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  ナショナル・トラスト 新版


ナショナル・トラスト 新版

木原啓吉 著  (品切)

1,500円 四六 240頁 978-4-385-35875-8

イギリスにはじまる「ナショナル・トラスト」の歴史と現状,日本での活動を紹介。「身銭をきって環境を買う」住民の運動は,どのように芽生え,育ったか。世紀の末始まったナショナル・トラストは、自然と歴史的環境を守る運動のひとつの典型を創った。危機に直面した環境を、住民の寄金・寄贈によって保存する運動の歴史と理念、日本での活動を紹介。1984年5月20日に「都市のジャーナリズム」の1冊として刊行され、1992年 6月30日「三省堂選書168 ナショナル・トラスト」として刊行されたものの改訂・新版。

1998年12月20日 発行

目次 はじめに 著者紹介 ⇒(江戸川大学HPでの紹介)



●目  次

はじめに

序章 風土に根ざした運動の模索

I 大佛郎と鎌倉風致保存会

古都鎌倉の市民運動
わが国への最初の紹介者

II. イギリスのナショナル・トラスト

三人の市民による提唱
根底にある思想と運動の発展
現地を訪ねて
諸外国のナショナル・トラスト

III. 独創と情熱

夢を買う知床l00平方メートル運動
天神崎を守る市民地主運動

IV. ひろがるナショナル・トラスト運動

各地での多彩な展開
動き出した県自治体
人だけのナショナル・トラスト

V. 直面する課題と展望

「大きな自然」から「小さな自然」へ
立ちはだかるいくつかの璧
ナショナル・トラスト成立の原則

あとがきに代えて


●はじめに

 ナショナル・トラストとは一言でいえば次のように定義できる。「無秩序な都市化や野放図な工業化の波によって破壊されるおそれのある貴重な自然や歴史的環境を守るために、広く国民から寄付金を募って土地や建造物を買い取り、あるいは寄贈を受け、さらには所有者との問に保存契約を結ぶなどして、保存、管理、公開をする活動をいう」と。

 この活動はイギリスで19世紀末の1895年に三人の市民によってはじまった。100余年たったいま、この活動は世界40数カ国に広がり、それぞれの国で、独自の活動が展開されている。

 ところで今から約130年前に北米大陸のワイオミング州のイエローストンの原生自然を前にして、これを人類共通の資産として後世に遺すことを思い立ったアメリカ人が、1872年に世界にさきがけて「ナショナル・パーク」(国立公園)という思想と社会システムを創造した。この国立公園の思想と社会システムはその後、世界各地に広がり、今や100カ国を越す国々で計1200にのぼる国立公園が指定されている。

 同様に、イギリス人は、住民の自発性に依拠して募金によって貴重な自然と歴史的環境を買い取り、保存・活用する「ナショナル・トラスト」という社会システムを創りだした。その点で、イギリス人もまた地球環境の保全と人類の文化の発展に大きく寄与したといえよう。

 そこで本書はナショナル・トラストの思想はいかなる過程を経て形成されたか、わが国およびイギリスをはじめとする海外諸国にどのような足跡をのこし、そして現状と展望はどうか、ということについて、紹介をこころみたものである。

 本書の初版を三省堂の「都市のジャーナリズム」シリーズのひとつとして1984年に刊行してから、はやくも14年の歳月が経過した。その間、環境問題に対する人々の関心は急速に高まった。地域から地球的規模へと注目の幅も広がってきた。それにともないナショナル・トラスト運動も国の内外で飛躍的に進展した。イギリスでは1985年にナショナル・トラスト創立100年を記念して、それまでの過程をふり返ると同時に、これからの100年をめざす数々の研究会や催しが行なわれた。また各国のトラストの協力関係も進展し、国際会議も活発に開かれるようになった。

 わが国では1964年に鎌倉で、鶴岡八幡宮の裏山の宅地開発計画による古都の歴史的景観の破壊を心配する市民たちによって始められたナショナル・トラスト運動は、その後、北海道の知床半島の原始自然をよみがえらせるために地元の斜里町が取り組んだ「知床国立公園内100平方メートル運動」や和歌山県田辺市の天神崎の自然を守る活動などに引き継がれ、各地に広がっている。今では全国40余個所でそれぞれの風土に根ざした独特の活動が展開されている。

 そしてそれらの運動の全国的な連絡・協力組織として形成された任意団体の「ナショナル・トラストを進める全国の会」は10年たった1992年に「社団法人日本ナショナル・トラスト協会」(⇒HP)として発展的に改組され、毎年、ナショナル・トラスト全国大会を開くなど活発に活動を続けている。

 以下、本書では、次々に起こるナショナル・トラストをめぐる内外の新しい動きを紹介してゆくが、まず、わが国のナショナル・トラスト運動の進むべき方向を決定づけたともいえる第一回のナショナル・トラスト全国大会の記述から始めることにする。

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