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  メタボリック・シンドロームを知る 内臓脂肪にご用心!


メタボリック・シンドロームを知る

松澤佑次・中尾一和・宮崎 滋 監修  (品切)

1,500円 A5 248頁 978-4-385-36298-4

お腹回りの〈内臓脂肪蓄積〉により様々な病気が引き起こされる「メタボリック・シンドローム(症候群)」。高血圧・糖尿病・高脂血症と重なると動脈硬化が進行します。本書はやさしく実践的に「傾向と対策」を解説。

2007年 9月10日

目次 巻頭の言葉 著者一覧





●目  次

【巻頭の言葉】
監修――松澤佑次・中尾一和・宮崎滋

はじめに

M氏の憂鬱、そして教訓 1

肥満とともに、高血圧や糖尿病、高脂血症を合併しているあるビジネスマン(M氏)の生活と通院治療、できる範囲で始めた生活習慣改善の様子を追いかけながら、メタボリック・シンドロームについてのイメージをつかもう。

○ でっぷりと太った人はメタボリック・シンドロームではない!?―――2
○ メタボリック・シンドロームと一緒に40代前半を送ったM氏の話―――4
○ 高血圧と糖尿病の疑いが認められ、食事の減量に挑戦―――6
○ メタボリック・シンドロームとの出会いが生活習慣の改善につながった―――7
○ 家族の協力で食生活を中心に生活習慣を立て直し中―――9

コラム M家の食卓――薄味の料理が中心です―――11


I部 概念編 メタボリック・シンドローム、ここがポイント! 15

第1章 肥満から脳・心血管疾患のハイリスクへ――メタボリック・シンドロームの意味・意義とは? 17

メタボリック・シンドロームという新しい病態の意味について考える。まったく新しい病態というよりも、従来の生活習慣病と重なり合う病態。とはいえ、各病態の因果関係が明確に打ち出された意義は大きい。 つまり、基盤としてまず内臓脂肪蓄積があり、高血圧、耐糖能異常、脂質代謝異常のうち2つ以上が合併していると、将来、脳・心血管疾患発症のリスクが高くなるハイリスク群であるというメタボリック・シンドロームの病態の意味をわかりやすく紹介する。

脂肪細胞はエネルギーの貯蔵庫であるとともに、内分泌器官であることが知られている。そして、脂肪細胞から分泌される各種アディポサイトカインの分泌異常の結果、インスリン抵抗性を媒介としてメタボリック・シンドロームが引き起こされる。そのメカニズムを紹介する。

中尾一和(京都大学大学院医学研究科教授)

○ メタボリック・シンドロームという衝撃―――18
○ 入口は内臓脂肪、出口は脳・心血管疾患―――20
○ 心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが高まる―――22

コラム メタボリック・シンドローム対策のロードマップ(案内図)―――24
○ なぜ人間は太るのか?―――28
○ 貪欲に食べようとする遺伝子とその異常―――30
○ 皮下脂肪と内臓脂肪の違い―――32

コラム メタボリック・シンドローム対策の基本は食事制限です(ケーススタディ)―――33
○ 内臓脂肪というキープレイヤー―――35
○ 正常な小型の脂肪細胞からどんどん肥大化する―――36
○ アディポサイトカインの分泌異常による影響―――37

コラム 子供の時から肥満、大人になって肥満。小児肥満の徴候に要注意!―――39
○ インスリンの感受性を高めるアディポサイトカイン―――42
○ インスリンの感受性を弱めるアディポサイトカイン―――43
○ インスリン抵抗性は生活習慣病を集積させる元凶のひとつ―――45
○ インスリン抵抗性がそれぞれの危険因子を集積させる―――46
○ 診断基準、疫学調査、治療法など、今後の課題―――47


II部 意識向上編 生活習慣病の全体像を知る! 51

第2章 内臓脂肪蓄積100cm2以上が診断基準の大きなポイント 53

最近、急速に有名になったメタボリック・シンドロームだが、生活習慣病を全体として考えようという全人的医療の立場から長年研究されてきた。「マルチプルリスクファクター症候群」「シンドロームX」「死の四重奏」などの概念が打ち出されてきた研究の歴史を紹介するとともに、疫学調査を踏まえて2005年に作成された日本の診断基準の概要・意義・経緯を紹介するとともに、欧米の診断基準との違いについても触れる。

松澤佑次(住友病院院長、大阪大学名誉教授)

○ 浸透するメタボリック・シンドロームの診断基準―――54
○ 診断基準の概要と個々の基準値の意味―――58
○ 病態の性格から相対的に低い値に設定された基準値―――60
○ 内臓脂肪面積とウエスト周囲長の関係―――61
○ ウエスト周囲長をめぐるその後の議論―――62
○ 男女共通の目安だからこそわかりやすい―――64
○ ウエスト周囲長はむしろ生活指導スタートの目安―――66
○ 40歳以上の男性4人に1人、女性10人に1人―――69
○ メタボリック・シンドローム研究をリードする日本人研究者たち―――70
○ 生活指導の質の向上が求められている―――72

第3章 なんの前触れもなく起こる動脈硬化性の脳・心血管疾患、その危険性と社会的損失を減らしたい 75

メタボリック・シンドロームは、個々の危険因子が軽症・境界領域型であっても集積することによって脳・心血管疾患の発症率が高まるハイリスク群である。ここでは、メタボリック・シンドロームの行き着く先である動脈硬化、そして心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などの脳・心血管疾患にターゲットを絞って紹介する。

代田浩之(順天堂大学医学部循環器内科教授)

○ 健康な心臓や脳が動脈硬化によってダメージを受けるという不幸―――76
○ 冠動脈や脳血管を襲う粥状のアテローム性プラーク―――78
○ 狭心症というSOSを発せずに突然、心筋梗塞になるリスク―――79

コラム 動脈硬化によって、血管が細くなり、詰まりやすくなります―――80
○ 救急医療が大きなウエイトを占める心筋梗塞の治療―――82
○ 心筋梗塞の再発予防に寄与するメタボリック・シンドローム治療―――83

コラム 腹部肥満が改善されてもなお、高血圧がみられたら……。―――84

コラム 腹部肥満が改善されてもなお、高脂血症がみられたら……。―――86
○ 心不全とメタボリック・シンドロームの関係についても研究中―――88
○ 重い後遺症が懸念される脳梗塞―――90

第4章 高血糖はもっともハイリスクな危険因子重症化や合併症の予防に努めよう! 93

メタボリック・シンドロームの危険因子のうち、それだけでリスクの高いのが高血糖。「自分はメタボリック・シンドロームではないか」と考えている人の中に実は糖尿病の疑いの強い人が含まれている。仮に、高血圧や高脂血症はみられなくても、空腹時血糖値や食後血糖値などが異常を示したら、糖尿病と考えられる。高血糖状態が続けば細い血管や太い血管など全身の血管に障害を引き起こす、恐ろしい糖尿病についても注意を喚起する。

中埜幸治(公立山城病院院長)

○ メタボリック・シンドロームの陰に隠れている2型糖尿病―――94
○ 2型糖尿病の種類に基づいて指導や治療がスタート―――97
○ 網膜症、腎症、神経障害の三大合併症―――99
○ 糖尿病とメタボリック・シンドロームが重なると、動脈硬化が進むか―――101
○ 糖尿病の患者指導はメタボリック・シンドロームにも参考になる―――102

コラム 糖尿病になるとどれだけ脳・心血管疾患が発生しやすいか?―――105
コラム 動脈硬化の進行は狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などを招く!―――107
コラム 腹部肥満が改善されてもなお、糖尿病がみられたら……。―――111

第5章 国民医療費削減と効率的な予防医療という現代ニッポンの大テーマ。高齢化社会における医療の姿が見えてくる 113

この章では、メタボリック・シンドロームが登場してきた医療界の背景について触れつつ、生活習慣病予防と医療費削減という大テーマの重要性を喚起する。現在、進行中の医療・病院の大リストラ作戦について理解を深める。そして、健診・保健指導から治療・フォローアップまでトータルに関わる “疾病管理”の視点を示す。

武藤正樹(国際医療福祉大学三田病院副院長・大学院教授)

○ いま、医療は大きな曲がり角に立っている―――114
○ 病院の大リストラ作戦が進行中―――115
○ 国民医療費抑制という社会的課題が存在する―――117
○ ハイリスク群を対象とする予防医療のアプローチ―――118
○ 疾病管理と医療連携という仕組み―――119
○ 疾病管理ケアマネージャーが中心的な役割を担う―――121
○ 費用対効果を評価するとともに楽しみながら健康増進を図る視点―――123


III部 対策編 まずやるべきこと、ずっとやるべきこと 127

第6章 過栄養・高カロリー食を断ち切り、適度な運動を! 129

 内臓脂肪は、皮下脂肪に比べてつきやすく落ちやすい脂肪だとされている。体重の5%を減量しただけでも検査値が改善できる。食事療法と運動療法によって高脂肪食・過栄養と運動不足の生活習慣を改善することが、メタボリック・シンドローム治療の第一歩であることを紹介する。

 東京逓信病院で行われているメタボリック・シンドロームの検査教育について、看護師や管理栄養士などのアドバイスを交えながら紹介する。

宮崎滋(東京逓信病院内科部長)

○ 過栄養・高カロリー食に囲まれた私たちの生活―――130
○ ”食べないと気が済まない症候群“との闘い―――131
○ 適正摂取エネルギー量を守ることが最大の対策―――133
○ 適正摂取エネルギー量は意外に少ない―――134
○ バランスのとれた食事を心がける―――136
○ 管理栄養士からの食事指導とアドバイス―――137
○ 日常生活の中で活動性を高める―――140
○ メタボリック・シンドロームに適した薬物療法―――142
○ 教育入院という選択肢―――143
○ 禁煙療法のススメ―――145

ワンポイントアドバイス( 1) 上手なダイエット〜成功するダイエットとは?―――147
ワンポイントアドバイス( 2) 1日にとるべきカロリーとは? 〜バランスよくカロリーを摂取するためには〜―――154
ワンポイントアドバイス( 3) ごはん、パンetc. 主食の正しい食べ方―――160
ワンポイントアドバイス( 4) 肥満の大敵、脂質との付き合い方―――163
ワンポイントアドバイス( 5) 食物繊維を上手にとりましょう―――168
ワンポイントアドバイス( 6) 甘味飲料、果物、お菓子が内臓脂肪をつくる!―――172
ワンポイントアドバイス( 7) 大酒も大敵!―――176
ワンポイントアドバイス( 8) いまこそ、納豆とおにぎり! 身近な伝統食を食習慣の強い味方に―――181
ワンポイントアドバイス( 9) 和食はバランスのとれた身近な食事―だしの伝統を見直しましょう―――185
ワンポイントアドバイス(10) タバコが体に与える悪影響―――193
ワンポイントアドバイス(11) 運動の習慣化は生活習慣病予防のカギ―――197
ワンポイントアドバイス(12) ウォーキングの習慣をつけよう!―――203
ワンポイントアドバイス(13) 工夫できる日常生活の過ごし方―――209
ワンポイントアドバイス(14) 空き時間を活用してストレッチに挑戦!―――211
ワンポイントアドバイス(15) 水中での運動効果―――213



●巻頭の言葉

 飽食と運動不足の時代に新しく確立された病気の概念、メタボ リック・シンドロームが日本内科学会をはじめ8学会から発表されたのが2005年4月ですが、この病気の知名度は驚くべき速さで国民に広まっています。

 メタボリック・シンドロームとは、腹腔内の脂肪、つまり内臓脂肪の蓄積が原因で高血糖、脂質異常、高血圧が重なり、最終的に心筋梗塞などの血管病になりやすい症候群と定義されています。この病気の名前がカタカナであったことや、診断基準の必須項目がウエスト周囲長という極めて身近な指標だったことが大きな関心を持たれた要因だと思いますが、その反面ウエストの基準値がどうの、こうのという論議ばかりが強調され、病気の本質が充分理解されているとはいえません。

 本書は、なぜいまメタボリック・シンドロームが重要なのか? なぜ一個人に複数の生活習慣病が重なってしまうのか? そのメカニズムは? などについて、メタボリック・シンドロームの主役である内臓脂肪の研究を紹介しながら解説したいと思います。

松澤佑次

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 メタボリック・シンドロームの増加が認識され予防と治療の重要性が注目されています。そのためには原因と病態の正しい理解が必須です。

 メタボリック・シンドロームの臨床的意義は、病態の上流の肥満を基盤として動脈硬化のリスクファクターである高血圧、2型糖尿病、脂質代謝異常の重積をまとめたことであり、重積する構成疾患を同時に予防、治療することが可能であることを示したことです。

 なぜメタボリック・シンドロームが激増しているかは、最近のゲノム研究の成果から推測することができます。肥満の病因遺伝子は摂食抑制とエネルギー消費亢進に関わるレプチン系の遺伝子異常によることが解明されており、現代人は飢餓の中での生存に有利であった貪食行動をきたす祖先の遺伝体質(Greedy gene,貪食遺伝子)を受け継いでおり、この体質が飽食の現代にはメタボリック・シンドロームの増加をきたす一因と考えられるのです。メタボリック・シンドロームは典型的な現代病であり、人間の本能のひとつである食欲に関わる病態であることにより極めて難病です。この認識を踏まえた慎重な対策が必須です。

中尾一和

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 これまで、少しお腹が太目で、少し血糖や血圧、中性脂肪が高いが、大したことはない、大丈夫でしょう、と言われていた中年男性が、最も心臓病の危険性が高い人に変わりました。

 軽い異常も、集まれば危険性が高まります。また偶然に異常が集まるのではなく、内臓脂肪が蓄積すると、必然的にこれらの異常が集まる。それがメタボリック・シンドロームなのです。内臓脂肪が増えれば悪化し、減れば改善します。増えないための予防、減らすための治療、というように、診療、予防のターゲットが明確になってきました。これは患者にとってのメリットでしょう。

 では医師や、医療者にとってのメリットは何か。これまで糖尿病、高脂血症、高血圧など、各々の専門医が自己の専門分野で、各自治療を疾患別に行っていましたが、メタボリック・シンドロームの概念は、これらの垣根を一挙に取り払ってしまいました。専門的にこの病態を診ながら、総合的に判断し、治療するという共通の認識ができたのも、メタボリック・シンドロームのおかげです。メタボリック・シンドロームの予防、治療のために、患者、医療者ともに手を携えながら、一歩一歩前進していきたいと思います。

宮崎 滋

2007年8月



●著者一覧(*は監修者)

〈第1章〉
■中尾一和(なかお・かずわ)*
京都大学大学院医学研究科医学部内科学講座内分泌代謝内科学分野教授1973年京都大学医学部卒業。1973年同第二講座医員、その後、助教、講師を経て、1992年教授、2002年より現職。専門領域は内分泌・代謝学、肥満。

〈第2章〉
■松澤佑次(まつざわ・ゆうじ)*
住友病院院長/大阪大学名誉教授1966年大阪大学医学部卒業。その後、助教、講師を経て、1991年教授、2000年医学部附属病院院長、2003年より現職。専門領域は内分泌・代謝学、肥満、動脈硬化。

〈第3章〉
■代田浩之(だいだ・ひろゆき)
順天堂大学医学部循環器内科教授1979年、順天堂大学医学部卒業。虎の門病院内科、米国・メイヨークリニック留学、順天堂大学内科講師などを経て2000年、同循環器内科教授。「ハートセンター」長兼務。専門は冠動脈疾患、動脈硬化。日本内科学会、日本循環器学会評議員など多数。内科学会、循環器学会専門医。

〈第4章〉
■中埜幸治(なかの・こうじ)
公立山城病院院長1972年京都府立医科大学医学部卒業。京都府立医科大学第2内科講師を経て2003年公立山城病院院長、現在に至る。専門は内科。内分泌・代謝科。日本内科学会認定医。日本内分泌学会専門医、評議員。日本糖尿病学会専門医、評議員ほか。

〈第5章〉
■武藤正樹(むとう・まさき)
国際医療福祉大学三田病院副院長・大学院教授1978年新潟大学大学院医科研究科終了後、国立横浜病院で外科医として勤務、その後、国立療養所村松病院副院長、国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長、国立病院機構長野病院副院長を経て、2006年より現職。専門領域は医療マネジメント。日本医療マネジメント学会副理事長、日本ジェネリック医薬品学会理事長。

〈第6章〉
■宮崎滋(みやざき・しげる)*
東京逓信病院内科部長1971年東京医科歯科大学医学部卒業。同第一内科医員、1976年東京逓信病院内科勤務、栄養管理室室長、地域連携室室長などを兼務。2001年より現職、2004年東京医科歯科大学臨床教授。専門領域は肥満症、糖尿病。日本肥満学会理事、第28回(2007年)日本肥満学会会長、日本内科学会、糖尿病学会、内分泌学会専門医・評議員など。

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