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不登校生・高校中退者のための  
もうひとつの進路と
社会参加全ガイド

最新版

もうひとつの進路と社会参加全ガイド

日本青少年育成協会 編

1,900円 A5 240頁 978-4-385-36110-X (品切)

不登校生・中退者は今後の進路、将来の社会参加に不安を抱いている。本書は不登校生のための「進路相談会」、フリースクール、周辺サポート機関などを紹介した日本青少年育成協会編による詳細なガイド。

2002年 8月 15日 発行

 はじめに
 目  次
 教育関連用語解説
 【巻末資料】日本青少年育成協会の活動
 座談会「不登校生の進路と社会参加」



●はじめに

なぜ学校へ行くのか

 今日、学校、地域、家庭にさまざまな問題があり、それぞれが崩壊の危機に直面している。わが国の学校が必ずしも良いとはいえないが,知識の習得や他人とのかかわりを育むという意味でも、後々の社会参加のためにも、学校は必要だといえる。むしろわれわれは学校を見直し、活用する方向にもっていく必要があるとも考えている。それゆえ、行けないなら無理に学校に行く必要はないが、行けるなら行ったほうが良い。私どもに相談に来る子供たちも、大部分は行きたい、特に上級の学校には行きたいと言う。しかし、現在通っている学校には行けないと言う。

 一部(実際にはかなり多い)のフリースクールやフリースペース、親の会には、学校には行かないほうが良い、行くのも行かないのも自由だ、という考えがあるが、中にはこの「ぬるま湯」から出られなくなり、何年たっても社会参加できなくなるケースもあり、これを「フリースクール症候群」と呼ぶ人たちもいる。もちろん不登校から立ち直るための一定の「癒しの期間」は必要である。私どもは、このような学校不要論的な考えを実践していると、いずれ行き詰まると考えている。なぜなら、子供たちがこのように何も身につけずに年を重ねることで、親も本人も少しずつ「このままでいって将来どうなるのか」という不安が増し、学齢期を過ぎて同級生が就職する頃になると、さすがに「このままではいけない」ということになるからである。そこで通っているフリースクールの経営者に相談しても、はっきりした答えが得られず、私どもの相談室に来る、といったケースが多くなってきた。結局はただ遊ばせるだけのフリースクールは、必ず行き詰まるのである。

 そこで私どもは「学校に戻れるようになったら戻る」という立場をとっているし、フリースクール経営者も、子供が卒業年齢になったら、社会参加を目指した指導をしてほしい。その意味で、私どもは従来のフリースクールという呼称ではなく、新たに、社会参加を目指した不登校生・中退生・障害児等の学習機関の総称として『リベラルスクール』と名づけ第二章で紹介している。リベラルとフリーはともに「自由」と訳されるが、われわれは、リベラルはより責任・自律ある自由と解釈し、小・中学生のみならず義務教育終了後の人たちをも含めた受入機関の名称にふさわしいと考えた。

 新聞の投書欄にあった女生徒の言葉が興味深い。

 「私は小学校2年生の終わりごろから4年生の2学期まで登校拒否だった。友だちもいたし勉強も好きだったけど、学校という場が本当に嫌いだった。本当につらかったのは、自分の中にある『学校に行かなければ』という意識。後ろめたさや罪悪感があった。両親は見守ってくれたけど、悩んだ末『だれかに行かされるんじゃなく、自分で決めて学校にいってやろう』と思い、吹っ切れた。─中略─学校は『行かなければいけない場所』ではないけれど『行かなくてもいい場所』でもないと思う。友達を作ったり知識を得たりするには必要な場所だから。」

なぜ社会参加か

 7年間にわたる「もうひとつの進路相談会」で感じたこと、それは親の心配は「我が子の将来である」ということである。親の希望は「自分がいなくなっても我が子が生きていけること」なのである。本来、親の責任の第一は、学歴や就職よりも、我が子を精神的に自律させ、経済的にも自立させることである。それが社会参加である。障害者や高齢者も、優遇されることよりも、隔離されることなく市民として普通に社会参加することを求めている。「どこにでもいる普通の人としてみてほしい」というのは、不登校生及びその親も同様であろう。しかし彼らにとっては将来のことより、「今、現在を何とかしたい」「この苦しみから抜け出したい」といった藁をもつかむ気持ちで情報を集め、相談機関やフリースクールなどを訪れるのである。ところが、残念ながらフリースクールの中には、前述のように、子どもの将来や社会参加を考えていないところがある。また、民間の相談機関の中には、法外な相談料を請求するところもある。サポート校、大検予備校、通信制高等学校の中には余りにも商業的なところがある。

 そこで本書では、当協会独自の調査により、当協会の基本的な考え方に合致する教育機関を掲載している。しかし不登校生は一人一人の状態がまったく異なり、本書の掲載機関がすべての方々に合致するというわけではない。また、人と人との対応ということもあって、それぞれに「相性」というものもある。本書に掲載された機関を希望する場合は、必ず本人が訪れて、自分に合うかどうかを確かめて、できるならば体験入学をしていただきたい。今までの相談会でも、せっかく良いところが見つかったと喜んで行ってみたが、数日で通えなくなってしまった例もある。

 私たちは本書の情報を有効に活用していただき、将来の社会参加に向けて第一歩を踏み出してほしいと願っている。なお、本書は日本財団のご好意により、当協会の平成13年度「不登校生の進路と社会参加のネットワークづくり」(同財団補助事業)の資料を一部活用している。

(日本青少年育成協会 専務理事・事務局長 近藤正隆)



●目  次

      はじめに        5

第一章 不登校生の現状とその対応を考える

A〈座談会〉
  不登校生の進路と社会参加      8
    【座談会参加者】
    宮澤保夫 星槎グループ・会長
    工藤定次 NPO法人青少年自立援助センター・理事長
    廣谷佳己 アカデミアインターナショナル・代表取締役
    近藤正隆 社団法人日本青少年育成協会・専務理事

B 不登校・中退の現状
   ─データと行政の動き     26
  *教育関連用語解説       48

第二章 不登校生相談・受入機関の実際

〈取材〉21校の指導方針・学校生活ほかをリポート

     ■青山国際学院高等部……52
     ■アカデミアインターナショナル 国際教育センター……54
     ■栄光国際学院……56
     ■学校法人中野学園オイスカ高等学校……58
     ■北豊島高等学校(通信制)……60
     ■クラーク記念国際高等学校……62
     ■国際文化学園高等部……64
     ■渋谷高等学院……66
     ■星槎国際高等学校……68
     ■タートル学園 WILL……70
     ■WSOセンター(Waseda Study Overseas Centre)……72
     ■桐杏学園国際高等部……74
     ■東京国際学園高等部……76
     ■稲門高等学院……78
     ■日本文理学院高等部……80
     ■日比谷学園高等部……82
     ■フリースクール 元気学園……84
     ■武蔵国際総合学園……86
     ■代々木高等学院……88
     ■代々木国際高等学院……90
     ■ONE STEP 自由が丘校 東京個別指導学院……92

〈北海道から沖縄までの全国のスクールガイド〉

◎北海道……94
◎東北地方……97
◎関東地方……102
◎信越・東海・中部地方……144
◎近畿地方……161
◎中国地方……174
◎四国地方……178
◎九州地方……180
◎沖縄県……186

【公的不登校生受入機関名簿】    188

【巻末資料】日本青少年育成協会の活動       208

 1.不登校・高校中退からの社会参加
 2.ひきこもりからの社会参加
 3.社会参加の方法
 
   もうひとつの進路相談会2002      214
 



●教育関連用語解説

全日制高等学校……不登校生受入校には寄宿舎を持つ学校が多い。

通信制高等学校……在宅学習をベースとし、通常は学校から送られてくる教 材を自宅で学習する。レポートの提出と年間20日程度のスクーリングがある。通信制の長所を生かしたユニークなカリキュラムを組む学校も出現している。

単位制高等学校……学年制ではなく、必要な単位を修得することにより高校卒業資格を得る学校を指す。前述の全日制・定時制・通信制の高校の中にも、単位制を採用している学校もある。

高等専修学校……技能習得に特色のある学校を指す。技能連携校や大学受験資格附与指定校もある。

技能連携校……学校教育法第45条の2に基づき、文部大臣から指定された施設。高等学校と連携教育システムを組み高等学校の卒業資格を得ることができる。

サポート校……通信制高校のサポート校を指す。広義では通信制高等学校の授業補習を行う民間の教育機関などを指す。学習面だけでなく不登校生や中退生の心のケアを重要視したところや、体験学習に力を入れているところも出現している。

フリースクール、フリースペース……小・中・高、またはそれ以上の年齢(ひきこもりなど)の人たちに対して、学び・交流の場として開設しているところ。基本的に民間の教育機関なので、学習指導や生活指導に力を入れているフリースクールと、癒しに力を入れているフリースペースとがある。

大検予備校……大学入学資格検定試験に合格するための支援を行う民間の教育機関などを指す。

留 学……海外の中学・高校で、不登校生・中退生を受け入れてくれる学校がある。(主に米国・カナダ・英国・オーストラリア・ニュージーランド・スイス・中国・マレーシアなど)各学校から各国の短大(コミュニティ・カレッジ等)や大学に進学することも可能。

宿泊型フリースクール……体験学習中心の宿泊型フリースクールを指す。海や山などの自然との触れ合いにより、子どもたちの心身を癒そうという試みを実践している。長期間の団体生活や農作業を取り入れているところもある。

親の会……不登校・中退生を子どもにもつ保護者の会をさす。近年その親の会で、不登校・中退の問題の相談にのったり、フリースペースなどを開設しているところも増えてきた。

カウンセラー……カウンセラーとしては、医療関係機関・教育相談所・精神科医などの、心理カウンセラー・教育カウンセラーを指す。

リベラルアーツ、リベラルスクール……小中学生向けのリベラルスクール部門と、大検・サポートの互換性を持つ高校生部門の複合型教育機関。体験学習、生涯学習、資格取得、留学目的など幅広いカリキュラムがあり、子どもたちの社会参加を目指す。(寄宿舎を持つ所もある)

児童相談所……非行、虐待、暴力から、不登校、ひきこもりまで、児童の様々な問題についての相談を受け、児童とその家庭についての必要な調査、診断、指導を行い、児童福祉施設への入所手続きを行う。不登校やひきこもりの家庭にメンタルフレンドを派遣している所もある。

児童養護施設……1歳以上の保護者のない児童、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童を受け入れて養護し、合わせて自立を支援する施設。本書に掲載した施設には、不登校児に対応する心理士が配置されているので、相談にも応じてくれる。

児童家庭支援センター……児童養護施設に付設されており、相談支援担当ソーシャルワーカー、心理士が配置されているので、不登校の相談にも、専門的な立場からのアドバイスをしてもらえる。

自立援助ホーム……中学校を卒業後、就職により児童養護施設等を退所した児童に、生活指導等を行い、社会的に自立するよう援助する施設。15歳〜18歳が対象で、職業や生活の相談も受けている。

精神保健福祉センター……対人関係やこころの病気、思春期問題など精神保健福祉に関わる様々な相談に応じている。特にひきこもりの相談に力を入れている所もある。

情緒障害児短期治療施設……本来軽い情緒障害をもつ児童を短期入所させたり、通わせたりして治療する施設であるが、10年程前から、ひきこもりや不登校生に対する対策も行っている所もある。

適応指導教室……不登校児童生徒に対して学校復帰のための指導・援助を行うために、教育委員会が教育センター等の学校以外の場所や学校内の余裕教室等を活用して設置しているものであり、指導員等によりカウンセリング、教科指導、集団活動等の指導・相談活動が行われている。

教育システム・フローチャート



●【巻末資料】日本青少年育成協会の活動

1、不登校・高校中退からの社会参加

 当協会では過去7年間に渡り、不登校生、高校中退者の進路・進学の相談に応じている。ところが我が国では、まっすぐなレールから少しでも外れた人には、社会は非常に冷たい。また親も先生も友だちも「なぜ学校に行けなくなったか」をなかなか理解できず社会参加への道は険しい。

 しかし進路は数々あることを示すと、彼らは安心し、希望をもって次のステップに進んで行く。このような方法で今までに12,000人近い若者たちに進路の提示ができたことを誇りに思っている。

 ところが最近この活動の中で気になることがある。それは苦難を乗り越えて、やっと高校卒業や大検合格を果たしても、今度は就職という関門を乗り越えるのが極めて困難なことである。

 本来能力もあり、様々な可能性のある若者が、自分の活躍する場がなく、このままの状態では、社会参加できないまま年を重ねてしまう可能性が高い。例えば昨今問題になっている「ひきこもり」の人たちには、パソコン大好き人間が多い。ちょっとしたきっかけで彼らは大きな力を発揮し、仕事に結び付けることができるはずである。それが社会参加である。

 それでは不登校生が社会に参加して行こうと考えた時、我々はどんなサポートをしたら良いのか。

 不登校経験者が、せっかく社会に出て行こうと考えても、現状では社会の側に十分な受入れ態勢ができていない。また、不登校生自身も、自分に何ができるのか、何に向いているか、何をしたら良いのか、が十分にわかっていない。親も教師も「この子に合った仕事があれば」とは言うものの、その仕事が何なのか、が十分に把握されていない。であれば、まずは「どんな道に進めばよいか」を知る必要がある。そんな話をしている中で、本協会会員から「彼らが自分自身を見出せるような、ゲーム感覚のシステムを作りましょう」という意見がでた。このアイデアを生かしたのが「はじめの一歩」である。このシステムを活用して、まず彼らが自分の方向性の輪郭をとらえる。そこで自己認識した彼らに対し、我々の「社会参加相談員」(トライアル・サポーター)がアドバイスしながら次のステップに移る。まず各人の目標のため、必要があれば、学歴、資格、技術・技能の修得に進む。目標があれば、学習意欲もわき、集中できる。目指す職業の内容については、ヤングハローワークでのパソコン検索の活用や、キャリナビプロジェクトの「インターネットお仕事辞典」で調べることができる。作家、タレント等の特殊な職業の場合は、キャリナビから取材に行くこともできる。

 次が職業体験であるが、ここで各地のネットワークが活躍する。兵庫県の「トライやるウィーク」のように、地域の様々な職業の方々にご協力いただいて、極力彼らの希望にそった職業体験を行う。同様の目的で沖縄の「島プロジェクト」では毎週一職種を体験し、一年間で50種の仕事が体験できる「アイランド留学」を計画している。我々はこれを「ウイークリーインターン」として実施したらどうかと考えている。

 職業体験では自分がどういう方法で社会参加できるか、あるいは何が不足しているか、が分かったら、不足部分を補った後、就業となる。就業に到らない場合は、ボランティアから有償ボランティアを目指す、アルバイトとの中間のボラバイトを行う、アルバイトから正社員を目指す、となる。

 「はじめの一歩」やキャリナビで起業家タイプあるいは自営に適していることが分かった人は、起業家教育を受け、そちらに進む。以上をわかり易くするため、下図にまとめた。

社会参加

2、ひきこもりからの社会参加

 ひきこもりの人たちの社会参加は大変困難な事ではあるが、あえて段階を追って社会参加への道を示してみる。

 まず自室から全く出られないような完全ひきこもりに対しては、下記の専門家に相談することが考えられるが、依頼が集中するので、すぐ対応できるとは限らない。他には手紙という手段しか考えられない。親も食事を運ぶ時にメモや手紙を入れておく、ということからスタートする。もし本人がパソコンや携帯電話を使うなら、メールを活用する。この手紙、メールで少しずつコミュニケーションと信頼関係を築き、時期を見て専門家や私どもの相談員に依頼するという方法をとる。ひきこもりの最大の問題は社会性の喪失であるから、まず他人がかかわって、その社会性を身につけさせることが必要である。メンタルフレンドは、居間に出て来て話ができる位になってからが望ましい。本人が家から外に出る気になったら、その意志を確かめた上で、相談員やメンタルフレンドと共に外に出るようにする。ここまでいけばかなり見通しは明るい。

 次に当協会のような研修システムを持っている教育機関を訪ね、社会参加のための研修を受ける。この研修は実務的な部分ばかりでなく、「仲間と出会う」というのが目的の一つ。仲間とつながりが持てれば、誰か一人がアルバイトに行けば、皆もそうしたいというエネルギーが出てくる。その後は進学、ボランティア、アルバイト、就業というように進んでいく。

3、社会参加の方法

 そこで平成12年度から当協会では、(財)日本財団のご支援をいただき、既に全国32都市において、「不登校生の進路と社会参加のネットワークづくり」というシンポジウムを開催し、数々の社会参加の方法を提案してきた。

 (1)インターンとしての社会参加

 不登校経験者には、卒業後即就職という進路は難しい。まずはインターンという方法で、企業、商店、地場産業、農林業の経営者に協力を依頼している。有償、無償等の条件は受入れ側が設定するが、いくつかの地域で具体化が可能である。

 (2)ボランティアとしての社会参加

 まずは無償のボランティアとして福祉施設、医療施設等で活動する。自分が他人の役に立つことが感じられると、彼らは自信を持ち、これが自立につながる。慣れてきたら少しずつ有償ボランティアに切り換え、仕事に近づけ、いずれ独立して福祉事業所を開設するような方向で考える。既に具体化している所もある。

 (3)メンタルフレンドとしての社会参加

 ひきこもりの人たちの場合、社会参加までにはどうしてもかなりの時間を要する。当協会には、ひきこもり専門の相談員も各地にいて、訪問相談にも応じている。多少改善してくれば、在宅のままパソコン等自分の得意な分野を生かして、少しずつ社会参加できよう。また外出できるようになったら、まだひきこもって悩んでいる後輩のために、メンタルフレンドになっていただきたい。そして自らの体験を生かして、ボランティア相談員も務めてほしい。つまり今度は自分の経験を生かして、プロとして後輩を社会参加させる立場に立つ訳で、そのための研修も当協会で用意している。

 (4)起業による社会参加

 昨年提案した起業家としての社会参加が、今年度更に具体化した内容となった。5月に行われたベンチャー企業2社が主催する「子どものための就職セミナー」は、小・中学生を対象とした起業家の教育のセミナーである。ここには当時障害児でありながら15才で会社を設立した(株)クララオンライン社長の家本賢太郎氏(20才)や、昨年紹介したNPO法人エティックの宮城治男代表理事(29才)もパネラーとして参加している。家本氏の学歴は言うまでもなく中卒である。つまりやる気さえあれば社会参加は可能だ、ということである。(株)C・E・S(板庇明社長)では既に数年前から小・中学生に起業家教育を行っている。又、同社では昨年から小・中学生に通信制の起業家教育も開始しており、不登校生にも十分活用できると思われる。

 その他、当協会の活動ではないが、全国で行われている多彩な活動を紹介しておこう。

 高校生向きにはジュニアアチーブメントという民間教育団体が行っている起業家教育システムもあるし、京都の第三セクター「ソフト・アプリケーション」の起業家教育センターでは高校生対象の教育を行っており、多数の高校生が参加している。(株)セルフウィング(平井由紀子社長)では早稲田大学大江建教授の監修による「WASEDA・V・kids」の起業家育成プログラムを行っている。これはビジネスのおもしろさや苦労を疑似体験しながら、子どもたちの独創性や行動力、自立心を伸ばし、ビジネスセンスや生きる力を身につけるプログラムである。

 子どもたちが事業計画を作り、仲間と相談し、商品を作り、第三者に販売するという実体験を通じて、自分で考え、行動し、解決することで、「失敗を恐れずに挑戦するこころ」「自分の、そして他人の得意なところに気づき、それをほめるこころ」「幸せに生きる知恵をみつけるこころ」を育てる。実際に起業し、経済活動を行うことを通じて、「自分は何がしたいのか」「何が得意なのか」を発見し、それと他者に評価されることによって、ひとりひとりが自信を持ち、生きることの喜びや、自己に対する価値を見出すようになる。「NPO法人マイビジョン」は、主に小中高校生を対象にした体験教育や指導者の育成に全国で取り組んでいる。千葉のマザー牧場(富津市)をはじめ、茨城、熊本、福島、島根、大阪の各府県などで拠点の候補先企業や組織が名乗りをあげている。新規事業創出による地域活性化事業を継続するには、自治体や学校、地域の有力団体などとの連携が欠かせない。

 企業家教育では、生徒たちが本物そっくりの会社を設立し、商品を製造・販売し経営することを通じて会社の実体を学ぶことで、学校の授業では得られない社会の厳しさや苦労を実感する。2002年2月25日の読売新聞によれば、静岡女子商業高校の3年生約60名が地元企業60社とタイアップしてネット上に仮想商店街を設置した。これは授業の一環ではあるが、実際に220の商品が出展され3ヶ月で12000件のアクセスがあり、多い日では1日10万円の取引があったという。売れた場合のマージンはないが、通信セキュリティー費として月額1万円を受け取る。生徒たちは2人一組で企業回りの営業を行い、デジカメで商品紹介ページまで作っている。「仕事とは何か、商売とはどういうものか」「売る、儲けるとはどういうことか」「大人になるとは、生きていくとは」と様々な事を学び、社会に出るきっかけになると思う。この方法は高校でなくともその地域のネットワークとその中心になる人、コーディネーターがいればできるはずである。つまり起業家教育というのは、それほど難しいものではなく、不登校生が多数を占める通信制高校、大検予備校、フリースクール等でも、そしてやる気さえあれば地域社会でも可能だと思われる。

 又、起業と言えばベンチャーかと思われるが、農業のような在来型職業や地域に根ざした市民ビジネスも近年広がっており、不登校経験者にとっては、こちらの方が身近で参入し易いと言えるかもしれない。

 例えば全国組織の一つ、「ワーカーズコレクティブ・ネット」は、ここ5年で4割増えて5600になった。この就農部分では各県もかなり力を入れており、様々な融資制度や優遇制度を設けている。就農○○センターや農業公社が相談に応じているので資料として後に掲載する。この他各県で農業体験や農業実習、「ワーキングホリデーツーリズム」、大学校、農業研修等実に豊富な対応をしている。(社)大日本水産会では漁業研修生の募集も行っている。林業でも各地の森林組合で、林業および木工品製作や木材加工の職員を募集している。

 Uターン、Iターン、定住を希望する人のためには、(財)地域活性化センターが地域づくりの人材募集を扱っており、各地で就職面接会も行っている。このように探せば実に幅広い就業(社会参加)の方法があることがわかる。



●座談会「不登校生の進路と社会参加」

【座談会参加者】
 宮澤保夫 星槎グループ・会長
 工藤定次 NPO法人青少年自立援助センター・理事長
 廣谷佳己 アカデミアインターナショナル・代表取締役
 近藤正隆 社団法人日本青少年育成協会・専務理事

 不登校生たちの現場から
 ネットワーク化の必要性
 子供たちの社会参加の実際
 不登校の予防策はあるのか?

■不登校生たちの現場から■

 本日は「不登校生の社会参加」というテーマで座談会をもちたいと思います。不登校をどう捉えるか、工藤定次さんは不登校・ひきこもりがご専門ですけれども、最近ではもっと幅広くフリーターなども含めて就労問題に取り組んでいらっしゃいます。宮澤保夫さんは学校、塾、社会福祉法人など非常に広範囲に活躍をしておられます。廣谷佳己さんの場合には航空会社にいた方ですから、地理的に非常に広く、世界中を股に掛けていらっしゃいます。それでは最初からあまり限定せずにお話をうかがっていこうと思います。

宮澤:子どもが10人いれば10の不登校の型があるので、それぞれにどういう対応ができるかということでしょう。施設とか教室も違う中で、いかに子供たちを守るか、社会参加させるための環境をこちらが与えられるかですね。

工藤:日本の場合、多くの施設ができたものの、どういう型のどういう不登校にその施設が有効な場所かという、いわゆる場所の区分け作業がきっちりされてこなかったことが不幸だったと思う。また日本の不登校と世界的な不登校が果たして同じかという問題。不登校の区分けで言えば、例えば「遊び人型の不登校はうちの施設はOKだ」というような、場所の個性を含めたものが型だと思う。

宮澤:今おっしゃった中で、純粋不登校という名前で呼ぶのがいいのかどうか分からないけれど、遊び人型、いわゆる怠学型の子供たちと、心身症的な型の棲み分けが必要だができていない。それは文部省が不登校に目をつぶっていたということではないか。

工藤:元々は母源病のような形で、50年前にアメリカで不登校の概念ができた。そのあとにイギリスで実態調査をするようになると、小学校低学年までの人間が不登校の諸条件としてあったのが、実はもっと高い年齢の者がいた。そのときの不登校というのは、ギャング団であるとか地域の遊び人グループに所属しているような形で、学校に行かないグループが一つ大きな流れとして欧米に存在した。もう一つが移民の子を中心として貧しいが故に学校に行けないという不登校。これらが二大潮流で、日本型とは違うのに、ずっとアメリカ型のようなフリースクールとして展開してきた、欧米型の不登校の方法論を取り入れてきたという問題があるわけです。

 今までのどんな不登校についての文章を読んでも、日本というものを見据えた上での不登校の在りようとか、それへの対応というものを誰も書いていない。だからこそ、日本という国の不登校にはどういうようなものが必要であるのかということを考えなくてはいけないと思う。

宮澤:いろいろな形があるという中には、日本の文化の崩壊の問題も含まれるわけです。文化の崩壊というのは教育の崩壊とも言えるわけです。日本が戦後55年間に何も変えないでやってきたことや、そういう状況になった子供たちの実態を、年代的にも時代的にも把握していない。昭和30年代は生活のために学校に来ることができない子がいたし、豊かになってからは心身症的な状態で来ることができない子が増えた。先ほど言った欧米型に分けるとすると、日本はアメリカ型の延長線上にあるから、日本の文化の中で育ってきた子供たちがその流れの中で区分け、棲み分けされてきたことが問題。日本の文化が崩壊してきたにもかかわらず、何も手を打っていない。民間だけに頼っている。日本的な形での分析をして、子供たちにその環境を与えるかということを考えた方がいい。

工藤:日本の不登校生の歴史ということで言えば、最初は完黙児童、いわゆる自閉症という範囲の中に入れられた。自閉症の範囲でということは、いわゆる不憫な子を持った親であるとか、親の根性がないから学校に行かせることができないという考えがあって、親も本人も不登校を隠す。本人からすれば出られない状態があり、全員ひきこもらざるを得なかった。これはもう一つ「恥の文化」の影響が極めて大きい。家全体を座敷牢的にしておくというような発想。30年近く前の相談では必ず親が、「お恥ずかしい話ですが」と前置きをしたものです。その後戸塚ヨットスクールが出てきたところから情緒障害という病気説を取る形。それから登校拒否という形になり、医師たちは登校拒否症という形で展開する。そして不登校という言葉となった。今でも脈々と流れている不登校の捉え方・見られ方には、「恥の文化」が根底にあるんです。

廣谷:それは今でも変わってないですね。

宮澤:それは日本の福祉行政に似ている。要するに恵んでやる。「恥の文化」というのは、まさに恵んでもらうことに対する抵抗と恥じらいだ。隠すということは、教育の中で参加できない子供たち、それから一般社会の中で生活が困難な人たちに対する行政側の姿勢と切り離せない。

工藤:日本では八杉晴美さんが学習塾の中で2名の不登校に対応したところから、フリースクールが急激に増えた。それ以前は基本的に宿泊型だった。児童養護施設のようなところにやむを得ず収容されてきた。それを打ち破ったのは八杉さんだと思う。その後、アメリカに学ぶようなフリースクールがでてきた。さらにサポート校や大検予備校等を含めての一つの流れがでてきた、というのが日本の流れだろう。

 日本で重要だったのは宿泊型だった。その理由が「恥の文化」であった。周辺にはさらしたくない。地域で活動できないなら遠くへ行って活動する。遠くへ行くということは必然的にそこに宿泊を伴わなくてはならなかった。それが基本的な形だったのですが、フリースクールの増加で日本の形が変わったと思う。その頃、不登校にいじめとかつっぱりとかいう、あまり原因がない「明るい不登校」が出てきた。学校には行かない、行けないけれども家から外には出られる人が通うフリースクールが7割以上と多くなった。その中で僕はなぜ延々と宿泊型をやってきたかというと、不登校の中にひきこもって家から出られないという人が脈々といたからです。日本の不幸というのは、フリースクール運動が彼らを打ち捨ててきたことです。

 不登校に対しての技術の共有化、場の共有化というときに、フリースクールの一極だけを共有化したわけです。今もひきこもり型の不登校というのは共有化されていない。高年齢化、もしくは思春期が延びたということにもよるひきこもりに対して手が打てなくなるわけです。そういう流れがあり、今のひきこもりというのは以前の不登校の初期的段階に非常に似ている。要するに、ひきこもりはフリースクール、あるいはデイケア型の方法で対応されるべきであると言われているけれども、現実的に言うと、実は日本型の古典的なひきこもりというのが永遠にいるわけです。

宮澤:大変重要な問題だと思う。僕は不登校に取り組み始めたのが20年前です。そのときもやはり親は「恥ずかしい話ですが」というわけです。私どもは宿泊型じゃないし、どちらかというと学習障害の生徒を扱っています。だから、いじめが中心です。現在、工藤さんが対応している子供たちと僕達が対応している子供たちは、表面上は不登校と言えるけど、やはり棲み分けをしないといけない。療育が必要だという部分と、それ以上の問題が必要だという部分と、環境を提供する事が必要だという部分。これをはっきりさせていかないと、不登校の本質が分からなくなる。不登校の子供に対してそれぞれの役割があると思う。

工藤:棲み分けは本当に大事です。そして状況によって不登校はそれぞれに難しい側面を持っているので、重いとか軽いという問題ではない。

 不登校生にどう対応するべきか、この人間にどうやって社会で生きて行けるような力をつけるかが重要だと思う。ところが大部分のフリースクール、フリースペースは居場所として居心地がよければいいと思っている。そこを一歩踏み込んで考え、社会のルールも教えてやらなければいけない。それがなかったので、極めて多くの人間が社会復帰できない土壌を作ってしまったことが大きな罪だ。

宮澤:学校の先生たちだけじゃないけれど、養護教育とか特殊教育の領域に囲ってしまって、自立させるということに対して問題を外している人がいると思う。だから混乱する。

工藤:親の子育てにしろ、学校に来ないにしろ、基本的にはその子が自分の力で生きて行けるかどうかという一点だけだ。

宮澤:学校へ行く、行かないは別に問題ではない。うちも学校には来たい時に来なさい、一日いれるならいなさいと言っている。それが分かっている人と分かっていない人といるから困るわけ。

工藤:最大の問題は、ぬるま湯的フリースクールの待望者が多かったこと。エセやさしさというのは自立を妨げているということ。日本ではカウンセラーであるとか、そういう専門職になろうという人が飯を食える土壌がなかった。家庭訪問しても15年間ぐらいは無料だった。お金が取れるようになったのは最近のこと。じゃあ誰がそういうことをやってきたのかというと、生業にしなくてもいい人が大勢いたという背景があり、質の悪い人もかなりでてきた。その質の悪さというのは、カウンセリングの生兵法を机上で学習してそのまま展開するっていうことに問題があったと思う。

廣谷:それは非常に怖いことだと思う。私たちの子供でもたくさんいます。カウンセリングで相談した人が、自分が何かのトラブルで転んだ段階で最初に会う大人になります。「あんたどうしたの?」と言われると、子供は「なんでこの人に言われなくちゃいけないんだろう」と思う。子供の目線に合わせてあげることが大事です。子供というのは、自分が転んでいる状態を説明するより、これからどうやって前に進めばいいか聞きたいわけです。最初の質問でもう自分を閉じてしまうことがすごく多い。だから、もっとカウンセラーの質を上げていく必要があります。

宮澤:カウンセラーの人にも言ったんだけど、まだ27,8歳で大学院かなんか出てきた社会経験もない人たちが、学校で習ったことを話して、子供たちが研究材料になってしまうわけです。恐ろしいことだと思う。

廣谷:本当に恐ろしい。やはり今の不登校の解決方法は出会いしかないと思う。システムをいかに持ったとしても、最初に出会った人が誰かということと、その人が信頼できるかが重要だと思う。

宮澤:だから居場所作りの時に、心地よさだけじゃなくて、その居場所には厳しさがあって、責任があるということを時間かかってもいいから教えなければいけないけど、「楽になりなさい」って言うんだね、そのほうが聞こえもいいし。それが困る。

工藤:母親が中心となって不登校に関わってきたという問題として、その母親群像は社会性よりも精神的な安定性みたいなものを求めているのではないか。その背景には、日本の親そのものが子供に対して責任を持たないという原型があるんだと思う。要するに、そこにビジョンがない。自分の子供をどういうふうに育てるかという価値観の問題は大きいと思う。

廣谷:僕は日本では落ちこぼれですけど、アメリカに20年ぐらい住んで振り返ってみると、日本の教育というのはトップの8%のための教育で、そこを目指すためにみんなズラーと並んでいる。結局は上から見ているわけです。

 今、米国のCNNという放送局がうちからインターン生を採っています。篤君という23歳の生徒で、仕事も3つ4つ変えたし、マクドナルドに入るときも緊張する人でした。でもたまたまCNNの方が来たとき、「インターンになりたい」と言ったら、この会社は受け入れてくれた。今はNHKの製作会社で一時間のスペシャル番組の製作に関わっています。もう一人、陽平君は、公務員のお父さんに期待されすぎて、辛くなって大学を中退して沖縄に来た。この間CNNから篤君が素晴らしかったので、そちらからもう一人と言われて履歴書を書いたんです。「僕は精神安定剤を飲んでいて、交番の前でナイフを出して捕まったとか、駅の前で自転車を蹴っ飛ばしたりした」とか全部書かせました。どうしてかというと、彼らにワーストケースがどうだったかということを知ってもらいたかったから。そうしたらすごいですよ。CNNへのインターン希望者は著明な大学の学生が大勢いますが、CNNの方は喜んで陽平君のみを引き受けてくれた。昨日から出勤していますけどね。日本の社会は良いか悪いか、できるかできないか、白か黒かで答えを書かせますね。ところがアメリカ社会は弱者をそのまま受け入れる。歩いたり走ったりしたときに転ぶ人っていますよ。なぜ陽平がCNNで雇われるかというと、転んで今まさに起き上がるというところに彼の人間的素晴らしさを見ているんです。でも日本の会社は「あなたどこの大学を出て成績はどうなの、学校はちゃんといったのかい。親はどういう人なの。あっ、それじゃあ受け入れる」と。日本で言うエリートというのと、結果を重視しているアメリカ社会との大きな違いだと思います。セカンドチャンスは誰にでもあるべきです。

宮澤:工藤さんがあずかる人は何歳ぐらいですか。

工藤:うちは年齢制限ないから。今は意識的に年齢を上げているから平均25,6歳かな。

宮澤:ある期間は工藤さんの所に居て、その後はどうなりますか。

工藤:僕らには就労システムがある。ちゃんと外に出て飯を食っていますから。ちなみに、去年は新しい人間が33人入ってきて、25人が出ていきました。12人が就職で、9人がフリーターで、自分でアパートを借りて住んでいます。3人が病院で1人が家にいます。去年はできすぎですね。

廣谷:私たちも24時間あずかる形でやっていますが、日本の子どもはライフスキルが不足している。海外ではライフスキルを教えることは普通のことです。僕は78カ国も周りましたから、よく比べてみるけど、タイの小学校を3年しか出ていない18歳の少年と日本の18歳の少年は雲泥の差ですね。生きる力とか、生活に対する考え方、私たちはそれをまず集中的に教えている。だって日本の子はりんごの皮も剥けないし、生きていくための基本を身につけていないから。

宮澤:いろんなケースがありますね。みんな苦労しているわけでしょう。俺なんか七転八倒で夜中も朝もやっているわけで。今引き受けられる子供たちの型をもう少し固めて、さっき言った棲み分けをすべきだと思うし、社会的環境づくりも理解する部分があればやっていく。自立する形の成長度が遅れればそれも可能になるし。その前段階で中学校と高校を扱っているわけだけど、自閉症もいるし学習障害もいるし、多動もいる。あらゆる種類の子供たちがいるけど、1人ずつをどういうふうに認めるかで、その子のプログラムがある程度できるわけ。工藤さんはその子にあったスピードでやらないんですか?

工藤:いや、僕らは本人がカリキュラムを作って、それをやるから。

宮澤:じゃあ、うちと同じだね。カリキュラムは自分のペースを自分で作るわけですよ。それが必要のない子は、「それなら好きなの選んでね」。それに参加できない子は自分たちで作っていくわけ。彼らの時間の長さと自分たちの空間があるわけです。居場所じゃなくて空間がある。

廣谷:僕は社会人教育もやってきたから言えるけど、今日本の大人が自分の生き方を分かっていないから、子供はその後どう生きていっていいのか分からないのだと思う。

 日本の教育制度は選択肢がないと思う。アメリカの大検のシステムは普通コミュニティカレッジと併設になっていて、週に1回試験がある。大検は4科目で、1科目ずつ取っていくことができるので、そこの学校で大検を勉強して、1年かかろうが2年かかろうが2ヶ月で終わろうが、終わった段階でそのままカレッジの授業に出ている。大検の勉強自体もカレッジの単位として加算される。

宮澤:だからチャンスがあるってことさ。

工藤:失敗を許されるか許されないかということだね。学校もそうだけど、職業も基本的に失敗をして、次の選択ができるようにその幅をどうやって広げていくかが問題だと思う。例えば飛び級があるのに何で下り級がないのか。これができていないと思ったら、もう一回戻ってね。飛び級だけがもてはやされているけど、ゆっくりやるという成長の仕方が保障されるかとかね。

宮澤:ゆっくり時間をかける子はゆっくりやればいい。10分でできる子も1年かかる子もいるわけです。それでもできたときには同じことじゃないですか。

工藤:人間は生きるためにどれだけの知識量が必要なのかという論争も必要だね。例えば12年かけて、最低限ここまでをクリアしようという、人間が生きていく基本線があれば、のんびりも保障されるわけ。逆に言えばそれに到達すれば、そこから先は飛び級だろうとなんだろうと上に行く子供はいけばいいと思う。つまり最低限の事だけはその間に身につけ、その後どう生きるのかを考えられる能力を、どうつけていくかだと思う。

廣谷:考える能力をつける側の人が日本の教育関係者にどれくらいいるかということですね。不登校については、教育者にしても学校にしても世間に見せたくない。なるべく人数を隠したい。今日集まった人は全員そこの、一番臭い部分の蓋を開けて頑張ってるけど、実際進んで不登校の子と関わりたいという人は非常に少ないと思う。面倒だし、リスクが伴うから。

工藤:公的なものも必要だと思う。なぜ民間がいいのかというテーマを僕は考えることがある。我々はどう言おうが金を取って教えている。そうすると金を払えない人間はどういう形で吸収されるのか。パブリック性という問題に関しては、やはり先陣を切った我々がパブリックに対して情報公開をして、多くの子供たちにそれが共有されるようになっていかなくてはだめだ。だからパブリックが意味あるわけだ。

■ネットワーク化の必要性■

宮澤:話を元に戻して、不登校の子供たちの棲み分けをきちんとすることによって役割分担が決まって、公的にやらなければいけなこと、公的に保障しなければいけないことと、民間がやりやすいシステムを作ることが子供たちを守れるようにすることじゃないですか。社会的にこういう機関が存在してちゃんとサポートできるということを知らしめなければいけない。それから行政ができないことをできないとはっきり認める力を持たなければだめ。それで、子供たちをいかに理解するかということを考える行政の人たちが増えないとだめだ。行政と責任を分担した方がいい。役割と責任の分担からすれば、発言責任、行動責任、結果責任を行政の人たちにも負ってほしい。民間に押し付けているということは、棲み分けとしては良くない。

工藤:我々はそれで飯を食っているんだから商売だよ。商売をしているということははっきり結果をださないとだめだってことだ。

宮澤:つまり責任を負うわけだよ。一生懸命やる、真剣になる。しかし公的な部分も必要、ネットワークも必要です。こういう子はうちでは対応できないけど、工藤さんのところとか廣谷さんのところでは対応できますよというように。

工藤:その時に、僕らもこの子は自分のところでは無理と思ったら、ネットワークで紹介しあえるようにしなくてはだめだ。逆に言うと、ネットワークで結ぶ機関・個人はこういう子供は対応できるという線を明らかにする必要がある。オールマイティーに僕らが子供に対応できるなどというのはありえないわけだから。

近藤:そこに気をつけないと。一人ひとりの子供にあわせて、自分でカリキュラムを作れるような方法だったら誰でも何でもできることになる。

工藤:一般の不登校のガイドブックも総花的で選択肢がはっきり見えない。例えばこういう不登校ならこういう情報、場所があるという情報をはっきりさせるべきだと思う。精神科医も、アルコール中毒のエキスパートとか、分裂病のエキスパートとか、専門分野をはっきりさせたほうがいい。何を選択すればいいのか、そういう分類と格付けをするべきだよ。

近藤:なぜネットワークを作るかといえば、それぞれの専門ごとに、この人はこの専門家であるというような情報を広げることが必要だと思う。これはネットワークでないとできない。何でも抱え込むのが今までのフリースクールで割と多かったわけだから。

工藤:要するに不登校の型があるとすれば、大まかでもいいから、自分の所で対応できる不登校はこういう型、こういう人は対応できますよという情報が必要。あるいは、これとこれはいいですよと2つあってもいい。けれどここは対応できないという部分をはっきりさせることは、親切な情報であると思う。

宮澤:確かにそういう必要があると思って各地で説明もするから、みんなうちの門をたたく。

 先ほどの役割と責任分担の話に関係するけど、何でも受入れるという姿勢は危険です。例えば教育機関の範疇で対応できる子供と、明らかに医療の分野での手助けが必要な子供とがいる。親は「うちの子供は違います」と言うんだけど、お医者さんが本人の動き方を見ると、「これは教育現場よりも医療機関でないと、この子にとって本当に必要なことがしてあげられない」と判断する。でも親は隠してでも入学させたいから、例えば本人に必要以上話させないようにする。気持ちは分かるけど、逆に子どもがかわいそう。

工藤:僕ははっきり親にこの子は治療患者だ、ここは自立機関だから受け入れはできないと言います。あと、プッツンと切れる暴力性を持っている子供。短気っていうのと暴力性は違うから、共存できるかできないかという線引きは必要だと思う。あとは障害を持っている人。障害の内容をハッキリさせた上で引き受けるかどうかを決めないとね。

宮澤:僕の所の青葉校というのは学習障害、LD傾向の子供と障害をはっきり打ち出している。ここではこういう子が対応できますと。僕は恥ずかしいこともないし、子供たちに自信を持てと言っているわけだから。社会性を持たせて社会に送り出すのが僕達の仕事なんだから。

近藤:僕もそういうのははっきりさせたい。今現在それが自分できちんと分かっているところがどれくらいあるか、アンケートをとってみたい。そういう子をもし入れた場合に、自分の領分はどこまでなのかをどのくらい分かっているか。分かってないところのほうが多いでしょう。その段階に行くまでに、もう少し時間かかるかもしれない。

工藤:そういう基礎データができてないから、ガイドブックにしてもみんな同じになってしまう。そこで起こるのはミスマッチだよ。ミスマッチがあると、時間を喰われてしまい、年を取ってしまう、というような問題が起こる。鉄は熱いうちに打てのとおり、年齢が若いうちに対応されるべきで、これはもう重要な課題だ。格付けチェックを含めて、責任のある情報を流すことが必要だ。そのときこそ、ネットワークは重要な意味を持ってくる。

近藤:まさに格付けのガイドラインになるわけだ。

工藤:僕らも今「プラットフォーム」というのをやっているが、これは施設の格付けをやっている。実地調査に一泊二日でみんなでまわって、24時間の活動を全部調べてくる。こういう風にして絞り込んでいったのが良い情報で、これをネットワーク化していくのが大切だ。

宮澤:その教育施設がどれだけ責任と仕事をしているかということだよ。

工藤:そこで初めてネットワークによって、ある施設を紹介できるという責任になると思う。それがない限りはネットワークなんて意味がない。だから施設を訪問しあってどういう評価をするかとか、客観的なリストを作ったうえで調査員が行くなど、足で稼ぐ調査が必要だろう。

宮澤:今すぐできることではないと思うけど、ネットワークのリストに載ることがみんなの努力目標になる。うちだって100%正しいわけではなくて、自分達の思っているものの30%ぐらいしかできていない。都合がいい部分と悪い部分はあるけど、一生懸命がんばっているんです。つまり子供たちに対してどれだけ責任取れるかということです。

工藤:そうですよ。責任を取った上にネットワークが必要なんです。自分の所が不完全であるなら、その子は別の完全に対応できる所に行ってもらったほうがいいというのが責任だと思う。

近藤:僕もそういう方向で考えたい。不十分なところはどんどん外そうと思う。

工藤:主だったところを3ケ所ぐらいずつジャンル別に選ぶとか。

宮澤:僕は最初から技能連携校を学校教育法45条の2という法律を見つけてやり始めたわけです。そしたらみんなやり始めて、うちに見学に来るので丁寧に教えてあげたの。でも技能連携取らないで塾の延長線上でやる方が儲かるから、もういい加減になってきている。でもお金がないのに子どもたちのために一生懸命やっているところもあって、いろいろになってしまっている。

 僕の場合、最初は自分で塾をやっていて、うちの生徒が行くところがなかったわけです。それで星槎学園を作って、身体的な障害、知的な障害、学習障害など全部あわせて受け入れることにした。そのうちに学校にしなければと思って学校法人を作って、医者と介護士を雇って、学習障害とか知的障害を早期発見・早期治療して、親のカウンセリングをやりながら薬を使わない病院を作り、いろいろなことをやった。NPO法人の「パスファインダー」というのがあるけど、ここは障害を持った子供たちの学習塾で、親にカウンセリングをしているところです。それから就労の部分がないので、北海道に東京ドーム35個分の土地を手に入れて、ジャガイモとトウモロコシと大豆を作っている。2年間やったけれど、障害を持っている子供たちが行くと、それを世話する人と農業に従事する人が必要だし、採算が合わない。とにかく生産効率を上げようということで、一度子どもたちを全国の校舎に戻してそこのグラウンドの手入れをやらしている。今年一年で採算をあわせ、そうしたらまた子供たちを送ろうと思う。

近藤:いろいろなお話がでましたが、各地のネットワーク作りという視点で人材の共有化などがお話の中心になったような気がします。これからは是非そういう方向でやりたいと思っています。

宮澤:例えば各地域の情報を初めから全部網羅するのではなくて、主要な拠点を何ケ所か作りそれを動かしていく、そういうプログラムを作っていったほうがいいと思う。1年ですぐやろうと思わないで、3年がかりとか。でも1年か半年ごとの報告会はやったほうがいいと思う。やっぱり動きださないとみんな気がつかないから。

近藤:全国的なネットワークづくりが今年で3年目に入り、一応全国一周するわけで、まあぼんやりとでも各地の事が分かってきた。今度はそれを掘り下げていこうという段階です。

工藤:日本に徹底的に欠けているのはコスト感覚ね、結果としてどちらが安くなるかという。ある程度の基礎力がつくまでにどんな形でもいいからやったほうが社会的には最終的には安いんです。我々も1日24時間預って月に17,8万円で高いと言われるけど、公的な機関でやるとこれが最低でも5,60万かかる。3分の1以下でやっているというのは安い。コストを考えるという視点も必要だ。

宮澤:構造改革・行政改革じゃないけれども行政は自分たちのやらなければいけないことを、役割分担をきちんとするべきだと思う。民間委託が必要ですよ。

工藤:民間はそういう風穴を開けていくことに意味があるんだ。それが快感だしね。

近藤:役所が先回りしてやったのでは面白くもない。

廣谷:情報ネットワークにしても「スモールイグザンプル」を作ればいいと思う。そのときにやはり振り向くじゃないですか。それに子供たちと親御さんにとってもいいことだから。

宮澤:教師は2年間外で働けとか、1年間教育実習でだめなら首にしてしまうとか。

工藤:5年ごとぐらいに外に1,2年だして、民間で耐えられないようなやつは教師をクビにする。

■子供たちの社会参加の実際■

近藤:兵庫県の中学2年生が1週間職業体験する「トライやるウイーク」、あれがすごく評判いい。どうして先生はやらないのって言うらしい。自分たちが先にやればいいのに。自分たちがやって「結構いいぞ、お前たちもやれ」と言えばすごい説得力があるのに、自分たちは見ていて「お前やってこい」ではね。

工藤:そのときに、法律の問題が引っかかったりする。例えばすし屋がやりたいというと、すし屋は夕方から夜でしょう。そうすると児童福祉法にひっかかるとか、つまらないことを言う。でもやりたいならやらせればいいと思う。俺のところは不登校でも遊び人でも学校に行ってもしょうがないから「働きたいというやつは働かす」と教育委員会に言ったら、だめだと言う。「じゃあ研修は」と尋ねると「研修ならいい」。研修に行って研修費ということでうちに振り込まれる、それを本人に渡すわけだ。本当はアルバイトやっているのと一緒なんだけど。それともう一つは事故にどう責任を持つかという点では、親に一筆書かせる。事故に対しては雇用主のほうに責任を持たせずに、保険に入ってカバーするという方法にする。

宮澤:うちの学校でもアルバイトを単位にしてあげる。どうしてもお金の問題があるから。だから週に2〜3回、その都度レポートを書かせる。仕事先の責任者の人にも日報みたいなものを出してもらう。それが単位になる。そういうふうにすれば彼らは変わりますね。

廣谷:責任感が芽生えるわけですね。

工藤:そうすれば若者のコミュニケーション能力は、必然的に向上する。だから我々にもう少しフリーハンドをくれればやれる範囲は広くなると思う。みんな美しいボランティアばかりやっていてはだめだよ。金を稼いで生きていかないと。

宮澤:うちは町工場の下請けや印刷業をしたり、農業の時間に作った米や野菜を販売したりして、生徒は学校の授業と直結して実際にお金を稼いでいる。特に農産物の販売は結構な額になって、それを生徒会費にして、何に使うかを皆で考える。生徒がお金の流れや会社の仕組みに興味を持って、今年はビアガーデンやろうというアイディアも生まれた。お客さんは生徒の親だから、親は子供の社会勉強のために、その店で3000円は使う。会社にしようなんていうアイディアも出る授業なんて教科書では生まれてこないし、最高の教材だ。要は興味の持たせ方だと思う。

工藤:俺は焼き鳥屋やったことあるけど、とりあえず何でもいいからやらせてみたらいい。さっきのように、有限会社を作って実際に動かしてみるっていうのは面白いね。

宮澤:子供たちが会社はどういう仕組みになっているのか分かってないといけない。それが社会や公民の勉強になる。そうすると税金がどうなっているのかなども分かってくる。

工藤:そういうことを実践的にやって、自分の金で稼げるようになったらいいね。

宮澤:生きるということに対して責任が生まれるということだから。

近藤:企業家教育だね。

宮澤:この前聞いた企業家教育というのはまさにそういうことだ。結局お金を稼ぐというのはどういうことかってことだから。

廣谷:それが子供のうちから分かっていればきっと将来役に立つ。

工藤:本当はそれを共有してかないとネットワークというのは意味がないと思う。例えば、宮澤さんのところはこれをやった。儲けは上がっているし面白そうだ。そうしたノウハウの交換をするということは大きな意味があると思う。

宮澤:不登校のあり方、その棲み分けの本質的なことがある程度分かってきたし、対応やネットワーク作りの必然性というのも分かってきた。要するに価値観の共有を目指さないといけないということ。みんなやり方が違うから、価値観が全部同じなわけはないけどリンクするところは絶対ある。細部は違っても子供を何とかしようというのは同じわけで、アイディアが面白いと思ったら、それ使わせてくれと言って、自分たちでアレンジできるわけでしょう。それが広がりの元になるわけですよ。

工藤:その情報選択が対外的なもので考えているけど、本来、何やっているかという情報を共有化していくことはやっぱり必要だと思う。後はスタッフ間の交流をするとか、いろいろあると思う。他にも宮澤さんのように商品化したものを全体のネットワークに載せて、いいものを買いあう、みんなで支えあうというのも重要な課題だと思うから、僕は商品を載せるネットワークも当然あってもいいと思う。どういうふうに売るのかという課題もあると思うけど。そういうものが総合的に動いていかないとね。

近藤:専門の所をいくつかピックアップするというのはいいかもしれない。

工藤:ネットワークの核になるものをある地域からいくつか選んで、日本を数箇所にブロック分けして、ブロックごとに一つずつジャンル別に挙げていくとか。

■不登校の予防策はあるのか?■

近藤:不登校の予防というテーマはどうですか。

工藤:本当に不登校を阻止できるのか。もしそうなら、初期的な段階で子育てしている側がどうであるかという問題が一つと、あと教師の問題だね。

宮澤:そうそう、教育機関の部分もある。要因としてはいくつもあって、家庭の中の問題から個人の心身症的な問題、教育環境の問題などみんな複合的にあるから。

工藤:絶対的な予防策はなかなか成立しないと思う。

廣谷:これは自分たちだけでは解決できない問題だ。学校や家庭がもう少し私たちのような存在を認めてくれればいいけれど、学校や家庭は抱え込んでしまうから。それでは解決にならないし、第三者の手助けは絶対に必要だと思う。

工藤:僕のところは地域の思春期ネットワークというのがあって、学校の先生から医者、カウンセラーなどが定期的に集まっている。とりあえず相談場所とか教育機関は全部ある。それで予防策といえるかどうか分からないけれども、意識変革をもたらすものを地道に続ける以外ないと思う。

宮澤:要するに療育機関に対応ができているかどうか、それから家庭の中でこういう兆候がでたら親は子供に対してこういうふうにすれば確認ができるとかね。でも、なかなか予防はできないんだ。

工藤:学校の先生も困っている。学校の先生が相談できる機関がない。だから学校の先生が相談できるような地域的な場所というのを多く作って、愚痴を聞いてやることだね。

宮澤:先生たちをケアしなければいけないことが主たる問題になるから、愚痴になってしまうわけです。

工藤:ネットワークの中で、失敗の事例検討会をやらないとダメだ。成功事例検討会では意味ない。何が失敗したかが大事な問題だ。

近藤:なかなか出さないでしょう、失敗例は。

工藤:我々も失敗の事例を出しながら、そのときに何が不足して何がダメだったのかを検討する必要がある。

廣谷:この間、見学者が来てうちの5階から飛び降りようとしたんで、教室中大騒ぎ。先生と生徒の迅速な対応で乗り切ったけれど、結局お断りした。失敗例だよ。こういう危険もあるということで、何が起きてもおかしくない。後で親から本人が精神病院に入っていたと知らされた。

工藤:誰が来るかわからないからね。

宮澤:会ったときにバックグラウンドが把握できていないからね。オブラートにつつんだりカモフラージュしたりして。

廣谷:親は絶対に言わないですからね。

宮澤:全部話したというんだけど、言ってないしね。

廣谷:一昨日来た子はもう三回も家出をして、捜すために教室全部授業中止。みんなで追いかけて警察にも行った。親に聞いてみたらよくあることですよって。親は大事なこと言わないから。

工藤:せっかく集まったからもう少し具体的に提案しましょう。例えばネットワークづくりや情報センター作りの準備会を設置して呼びかけていく。そのときにもう一つは格付けをやりましょう。散漫に全部がネットワークに入ってくるのではなくて、まず一旦は核になる部分を絞り込んだほうがいいと思う。フィルターを一回かけたところが核になって、ネットワークの中心をそこから広げていくという形でどうですか。

近藤:それは必要だけれど、格付けをやるには選別する人が必要だ。一人でやるわけにいかないから例えばセレクション委員会のような組織を設ける。

工藤:10機関ぐらいがフィルターの目安を作って、「フィルターを通しますよ」という形にすればいい。

近藤:僕の知らないところもいっぱいあるし。どういう人がいいのかがまず必要だ。

工藤:準備会のフィルターは近藤さんが知っているところにまずは絞り込んでいかないと、絶対にまとまらないよ。日本は格付けの場合の権威性を持っている所がないでしょう。格付けするには格付けする基準をある種の権威ある人間が集まったところではっきり決めて、それをまず公表する。まず格付け基準を公表しないと成立しないと思う。フィルターを通されても大丈夫だという所が、まず第一段階で入ってくる。それがある程度権威がでてくると、俺も入れてくれというところがでてくると思う。

近藤:基準が公表されていれば、うちは絶対合格するはずだという所が必ずでてくる。

宮澤:人数とかではなくて、方針はこうで、それが確かに実行されているかとかいうことですよね。

工藤:方針と日常の活動と結果が重要だと思う。その3つがある程度のレベルに達していなければだめということになると思う。それを学習したいなら宮澤さんのところではこの分野、俺のところではこれ、廣谷さんのところではこうとか、要するに研修のような制度を作る。

宮澤:僕はそれでいいと思う。うちが教えるというより、うちはここまでしかできないから、この後は別の所でなんとかするように問題提起する。そのほうが絶対に親切だね。

工藤:今まではそういうものがなかった。人材育成っていうけども、学校の先生にしろ、新しくやろうという人を磨いて経験をさせる。そうしたシステムを引き受けるような形にならざるをえないだろう。

廣谷:あと、先ほど宮澤さんがおっしゃった危機管理。これは非常に大事だと思いますね。

宮澤:良い教師・良い指導者を育てるにはということも考えたい。大学生で先生になりたい人を集めるとか、先生の再教育とか。

工藤:手前みそかもしれないけど、俺のところに2,3年いて教師になっていくやつは重宝がられているよ。動じないから。

宮澤:うちの先生が、親が倒れたとかで地方に戻るじゃないですか。そうすると校長先生から電話かかってきて、どういう教育したんですかって聞かれる。うちにいるのはハチャメチャな子供だからさ。

工藤:もともとそういうのに慣れていれば動じないよね。

宮澤:なにやったんですかと聞かれても、うちの生徒がこんなんですからといえないから、「いや立派にやっていましたよ」と言うけど。

工藤:そういうときに、そういう連中の研修施設として、半年とか1年皆で受け持ってそれを教員の選択肢のひとつにあげるとか。

近藤:いいね、そういうインターンシップみたいのね。

工藤:教師は分かったけど、良い指導者の場合にもそういう現場の研修のようなものを基本的にやって、本当はもっと大掛かりにできたらいいと思う。学校の先生経験者がうちに来ても使い物にならない。結局ある型、枠から離れられないということ、身分保障が成立しすぎているんだろうね。あとね、学校法人がやっぱり実験させない。

宮澤:失敗させないからだめなのさ。俺なんか失敗する前にもうほかの事やっているから止められない。出すぎた杭は打たれないんです。出る杭は打たれる。ただ、引っこ抜く奴がいるから、踏ん張っているけどね。本当だって、出すぎたらいいんだから。

廣谷:人数はそんなに多くなくてもいいと思う。もっと小さい実例が大事じゃないですか。10人なら10人と、工藤さんのところとか宮澤さんのところとかに行って経験を積むことによって人間は賢くなっていくから。

工藤:本当は国内留学制度があるんだよ。もったいないよね。

宮澤:学校という枠にとらわれて、そこから抜け出せなくて学校を守る保守的な考えになる。それじゃ教育なんてできない。僕はハチャメチャでもう理事長でも何でもないし、生徒に人生の暴走族って言われているから。だけど、彼らが俺を見て楽しんでいるのは枠を破っていくのを見ているからだ。そういうことをやる人間が増えなきゃダメだ。だから俺たちはまだ存在するんだよ。みんながみんな他の学校と同じで、それはやりすぎですよなんていったら俺なんか必要ない。

廣谷:子供たちも先生の後姿を見たときに、また全然違った概念で社会やおとなの生き様をを捉えているから。

工藤:教育はそういう相互補完をしなければだめだ。合わない奴はちょっと面倒みてくれみたいな、そういう形になると思う。

宮澤:本当にそうだと思う。それじゃないと、やっぱり一つの枠っていうのは作れない。だって、子供たちを結局守らないといけない。誰かがその担当にならないといけないから。

近藤:そうですね。今日の座談会では、まず不登校には様々な型があるので、それを歴史的に、現実的に認識すること、そしてその型によって対応方法が違うことが話し合われました。次にその不登校生に対する受入れで、自分の得意な分野と不得意な分野があることを認識し、不得意な分野の子を無理して囲い込まないほうが良いことが挙げられました。

それではそのために何をしたらよいかということで、第一にネットワークを作ること、第二に情報センターを作ること。ただしその情報とは分野別に、本当に信頼できる所、推薦できる所を選ぶ。そのための基準を作る。基準作りのための準備会を設ける。第三にネットワークを通じてノウハウの共有、教職員の研修を行う。そしてできれば商品の流通も考える。こんなところでよろしいでしょうか。

一同:是非皆でやっていきましょう。

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