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  ペットの死 その時あなたは 〈新版〉


ペットの死その時あなたは〈新版〉

鷲巣月美 編

1,600円 四六 176頁 978-4-385-35842-0

ペットの高齢化や成人病・死別の悲しみなどの問題が浮上している。ペットの病気・死の最新事情を、飼い主のこころのケアを含めて考える。ネットワークのペットラヴァーズ・ミーティングの活動も紹介。

1998年10月 5日 初版 発行
2005年 9月15日 発行

ペットががんになった時


●編者・執筆者紹介

【編者】
鷲巣月美

 日本獣医畜産大学助教授
 専門・獣医臨床病理学・獣医内科学、中でも、腫瘍、血液疾患、肝疾患を診ることが多い
 著書・「獣医臨床病理学」(近代出版/共著)
    「ペットががんになった時」(三省堂)
    「介助犬を知る」(名古屋大学出版会/共著)他
 訳書・「ペット・ロスと獣医療」(チクサン出版)他

【執筆者】
山崎恵子
 ペット問題研究家
 ペット研究会「互ご」主宰
 著書・「アニマルセラピー・コーディネーターってなんだろう」(ウィネット)
    「ペットが元気を連れてくる」(講談社)

杉本恵子
 獣医師、みなみこいわペットクリニック院長
 犬のカウンセリング・しつけ教室、動物との訪問活動、東洋・西洋医学・ホリスティック医療の両立を目指す
 オフィスラベンダー代表取締役(動物と人のための癒しのワークショップ、リトルトリー企画運営〈山梨・白州町に人と動物の為の空間の設立〉ほか)
 著書・「子ネコの育て方百科」(誠文堂新光社/共著)

山口千津子
 日本動物福祉協会、獣医師

高柳友子
 日本介助犬アカデミー事務局長
 専門・内科医師
 著書・「ありがとう、ジョーイ・モーゼズ」監修(ペットライフ社/スーザン・ダンカン著/古武家克宏訳)
    「老年学大事典」(西村書店/北徹監修/動物介在療法分担)


●はじめに

動物が教えてくれたこと
残していってくれたこと
いろいろなことを考えると
いなくなって寂しい気持ちも
あるけれど
それよりも一緒に暮らした日々
楽しかった思い出の方が
ずっとずっと大きな財産

 ペット・ロスとはどのような意味でしょうか? そのまま訳せば、ペットを失うということなのですが、実際には愛する動物を失った家族の悲しみを表現する言葉として使われています。ここで一つ強調しておきたいのは、ペット・ロスは愛する動物を失ったことに対する正常な反応であり、決して特別なことではないということです。極めてまれに、専門家の助けが必要になるケースもありますが、このような場合、バックグラウンドにペット・ロス以外の問題が存在していることが多いのではないかと思われます。

 最愛のペットを亡くした方の中には、こんなに悲しいのは自分だけではないか、こんなにいつまでも悲しみを引きずっている自分は異常なのではないかと思ってしまう人がたくさんいます。また、一般社会の受けとめ方として、"たかがペットが死んだくらいで" という風潮がまだまだ根強く残っています。周囲の人達の心ない一言でひどく傷ついている人達がいることも事実です。何年間も共に暮らした動物が亡くなれば、悲しいのは当たり前であり、自分の親が亡くなった時よりもずっと悲しいという人もたくさんいます。しかしながら、ペットを失ったことで一時期ひどく落ち込んだとしても、そのダメージから正常なプロセスで回復していくのであれば全く問題はありませんし、悲しいと感じることは極めて正常な反応なのです。大切なのは、ペット・ロスに対する社会全体の認知とともに、ペットを失った本人のペット・ロスに対する理解を深めることだと思います。

 では、なぜ今 "ペット・ロス" なのでしょうか? コンパニオン(伴侶)としての動物について少し考えてみましょう。人間が動物を使役動物としてではなく愛玩あるいは伴侶として共に生活するようになったのは、紀元前のことであるとされています。その当時の人々も愛する動物を失った時には私達と同様の悲しみを経験したものと想像されますが、定かではありません。なぜ、近年これ程までに人と動物の絆、そしてペット・ロスといったことが注目されるようになったのでしょうか? 動物との絆が深まる背景として、社会において人々が感じる孤独感や分離感を充足し、ストレスを解消し、また安らぎや仲間を求める気持ちを満たしてくれる対象としてのコンパニオンアニマルがあったのではないでしょうか? そして、実際に動物とよい関係を築くことにより、多くの人々が身体的および精神的な恩恵を得ていることが証明されています。

 年代を経るに従い日本の家族形態は変化し、核家族化そして少子化が進みました。最近では単家族と呼ばれる一人住まいの人が増加しています。生活の基盤である家族形態の変化は、家庭内における動物の立場を変化させるひとつの要因であったと考えられます。番犬としてではなく、家族の一員として迎え入れられた犬達は家の外の犬小屋ではなく、家族と同じ屋根の下で生活するようになりました。こうして犬達は私達と寝起きを共にし、外出から戻ればいつも喜びを体中で表現しながら迎えてくれ、誰にも言えないことを文句も言わず黙って聞いてくれ、寂しい時や悲しい時には常に傍らに寄り添っていてくれる、そんな存在になっています。ある人にとってはたった一人の家族であり、周囲のだれよりも大切な存在となっていることもあります。

 獣医学の発達および動物と共に暮らす家族の意識向上にともない、感染症に対する予防が進み、動物の栄養状態もよくなりました。このため、動物の寿命が長くなり、1頭の動物と共に暮らせる時間が長くなりました。その分、絆も強くなったのではないでしょうか。しかし、動物の平均寿命が長くなったことで、慢性疾患や腫瘍などの発生率が高くなっており、家族にとっては厳しい決断を迫られることも多くなっていると思います。

 これらのことを背景として、動物達は益々人々にとって身近な存在となってきました。当然、これらの動物を失った時、深い悲しみを経験する人々も多くなったと考えられます。

 本書は、愛する動物を亡くした時に、心や体にどのような変化が起きるのか、動物が病気になった時、さらに、最悪の事態が起きた時どのように対処したらよいのか、動物医療の先進国である英国やアメリカではペット・ロスに対してどのようなことが行われているのか、大切な動物との生き別れ、愛する動物を失った人々の手記を中心として構成されています。

 本書の動物医療に関する章では、ターミナルケアや安楽死についても分かりやすく説明されており、愛する動物の最期をどのように看取るのかを考える時の大きな助けとなります。愛する動物を失った人々の手記を集めた章には死に別れ、生き別れを含め様々な思いがつづられています。この章は、動物と暮らしたことがない人、"たかがペットが死んだくらいで" と言ってしまいそうな人にとっては、動物と共に暮らすことの意味や素晴らしさを理解する手がかりになると思います。

 共に暮らした動物との別れをサポートする自助グループが日本にも発足しました。日本獣医畜産大学付属家畜病院(現動物医療センター)でがんの治療を受けていた患者(動物)の家族が中心となって結成されたPet Lovers Meeting(ペットラヴァーズ・ミーティング、PLM)です。PLMは、3ヶ月に一度のミーティング、ホームページ開設、ペットロスホットラインを主な活動としているボランティア組織です。

PLMのHP 
 電話03-5954-0355 毎週土曜日午後1時〜4時

ペット・ロス・サポートのHP 

 核家族、単家族人口の増加にともない、今後益々動物と共に暮らす人々の数は増えることでしょう。私たちが一緒に暮らす動物達の寿命は、多くの場合、人間の寿命よりもかなり短いため、動物と暮らし始めた人は必ずいつか "別れ" を経験します。その時を、少しでも悔いなく、心静かに迎えるために本書がお役に立つことを願っています。

二〇〇五年八月

編者  鷲巣月美


●目  次

   はじめに

第1章 海外におけるペット・ロスへの対応〈最前線〉/山崎恵子

ペットとの悲しい別れ
 飼い主を支援する様々なシステムとは?
  豊富な文献そしてインターネットも
   コンパニオン・アニマルの死に対する社会の眼ざし
    悲しみからの回復に何が必要か?

第2章 よりよい最期を迎えるための動物医療/鷲巣月美

動物医療の現状と問題点
 動物病院での飼い主の役割とは?
  動物病院における獣医師とのコミュニケーションが大切
   病院に動物を連れて行く以前の飼い主の責任
                  ──最低限のしつけ
    インフォームド・コンセントとその重要性
     生命の質(QOL)を大事にしたターミナルケア
      安楽死の実際──飼い主はどうすべきか?
       次の動物と暮らし始める時期はいつがよいのか?
        最近のペットの死亡原因の変化

第3章 生き別れにみるペット・ロス/杉本恵子・山口千津子

生き別れ──絆が断ち切られる原因
 生き別れたペット動物たちのその後
  阪神・淡路大震災の教訓をふまえて

第4章 ペットの死、その時あなたは/高柳友子・山崎恵子

動物が私たちに与えてくれるもの
 動物の死と人の死──その違いは?
  悲しみのステップ ペットの死に遭遇した時の心得とは?
   ペットを亡くしたときに何ができるか
    死の準備教育〈死は敗北か?〉
     子供にとってのペット・ロス その体験の大きさ
      仲間の死──一緒に飼われていた動物たちの悲しみ
       後悔のある死、ない死

第5章 体験談──最愛の友を失って

コロポが教えてくれたこと/生方惠一
 犬と暮らしたことがありますか?/内藤久義
  1週間前からねこちゃんが帰ってこない/神原満季栄
   翔の最期と家族の決断/山・敏子
    突然のビッケの死/上野美紀
     家で看取ったクマの最期/榎本暁子
      ボビー&アイラ/青木玲子
       法の強制によるペット・ロスのケース/根本寛

第6章 別れのセレモニー 動物を葬る、その方法と規則/山崎恵子・鷲巣月美

遺体の処理と埋葬方法
 遺体の処理や埋葬方法について触れる場合に注意したいこと

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