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負けた戦争の記憶

負けた戦争の記憶

生井英考(いくい・えいこう) 著

2,000円 四六 256頁 978-4-385-35935-X (品切)

アメリカが負けた唯一の戦争ヴェトナム戦争。20世紀の終わり、いまだ負け戦のトラウマを抱えるアメリカ社会の記憶と経験を精緻に描く、会心の書き下ろし。

2000年5月10日 発行

 『ジャングル・クルーズにうってつけの日 [新版]』


目   次

プロローグ

第一章 歴史と記憶

第二章 戦争の教訓

第三章 犠牲者の神話

第四章 記憶のイコン

第五章 動く記憶

エピローグ

あとがき

参考資料



  
 負けいくさ――。この一言をいうために、アメリカは果たして何年かかったろう。そしてこの言葉を書名に冠した本がベストセラーとして受け容れられるまでに、一体いくつの門をくぐりぬけてきたことだろう。
 ヴェトナム戦争がアメリカにとって「負けた戦争」「失われた戦争」であったことは、少なくともアメリカ以外の国々の人間たちにはとっくの昔から明らかなことだった。けれど多くのアメリカ人たちはその言葉を、少なくとも九〇年代になるまでほとんど――というより事実上けっして――公然とは口にしなかった。したとすればたぶんそれは反戦運動家やラディカルの生き残りだけで、それとても公衆の面前でいきなりというわけにはいかなかった。そして彼ら以外の人々はおしなべて、左右両派をとわず、政治家であれジャーナリストであれ学者や批評家であれ、ひどく持ってまわった言い方を駆使しながら「敗北」(losing)に代わる言葉を探していた。……(プロローグより)

…この本の目的は、1980年代に始まり、1990年代を経て、2000年代へと向かおうとする歴史の伏流--としての記憶--のありようをヴェトナム戦争という「負けた戦争」の暗渠からかいまみようとするものである。したがってそれは単なる現状報告ではないし、また過去の総括でもない。というのも結局負けた戦争の記憶をたどってゆくことは、歴史という建物の姿を幾度となくふりかえりながらなお、未来への河口をめざす水の流れに舟をうかべることだからである。…(プロローグより)

 表象の限界が指摘されて久しい。同時に、あの世代の人々もまたやがて昔話を語る身となって、意識的にかどうかはともかく、忘却のなかで自らの過去を歴史の棺に沈めることになるだろう。先に触れたようにぼくはその世代の人間ではないが、彼らが立ち去ったあとを生きることになったひとりとして、いわば記憶の後ろ姿を描いておくことは無駄ではないかもしれないと感じたのだ。そして結局のところそれは、いまを生きるすべての世代にとっての歴史なのである。……(あとがきより)

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