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「甘い」指導のすすめ 「甘い」指導のすすめ

柿沼昌芳 著

1,800円 四六 232頁 978-4-385-31366-X (品切)

校則,懲戒処分など生徒指導に関する事例を「法の目」から分析し,学校・教師の役割,親の役割を見直す。「厳しい」指導と「管理」がもたらす混乱から脱出するために,学校はもっとファジーになれないかと説く。

1995年12月1日 発行



●はじめに

 朝、登校してみると職員室の前で一人の生徒がうろうろしている。「どうしたんだ」と聞くと、「今日、自宅謹慎が解除になる日なんです」という。

 いつもだれかが自宅謹慎になっていて、謹慎を「申し渡し」たり、「解除」したりが毎日続いているような学校では、生活指導主任も、つい謹慎を解く日をとり違えてしまうこともある。私は、そのような都立高校で数学を教える一方で、一九七九年に東京都高等学校教育法研究会、一九八〇年には全国高等学校教育法研究会の発足時、両方の会の事務局長として、生徒の学習権をどのように保障するかを中心にして生きた教育法の研究活動にかかわってきた。

 そして一九九〇年、教師生活三〇周年を山人で密かに記念して、かねてからの念願であった経済学研究を志し、明治大学大学院政治経済研究科を受験した。ところが、大学院に入学するには現職を退職することが条件だということで、合格発表の日、お茶の水駅前の公衆電話から校長に「退職します」と電話を入れた。すでにその時は新年度、一年の学年主任に選出されており、多くの先生方に迷惑をかけての入学であった。

 数学教師だった私にとって、ほとんど基礎知識のない経済学の勉強は、落ちこぼれていく生徒の苦しみを味わうという点では貴重な体験であった。追われる学習の中で、入学前にあった「もの忘れ」は学生生活の中で「治癒」したという思わぬ収穫もあった。

 そして何とか大学院を修了し、現在は講師として明治大学などで教職科目を教えている。さまざまな高校を卒業し、教職をめざしている学生たちが語る、小・中・高校の学校生活での生徒の無権利状況に、あらためて日々驚かされている。

 私自身が「教育困難校」といわれている高等学校の中で直面したさまざまな体験をふりかえり、また、現在、全国から集まってくる大学生の体験を聞きながら本書をまとめてみた。あるいは、多くの先生方にとってはあまり耳ざわりがよくない内容があるかもしれない。

 しかし、現代の学校の中で生徒が主人公になるためには、やむをえないのではないだろうか。ぜひ、本書の内容を職員室での話題にしていただき、少しでも生活指導のお役に立てていただければ、と考えている。

 そして、何ょりも父母、生徒自身が学校での問題点と積極的にかかわり、学校まかせ、教師まかせではなく、主体的に発言していただければと切に願っており、そのための素材として本書はカになれると考えている。

 今日、「子どもの権利条約」が校門から学校の中に入るには、父母、生徒白身のカが強く期待されていることは確かである。そのような思いで本書を執筆してみた。

 本書は、すでに雑誌等に発表した論文と新たに書き下ろした部分からなっており、既発表論文は大幅に加筆して収録した(初出掲載誌は巻末に一覧として掲げてある)。

 本書をまとめるまでには、全国高等学校教育法研究会、東京都高等学校教育法研究会の仲間から数多くの教示を受けた。哀心よりお礼申し上げる。また、三省堂編集部からも適切な助言をいただき、何とかまとめることができた。深く感謝している。

一九九五年九月

柿沼昌芳



●目  次

はしがき

第1章 「甘い」指導を問い直す

第2章 指導にみる生徒の権利
 1    「校門指導」を支えているもの
 2    基本的生活習慣より大切なもの
 3    黒板を消すのはだれか
 4    生活指導とプライバシー
 5    学校はもっとファジーになれないか

第3章 教育愛が「独善」に
 1    愛のムチは必要か
 2    人権・人格を損なう罰
 3    学校制度に内在する「権力者」幻想

第4章 「法の目」でみる生活指導
 1    「法の目」でみるとは
 2    「未成年者喫煙禁止法」をどうみるか
 3    肩の力をぬいてクラスコンパ“懲戒処分”
 4    廃止できませんか自主退学「勧告」
 5    いじめ加害生徒の「学習権」とは

第5章 特別指導とは
 1    職員会議で審議することの大切さ
 2    懲戒処分での手続保障
 3    懲戒処分は全職員がかかわるのか

第6章 権利を阻害する学校「常識」
 1    権利と義務はセットか
 2    「平等」「公平」のむずかしさ
 3    企業社会と平等

第7章 親の役割、教師の役割
 1    「基本的生活習慣」を身につけさせるのは教師か
 2    遅刻の根源ら迫るには
 3    生活様式の変化と家庭の教育力
 4    オンブズマンは父母の「救世主」か

第8章 権利主張―はじめの一歩

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