入門という名のついた本が、かなりの数ならんでいる。なにか特色がなければ、本書を手にしていただくことは難しいだろう。そこで、これまでの入門書との違いをだすために、つぎのようなことに注意をしながら、本書を執筆した。

 第一に、本書は、環境法について初学者が知っておいてほしい知識を、全体的に、もれなく説明した解説書ではない。むしろ、読者のみなさんに私が伝えたいことを選びだし、重点的に説明をくわえたものである。本書全体の構成、記述、話題、事例問題などをから、私が環境法・環境問題について考えていること、あるいは考えてきたことを知っていただければ、うれしい限りである。

 第二に、本書では、環境法の内容を理解する(おぼえる、暗記する)ことよりは、「環境法を考える」、あるいは「環境法を使って考える」ことを重視した。環境問題のなかには、明確な解答をだしにくいものがたくさんある。そこで、環境法・環境問題の学習に求められることは、正解を探すことではなく、自分で考えることである。そのために、いろいろな設問(■考えてみよう)をつけてみた。設問のなかには、やさしいものもあるが、専門家が考えても、なかなか良い知恵がうかばないものもある。そんなときには、友人などと議論し、人によって考え方にいろいろな違いがあることを知ることにしよう。

 第三に、環境法・環境問題をより広い視野から考えていただくために、読みやすく参考になりそうなものを文献欄(■読んでみよう)にかかげた。とかく環境法の学習というと、法律知識や法理論の学習が中心になりがちで、無味乾燥という想いをいだく人も少なくないだろう。しかし、法律を使ったり、法律に救いを求めたりしているのは、生身の人である。人に対する興味がわかなければ、環境法の学習もすすまないだろう。そこで、文献欄には、できるだけ生身の人が登場するノンフィクション、小説、それにDVD などもあげてみた。なかには図書館でも見つけにくいために推薦をためらうものもあるが、私の好み(趣味、こだわり)を記したものとお考えいただきたい。

 第四に、とはいえ本書は環境法の入門書であり、環境問題一般の入門書ではない。法学、法律学に興味をもっていただくことも、本書のねらいのひとつである。そこで、本書のところどころに法律の条文を引用し、あるいは(入門書としてはやや異例ではあるが)参照条文を収録し、その読み方を説明した。よく、法律の条文や法律の解釈は難しいといわれるが、本書の説明を読み、もし法律とは案外におもしろいものだと感じた人がいれば、その人の頭脳は法律の学習にたいへんに向いている。ぜひ法学部に進学し、「法による環境問題の解決」に取り組んでほしい。もちろん、法律の解釈に興味がもてない人は、その個所をとばし読みにしてもよい。

 最後に、本書は入門書として利用されることを願っているが、じつのところ、相当に専門的で学説が対立しているようなテーマもとりあげ、私の考えを積極的に示したところも多い。そのため、本書は、本当の初心者だけではなく、より上級の学部学生の授業、あるいはゼミの教材としても役立つのではないかと考えている。そうすると、取り上げた問題ついて、もっと詳しく知りたいという人や、私の考えの信憑性[しんぴょうせい]を確かめたいという人もでてくるだろう。そのような人のために、巻末に参考文献を掲げ、本文には引用ページも摘示した。環境法の学習に限ったことではないが、他人の知識のうのみ、受け売りは禁物である。私のいっていることが本当に正しいのか、参考文献と照らし合わせながら、ぜひ確かめてほしいと思う。

 文章は分かりやすさをこころがけ、漢字による表現もできるだけ少なくした。しかし、法律の名称や条文、役所の名称、事件名などをひらがなにするのは難しく、平明さを装うあまり、法律の条文や判決の説明が不正確になってもいけない。結果として、法律書らしい本になってしまった。分かりにくいところ、正確ではないところ、あるいは誤りなどがあれば、ご指摘いただきたい。

 

 本書は環境法の入門書をめざしてはいるが、いろいろなことを盛りこんだために、みなさんの予想する入門書とはやや異なるものになってしまったかもしれない。しかしながら、本書に目を通されたみなさんが、環境法にいっそうの興味をもち、一歩上の学習に進んでいただければ、本書の目的は達成される。各講や巻末にかかげた多数の入門書、専門書が、みなさんをまっている。

 本書の刊行にあたっては、三省堂六法・法律書編集室の黒田也靖氏のお世話になった。黒田氏とは、デイリー六法の編集にたずさわって以来のおつきあいとなり、本書の執筆も五年ちかくまえに約束したものである。教員生活を締めくくる前に本書を刊行することができたのは望外の喜びであり、これも同氏のご尽力のたまものである。こころより御礼もうしあげたい。

 終わりに、この場をお借りして、私の独演にしばらくつきあっていただいた上智大学地球環境学研究科および早稲田大学法学研究科の大学院生のみなさんにも感謝もうしあげたい。みなさんとの公私にわたるおつきあいは、私の元気のみなもとであり、みなさんとお会いできたことは、まことに幸いであった。本書をもってお礼のしるしとしたい。

 

2013年10月

畠山 武道



も く じ

はしがき

第1講 環境問題と環境法の発達

1 環境とはなにか   1

2 「環境」の意味の変遷   5

3 環境法の発達   13

第2講 水俣病事件を終わらせてはいけない

1 水俣病事件は終わったのか   23

2 水俣病の発生と原因の究明   24

3 水俣病事件における国と県の責任   33

4 被害者の救済と公害健康被害補償制度   35

5 二度の政治解決と公健法の運用を誤った国の責任   39

6 ふたたび公害問題を考えよう   42

第3講 事後の救済から事前の規制へ

1 市民法ルールによる公害の抑制   45

2 未然防止原則   48

3 予防原則   52

(1) ヨーロッパ諸国における予防原則の発展   52

(2) アメリカは別の方法を選択した   57

第4講 環境法を支える基本的な考え方(環境法の基本原則)

1 環境法の基本原則   69

2 持続可能な社会   71

3 環境権 ── 健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受する権利   79

4 環境権の役割を改めて考えよう   85

第5講 どのような方法で環境を守るのか(規制的な方法)

1 共有地の悲劇   90

2 環境を保護するためには規制が効果的である   93  

3 規制的方法の長所と短所   100

第6講 どのような方法で環境を守るのか(自主的取組、経済的方法)

1 環境保全に自主的、自発的に取り組む   104

2 市場メカニズムを用いる(経済的方法)   107

3 話合いによって環境を保護する(合意的方法)   115

第7講 環境保護の費用はだれが負担するのか

1 環境破壊のツケはだれが負担してきたか   122

2 汚染者支払原則(PPP)   125

3 拡大生産者責任(EPR)   128  

4 受益者支払原則(BPP)   134

5 市民による土地の買い取り(日本のナショナル・トラスト運動)   138

第8講 身近な環境を知る

1 環境法における住民、事業者、NPO   143

2 国の基本計画や白書を読んでみよう   146

3 環境アセスメント手続に注目しよう   150

4 導入がすすむ戦略的環境アセスメント   158

5 環境情報を入手するためのその他の方法   162

第9講 きれいな空や川をとりもどそう

1 まだまだ安心できない大気汚染   166  

2 水はすべての生命の源   176

3 環境基準の設定を柔軟にする   182

4 静けさを大切にしよう   185

第10講 自然保護のはなしをしよう

1 自然保護の基本原則   190

2 国立公園とはなんだろう ── 国立公園の歴史   192

3 自然公園におけるさまざまな規制   200

4 事例問題で考える建築規制の実際   208

5 生物多様性の保護をまじめに考えよう   212

第11講 ごみはどこへいくのか

1 ごみとはなんだろう   219  

2 廃棄物の処理   223

3 廃棄物処理施設の設置   228

4 なくならない不法投棄   233

5 廃棄物の処理ではなく、廃棄物を減らすことが基本である   238

第12講 原子力発電と放射能汚染

1 それは原子爆弾から始まった   242

2 原子力発電がひきおこすさまざまな環境問題   247

3 環境法が原発を扱ってこなかった理由   257

4 原発の建設・運転と法律の規制   259

第13講 裁判によって環境を守ることができるのか

1 環境保護における裁判の役割   267

2 損害賠償や事業の中止を求める訴訟   268

3 国や自治体に適切な権限の行使を求める訴訟   272

4 自然保護を求める訴訟   277

第14講 山のように考える

1 森の破壊と文明の消長   282

2 他国の人に対する義務、未来世代に対する義務   284

3 自然の価値、自然の権利   289

4 自然の法的権利を守る方法   296

5 山のように考える   300

参照条文   305

参照文献一覧   319

事項索引   330


著者紹介

畠山 武道(はたけやま たけみち)

  早稲田大学大学院法務研究科教授

1944年旭川市生まれ。北海道大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士(北海道大学、1972年)。 立教大学、北海道大学、上智大学を経て2010年より現職。

 [主要著書]

アメリカの環境保護法(北海道大学図書刊行会、1992年)
自然保護法講義〔第2版〕(北海道大学図書刊行会、2004年)
生物多様性保全と環境政策〔共著〕(北海道大学出版会、2006年)
環境法入門〔第3版〕〔共著〕(日本経済新聞出版社、2007年)
アメリカの環境訴訟(北海道大学出版会、2008年)
イギリス国立公園の現状と未来〔共著〕(北海道大学出版会、2006年)
はじめての行政法〔第2版〕〔共著〕(三省堂、2012年)



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