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こんなに使っていいかしら
家庭にひそむ農薬


家庭にひそむ農薬

植村振作・山崎昌子 著

1,165円 四六 256頁 978-4-385-35348-X (品切)

家庭で使う殺虫剤や衣料防虫剤、除草剤等は農薬と同じなのだろうか? 公園や学校や街で日常、広範に撒かれる薬剤に疑問をもった主婦たちが、知らぬ間に農薬に汚染された日常生活を問い直すレポート。

1989年12月20日 発行

 農薬毒性の事典 改訂版
 残留農薬データブック
 床下の毒物 シロアリ防除剤



●はしがき

 たとえばスーパーの家庭用品売場。ダニやゴキブリ、蚊などの殺虫剤をはじめ、衣類の防虫剤、カビ取り剤、殺菌剤、消臭剤、芳香剤などなど、さまざまな薬剤がぎっしり並べられています。さらに売り場を移動して気をつけて見ると、抗菌・防臭加工された衣類や寝具類、殺虫剤加工された掃除機の紙パック、防虫加工の家具やカーペットなど、目に見えないところで薬剤が使用された商品がいっぱいあるのがわかります。

 一方、家の中にこれらの薬剤が一つもないという人はまあ、いないでしよう。意識して買っているものもあれば、知らないうちに入り込んできたものもあります。街へ出れば空き地の雑草には除草剤が、街路樹には殺虫剤がまかれ、電車も消毒されています。学校や保育園でも薬剤散布が定期的に行われています。『こんなにたくさん、野放図に使っていいのかしら?』ふと疑問に思う人は多いでしよう。私たちもこうした現状にふと気づいたところから、活動が始まりました。

 今や、単に虫嫌いの人が殺虫剤を使うだけのことではなく、好むと好まないに関わらず、薬剤に取り囲まれた生活をしていることが、とても気になったのです。

 一般に、私たちは、食べものの残留農薬は非常に気にします。できるだけ農薬を少なくして作られた農産物を求める共同購入が盛んになり、デパートでも有機野菜売り場が設けられるほどになりました。それなのに、台所でゴキブリ一匹見つけたといっては殺虫剤をせっせとまいています。抗菌・防臭加工された布団でやすんでいます。こんなことでいいのだろうかと思ったのです。

 私たちはこの疑問をそのままにせずに、自らの足で歩き、頭を働かして体験的に学習してきました。薬剤に特別な知識を持つわけでもない十人ばかりの主婦と一人の研究者との歩みですが、それはけっして片方が教え、一方が教えられるという知識の一方通行ではなく、同じ市民という線上に立った上での活動でした。

 本書は、どこにでもいる市民のグループが地道に歩んできた記録であり、学んだこと、戸惑ったこと、悔やしかったこと、嬉しかったことをそのまままとめました。

 ところで、日常生活で使っている薬剤と農業用に使われている農薬とが同じ成分であることはあまり知られていません。虫を殺したり、菌の繁殖を抑えたりする成分は同じなのです。それなのに、暮らしで使われる薬剤はあちこちでバラバラに製造・販売されていて、全体としてどうなっているのか、法律上でも行政の面でもカバーできていないことが調べていくうちにわかりました。

 ちょっと考えただけでも、医薬品、食品添加物、合成洗剤、化粧品、プラスチック、農薬、家庭用殺虫剤など、数多くの合成化学物質が身の回りで使われています。私たちは、これらのうち、家庭内や学校、街や公園などで使われている殺虫剤や殺菌剤、除草剤などを主に取り上げました。

 身の回りで使われているこのような薬剤は、急性毒性の低い、いわゆる低毒性といわれるものです。でも慢性毒性がないわけではありません。魚介類に蓄積したり、母乳まで汚染しているものもあります。本書では、日頃使っていて知らず知らずのうちに環境や私たちの体を汚していく薬剤の問題について述べました。

 私たちは、暮らしの中でこのように多量に使われている薬剤による生活環境汚染を心配して、個人的に使用を控える一方、社会的にも身の回りの様々な化学物質の使用を控えてほしいと訴え続けてきました。薬剤の危険から逃れるための個人的自衛策にとどまっているだけではだめで、ゆっくりと、しかし確実に私たちの体を蝕みつづけている身の回りの薬剤を、社会全体から減らさなければならないと考えています。

 自分で殺虫剤をまきながら、あるいは町でまかれる殺虫剤をみて、「これはちょっとおかしいな」「これでいいのかしら」と思ったあなた、声にだしてみたあなた。まだ一人の人も、既に仲間を得て活動している人も、本書をお読みになって、私たちの歩みを参考に、あるいは私たちがまだできていないことを深め広げていって、暮らしを自分のものにしていかれたらとても嬉しく思います。そうした動きから、また私たちも学ばせていただきます。

 また、前著『農薬毒性の事典』(注:2002年7月に改訂版を発行)を三省堂より出版後、「家庭で使われる殺虫剤などの毒性について教えてほしい」という声を読者の方々からたくさんいただきました。そうした声に応える形で新たな本をまとめてほしいと編集者から請われて著したのが本書ですが、ご希望に添うことができればこんなに嬉しいことはありません。

 私たちは活動を通じて、多くの方にたくさんのことを教えていただきました。私たちのような、いやもっともっとすばらしい活動をなさっている多くの方々とも知り合いになりました。そのうちのほんの少ししか本書ではご紹介できなかったのが残念です。最後になりましたが、その方たちに心からお礼を申し上げます。

1989年11月

植村振作
山崎昌子



●目  次

1 虫のお話しましょ

2 手持ちの薬剤数えてみよう

エアゾール
蚊取り線香・電気蚊取り(マット)
衣料用防虫剤
燻煙剤・粉剤など
洗浄剤・カビ取り剤・カビ防止剤
ペット用その他
園芸用殺虫剤・殺菌削・除草剤
使い方と処分方法
農薬って何?

3 農薬の売られ方、調べてみました

炎暑の中、一軒一軒訪れ歩いて貴重な収穫
思いもかけない、68%が無届け販売

4 洗濯だけではいけないの?

これだけあります抗菌・防臭加工商品
におわない・カビない症候群
掃除をすれば農薬飛び散る

5 そよ風がほしい

気になりませんか、消毒臭
検査結果は見せられません

6 街に農薬がまかれるとき

自分の足で学ぶ
学校で知らずにまかれる農薬
お母さん、たった一人の奮闘!
夫婦で草取り
ビデオは証言する団地の除草剤問題
お父さん、グッピーまた死んじゃった!
大阪府下四四市町村へアンケート

7 安易に農薬を配らないで

気になる自治体の漫然配布
明治時代の『伝染病予防法』が今も

8 こんなに使っていいかしら?
虫の声を聞こう
人間だけでは生きていけない

資料/ネットワーク/商品名・成分名リスト/事項索引

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