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  聴くことでできる社会貢献 新 傾聴ボランティアのすすめ


聴くことでできる社会貢献 新 傾聴ボランティアのすすめ

特定非営利活動法人 ホールファミリーケア協会

1,600円 四六判 256頁 978-4-385-36205-2

いま人気の〈傾聴ボランティア〉って何? 心をこめて聴くことで、〈聴く側〉〈話す側〉の両方を元気にする!本書は傾聴ボランティアの意義・効果、傾聴のスキル、体験記、ほか全てを解説。活動の実践的手引き〈決定版〉。

2009年8月20日 発行

はじめに ── 傾聴ボランティアってなあに?
目 次
あとがき

「NPO法人 ホールファミリーケア協会」のサイトへ



はじめに ── 傾聴ボランティアってなあに?

「傾聴ボランティア」という言葉が最近色々な新聞や福祉の専門誌やテレビなどにも出てきます。「傾聴ボランティア」って一体何なんでしょうか?
 傾聴ボランティアは、「ボランティア」と付いていますので、もちろん、各種のボランティア活動の中の一つの活動です。

「傾聴ボランティア」とは何なのか、改めて考えてみたいと思います。
 傾聴ボランティアは、字句どおり、相手のお話を「傾聴」するボランティアのことです。あるいは、相手のお話を「傾聴的に聴く」ボランティアであり、また、相手の方に「傾聴的に関わる」活動をしているボランティアのことです。

傾聴ボランティアは、様々な相手の方の様々なお話を聴きます。相手の方の身体の具合の話、家族の話、お金の話、仕事の話、伴侶に先立たれた寂しさの話、生きていても仕様がないという嘆きや愚痴の話等々‥‥‥。傾聴ボランティアはひたすら相手のお話を聴きます(「聞く」ではなく、「聴く」と書いているのには意味があります。単に「聞く」のではなく、「聴く」ことが大事です。その説明は第2章にあります)。

しかし、話を聴きながら、ときどき、何かしてあげたい、困っているそのことについて何とかして解決の手を差し延べてあげたいと思うことがあります。
 そうしたことは、私たちの考えによれば、「傾聴」という活動の範囲を超えてしまいます。事柄の解決には、それに相応しい専門の方々がいます。私たちは、適切な手順を踏んで、そうした専門家につなげることはしてあげることができるでしょう。しかし、傾聴ボランティアは、「解決してあげる人」ではありません。あなた自身がよかれと思う解決策をすぐに提示するのではなく、傾聴活動の中では、むしろ、お話を聴くことを通して、相手の方自身が真に何を求めているのかを自ら知ることが大切だと私たちは考えています。真に求めていることが分かると、本人自身がよりよい解決の方法を思い付くかもしれません。より適切な専門家につなげることもできるかもしれませんし、それによって、専門家が迅速に必要な手立てを講じることができるようになるかもしれません。

私たちができることは、相手の方にできるだけ多く話をしてもらい、そのことによって、その方自身の心の負担が少しでも軽くなるようにお手伝いをすること、また、同時に、考えの整理がついて自分なりの判断や納得に至ることのお手伝いをすることです。そうしたことしかできないのだと、むしろ、わきまえたいと思います。というのは、人は、基本的には、誰でも自分のことは自分で解決できる能力を持っていると信じることが大切だからです。

その人が悩むその問題について、一番よく知っているのは当の本人であることをわきまえる必要があります。その人が求めているのは、あなたの価値観に基づく何らかの解決策ではなく、自分なりに考えをまとめるためのサポートです。混乱している場合には、混乱を解きほぐすお手伝いをしてほしいのです。そして、そうした、お手伝いに徹するというあなたの決意が大切です。

このようにわきまえることによって、あなたの傾聴ボランティア活動は一層生き生きとした、達成感のある活動となるはずです。つまり、私たちにできることは「話を聴く」ことだけですが、「聴く」という行為には、もっと積極的な意味や意義があることを知ることが大事です。英語で、傾聴のことを「Active Listening アクティヴ・リスニング」と言います。傾聴とは、まさに、積極的に、能動的に「聴く」ことです。一方的に、ひたすら受け身で聴くということではありません。といっても、あなたが一方的に話し、一方的に相手に質問をするというパターンの対話のことでもありません。「よりよく聴く」ことが傾聴です。そのためには、一定のスキル(技法)がありトレーニングが必要です。この本では、こうしたスキルについても解説しています。

しかし、人と人との対話は、いつも悩みの相談とは限りません。

ともかくも話を聴いてほしい、話し相手になってほしいというようなこともたくさんあります。人は話すことによって心が軽くなる、心が浄化されると言います。話を聴いてもらうだけでスッキリするということも大いにあります。このように話を聴いてほしいという相手の話を、ともかくも、プラスに評価しながら聴くことができたとしたら、それは、その人自身に自分が生きることの意味(自己肯定感や自己有用感)を見出していただくことにもなります。また、相手の話を否定せずに受けとめて聴くことは、相手の存在を認めることにもつながります。言葉を介してのコミュニケーションが不自由になった方の場合には、何か話を聴かなければということではなく、その方の側にいることによって、その方に安堵感を感じてもらうということが大事ということもあります。

私たちは、こうしたケースも含めて傾聴ボランティア活動であると考えています。ともに仲間として(あるいは、ともに「人」として)、有意義で楽しい時間をともに過ごすこと、これが傾聴ボランティア活動の目的であり、目標であると考えています。

現在、「自分が持っている力と時間の余裕を何か社会のために役立てたいという意識は持っているが、何をしてよいか分からない」という方々に、是非、傾聴ボランティア活動を始められることをお勧めします。

現在、様々な理由から「話したくても話せない(話す機会がない)」人々が増えています。特に急速に進展する高齢社会の中で、話す機会のない高齢者が増えており、高齢者の心のケアの問題がクローズアップされています。しかし、高齢社会とはいえ、その8割以上が元気な高齢者という状況の中、元気な高齢者自身が同世代の高齢者の心のケアをするという傾聴ボランティアのような活動はとりわけ重要で意味のあるものとなるでしょう。こうした心のケア活動はいわば相互支援活動であり、高齢者福祉政策にも沿うものであると考えると、正に時宜に沿った活動であるとも言えるのではないでしょうか。

NPO法人 ホールファミリーケア協会

 

理事長  鈴木 絹英

 

目   次

はじめに ── 傾聴ボランティアってなあに? ‥‥1

第1章 〈座談会〉傾聴ボランティアと社会貢献について 7

■柴田 博  桜美林大学大学院教授(老年学)

■長田 久雄  桜美林大学大学院教授(老年心理学)

■司会:鈴木 絹英  NPO法人ホールファミリーケア協会理事長

コラム>アメリカのシニア・ピア・カウンセリングと日本の傾聴ボランティア活動 22

第2章 傾聴ボランティアってなあに? 41

1 「聞く」と「聴く」って違うの? ‥‥42

(1)傾聴する際の基本的態度で気をつけること‥‥43/(2)普通の会話と傾聴の違いとは?‥‥46/(3)「聞く」と「聴く」の違い‥‥48/(4)気持ちを「聴く」ことが大切です‥‥49/(5)情緒的一体感を持つ‥‥50

2 傾聴の意義を考える‥‥51

(1)聴くことは心の援助になります‥‥51/(2)一生懸命耳を傾けて聴く姿勢が本音を引き出す‥‥53/(3)傾聴が相手にもたらす働きとは?‥‥54/(4)傾聴は自己成長を促す‥‥56

第3章 実際にやってみよう、誰にでもできる傾聴 59

1 いい聴き手になるためのコミュニケーション・スキル‥‥60

(1)自分の口を閉ざす練習をすること‥‥60/(2)相手の人格を尊重する‥‥61 /(3)相手の話を、相手の身になって、素直に聴く「共感」を身に付ける‥‥63/(4)相手を評価しないでありのままを受け入れる(受容)‥‥65/(5)自己一致とは?‥‥65/(6)より多様な経験を‥‥66

2 傾聴の心構え‥‥67

(1)一般の会話とは違うというモードの切り替えをしましょう‥‥67/(2)礼儀正しく敬意を払う‥‥67/(3)言葉以外のコミュニケーション(非言語的コミュニケーション)の重要性‥‥69/(4)相手のペースに合わせる‥‥71/(5)沈黙を恐れない‥‥72/(6)集中力と忍耐を養う‥‥73/(7)心を穏やかに保つ‥‥74 (8)巻き込まれない‥‥74/(9)守秘義務の遵守と報告事項‥‥76

3 傾聴を行うときの注意点‥‥76

(1)話は最後までキチンと聴く‥‥77/(2)相手の話に反論したり、批判したり、否定しない‥‥78/(3)安易に元気づけない‥‥79/(4)レッテルを貼らない‥‥79/(5)自分に興味のある、勝手な質問をしない‥‥80/(6)相手の話を自己流に解釈しない‥‥81

4 上手な聴き方のコミュニケーション・スキル‥‥81

(1)相手が話しやすい雰囲気をつくる‥‥82/(2)相手との出会いを大切にする‥‥83/(3)相手の様子を観察して相手に合わせる‥‥86/(4)相づち・うなずき・促し‥‥87/(5)繰り返し‥‥88/(6)質問‥‥89/(7)パラフレイズ(言い替え)‥‥91/(8)明確化‥‥93/(9)リフレーミングで視点を変える‥‥94 (10)支持‥‥96/(11)共感的な励まし‥‥97

5 ロールプレイ体験をしよう‥‥98

(1)ロールプレイとは?‥‥98/(2)ロールプレイで得られるもの‥‥101

6 認知症の方の傾聴‥‥102

(1)人として‥‥104/(2)具体的な対応‥‥105

第 4章 傾聴ボランティア体験記 113

◎傾聴に出会えて 平成18年長野講座生 傾聴みみずく会長 野崎恵子‥‥114/◎傾聴ボランティアとして 20期生 熊澤晴子‥‥123/◎すてきな仲間と愉しいボランティア活動 03年高松講座生 高知とんぼの会 西川祐‥‥130/◎地域で傾聴活動を 平成18年佐賀講座生 傾聴ボランティア佐賀・かたらい会長 市丸俊文‥‥138/◎若葉マークの傾聴ですが 23期生 佐藤文‥‥146

第5章 傾聴ボランティアの始め方 155

1 個人で始める場合‥‥156

(1)地域の社会福祉協議会、またはボランティアセンターへ‥‥156/(2)地域活動グループに参加を‥‥159/(3)仲間と一緒に‥‥161/(4)福祉・介護関係の知り合いを当たろう‥‥161/(5)他の窓口も当たってみよう‥‥162/(6)養成講座を修了していなくても傾聴ボランティア活動を始められるの?‥‥163/(7)傾聴ボランティア活動開始時の約束事の確認とは‥‥164
       A.施設編/B.個人宅編
(8)傾聴ボランティアってなあに? 改めて考えてみましょう‥‥178/(9)ボランティア活動は誰のため?‥‥184

2 地域における傾聴ボランティア活動の展開の仕方‥‥186

(1)地域における傾聴ボランティア活動展開の理想形‥‥187/(2)傾聴ボランティア活動の地域展開上の課題‥‥191

第6章 傾聴ボランティア活動時によくある事例に答えるQ&A 199

(1)個人宅訪問時によくある事例‥‥200/(2)施設訪問時によくある事例‥‥204

第7章 傾聴ボランティア活動の全国的な広がり 225

(1)群馬県の場合‥‥226/(2)長野県の場合‥‥227/(3)佐賀県の場合‥‥229/(4)高知県の場合‥‥230/(5)その他の地域の場合‥‥231

第8章 NPO法人 ホールファミリーケア協会の活動について 235

あとがき‥‥248

〈装画=内山洋見〉


あとがき

傾聴ボランティアの普及活動を始めて10年。お陰様で、全国各地で傾聴ボランティア活動が行われるようになりました。また、様々な分野で、「傾聴」に対するご理解をかなりの程度深めていただけたように感じます。話を聴くことは、その人の存在を認めることでもあるとの認識もさらに広がりつつあると感じています。このことは、福祉の世界にとどまらず、私たちが生きていくどの領域においても大切で必要なことだと思います。

今の社会には、「自分の持てる力と時間を何か社会の役に立てたい」と思っている方が大勢います。今まで子育てや仕事で精一杯だった中高年世代には、ボランティアは自分とは少し遠いものでした。しかし、「聴く」ことで社会貢献ができるとしたら何と素敵なことでしょうか! 真摯に聴くことが、自分が何をしたいのかということに気づいてもらうことのお手伝いになったり、また、生き生き元気に生きるための生きがい支援になったりするなんて、これまでにはなかなか考え難いことでした。

もちろん、「聴く」は、決して「聞く」ではありませんし、一定のトレーニングが必要なことでもありますが、しかし、一旦それをクリアしていただければ、誰にでも、また、どんなに高齢になってもできる活動ですし、また、社会に存在するすべての人にとって必要な活動でもあるということは大変素晴らしいことだと思います。そして、この誰にでもできる活動であるということが、多くの人、特に中高年を、実際のボランティア活動へと結び付けることに寄与しているようです。

この本が、傾聴及び傾聴ボランティア活動に関心を持っているすべての方にとっていささかでもお役に立てれば幸いに存じます。

今回、本書の発行に当たり、特に、原稿と活動風景の写真を寄せてくださった傾聴ボランティアの皆さん、そして全国各地での活動の発展に寄与していただいています多くの協会講座修了の傾聴ボランティアの皆さんに厚く御礼申し上げます。

2009年8月

NPO法人 ホールファミリーケア協会

理事長  鈴木 絹英


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