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  行政訴訟の実務と理論

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行政訴訟の実務と理論

斎藤 浩 著

4,200円 A5 432頁 978-4-385-32296-4

数多くの行政訴訟に関わった経験豊富な弁護士が、行政訴訟のこれまでの実務と理論を実務家の眼で徹底的に分析・考察し、最新の知見とともに行政訴訟の新たな道筋を示す。法曹務家・法科大学院生等に最適の書。

2007年9月20日 発行

はしがき 著者略歴 目次




●はしがき

 この本で心がけたのは、自らが行政訴訟の代理人となったり、大学で教える準備をするときに、教科書などではすぐフィットしないがどうしても知りたいなと思うことを書くことだった。

 豊富な素材は判例にある。そのために判例を読みに読んだ。ナマの検索をこころがけた。類書にはない判例に本書ではたくさんお会いいただけると思う。判例の紹介は裁判所と日付と項目だけというスタイルではなく、かなり長めにし、省庁名、自治体名をなるべく調べて明記してある。長めの判例紹介と私の短評で、初学の方々や法科大学院で学ぶ方々は、わが国の裁判官たちの心と私の心がおわかりいただけるだろう。判例のもととなった当事者や弁護士の心も推測できよう。

 ところで、今は判例検索が少し便利になった。1998年、司法予算増額運動のため、日弁連でまんがパンフを作り、衆参両院の方々をはじめ多方面にお配りしたことがあったが、その内容のひとつに「短時間でアクセスできる各地の判決」という項目で判例検索システムの必要性を入れた。アメリカの実情を調べ、インターネット関係の顧問先に見積もらせて必要経費まで載せた。2001年の司法制度改革審議会意見書には「裁判所等への情報通信技術(IT)の導入」という項目が入れられた。ほどなく最高裁は判例検索システムをホームページに立ち上げた。その後も改良が進められている。最高裁の努力に敬意を表する。しかしなお成長期である。私が検索に使うもうひとつのツールと比べるとキーワードのフラッシュ機能が付いていない、条文検索がない、また取り上げる判例数が少ないなどの問題点がある。

 私は行政が極めて重要なものと思っているので、行政が自立的に人権的であることを心から望む。予備的には司法の助けを借りてそうなることでもよいと思っている。司法の助けでもまだ足りなければ立法が参画することが望ましい。本書は行政に対する司法チェックのためにあり、実務家の立場に徹した行政事件訴訟法解釈をできるだけ行政法理論に基づき行ったつもりであるが、解釈には限界もあるから、立法論も提起した。

 本書を行政訴訟の実践に活用して欲しい。また大学や法科大学院の副読本として利用していただきたい。本書脱稿のその日から、多くの人と議論し、改訂する作業を行いたい。

 弁護士生活を一線で続けているのでまとまった時間がとれず、お話をいただいてからずいぶん時間がたった。担当の三省堂編集部福井昇氏にたいへんなご迷惑をかけた。心からのおわびと感謝を申し上げたい。これまでも何冊か本を書いた経験はあるが、本書が最も時間をかけ体力を使ったものであるので、その基礎力をつくってくれた亡き父母に捧げたい。

  2007年夏

斎藤 浩



●著者略歴

斎藤 浩(さいとう ひろし)

●経歴・現職
1945年生まれ。京都大学法学部卒業。地方自治体勤務を経て1975年大阪弁護士会登録。
日本弁護士連合会行政訴訟センター委員長。弁護士法人FAS代表社員。日本公法学会会員。龍谷大学法科大学院客員教授。阪神・淡路まちづくり支援機構運営委員。行政関係事件専門弁護士ネットワーク理事。雑誌「おおさかの街」主筆。

●著書
〈著書〉 『たのしくわかる日本国憲法 身近な地方自治』(岩崎書店)
    『自治体行政って何だ!』(労働旬報社)
〈編著〉 『民間福祉への行政責任を問う』(「福祉のひろば」臨時増刊)
    『司法改革の最前線』(日本評論社)
〈共著〉 『間違いだらけの家・土地・マンションの買い方』(成文社)
    『提言―大震災に学ぶ住宅とまちづくり』(東方出版)
    『実務解説行政事件訴訟法』(青林書院)
    『最新重要行政関係事件実務研究』(青林書院)



●目  次

第1章 行政訴訟とは 1

 1  行政訴訟とは何か  1
 2  本書で扱う行政訴訟  9
 3  行政訴訟、行政事件訴訟の類型  9

第2章 抗告訴訟とは 11

 1  用語法の不適切  11
 2  抗告訴訟の種類  12

第3章 取消訴訟総論 16

 1  取消訴訟、取消訴訟中心主義、公定力、排他的管轄  16
 2  取消訴訟中心主義からの脱却の試みと改正法  18
 3  裁決取消訴訟の諸問題  21

第4章 取消訴訟の訴訟要件
 24

第1節 処分性 24
 1  行政処分  24
 2  現代社会に生起する処分性問題  26
 3  処分性をもたない場合の争訟方法  57
 4  仮処分排除  57

第2節 原告適格 66
 1  行政事件でなぜ原告適格が重く論じられるのか  66
 2  小田急事件大法廷判決と補足意見  67
 3  小田急事件大法廷判決で変わる原告適格判断の地平  72
 4  行訴法制定前後の判例、学説  75
 5  もんじゅ1巡目最高裁判決後の下級審の原告適格判断  76
 6  9条2項の構造  77
 7  下敷き判例を産み出した要因、弱点と変化の条件  78
 8  小田急大法廷判決と改正行訴法を踏まえた積極的判例形成への展望――事例検討  84
 9  原告適格判断と違法性判断の関係  89
10 10条1項問題  89
11 団体訴訟  90

第3節 被告適格 95
 1  深刻だった改正前の問題点  95
 2  判例の元の状況  97
 3  改正の内容  100
 4  被告適格を改正した意義の確認  109
 5  住民訴訟の被告適格  110

第4節 狭義の訴えの利益 110
 1  概説  110
 2  事例分析  112

第5節 出訴期間 121
 1  出訴期間制度の趣旨と経過  121
 2  検討会での検討の経過  122
 3  改正法の内容  123
 4  出訴期間経過後提訴の「正当な理由」とは  123
 5  当事者訴訟についての出訴期間の改正  126

第6節 教示 129
 1  日弁連の提案  129
 2  検討会での議論  130
 3  改正行訴法の内容(新設46条)  130
 4  改正行訴法の解釈にあたっての論点  131

第7節 不服申立て前置 132
 1  不服審査の種類  133
 2  原則と例外の実態  133

第8節 訴額と弁護士費用 136
 1  訴額  136
 2  弁護士費用  137

第5章 取消訴訟の審理手続(違法性審理)――主として実体審理 140

第1節 訴訟の対象 140
 1  訴訟の対象、訴訟物  140
 2  違法とは  141
 3  関連請求  142
 4  訴えの変更、客観的併合  144

第2節 裁量判断 148
 1  裁量統制強化に向けての改正論議とその見送り  148
 2  判例の状況  151
 3  小田急事件最高裁実体判決の問題点  163
 4  専門的技術的分野といわれるところでの裁量統制  165

第3節 取消理由の制限 177
 1  自己の法律上の利益に関係する違法  177
 2  原処分主義、2つの取消訴訟の関係  177

第4節 違法判断の基準時 178

第5節 違法性の承継 180

第6節 理由の追加・差替え 181

第7節 共同訴訟(主観的併合)、訴訟参加 184
 1  共同訴訟(主観的併合)  184
 2  参加  186

第8節 審理ルールと主張立証責任 190
 1  管轄  190
 2  関連請求と移送ルール  196
 3  主張・立証責任  197
 4  釈明処分の特則  200

第9節 証拠収集、証拠調べ 205
 1  提訴前  206
 2  提訴後  209

第6章 訴訟の終了 223

第1節 放棄、認諾、取下げ、和解 223

第2節 判決 224
 1  却下  224
 2  棄却  225
 3  事情判決  225
 4  認容  231
 5  認容判決の効力  231

第3節 第三者の再審の訴え 249

第7章 不作為の違法確認訴訟、無効等確認訴訟 250

第1節 不作為の違法確認訴訟 250
 1  行訴法改正とこの訴訟類型の将来  250
 2  従来の使われ方  250
 3  訴訟要件  251
 4  実体要件=違法性  253
 5  判決  255

第2節 無効等確認訴訟 255
 1  行訴法改正とこの訴訟類型の将来  255
 2  訴訟要件  256
 3  実体要件  259
 4  判決  264

第8章 義務付け訴訟、差止め訴訟 265

第1節 これまでの判例の傾向 265

第2節 改正行訴法の義務付けの訴えの種類、準用関係 266
 1  種類  266
 2  準用関係  268

第3節 非申請者型義務付け訴訟――37条の2 268
 1  訴訟要件(行訴法37条の2第1項〜4項)  268
 2  本案要件、勝訴要件(行訴法37条の2第5項)  271
 3  判決の効力  275
 4  中間判決の可否  276

第4節 申請者型義務付け訴訟――37条の3 276
 1  訴訟要件  276
 2  本案要件、勝訴要件(行訴法37条の3第5項)  277
 3  管轄と審理の特徴(行訴法37条の3第3項、4項、6項)  278
 4  求める「一定の処分」の特定性(行訴法3条6項2号)  281
 5  改正行訴法適用の実例  282

第5節 事前手続経由がある行政処分の義務付け 284

第6節 差止めの訴え 285
 1  総論  285
 2  訴訟要件(行訴法37条の4第1項〜4項)  286
 3  本案要件、勝訴要件(行訴法37条の4第5項)  287
 4  行政手続との関係、第三者の参加、判決の効果  288
 5  改正法適用の実例  288

第9章 仮の救済 293

第1節 仮の救済の不備 293
 1  不備の問題点  293
 2  執行停止の改正前の運用状況  296

第2節 改正と新設 302
 1  改正の内容  302
 2  改正の趣旨を踏まえた執行停止制度に  303
 3  仮の義務付け、仮の差止め総論  305
 4  仮の義務付けの活用方法  307
 5  仮の差止めの活用方法  310
 6  仮の義務付け、仮の差止めの要件をめぐる論点  315

第10章 当事者訴訟
 318

第1節 総論 318

第2節 当事者訴訟の歴史、種類 318

第3節 形式的当事者訴訟 319

第4節 実質的当事者訴訟 320
 1  総論――大きく再登場  320
 2  処分性に関する改正を見送ったことへの代替的改正  320
 3  当事者訴訟の具体化はどのような意味をもつか  322
 4  「うまくいかない領域」についての確認訴訟等  324
 5  確認訴訟における確認の利益  330
 6  確認訴訟と差止めの訴え、民事訴訟との関係  332
 7  判例は変わるし変えねばならない――当事者訴訟、確認訴訟で処分性否定事例を救えるか  334
 8  当事者訴訟としての給付訴訟  346
 9  当事者訴訟(確認の訴えその他)の活用は仮処分との関係をどのように変化させる可能性があるか  347
10 公法上の当事者訴訟と判決の効果  347

第11章 その他の訴訟 349

第1節 概要 349

第2節 民衆訴訟、機関訴訟に共通する特徴 349

第3節 客観訴訟としての公金検査訴訟 350

第4節 実定法上の民衆訴訟、機関訴訟 355
 (1) 民衆訴訟 ―― 355
 1  地方自治法の住民訴訟  355
 2  地方自治法の署名の効力に関する訴訟(74条の2第8項)  381
 3  地方自治法の解散・解職投票に関する訴訟(地方自治法85条)  381
 4  公職選挙法の選挙訴訟  381
 (2) 機関訴訟 ―― 382
 1  意義  382
 2  地方自治法の地方公共団体の長と議会の間の訴訟  382
 3  地方自治法の国の関与に関する訴え  386

第5節 争点訴訟 387
 1  概論  387
 2  実例  387
 3  特質  388
 4  問題点  388

補章 行政事件訴訟法改正経過 391

 1  行訴法の立法手続と改正行訴法の立法手続の違い  391
 2  行訴法の改正の必要性は国民的な要求だったか――改正前の行政事件の実態との関係で  393
 3  学会では行訴法の改正はどのように扱われてきたか  395
 4  改正の契機は何だったか  395
 5  司法制度改革推進本部の体制は当初から充実していたか  398
 6  行政訴訟検討会での論議はどのようなものだったか  399
 7  国会での法案審議  403
 8  日弁連の今次改革での役割  404
 9  残された課題  406